それは矛盾した空間だった。
暗闇に包まれていながらも、眩しく。狭いようで異常に広い。
あり得ない空間に、椅子が1つ。いつの間に、男が座っていた。
男は神であった。 この戦争――――魔導書戦争を支配する神。
たった1人の王を生み出すための舞台装置。 それにしては過剰な力を世界にばら撒いている。
そんな神だが――――楽しんでいる。
「撤退したのは、『嫉妬』のみ。かつての勝者 モンド王も含んて――――残り7人」
神は笑みを見せながら――――「つまらん」と断じる。
言葉とは裏腹に楽しそうに――――
「ここで大規模な戦いを推進させようか」
神はサイコロを振った。
出た目。それによって討伐を出そうとしているのだ。
例えば――――『憤怒』
国を滅ぼしかねない強い力を持ちすぎた。
例えば――――『暴食』と『色欲』
同盟を組み、戦争の進行を遅らせた。
例えば―――― 『傲慢』
モンド王の庇護下につき、戦争を荒そうとしている。
例えば――――『強欲』
今も隠れたまま、姿を見せぬ。戦争を放棄している。
例えば――――
誰か1人に対して、他の者をさす向ける。ルール違反をでっち上げる。
「誰でも良い。なんでも良い。楽しめれば良い。さて――――誰を討伐対象にして情報を差し出す」
転がったサイコロが出たのは――――
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ユウトとメリスは山に来ていた。
「うん、ここね」とメリスは目前の崖を見上げると、ノミとハンマーを使って崖から石を削り取った。
「毎回、こんな事をしているんだ、おまえ?」とユウトは呆れ気味だった。
「なによ? 私からしてみたら、魔導書の能力を強化するために食事をするあなたが異常なのよ」
彼女は削り取った石を2つに割る。
石の正体は魔石だった。 その魔石から、彼女に魔力が流れて行った。
ユウトは、魔導書によって自身を強化するのにどうやっているのか?
魔導書に示された隠しダンジョン。 そこの使徒を倒して更新された魔導書の内容に従って、作った料理を食する。
メリスの場合は、魔石の発掘と回収だった。 彼女の元々の住み家が、山の中――――岩を削って作られていたのは、それが理由だった。
「さて、これで私も強くなったわ。あのレインに力を奪われる以前には程遠いけれでも……」
彼女は「見てなさい、『怠惰』のレイン。必ず私が……ふっふふふ……」と笑っている。 復讐を遂げる自分を想像しているのだろう。
「終わったか? 終わったなら食事にしよう。頃合いだろ?」
そういうユウトの手には釣り竿と釣り上げられたばかりの魚が握られていた。
「呆れるわね。あなたは、メイヴ姉さんの代わりに私の護衛としてついて来たのでしょ? 私が発掘している間に釣りを楽しんでいたのね」
彼女はため息をつく。しかし、思い直したようだ。
「まぁ良いわ。食事をすること……それが、あなた『暴食』の秘密でしょ?」
「いや、単純に暇だったから」
「……あなたね」
そんなやり取りをしているが、ベルトは慣れた手つきで火をおこし、焼き魚を作り始めた。
「雑ね……私が想像する『暴食』って、荒々しく食べるタイプか、豪華な食事を求めるタイプだったけど」
「まぁ、そう言うわずに味見をしてみろよ」
「ふん、でも美味しそうね……って、これ火が通ってないわよ」
「そうか、もう少し長く焼くか」
「……私に試さしたのね」
「待て、味見って言ったじゃないか。その物騒な物をしまえ!」
そんな時だ。 彼女たちの魔導書が輝き始めた。
2人ともページをめくる。そこに書かれていたのは――――
「討伐指令? 対象は――――『強欲』だって?」
暗闇に包まれていながらも、眩しく。狭いようで異常に広い。
あり得ない空間に、椅子が1つ。いつの間に、男が座っていた。
男は神であった。 この戦争――――魔導書戦争を支配する神。
たった1人の王を生み出すための舞台装置。 それにしては過剰な力を世界にばら撒いている。
そんな神だが――――楽しんでいる。
「撤退したのは、『嫉妬』のみ。かつての勝者 モンド王も含んて――――残り7人」
神は笑みを見せながら――――「つまらん」と断じる。
言葉とは裏腹に楽しそうに――――
「ここで大規模な戦いを推進させようか」
神はサイコロを振った。
出た目。それによって討伐を出そうとしているのだ。
例えば――――『憤怒』
国を滅ぼしかねない強い力を持ちすぎた。
例えば――――『暴食』と『色欲』
同盟を組み、戦争の進行を遅らせた。
例えば―――― 『傲慢』
モンド王の庇護下につき、戦争を荒そうとしている。
例えば――――『強欲』
今も隠れたまま、姿を見せぬ。戦争を放棄している。
例えば――――
誰か1人に対して、他の者をさす向ける。ルール違反をでっち上げる。
「誰でも良い。なんでも良い。楽しめれば良い。さて――――誰を討伐対象にして情報を差し出す」
転がったサイコロが出たのは――――
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ユウトとメリスは山に来ていた。
「うん、ここね」とメリスは目前の崖を見上げると、ノミとハンマーを使って崖から石を削り取った。
「毎回、こんな事をしているんだ、おまえ?」とユウトは呆れ気味だった。
「なによ? 私からしてみたら、魔導書の能力を強化するために食事をするあなたが異常なのよ」
彼女は削り取った石を2つに割る。
石の正体は魔石だった。 その魔石から、彼女に魔力が流れて行った。
ユウトは、魔導書によって自身を強化するのにどうやっているのか?
魔導書に示された隠しダンジョン。 そこの使徒を倒して更新された魔導書の内容に従って、作った料理を食する。
メリスの場合は、魔石の発掘と回収だった。 彼女の元々の住み家が、山の中――――岩を削って作られていたのは、それが理由だった。
「さて、これで私も強くなったわ。あのレインに力を奪われる以前には程遠いけれでも……」
彼女は「見てなさい、『怠惰』のレイン。必ず私が……ふっふふふ……」と笑っている。 復讐を遂げる自分を想像しているのだろう。
「終わったか? 終わったなら食事にしよう。頃合いだろ?」
そういうユウトの手には釣り竿と釣り上げられたばかりの魚が握られていた。
「呆れるわね。あなたは、メイヴ姉さんの代わりに私の護衛としてついて来たのでしょ? 私が発掘している間に釣りを楽しんでいたのね」
彼女はため息をつく。しかし、思い直したようだ。
「まぁ良いわ。食事をすること……それが、あなた『暴食』の秘密でしょ?」
「いや、単純に暇だったから」
「……あなたね」
そんなやり取りをしているが、ベルトは慣れた手つきで火をおこし、焼き魚を作り始めた。
「雑ね……私が想像する『暴食』って、荒々しく食べるタイプか、豪華な食事を求めるタイプだったけど」
「まぁ、そう言うわずに味見をしてみろよ」
「ふん、でも美味しそうね……って、これ火が通ってないわよ」
「そうか、もう少し長く焼くか」
「……私に試さしたのね」
「待て、味見って言ったじゃないか。その物騒な物をしまえ!」
そんな時だ。 彼女たちの魔導書が輝き始めた。
2人ともページをめくる。そこに書かれていたのは――――
「討伐指令? 対象は――――『強欲』だって?」