ここはコルザの屋敷の書斎。
ムドルは机の前に居るトゼルの側まできた。
「やはり……この黒い霧は、デビルミスト。ですが、なぜ……ここに」
そう言いトゼルをみる。
トゼルの体からは、漆黒のオーラが放たれ筋肉がミルミル隆起していく。
「今は、それを考えている余裕がありません。そうなると……いやですが、致し方ありませんね」
そう思いムドルはトゼルから少し離れた。その後、左手の腕輪を外す。
(この男をこの場から遠ざけるには、どこかに転移させるしかありません。それをやるには、私が魔族の姿になる必要があります。
……今は、ここに誰もいない。仕方ありませんね……やりますか)
一瞬、気持ちが揺らいだ。あれこれ思い悩む。だが目の前で体を変化させ苦しんでいるトゼルをみていて、このままここで手をこまねいていても仕方ないと思い決心する。
ムドルは眼前に両手を翳す。そして魔族語で詠唱した。
すると魔法陣が展開していき、そこから黒い光が放たれる。その黒い光は、ムドルを覆い包んだ。
黒い光が消えると魔族の姿へと変わる。
その姿は然程の変化がない。しかし肌の色は黒みがかっている。額の左側には、銀色の小さなツノが一本。耳の形が少し尖っていた。
ムドルは自分のみえる範囲を見回す。
「はぁ、この姿はいつ以来でしょうか? それはそうと……」
そう言うとトゼルの方に歩み寄る。
「ササッと移動しましょう」
トゼルに向け両手を翳した。その後、魔族語で詠唱し始める。
《大地の精 現の地と別の地 異空の狭間 その扉を開き 我と彼の者 我、思う場所へ転移されたし!!》
そう言いながらこの町から少し離れた草原を思い浮かべた。
するとムドルとトゼルの真下に、大きな魔法陣が展開されていく。
魔法陣が展開し終え二人は、スッと消える。
――場所は、市場街にある空き家――
私とメーメルは、人通りの少ない場所にある空き家に来ていた。
「メーメル、ここなら大丈夫だね」
「そうじゃな。だが、気がのらぬ」
そう言いながらメーメルは、部屋の中央に向かい歩く。
それを私は、ジッとみつめる。
メーメルは目の前に手を翳し聞きなれない言葉を発した。
……魔族語かな? それに、これって詠唱なの?
そう思いながら私は、その場で待機する。
するとメーメルの目の前に魔法陣が現れた。その後、黒い光が放たれメーメルを覆い包む。
黒い光が治まるとメーメルの姿が、少しだけ変わっていた。
「うわぁ、可愛い~。羊の獣人みたい!」
そう私が言うとメーメルは、明らかに嫌そうな表情を浮かべる。
「だから嫌なのじゃ!! この姿になるのは……」
「えっ? こんなに可愛いのに……」
「そう言ってくれるのは嬉しい。でものう……これでは、魔族としてどうなのかと思うのじゃ」
そう言うとメーメルは、ハァーっと息を漏らした。
「そういう事かぁ。でも、怖がられなくていいと思うけどなぁ」
「ふぅ、そうじゃな。そう思えば、少しは気が楽かもしれぬ」
メーメルはそう言いニコッと笑う。
「うん、そうそう。それでいいと思うよ」
「うむ。……それはそうと、転移せねばな」
そう言われ私は、コクリと頷く。
その後、メーメルの転移の魔法で町の外の草原へと向かった。
ムドルは机の前に居るトゼルの側まできた。
「やはり……この黒い霧は、デビルミスト。ですが、なぜ……ここに」
そう言いトゼルをみる。
トゼルの体からは、漆黒のオーラが放たれ筋肉がミルミル隆起していく。
「今は、それを考えている余裕がありません。そうなると……いやですが、致し方ありませんね」
そう思いムドルはトゼルから少し離れた。その後、左手の腕輪を外す。
(この男をこの場から遠ざけるには、どこかに転移させるしかありません。それをやるには、私が魔族の姿になる必要があります。
……今は、ここに誰もいない。仕方ありませんね……やりますか)
一瞬、気持ちが揺らいだ。あれこれ思い悩む。だが目の前で体を変化させ苦しんでいるトゼルをみていて、このままここで手をこまねいていても仕方ないと思い決心する。
ムドルは眼前に両手を翳す。そして魔族語で詠唱した。
すると魔法陣が展開していき、そこから黒い光が放たれる。その黒い光は、ムドルを覆い包んだ。
黒い光が消えると魔族の姿へと変わる。
その姿は然程の変化がない。しかし肌の色は黒みがかっている。額の左側には、銀色の小さなツノが一本。耳の形が少し尖っていた。
ムドルは自分のみえる範囲を見回す。
「はぁ、この姿はいつ以来でしょうか? それはそうと……」
そう言うとトゼルの方に歩み寄る。
「ササッと移動しましょう」
トゼルに向け両手を翳した。その後、魔族語で詠唱し始める。
《大地の精 現の地と別の地 異空の狭間 その扉を開き 我と彼の者 我、思う場所へ転移されたし!!》
そう言いながらこの町から少し離れた草原を思い浮かべた。
するとムドルとトゼルの真下に、大きな魔法陣が展開されていく。
魔法陣が展開し終え二人は、スッと消える。
――場所は、市場街にある空き家――
私とメーメルは、人通りの少ない場所にある空き家に来ていた。
「メーメル、ここなら大丈夫だね」
「そうじゃな。だが、気がのらぬ」
そう言いながらメーメルは、部屋の中央に向かい歩く。
それを私は、ジッとみつめる。
メーメルは目の前に手を翳し聞きなれない言葉を発した。
……魔族語かな? それに、これって詠唱なの?
そう思いながら私は、その場で待機する。
するとメーメルの目の前に魔法陣が現れた。その後、黒い光が放たれメーメルを覆い包む。
黒い光が治まるとメーメルの姿が、少しだけ変わっていた。
「うわぁ、可愛い~。羊の獣人みたい!」
そう私が言うとメーメルは、明らかに嫌そうな表情を浮かべる。
「だから嫌なのじゃ!! この姿になるのは……」
「えっ? こんなに可愛いのに……」
「そう言ってくれるのは嬉しい。でものう……これでは、魔族としてどうなのかと思うのじゃ」
そう言うとメーメルは、ハァーっと息を漏らした。
「そういう事かぁ。でも、怖がられなくていいと思うけどなぁ」
「ふぅ、そうじゃな。そう思えば、少しは気が楽かもしれぬ」
メーメルはそう言いニコッと笑う。
「うん、そうそう。それでいいと思うよ」
「うむ。……それはそうと、転移せねばな」
そう言われ私は、コクリと頷く。
その後、メーメルの転移の魔法で町の外の草原へと向かった。