三日目、四日目と何事もなく小川沿いを進み、五日目に森に入ってからの目標の一つ、湖に到着した。
何事もないとは言っても、ゴブリンやオークなどの魔物は会ったら倒してきたけどね。
そして湖だけど、王都近くの湖よりは小さめだろうか、対岸が見えている。
「綺麗ですの、魚釣りはしますの?」
イルは頬に手を当て見惚れていたけどすぐに、釣りが楽しかったのを思い出したのか、竿を持って、魚の引きを楽しむような動きをしている。
「魚もだけど貝は食べたいよね、今日はまだ早いけど、ここでお泊まりでしょ?」
茜ちゃんは茜ちゃんで、口元を拭う仕草で貝を焼いて食べたことを思い出しているようだ。
「くくっ、うん。そのつもり、二人とも楽しみができたところ悪いけど、対岸近くに砂浜があるからあっちで釣りをして貝も探そうか」
俺の提案に賛成した二人は湖の畔をぐるりと回り込むように対岸を目指す。
イルも背負子から降りて自分の足で歩き始める。
「でも森が湖まで張り出してなくて良かったね、見張らしも良いから魔物が出ても迎撃しやすいしな」
そう言い二人の前を進み、足元を土魔法で地ならしをしながら触手は二人に伸ばしている。
初日以降も、何度結界を抜けたか数えきれない。
絶対この森には結界を張った人達がいるはずだし、歓迎はしてないんだと思う。
できれば友好的だと嬉しいけどね。
「明るくて~♪ 気持ち~が良いですの~♪ で~も~♪ ちょ~っとお腹がす~きま~した~の~♪」
「ぶはっ、イルちゃん串焼き食べる? 私も少しお腹空いたし」
楽しそうに変なリズムで歌い、茜ちゃんと手を繋ぎついてくる。
収納からオーク肉の串焼きを取り出す。
塩コショウで味付けした物で、これなら歩きながらでも食べれるからね。
「おーにーくーで~すの~♪ はぐっ」
「くふっ、ほらほっぺたについたわよ。ありがとう友里くん、あっ、看破で見たけどそこの草は食べれるみたい」
茜ちゃんが指差した方を見て、トゲトゲした葉を持つ草を鑑定すると、毒草だった……シビレ草、名前の通り生で食べたりすると、ほんの少しシビレる弱毒で、火を通せば食用、美味とは書いてある。
「生で食べれないのかぁ、まあトゲトゲしているから食べにくそうだもんね」
「シビレちゃうのです? ん? あっ、猫さんが起きましたの? 籠からカサカサ音がしますの。おはよう猫さん、お寝坊さんですの」
「あっ、本当だ、目が開いてる。おはよう猫さん、大丈夫? お腹空いてない?」
「ずっと寝っぱなしだったからね、ここで休憩して猫にご飯をあげようか」
薬草採取用の籠に入れて、茜ちゃんが背負子とは反対に前で担いでいたんだけど、王都の森近くで拾ってから十日近く寝っぱなしだった猫が起きた。
ご飯と水は俺が触手を猫の口の中、胃にまで届くように収納から少しずつ出してたから大丈夫だと思うけど、起きたなら普通に食べてもらいたい。
足を止め、籠を地面におろした茜ちゃん。
籠を覗き込むイル。
俺も籠を壁歩きで登って同じように覗き込むと、しっかり綺麗な青色の目を開け俺達を見上げていた。
「やっぱり魚かなっと、焼いてほぐしたヤツを――」
籠の底で丸まり顔だけこちらを向けている白猫の前に小さいお皿を二枚出して、その皿に魚のフレークと水を出してあげる。
最初は驚いたのか、ビクッとしてゆっくりとだが体を起こしてお座りになる。
俺達とお皿を交互に見た後鼻を近づけて匂いをかいだ。
「食べても大丈夫だよ、遠慮しないでね、見てると食べにくいなら――イル、茜ちゃん、しばらく覗かないで待とうか」
「うん、そうだね、待つ間にシビレ草を採取して、夜はオーク肉の野菜炒……シビレ草炒めにしましょう」
俺達はそっと籠から離れ、シビレ草の採取を始める。
シビレ草は根っ子まで食べられるので、二人にスコップを出してあげると早速掘り始めた。
ピチャ、ピチャ――おお! 水を飲む音が聞こえてきた! よし、中々起きなかったから心配したけど、さすが魔物の猫だね。
元気になって、俺達に警戒心が無くなったらテイムしたいと思っていたし、なんたってエンペラーキャット(幼体)と、名前から大物感がにじみ出てるし。
おっ、このシビレ草の根っ子、山芋じゃない!?
「鑑定!」
――――――――――――――――――――
シビレ草 体をシビレさせる効果(弱)、加熱すると毒素が消え美味。
粘り気があり、滋養強壮に効果あり。
――――――――――――――――――――
おお! やはり思った通り! これは山芋的に絶対美味しいヤツ!
