ここはカロムの屋敷。あれからメーメルは、庭の手入れなどをしていた。

 (いつ、仕掛けてくるのじゃ? それに何を考えておる……)

 そう考えながら花に水をやっている。

 「……!?」

 背後に気配を感じメーメルは、振り返ろうとした。だが、布で口を塞がれたうえに体を掴まれ動けなくなる。

 そうメーメルの背後に居るのは昨晩、寝室に現れた忍者服の男だ。

 「黙っていろ……ここじゃ、目立つ……こい」

 そう言われメーメルは、コクリと頷いた。

 その後メーメルと忍者服の男は、屋敷の裏にある奥の建物へ向かう。


 ▼△★▽▲☆▼△


 ここはカロムの屋敷の敷地にある建物内。

 メーメルと忍者服の男は、周囲を警戒しながらこの場所までくる。

 「なんのつもり?」

 「やはり俺が誰か気づいてるな」

 「うむ、お前もな」

 そうメーメルが言うと忍者服の男は、ニヤリと口角を上げ笑った。

 「全て気づいてる訳じゃない。……お前が魔族だという事だけだ」

 「そうか……で、どうするつもりだ? それに、なんでそんな恰好をしている」

 「他のヤツらに、悟られないため。それと……これは分身なんでな。それにお前を、どうこうするつもりはない。ただ、これからすることに対して何もするな」

 そう言われメーメルは、小首を傾げる。

 「分身……そうか。それはいいが、何を考えている?」

 「それは言えん。だが……お前とルイの方も悪いようにはしない」

 「それを信じろと?」

 そう問われ忍者服の男は、コクリと頷いた。

 「ああ……そうだな、そう簡単には信じられないだろう。だが――――――」

 忍者服の男は、話せることだけを語る。

 それを聞きメーメルは、しばらく悩んだ。

 「……なるほど。お前は……そのことを――納得いかないが、分かった。何をみても内緒にすればいいんのだな」

 「そういう事だ。じゃあ、俺はここで消える……あとは頼む」

 そう言われメーメルは、コクッと頷いた。

 それを確認すると忍者服の男は、スッと残像と共に消える。

 (うむ、ここまでする必要はないと思うのじゃが……)

 そう思いながら外に出るとメーメルは、何もなかったように草むしりを始めた。その後、カロムにより拘束される。



 ――場所は、ティハイドの屋敷に移る――


 その頃、ムドルとベルべスクはティハイドの書斎にいた。

 椅子に座りティハイドは机上に両手を乗せ眼前の二人をみている。

 「……一週間後、用ができた。そのためお前たちには、護衛として同行してもらう」

 「分かった。それで、どこに行く?」

 「ムドル、それは聞くな。ついてくればいい」

 そう言いティハイドはムドルを睨んだ。

 「申し訳ない。つい気になって、聞いてしまった。これからは気をつける」

 「それでいい。……それまでの間は、屋敷の警備を頼む」

 そう言われムドルとベルべスクは頷いた。

 「承知した。じゃあ早速、ムドルと手分けして見回りをしてくる」

 「うむ、そうしてくれ」

 ティハイドにそう言われ二人は、一礼をすると部屋をでる。

 それを視認したティハイドは、机上の書類を手に取りみていたのだった。