「すごい数のお客さんが来てくれているな……」
「はわわ……お客さんがいっぱいです……」
いよいよアウトドアショップが本日オープンとなるのだが、窓の外には大勢の人影が見えている。数日前から冒険者ギルドの有料掲示板で、本日からお店をオープンすることを告知してある。
それに加えて屋台で商品を売っていた際のお客さんや、冒険者ギルドで方位磁石の販売したことによって、この街でのアウトドアショップの知名度はそこそこ高くなっているらしい。
「さすがにあれだけのお客さん全員はこの店に入らないな。予定を変更して、新しい商品の紹介は外でやろう。よし、お店を開くぞ!」
さあ、いよいよお店を開くとしよう!
「みなさま、大変お待たせしました! ここ始まりの街アレフレアの街で、冒険者のためのお店、アウトドアショップ本日オープンです!」
「「「おおお〜!」」」
「このあとご入場となりますが、店内はそれほど広くはありませんので、押し合わずに順番にごゆっくりお入りください」
店内は多くても20人ほどしか入れない。ざっと見だが50人以上のお客さんが来てくれているから、入場規制をして、お客さんがひとりお店を出たらひとり入れるようにしていこう。
「ご入場の前に当店で働いてくれる従業員をご紹介したいと思います! まずはお馴染み当店の看板娘のフィアちゃんです」
「フフ、フィアです! よ、よろしくおねぎゃいします!」
「はは、頑張れよ!」
「よろしくな!」
「フィアちゃん、可愛いわ!」
「あうう……」
……相変わらず人前では多少あがってしまうらしい。お客さんもそのあたりはもう知っているので、微笑ましく見守ってくれている。
「続いては従業員とあわせて当店の護衛をしてくれる元Bランク冒険者のリリアです!」
「リリアだ。よろしく頼む」
「「「おおお〜!」」」
「えっ!? リリアさんじゃん! 俺あの人にお世話になったことがあるぜ!」
「冒険者を引退したって聞いていたけど、ここの店員になったのか!?」
「あの隻腕、間違いないぞ! 王都でも有名な冒険者だったリリアさんだ!」
さすがリリアだな。俺が説明するまでもなく、かなりの知名度があるらしい。これだけ美人で隻腕のBランク冒険者だとものすごく目立つもんな。
リリアにはBランク冒険者だった経歴をお客さんに伝えることを了承してもらっている。この街で元Bランク冒険者という肩書きはとても大きい。憧れの先輩冒険者が働いている店という宣伝効果を得られるし、なにより犯罪行為の牽制になる。
治安がいい街であるとはいえ、元の世界に比べたら万引きや強盗などが多く存在するこの世界では、元Bランク冒険者のリリアが店にいるという事実だけで、大きな抑止力となる。
「犯罪行為はもちろんのこと、フィアちゃんやリリアにセクハラ行為をしたら元Bランク冒険者のリリアが問答無用で叩っ斬りますのでご注意ください!」
「おい、テツヤ。さすがの私でも問答無用で叩っ斬ったりはしないぞ!」
「おっと、さすがにそれは言い過ぎましたが、いくら当店の従業員が可愛くて綺麗だからといって、ナンパやセクハラ行為は絶対におやめください」
「お、おう、気を付けるぜ!」
「き、気を付けます!」
うむ、セクハラダメ絶対である。元の世界では最近になってセクハラに厳しくなってきたが、この世界だとそのあたりが曖昧かもしれないからな。釘を刺しておくに越したことはない。……あと2人へのナンパは俺が許したくないだけである。
「そして最後にこのお店の責任者を務めておりますテツヤです。どうぞよろしくお願いします!
えっ、前の2人に比べて影が薄い? そのあたりは重々承知しているので、触れないでいただけると助かります。
えっ、接客してもらうなら可愛くて綺麗な2人がいい? 残念ながらうちはそういう店ではないので、接客が俺に当たった人は残念ですが自分の運のなさを嘆いてください!」
クスクスと失笑が聴こえてくる。うむ、俺の身を張った自虐ネタも少しは受けてくれたようだ。そりゃこの2人に比べたら影が薄くても仕方ないよね……
「続きまして販売する新商品を手短に紹介させていただきます。まずは本日一番の目玉商品となりますのがこちら!」
店の中から用意していたテーブルを表に出す。
「ここにあります4つの木筒。この中にはインスタントスープという魔法のような粉が入っております。この粉をお湯に溶かすだけであら不思議、あっという間に温かくて美味しいスープができてしまいます!」
「「「おおお〜!」」」
「論より証拠です。このコップにこの粉を適量入れて、さらにこのようにお湯を入れて混ぜるだけ。これだけでもう完成です。さあ、本日一番に並んでくれたそこのお兄さん、ぜひ味をみてください!」
「お、俺ですか!? それじゃあ、いただきます」
記念すべきオープン最初のお客さんは、いかにも駆け出し冒険者の格好をしているまだ若い男性だった。もしかしたら数量限定のファイヤースターターを買いに来てくれたのかもしれない。
オープンセールはしないつもりだったので、早くから並んでくれていた人達には、4種類のインスタントスープの味見をしてもらう。お客さんは無料でスープの味見ができるし、店としては宣伝してもらえるので一石二鳥だ。
「……う〜ん、とても良い香りですね。えっ!? 何これ、めちゃくちゃうまい! 今まで味わったことがない複雑だけど濃厚な味のスープです! これがお湯を注ぐだけでできるんですか、信じられない!?」
「はわわ……お客さんがいっぱいです……」
いよいよアウトドアショップが本日オープンとなるのだが、窓の外には大勢の人影が見えている。数日前から冒険者ギルドの有料掲示板で、本日からお店をオープンすることを告知してある。
それに加えて屋台で商品を売っていた際のお客さんや、冒険者ギルドで方位磁石の販売したことによって、この街でのアウトドアショップの知名度はそこそこ高くなっているらしい。
「さすがにあれだけのお客さん全員はこの店に入らないな。予定を変更して、新しい商品の紹介は外でやろう。よし、お店を開くぞ!」
さあ、いよいよお店を開くとしよう!