「イル、茜ちゃん、たぶんこれ山芋みたいなヤツだよ! 根っ子を折らないように慎重にね!」
「「慎重ですの?」」
イルは分かってないようだけど、茜ちゃんは俺と同じように色々な料理を思い浮かべたのか、既に垂れてるイルを見ながらも、我慢ができず、
よだれが垂れそうだった。
山芋(シビレ草)を掘るのに集中している茜ちゃんを見て、真似するようにチラチラと茜ちゃんの動きを見て、慎重に根本を掘り返すイル。
俺は二人の掘る所を土魔法で柔らかくしておくことにした。
そして触手を伸ばし、バレないように籠の中を覗くとお水の皿に顔を突っ込み、ピチャピチャと水は飲むんだけど、魚のフレークには舌を伸ばさない。
何事もないとは言っても、ゴブリンやオークなどの魔物は会ったら倒してきたけどね。
そして湖だけど、王都近くの湖よりは小さめだろうか、対岸が見えている。
「綺麗ですの、魚釣りはしますの?」
イルは頬に手を当て見惚れていたけどすぐに、釣りが楽しかったのを思い出したのか、竿を持って、魚の引きを楽しむような動きをしている。
「魚もだけど貝は食べたいよね、今日はまだ早いけど、ここでお泊まりでしょ?」
茜ちゃんは茜ちゃんで、口元を拭う仕草で貝を焼いて食べたことを思い出しているようだ。
「くくっ、うん。そのつもり、二人とも楽しみができたところ悪いけど、対岸近くに砂浜があるからあっちで釣りをして貝も探そうか」
俺の提案に賛成した二人は湖の畔をぐるりと回り込むように対岸を目指す。
イルも背負子から降りて自分の足で歩き始める。
「でも森が湖まで張り出してなくて良かったね、見張らしも良いから魔物が出ても迎撃しやすいしな」
そう言い二人の前を進み、足元を土魔法で地ならしをしながら触手は二人に伸ばしている。
初日以降も、何度結界を抜けたか数えきれない。
絶対この森には結界を張った人達がいるはずだし、歓迎はしてないんだと思う。
できれば友好的だと嬉しいけどね。
「明るくて~♪ 気持ち~が良いですの~♪ で~も~♪ ちょ~っとお腹がす~きま~した~の~♪」
「ぶはっ、イルちゃん串焼き食べる? 私も少しお腹空いたし」
楽しそうに変なリズムで歌い、茜ちゃんと手を繋ぎついてくる。
収納からオーク肉の串焼きを取り出す。
塩コショウで味付けした物で、これなら歩きながらでも食べれるからね。
「おーにーくーで~すの~♪ はぐっ」
「くふっ、ほらほっぺたについたわよ。ありがとう友里くん、あっ、看破で見たけどそこの草は食べれるみたい」
茜ちゃんが指差した方を見て、トゲトゲした葉を持つ草を鑑定すると、毒草だった……シビレ草、名前の通り生で食べたりすると、ほんの少しシビレる弱毒で、火を通せば食用、美味とは書いてある。
「生で食べれないのかぁ、まあトゲトゲしているから食べにくそうだもんね」
「シビレちゃうのです? ん? あっ、猫さんが起きましたの? 籠からカサカサ音がしますの。おはよう猫さん、お寝坊さんですの」
「あっ、本当だ、目が開いてる。おはよう猫さん、大丈夫? お腹空いてない?」
「ずっと寝っぱなしだったからね、ここで休憩して猫にご飯をあげようか」
薬草採取用の籠に入れて、茜ちゃんが背負子とは反対に前で担いでいたんだけど、王都の森近くで拾ってから十日近く寝っぱなしだった猫が起きた。
ご飯と水は俺が触手を猫の口の中、胃にまで届くように収納から少しずつ出してたから大丈夫だと思うけど、起きたなら普通に食べてもらいたい。
足を止め、籠を地面におろした茜ちゃん。
籠を覗き込むイル。
俺も籠を壁歩きで登って同じように覗き込むと、しっかり綺麗な青色の目を開け俺達を見上げていた。
「やっぱり魚かなっと、焼いてほぐしたヤツを――」
籠の底で丸まり顔だけこちらを向けている白猫の前に小さいお皿を二枚出して、その皿に魚のフレークと水を出してあげる。
最初は驚いたのか、ビクッとしてゆっくりとだが体を起こしてお座りになる。
俺達とお皿を交互に見た後鼻を近づけて匂いをかいだ。
「食べても大丈夫だよ、遠慮しないでね、見てると食べにくいなら――イル、茜ちゃん、しばらく覗かないで待とうか」
「うん、そうだね、待つ間にシビレ草を採取して、夜はオーク肉の野菜炒……シビレ草炒めにしましょう」
俺達はそっと籠から離れ、シビレ草の採取を始める。
シビレ草は根っ子まで食べられるので、二人にスコップを出してあげると早速掘り始めた。
ピチャ、ピチャ――おお! 水を飲む音が聞こえてきた! よし、中々起きなかったから心配したけど、さすが魔物の猫だね。
元気になって、俺達に警戒心が無くなったらテイムしたいと思っていたし、なんたってエンペラーキャット(幼体)と、名前から大物感がにじみ出てるし。
おっ、このシビレ草の根っ子、山芋じゃない!?
「鑑定!」
――――――――――――――――――――
シビレ草 体をシビレさせる効果(弱)、加熱すると毒素が消え美味。
粘り気があり、滋養強壮に効果あり。
――――――――――――――――――――
おお! やはり思った通り! これは山芋的に絶対美味しいヤツ!
「イル、茜ちゃん、たぶんこれ山芋みたいなヤツだよ! 根っ子を折らないように慎重にね!」
「「慎重ですの?」」
イルは分かってないようだけど、茜ちゃんは俺と同じように色々な料理を思い浮かべたのか、既に垂れてるイルを見ながらも、我慢ができず、
よだれが垂れそうだった。
山芋(シビレ草)を掘るのに集中している茜ちゃんを見て、真似するようにチラチラと茜ちゃんの動きを見て、慎重に根本を掘り返すイル。
俺は二人の掘る所を土魔法で柔らかくしておくことにした。
そして触手を伸ばし、バレないように籠の中を覗くとお水の皿に顔を突っ込み、ピチャピチャと水は飲むんだけど、魚のフレークには舌を伸ばさない。