小鳥の軌跡-コトリのキセキ-

チュンチュンチュン・・・
チュンチュン・・・

「小鳥〜?小鳥〜〜?」

ガチャ…

ゆさゆさ…

「・・・んっ....」

「小鳥!また仕事場で寝たんだろ〜」
「ダメって言ったでしょ〜!」

「・・・んぅ・・・」
「あっ、、、宮龍くん」
「ごめんなさい、、また仕事しながら寝ちゃった・・」

「体壊したり風邪ひいたりするからダメってあれだけ言ったのに」

「ごめ〜ん、、」
「宮龍くん、これからお仕事?」

「その支度中!」
「朝起きたらベッドにいないから探しにきたんだよ」
「そしたらまた作業机で寝てるからさー」

「ご、ごめ〜ん」
「執筆の絵本考えなきゃって調べものしてたらそのまま・・・」

「気持ちは分かるけど、なにより体が資本なんだからな!」
「小鳥がいつ倒れるか心配だよ」
「頑張りすぎちゃうのを知ってるからさ・・・」

「ごめんね・・・このあとちゃんとお布団で一休みするから」

「ん、わかった、約束ね」
「俺はもう仕事行くから休んでご飯とかもちゃんと摂るようにな」

「は〜い」

ガチャン

スタスタスタ...

「またやっちゃった・・・」


私は宇野 小鳥(うの ことり)
今25歳で少し前からフリーの絵本作家として走り始めた。
が、そう簡単ではなく原稿を出版社に持って行ったりコンテストに出したりしているが、採用までの道のりは遠い。。

それでも、私の夢は絵本作家として、人の記憶に残るような作品を出版すること!
その理由は、お母さんが読み聞かせてくれたたくさんの絵本が本当に好きで、同じ絵本なのに毎晩読んでってお母さんに泣きつくくらい絵本にハマっていた幼少期がある。
それもあっていつかこれまで見てきた絵本のような作品を執筆したいの。

そんな行動の中で出会ったのがさっき声をかけてくれた八田 宮龍(ヤタ クロウ)
2歳年上の27歳で付き合って1年が経ち同棲を始めた私の彼。
仕事はデザイン会社でイラストレーターを職として働いている。

そうして今に至る


スッ....
カタッ

作業机に飾っている2人で出掛けた時に撮ったツーショットの写真立てを手に取った。

「宮龍くんいつも心配かけてごめんね」

私の夢のために支えてくれる彼。
彼の仕事柄絵本の出版って自費出版とかでない限りかなり大変なことも理解している。
それでも、いつも支えてくれる。

「本当にありがとう」
「・・・いつか夢は叶えたいな」

カタッ

「でも無理しすぎないようにしなきゃ・・・」
2人の写真立てを机に戻しながら小さく呟いた。

「ん〜〜〜〜!」
机で寝てガチガチになった体を伸ばした。
「さて、顔洗ってこよっと」

ガタンっ
ダルイ体を動かし、洗面所に向かった。

スタスタ・・・
「顔洗ったら、図書館でネタ集めに行かなきゃー」

一瞬宮龍くんに言われたことが頭を過ぎった・・・
でも、まだなにも実績が残せていない自分に焦りと不安に襲われた。

「・・・」
「ま、まだ大丈夫!」

と、自分を奮い立たせ、図書館に向かう支度を始めた。



図書館は自宅から徒歩30分くらいのところにあるかなり古くからある所をよく使っていた。

「いらっしゃいませ〜」
「あっ小鳥ちゃん、今日もきたんね〜」

「あっおばちゃん!こんにちわ〜」
「また来ちゃった!」

声をかけてきたのは図書館の受付で長く勤務をしている方。
何度も通っているから顔なじみになって気さくにしてくれる優しいおばちゃん。

「あら、小鳥ちゃんなんか疲れてる??」

「あっ・・・たぶん??いや、気のせいですよ!」

「そ〜お。。?なんか目の下のクマもあるし・・・」
「無理しちゃダメだよ」

「あっは〜い!いつもありがとうございます」

「じゃあいつものように好きに使っていいからね〜」

「は〜い!・・・」

スタスタスタ.....

宮龍くんに言われたこともあって、おばちゃんの一言が少しドキッとした。

「・・やっぱり疲れているんだ」
本棚にならぶたくさんの本を見ながら呟いた。

「あっこれ気になる!」
スッ
「あとこれと、これも!」
スッ

スタスタスタ...

