ここはドラギドラスの洞窟。あれから美鈴は幾度となくマグドラスに挑むも効かず、流石に何も食べていないせいもありヘトヘトになっていた。

「ハア、ハア、――。ちょ、待って……」

「どうしたそれで終わりか? 思っていたよりも根性はあるようだが、その程度か」

 マグドラスは、フンッと鼻を鳴らし美鈴を馬鹿にするような目でみる。

「ミスズ、大丈夫かドン? おいらにできることがあれば手伝うドン」

「ん〜どうしよう……」

「そういえばその能力って、おいらに付与できないのかなドン」

 そう言われ美鈴は、その方がいいんじゃないのかと思った。そして恐る恐るマグドラスに提案する。

「ねぇ、マグドラス。ウチの能力で、ドラギドラスを操って攻撃するってのはありかな?」

「うむ、それは面白い。そうなると、ある程度本気を出すが良いか?」

 そう問いかけられて美鈴は、コクリと頷きドラギドラスの方に視線を向けた。

「じゃ、ウチは一旦下に降りるね」

 それを聞きドラギドラスは、自分の肩の上にいる美鈴を手のひらに乗せる。すると手のひらを、地面スレスレまで下ろす。

 美鈴はそれを確認すると手のひらから降り地面に着地する。

 ドラギドラスは降りたことが分かると目線を美鈴に合わせた。

「おいらは何をすればいいのかドン?」

「うん、とりあえずどんな文字が出るか分からないから待ってて」

 そう言うと美鈴は両手を翳しドラギドラスに向ける。

(ドラギドラスに付与するってことは、補助で単体を選べばいいよね)

 そう思い選ぶとスロットを回した。

 ドラギドラスは、なぜかワクワクしながら待機している。



 そんな中マグドラスは、その様子をみながら考えていた。

(あのミスズとか言う女勇者、中々根性がある。それに、幾度も儂に攻撃して来た能力、あれは召喚の類いじゃない。
 いったいなんの能力なのだ? だがまあ、もしかすれば次でそれが分かるかもしれんしな)

 そう考えが纏まると美鈴とドラギドラスの方を向き、まだなのかと思いながら待機する。



 そうこうしていると、スロットが停止し【効】と表示された。

「ん〜『効』かぁ。これだと『無効化』って文字がいいと思うけど。ドラギドラスに付与するとなるとなぁ」

「……『無効化』……。それって、術を無効にすることもできるのかなドン?」

 そう問われ美鈴は不思議に思い聞き返す。

「術を無効化するってどういう事?」

「おいらにかかっている術を、無効化できないかと思ったんだドン」

「術がかかってるって……。それどういう事?」

 そう聞かれドラギドラスは、その理由を話し出した。

「……なるほどねぇ。じゃあドラギドラスは、元々その姿じゃなかったんだね」

「そうなんだドン。この洞窟を封印した勇者の前に現れた勇者が、おいらを弱体化させ、この姿に変えたドン」

 そう言いムッとした表情になる。

「そのせいで、この姿で出歩くのが嫌だから、この洞窟から出れなくなったんだドン」

「そういう事かぁ。だけど元々の姿ってドラゴンだったの?」

 そう聞かれドラギドラスは、言うのをためらった。だが、術を解けば分かってしまうことだと思い重い口を開く。

「そうだといえば、そうなんだけどドン。ただ違うのは--」

 ドラギドラスは自分のことについて説明し始める。


 そうドラギドラスは元々、数少ない竜人族だ。だが、勇者によりこの姿にされる。

 その後この洞窟に引きこもっていた。そして数百年後に現れた別の勇者により、とある理由で洞窟ごと封印される。__


 __そしてドラギドラスは、自分の手のひらをみて溜息をつく。

「だけど、なんで勇者と戦ったの?」

「おいらは……」

 そう言うとマグドラスに視線を向ける。

「戦った理由、それのことはあとで話すドン。ただ元の姿に戻ったらマグドラスは、おいらが誰なのか気づくドン」

「……ってことは、今の名前って、」

「流石にこの姿で本当の名前を言うのは嫌なんだドン」

 そう言われ美鈴は余計に気になった。

「そっかぁ。じゃ、元の姿なら言えるってこと?」

「うん、多分だけど言えると思うドン。その前にマグドラスにバレる気もするドン」

「なるほどねぇ。そうなると……。分かったっ! だけど成功する保証はないけどね」

 そう言い額から一滴の汗が頬を伝う。

「それでもいいドン。成功すれば、おいらがマグドラスを倒せるドン」

 ドラギドラスはマグドラスを凝視する。