「きゃっ!」
意識が本体に移り、見えたのは青い空を隠すように覆い被さってきたゴブリン――っ!
「ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール!」
ドゴンと覆い被さってきたゴブリンの一匹目を吹き飛ばし、次から次へと飛びかかってくるゴブリンに向けてファイアボールを連射する。
ドゴン、ドゴンと爆発音が響く中、体の下に震えながらもイルを抱え込んで守っている茜ちゃんがいる。
絶対にやらせない!
次から次へと向かってくるゴブリンと、俺達を迂回して、先を走る冒険者達を追いかけるゴブリンに分かれた。
「ファイアボール! くそっ、もうちょいでこっちは終わるのに、向こうがヤバい!」
ここからでも狙えそうだが、ミスしてしまうと、冒険者達にファイアボールが当たってしまうかもしれない。
「茜ちゃん、こっちはもう終わるから立ち上がって! 俺達を避けたゴブリンがあっちの人達を狙ってる! 走って追い付いてほしい!」
「ゆ、友里くん! こ、怖かったよー。お、追いかけるのね! こ、怖いけど頑張る! イルちゃん、ぎゅっと掴まっていてね!」
地面を手で力強く押して体を起こし、イルを背中におんぶして、カクカクと笑う膝を無理矢理立たせると茜ちゃんは走り出した。
走り出したタイミングでこちらに向かってきていたゴブリンを倒しきり、茜ちゃんに身体強化をかけた。
「な、なんにゃっ! にゃ、にゃにこれ! 凄く早く走れる! でもこれなら! 友里くん、射線が被らなければ良いんだよね! 行くよ!」
「身体強化をかけた! 射線――そうだ! 横とは言わないけど、斜めで良いからお願い!」
茜ちゃんは言った通り進行方向を冒険者達からずらして進む。
身体強化のお陰かどんどんゴブリン達との距離を詰め、ゴブリンが冒険者達との射線から外れだした。
「よしそのまま頼む! ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「助かった! 君達のお陰だ!」
「すげえな嬢ちゃんの兄ちゃんは」
「ツヨツヨですの! ユウリはすごいのですよ!」
冒険者達を追いかけていた十匹ほどのゴブリンをファイアボールで倒しきった後、ドゴン、ドゴンと派手な音が鳴るから冒険者達も気付いたのか、振り向きゴブリンが煙を出して倒れているのを見て立ち止まった。
そして俺達は合流したって訳なんだが……ちょっと褒めすぎじゃない?
あっ、そんなことより――。
「イル、怖がらせてごめんね怪我とか痛いところはない? あっ、お兄さん達も怪我はないですか?」
念話で茜ちゃんにも聞いておく。
「大丈夫なのです! 元気いっぱいですの!」
『はい、少し膝を擦りむいたくらいなので大丈夫です。友里くんが来てくれたから』
イルは両腕の力こぶを見せるような格好をして、ふんすと鼻息をもらしている。
それもだけど茜ちゃんの膝に回復魔法をかけなきゃね。
『回復魔法と言えばヒール! どうかな?』
『ヒール凄いです! 痛みがなくなりましたよ友里くん! 攻撃魔法が使えて回復魔法まで使えるなんて、チート過ぎますよ!』
なんだか茜ちゃんも、イルと同じようにふんすと興奮したように鼻息をもらした。
「ああ、俺達は大丈夫だ。しかしいつもの子は一緒じゃないんだな」
茜ちゃんの事を知っているのか……よく見ると、薬草採取している時に見かけるお兄さん達だった。
えっと、パッと見だけど五人と三人のパーティー全員怪我もなかったようだ。
「そうだ、こんなに沢山のゴブリンが森から出てくることはよくあるのですか? 十日ほど前にも十匹近くのゴブリンをこの薬草採取の場所で見かけたのですが」
俺が少し疑問だったからそう聞くと、お兄さん達は顔を見合わせた後、俺達を見て『は?』って顔をする。
「いや、めったに無いし、出て来ても十匹もの群で出てくる事もまず無いぞ、俺達が見たことある最高で五匹だ」
マジかよ……だったら十匹も倒したと言ったら目立ってしまうんじゃ。
「君達ってなぜ薬草採取してるんだ? ゴブリンを十匹倒し、今回は三十匹もいた大きな群を単独で倒せるって言うのに」
「え? 冒険者ギルドに登録したのが十日前ですから、討伐依頼は請けられないんじゃ?」
と言うより、前回は収納しちゃったから出すに出せなかったんだけど……まだ収納持ちの人を見たことないし、レアなスキルだよね?
お兄さん達はまた顔を見合わせため息を。
「はぁ、あのな、登録したてのEランクでも、ゴブリンは倒して良い。逆にDランクに上がる条件の一つでもある。お前達、そんなの冒険者になる奴なら誰でも知ってることだぞまったく」
その後、ゴブリン討伐を証明するため、魔石を取り出すやり方を教えてもらい、倒したゴブリンは穴を掘って埋めるか燃やすかするらしい事を教えてもらった。
いや、精神耐性様々だよロリっ子様。
召喚前ならこんなグロ耐性とか、ましてやゴブリンを食べようなんて思わなかっただろうし……でも茜ちゃんには悪い事をしました。
ゴブリンの胸を割り、心臓の近くにある魔石を取り出すのをお手本を見せてもらったけど、俺の姿の茜ちゃんは解体用のナイフを突き立てることはできなかったので、俺をゴブリンに押し付けてもらうことで解体は回避することに成功した。
二匹目からも俺が魔石だけを残して吸収しておいたんだけど、それを見ていたお兄さん達の目がおかしいんだが。
意識が本体に移り、見えたのは青い空を隠すように覆い被さってきたゴブリン――っ!
「ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール!」
ドゴンと覆い被さってきたゴブリンの一匹目を吹き飛ばし、次から次へと飛びかかってくるゴブリンに向けてファイアボールを連射する。
ドゴン、ドゴンと爆発音が響く中、体の下に震えながらもイルを抱え込んで守っている茜ちゃんがいる。
絶対にやらせない!
次から次へと向かってくるゴブリンと、俺達を迂回して、先を走る冒険者達を追いかけるゴブリンに分かれた。
「ファイアボール! くそっ、もうちょいでこっちは終わるのに、向こうがヤバい!」
ここからでも狙えそうだが、ミスしてしまうと、冒険者達にファイアボールが当たってしまうかもしれない。
「茜ちゃん、こっちはもう終わるから立ち上がって! 俺達を避けたゴブリンがあっちの人達を狙ってる! 走って追い付いてほしい!」
「ゆ、友里くん! こ、怖かったよー。お、追いかけるのね! こ、怖いけど頑張る! イルちゃん、ぎゅっと掴まっていてね!」
地面を手で力強く押して体を起こし、イルを背中におんぶして、カクカクと笑う膝を無理矢理立たせると茜ちゃんは走り出した。
走り出したタイミングでこちらに向かってきていたゴブリンを倒しきり、茜ちゃんに身体強化をかけた。
「な、なんにゃっ! にゃ、にゃにこれ! 凄く早く走れる! でもこれなら! 友里くん、射線が被らなければ良いんだよね! 行くよ!」
「身体強化をかけた! 射線――そうだ! 横とは言わないけど、斜めで良いからお願い!」
茜ちゃんは言った通り進行方向を冒険者達からずらして進む。
身体強化のお陰かどんどんゴブリン達との距離を詰め、ゴブリンが冒険者達との射線から外れだした。
「よしそのまま頼む! ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「助かった! 君達のお陰だ!」
「すげえな嬢ちゃんの兄ちゃんは」
「ツヨツヨですの! ユウリはすごいのですよ!」
冒険者達を追いかけていた十匹ほどのゴブリンをファイアボールで倒しきった後、ドゴン、ドゴンと派手な音が鳴るから冒険者達も気付いたのか、振り向きゴブリンが煙を出して倒れているのを見て立ち止まった。
そして俺達は合流したって訳なんだが……ちょっと褒めすぎじゃない?
あっ、そんなことより――。
「イル、怖がらせてごめんね怪我とか痛いところはない? あっ、お兄さん達も怪我はないですか?」
念話で茜ちゃんにも聞いておく。
「大丈夫なのです! 元気いっぱいですの!」
『はい、少し膝を擦りむいたくらいなので大丈夫です。友里くんが来てくれたから』
イルは両腕の力こぶを見せるような格好をして、ふんすと鼻息をもらしている。
それもだけど茜ちゃんの膝に回復魔法をかけなきゃね。
『回復魔法と言えばヒール! どうかな?』
『ヒール凄いです! 痛みがなくなりましたよ友里くん! 攻撃魔法が使えて回復魔法まで使えるなんて、チート過ぎますよ!』
なんだか茜ちゃんも、イルと同じようにふんすと興奮したように鼻息をもらした。
「ああ、俺達は大丈夫だ。しかしいつもの子は一緒じゃないんだな」
茜ちゃんの事を知っているのか……よく見ると、薬草採取している時に見かけるお兄さん達だった。
えっと、パッと見だけど五人と三人のパーティー全員怪我もなかったようだ。
「そうだ、こんなに沢山のゴブリンが森から出てくることはよくあるのですか? 十日ほど前にも十匹近くのゴブリンをこの薬草採取の場所で見かけたのですが」
俺が少し疑問だったからそう聞くと、お兄さん達は顔を見合わせた後、俺達を見て『は?』って顔をする。
「いや、めったに無いし、出て来ても十匹もの群で出てくる事もまず無いぞ、俺達が見たことある最高で五匹だ」
マジかよ……だったら十匹も倒したと言ったら目立ってしまうんじゃ。
「君達ってなぜ薬草採取してるんだ? ゴブリンを十匹倒し、今回は三十匹もいた大きな群を単独で倒せるって言うのに」
「え? 冒険者ギルドに登録したのが十日前ですから、討伐依頼は請けられないんじゃ?」
と言うより、前回は収納しちゃったから出すに出せなかったんだけど……まだ収納持ちの人を見たことないし、レアなスキルだよね?
お兄さん達はまた顔を見合わせため息を。
「はぁ、あのな、登録したてのEランクでも、ゴブリンは倒して良い。逆にDランクに上がる条件の一つでもある。お前達、そんなの冒険者になる奴なら誰でも知ってることだぞまったく」
その後、ゴブリン討伐を証明するため、魔石を取り出すやり方を教えてもらい、倒したゴブリンは穴を掘って埋めるか燃やすかするらしい事を教えてもらった。
いや、精神耐性様々だよロリっ子様。
召喚前ならこんなグロ耐性とか、ましてやゴブリンを食べようなんて思わなかっただろうし……でも茜ちゃんには悪い事をしました。
ゴブリンの胸を割り、心臓の近くにある魔石を取り出すのをお手本を見せてもらったけど、俺の姿の茜ちゃんは解体用のナイフを突き立てることはできなかったので、俺をゴブリンに押し付けてもらうことで解体は回避することに成功した。
二匹目からも俺が魔石だけを残して吸収しておいたんだけど、それを見ていたお兄さん達の目がおかしいんだが。