ドスンっ

歩き回って気になった大きな様々な書籍を両手にかかえいつもの席に着いた。
2つ椅子を開けた席に1人本を読んでいる人がいた。
珍しいなと思いつつ、早く持ってきた本を読みたい小鳥。

「ふ〜でも今日はそこそこにしてお家に帰ろう」
「さて、まずは・・・この本」

手に取ったのはタイトル『生命の神秘と奇跡』という、絵本テイストの書籍。

「どれどれ〜・・・・」


好きな物に囲まれ好きな本を読む。
これがなにより幸せ。
飲み物を飲むことを忘れてしまうくらい入り込んでしまう。

そして
結局今日も・・・


「ん〜〜〜!なるほど〜!」
「これって絵本のネタにできそうかも!」

「小鳥ちゃ〜ん!もうすぐで図書館閉めないといけないからね〜」

「えっ!!?あっは〜い」

バッ
壁に掛かった時計を見ると、19時前。

「あっ、、、またやっちゃった。。。」
「宮龍くんにまた心配かけちゃうよ・・・」

横を見るとさっきいた人はもういない。

「・・・あっ」
そこには片付けられずそのままの本があった。

「あの人・・・そのまま帰っちゃったのかな」
「ひどいなぁ、、もう。。」

そう言いながら、帰りの支度をして残されたままの本も持ち、受付に向かった。

「う〜、、さすがに重い・・・」

自分が借りてきた本と合わせて7冊。
漫画とかとは違い大きいし重い。

「2回にわけておばちゃんに渡しに行けばよかったかも・・・」
と少し後悔。
でも、あと少しで受付だから・・・

「うんしょ・・・うんしょ…」

クラッ・・・

「あっあれ・・・」
もう目には受付にいるおばちゃんが待っている。
けど…

クラッ…クラッ。。

目の前が歪む。
景色がボヤける・・

「ど、どうしたんだろう。。あと少しなのに…」

歩く足がすごい重い。。

「お、おばちゃ〜ん、こ、これ」
「返却に・・・」

「あっ危ない!!!」

バダン!
バサバサバサ......

その場に倒れた。

ダッダッダ....

「小鳥ちゃん!小鳥ちゃん!!!!」

おばちゃんの声がする。
でも、目が開かない。

「大丈夫!ねえ小鳥ちゃん!!」

「だ、だいじょうぶです....」
声に出せていない。

「ことりちゃ・・・・」

だんだんとおばちゃんの声が遠のく。

「・・・・」

もう声も聞こえない。
そのまま意識がなくなった。


・・・・・・
・・・・
・・・
・・


....

『〜〜〜〜』

「・・・んっ。。。」

ゆっくりと意識が戻った。
まだ目を開けられないけど誰かの声がする。

『みなさんにお渡しをしたものを大切にするように〜』
『〜〜〜〜』

誰か喋ってる。
・・・けどなんのことを言っているのか内容が分からない。。

「なんの話しだろう・・・」

重いまぶたをゆっくり目をひらいた。
「・・・ここは....」

目を開くとそこには前には大きなステージの壇上にいる鳥が喋っている。

「えっ、、、二、ニワトリ???」

そのニワトリは2頭身くらいのヌイグルミのようなフォルムをしてる。
その"ニワトリ"が壇上に立ち、言葉を話している。

「なにこれ・・・?」
「変な夢でも見てるの・・・かな...」

でも確かに目の前でニワトリが話している。

「ど、どうゆうこと・・・これ、、」

訳が分からない。

キョロキョロ

周りを見渡した。
すると。

「えっ・・・」

左右には2頭身くらいの様々な鳥がたくさんいる。
そして皆んな壇上に向かってその"ニワトリ"が話す言葉を聞いている。

「なにここ・・・夢???」

私って・・・
図書館に行って調べ物をしてたと思うけど・・・
それから・・・どうなったんだっけ??

思い出せない。

確か・・・他の人がそのままにしてたたくさんの本を持っておばちゃんがいる受付まで運んで・・・てそれで…

おもむろに手元に目をやった。
すると、綺麗で少し大きな卵を持っていた。

「・・・これは、、なに?」
「・・・」
「・・・・・えっ!」

手元にある卵のことよりも驚愕した
卵を持つ私の手が…
鳥の翼になっていることに。

「え〜〜どうしちゃったの私〜〜〜!」

目を覚めたここは、住んでいた現実とは全く違う異世界だった。


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初めての書き出し小説風の新作はいかがでしたでしょうか?

まだまだこれからも執筆していきますので、面白い!や気になった!などがありましたら、
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私は宇野小鳥。絵本作家を目指してる25歳!