「みなさま、大変お待たせしました! ここ始まりの街アレフレアの街で、冒険者のためのお店、アウトドアショップ本日オープンです!」
「「「おおお〜!」」」
「このあとご入場となりますが、店内はそれほど広くはありませんので、押し合わずに順番にごゆっくりお入りください」
店内は多くても20人ほどしか入れない。ざっと見だが50人以上のお客さんが来てくれているから、入場規制をして、お客さんがひとりお店を出たらひとり入れるようにしていこう。
「ご入場の前に当店で働いてくれる従業員をご紹介したいと思います! まずはお馴染み当店の看板娘のフィアちゃんです」
「フフ、フィアです! よ、よろしくおねぎゃいします!」
「はは、頑張れよ!」
「よろしくな!」
「フィアちゃん、可愛いわ!」
「あうう……」
……相変わらず人前では多少あがってしまうらしい。お客さんもそのあたりはもう知っているので、微笑ましく見守ってくれている。
「続いては従業員とあわせて当店の護衛をしてくれる元Bランク冒険者のリリアです!」
「リリアだ。よろしく頼む」
「「「おおお〜!」」」
「えっ!? リリアさんじゃん! 俺あの人にお世話になったことがあるぜ!」
「冒険者を引退したって聞いていたけど、ここの店員になったのか!?」
「あの隻腕、間違いないぞ! 王都でも有名な冒険者だったリリアさんだ!」
さすがリリアだな。俺が説明するまでもなく、かなりの知名度があるらしい。これだけ美人で隻腕のBランク冒険者だとものすごく目立つもんな。
リリアにはBランク冒険者だった経歴をお客さんに伝えることを了承してもらっている。この街で元Bランク冒険者という肩書きはとても大きい。憧れの先輩冒険者が働いている店という宣伝効果を得られるし、なにより犯罪行為の牽制になる。
治安がいい街であるとはいえ、元の世界に比べたら万引きや強盗などが多く存在するこの世界では、元Bランク冒険者のリリアが店にいるという事実だけで、大きな抑止力となる。
「犯罪行為はもちろんのこと、フィアちゃんやリリアにセクハラ行為をしたら元Bランク冒険者のリリアが問答無用で叩っ斬りますのでご注意ください!」
「おい、テツヤ。さすがの私でも問答無用で叩っ斬ったりはしないぞ!」
「おっと、さすがにそれは言い過ぎましたが、いくら当店の従業員が可愛くて綺麗だからといって、ナンパやセクハラ行為は絶対におやめください」
「お、おう、気を付けるぜ!」
「き、気を付けます!」
うむ、セクハラダメ絶対である。元の世界では最近になってセクハラに厳しくなってきたが、この世界だとそのあたりが曖昧かもしれないからな。釘を刺しておくに越したことはない。……あと2人へのナンパは俺が許したくないだけである。
「そして最後にこのお店の責任者を務めておりますテツヤです。どうぞよろしくお願いします!
えっ、前の2人に比べて影が薄い? そのあたりは重々承知しているので、触れないでいただけると助かります。
えっ、接客してもらうなら可愛くて綺麗な2人がいい? 残念ながらうちはそういう店ではないので、接客が俺に当たった人は残念ですが自分の運のなさを嘆いてください!」
クスクスと失笑が聴こえてくる。うむ、俺の身を張った自虐ネタも少しは受けてくれたようだ。そりゃこの2人に比べたら影が薄くても仕方ないよね……
「続きまして販売する新商品を手短に紹介させていただきます。まずは本日一番の目玉商品となりますのがこちら!」
店の中から用意していたテーブルを表に出す。
「ここにあります4つの木筒。この中にはインスタントスープという魔法のような粉が入っております。この粉をお湯に溶かすだけであら不思議、あっという間に温かくて美味しいスープができてしまいます!」
「「「おおお〜!」」」
「論より証拠です。このコップにこの粉を適量入れて、さらにこのようにお湯を入れて混ぜるだけ。これだけでもう完成です。さあ、本日一番に並んでくれたそこのお兄さん、ぜひ味をみてください!」
「お、俺ですか!? それじゃあ、いただきます」
記念すべきオープン最初のお客さんは、いかにも駆け出し冒険者の格好をしているまだ若い男性だった。もしかしたら数量限定のファイヤースターターを買いに来てくれたのかもしれない。
オープンセールはしないつもりだったので、早くから並んでくれていた人達には、4種類のインスタントスープの味見をしてもらう。お客さんは無料でスープの味見ができるし、店としては宣伝してもらえるので一石二鳥だ。
「……う〜ん、とても良い香りですね。えっ!? 何これ、めちゃくちゃうまい! 今まで味わったことがない複雑だけど濃厚な味のスープです! これがお湯を注ぐだけでできるんですか、信じられない!?」