だったんだけど…
ネタ集めの為に図書館に行って帰る間際に疲労なのか分からないけど、気を失ってしまって、、
気がつき目を開けると私がいた世界ではないところで、、
言葉を話す2頭身の可愛らしいニワトリがいたり、他にもいろんな鳥がそのニワトリの話を聞いてたり…
そして何より私自身が・・・鳥の姿になってるの。

そして今は…

大きな会場…いいえ。
よく見たら神殿みたいなところの壇上で話すニワトリとその話を聞かながら渡された卵を持つ私。
その話が終わるとゾロゾロとまた別の鳥さんが出てきた。
そして私達が座っているブロックの前に来たのは妖艶な雰囲気を醸し出しているクジャクが立っている。

「はーいみなさん!それでは一度みなさんにお渡しした卵は預かりますので渡してくださいねー」

そうゆうと大きなふろしきを持ったクジャクが色んな色や形をした卵を持つ私達の前に来て回収を始めた。

「みなさんの卵は後でお返ししますのでご安心くださいねー」
「それと、あなた達の羽を1本だけもらいますね」

バッバッバッ

クジャクは手際よく翼を上手く使ってふろしきに卵と、それぞれの羽を回収した。

「はい、それではこの後少し移動しますよー」
「それでは行きましょう!みんな立って」

なんの説明もなく戸惑う小鳥…
そしてトントントンと物事が動いている。

でも周りに座っている人達…いや鳥達も戸惑いながらもどうしようもなくそのクジャクが言ったように席を立ち移動を始めた。

ガタンッ...ゾロゾロゾロ

「えっ…えっ…」

トボトボと移動するみんな。
この場に残されるのも不安なこともあり迷いながらも小鳥もトボトボとついていった。

私どうしちゃったんだろう。。
これは現実?
でも…鳥が話す言葉は分かる…どうゆうこと。。
泣きそうになる。

トボトボ…

最後尾を歩く小鳥の近くには同じように不安そうな表情をしている鳥達が数匹いる。

みんなおんなじ状況なのか・・・な。
少しだけ安堵した。

歩く列の先には先導するクジャク。
その後に…私も含めて16匹の鳥がトボトボと歩いている。

「…これ、どこいくんだろう、、」



あれから歩き続け今は薄暗い登り坂になってるトンネルの中。

「はぁ…はぁ…疲れてきた。

あれから30分くらいは歩いている。

「みなさーん、後少しで着きますので頑張りましょうねー」

パッ

小鳥が顔を上げると光を背に話すクジャクが見えた。

「あっ出口だぁ」
風通りもよくなってきた。

「もう少し!もう少し!」

先導してクジャクはもう光の先に消えてる。
訳のわからない状況に加え暗い中にいると気持ちは余計に落ちる。
けど、光が見えると少しだけ明るくなるのは不思議なもの。

「はっはっ…着いたー!」
長いトンネルを抜けた。

「!!!」 
「えぇーー!!!」

小鳥の目の前に広がるのは、
雲を突き抜けてドンっと構えるとてつもない大きな一本の大樹。
直径は数百メートルはあるように見える。
そして今いる場所はその大樹に繋がっている太い蔓の上。

先程とは異なり神々しい太陽の光を全身に浴びた小鳥は衝撃を受けた。

「…す、すごい」
色んな不安は解消されていない。
でも、初めて見たまるで映画の中のような景色を見て、風を感じ、太陽の光に包まれて色々吹き飛んだ。

「こんなの見た事ない!!」
端的にテンションがあがった。
他の鳥達も景色に見惚れてる。

「ほーらー!みなさん!いきますよー!」

気づけばかなり先にいるクジャク。
立ち止まる私達を見て歩くように促した。

「私がいるところまで集合でーす!」

トボトボ…
景色に見惚れながらも歩きだした。



「はーい、みなさんお疲れさまでした!」

ようやくクジャクが立つところに着いた。

「ここ…は?」

そこは大樹から伸びた太い枝の先。
三股に分かれた根本に、大きな葉っぱや細かい枝などが幾重にも重なり広場のような場所になってるところ。

「ここがみなさんの集まる場所になりますー」

「ここが私たちの場所?」
まるで鳥の巣のような大きな広場に到着した。

「それではみなさん、空いてるところに触ってくださいねー」

スゥ、スゥ、スゥ

言われるがまま疲れた体を休めるために皆座り始めた。


「それではみなさんお疲れさまでした」
「改めまして、私はハヴァと言います」
「みなさんのこれからの先生になりますので、よろしくお願いしますー」

「よ、よろしく・お願いします」

戸惑いながらも数匹が返答した。

「わからないことばかりだと思いますが、まず先にみなさんにお渡しするものがありますのでそのまま座って待っててくださいねー」
「それでは…ミネリアさんからね」

そうゆうと、ハヴァ先生は先程回収した卵が入ったふろしきを首に掛け、歩き始めた。



「ふぅ…疲れた。。と言うか本当にここなに…」
また少し冷静になった小鳥。
これまでのことで分かったことは、ここは私がいた世界ではないことと、その世界に鳥として転生してしまったこと。
そして、おそらく周りにいる鳥達も私と同じようになっているかもしれないということ。

「…なんか私悪い事したのかな、、」
「あっ…宮龍くんの約束とか守らなかった…せい?」

無理やり今確かに起きていることを納得させる為に色々考えた。

「でも…でも…」
普通に考えてあり得ない。
また不安が押し寄せてきた。

すると

タッタッタ
目の前にハヴァ先生がやってきた。

「次はあなたね」

呼ばれて顔を見上げた。

「そんなに不安に思わなくて大丈夫よ」
「ここはね、あなたにとって大切なことのためにある世界だから」

「えっ…、、一体なんなんですかここぉ、、」

「それはいつかわかる時がくるから」

「でも…でも、、」

「あなたなら大丈夫!」
「そうね…あなたはこれからコトリと名乗りなさい」

「!!」

偶然なのか意図的なのか分からない。
だけど、私の名前の小鳥と同じ呼び方のコトリとして名乗るように言われた。

「あっ…先生、、」

「いい!この名前が必ずあなたの力になってくれるから」
「私を信じてね」

「…はい」

「それと…はいこれね」

バサバサバサ
徐に広げたのは真っ白で大きな布で四隅に鮮やかな黄色の羽の刺繍が入ったふろしき。

「…先生これは?」

「これはさっき卵を回収したときに貰ったコトリちゃんの羽を編み込んだ大切なふろしきよ」
「このふろしきはコトリちゃんだけの特別なものだから大事にね」

すでに受け取っている鳥のふろしきを見ると色も刺繍も全く違う。

「わたし…だけの?」

「そう、コトリちゃんだけのね」

そう言いながらハヴァ先生は器用にそのコトリのふろしきを袋状に結び私の首にかけた。

すっ

「はい、これで完成!」
「それと…これもね」

ハヴァ先生が自分のふろしきの中を見て、神殿で渡されていた卵を私のふろしきに割れないように丁寧に入れた。

カサっ

トクン…

ハヴァ先生がふろしきに卵を入れた瞬間。
表現が難しいけど、体が無意識に反応するような、私の鼓動が大きくなるような、不思議な感覚を感じた。

「先生…この卵は?」

「これもふろしきと同じようにコトリちゃんだけのもの」
「この卵をどうするかはコトリちゃん次第だけど、大切にしてね」

「はい」

理由は分からないけど素直に答えた。 

「じゃあこれでみんなにお渡しができましたねー」

スタスタ

そうゆうとハヴァ先生はみんなの前方に移動し話しはじめた。

「今お渡ししたものはあなた達それぞれの特別なものです」
「それをどうするかはあなた達次第だけど、私としてはちゃんと向き合って大切にしてほしいです」
「それがあなた達がこの世界にこれた理由にもなっています」

「・・・」

これまでとは少し雰囲気の違うハヴァ先生にビックリしながらもみんな真剣に聞いている。

「そしていつか最後の試練が発生します」
「その試練とは、お渡しした卵をとある場所まで運ぶことです」
「その試練はとても過酷です。傷つくこともあるでしょう。運ぶことをやめ逃げ出してもなにも言いません」
「それでもその使命を達成したその先にあなた達が本当に望んでいる答えがあり、とても奇跡的なことです」

そうゆうとハヴァ先生は自分の首にかかっているふろしきに手を添えた。

「このふろしきも、その試練を乗り越えた私の大切なものです」
「私の卵はもうありません」
「それは私が本当に望んだから困難を乗り越えある場所に運んだからです」

ゆっくり首からふろしきを取り、結び目を解いてひらいた。

「もう数百年も前のこと」

よく見るとハヴァ先生のふろしきは傷だらけでボロボロ。

「私は運び切ったことは良かったと心から思っています」
「あなた達が私と同じ答えになるかはわかりませんが、その答えはお渡しした卵と寄り添うことで見えてくるでしょう」

「・・・」

「お渡ししたふろしきとそして卵をどうするかはあなたたち次第です」
「それでも、私からは改めてになりますが大切にしてほしいと思っています。いいですね」

「…はい」
ハヴァ先生の真剣さにそれぞれが返答した。

「はい!と、今日私から伝えたかったことは以上でーす」
「詳しく言えないこともありますが、なんでも聞いていいですからねー」

そこからはさっきまでのハヴァ先生だった。

「それではこれからみなさんが休める場所をそれぞれ案内しますねー」

そう言うと個々に誘導し始めた。


「私の特別なもの…」

なんか壮大な話を聞いた。
それがこれから待ち受けていると言うことも。
まだまだ分からないことばかりで戸惑いはあるけど…。

スッ

首にかけられたふろしきとその中にある卵を見て、翼になった私の手で卵を持ち上げた。

「…私の卵」

微かに卵の鼓動を感じた。
そして、理由は分からないけど…
手に持った卵を守りたいと強く思った。


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「それではみなさんそれぞれに休み場をご案内しますねー」

バサバサバサっ
スッ…

「これからその雀さん達がみなさんを誘導しますので、ついて行ってくださいねー」
「あと、案内が終わったまたこの広場に戻ってきてくださーい!」

ハヴァ先生がそう言うと16匹の雀が空から飛んできてそれぞれの前に降りた。

「チュンチュン」

「…喋れないのかな?」

同じ鳥なのに目の前にいる私より遥かに小さな雀は喋れないようだ。

「雀さん、よろしくね〜」

「チュン!」
バサバサっストン!

「あら!」
「あなた私の言葉は分かるのね!」
 
話しかけた目の前にいた小さな雀はスッと飛びたちコトリの頭の上に乗った。

「うふふ」
「じゃあ案内よろしくね!」

「チュンチュ!」
バサっバサバサ

すぅー!

場所を案内するように先をゆっくり飛び始めた。



雀さんに導かれ大樹から伸びた枝の上、
時には枝に絡まった蔦が幾重にも絡み合い伸びる道を歩いた。

景色が360°見渡せる展望台のような場所など
いろんな所を案内された。

「こ…ここは??」

「初めましての子だねぇ」

そう返答したのは食事処の受付に立つ鳩のカラン。

「この世界のご飯は全部このようなものなんだよぉ」
「はい、これどうぞぉ」

そう渡されたのは小さなココナッツの入れ物いっぱいに満たされたスムージーのような飲み物。

「怖がらずに飲んでみてぇ」

「えっ…ご飯?…はい」

すっ…
ちゅーちゅー

「あっ…おいしい!!」
「甘くてでもサッパリしてて!」

「そうでしょー!」
「それは木の実とか果物をすりつぶしたものなんだよぉー」
「他にもねぇ、もっとアッサリしたものとか、濃厚なものとか全部で4種類あるからまた来てねぇ」

「あっわかりましたー!」
「これからよろしくお願いします!」

「また待ってるねぇ」

「はーい!」

この世界にも、私が生活していた世界にあったようなお店のようなものがあるみたい。
お腹も膨れたこともあり不思議とまた少し不安感がなくなったのを感じた。


スタスタ…

「君にも食べさせてあげたかったよ!」

「チュンチュン!」

「うふふ」
「次はどこを案内してくれるのー?」

「チュン!」

スゥーートン

雀さんがスッと速度を上げ少し遠くにある木の枝に止まった。

「あっ待ってー!」
駆け足で進んだ。

「チュンチュンチュン!」

「雀さーん、次の場所はそこー?」

「チュン!」

「わぁすごい!」

そこには、この大樹から生えているとんでもなく大きな葉っぱを地面に敷き詰め、小さな枝や蔦など壁として作られたお家。

「ここって?」

「チュン!」

バサバサバサッ…

「あっ…」

強く鳴いた雀さんが空に羽ばたき消えてしまった。

「ここが最後の場所だったのかな?」
「雀さんありがとうね」

スタ、スタ、スタ…

「…すいませーん。。」
「…」

反応はない。
慎重になりながらゆっくりとお家の中に入った。

入り口を抜けると、正面に5羽くらいがくつろげそうなスペースがあって、そのさらに奥に4つの部屋に繋がる入り口がある。

「ここが私が休める場所なのかな…?」

誰もいない中で何の説明もないこの状況にドキドキした。

スタ、スタ、スタ…

大きなスペースを抜け部屋に近づく。

「あっ」

4つの部屋の1番左の入り口に木彫りで「コトリ」と掘られた板が掛けられてる。

「ここが私の部屋ってこと…?」

よく見ると他の入り口にも同様に木の板があって名前が彫られてある。

「私以外にもいるってこと…かな?」
「…お部屋に入ろう」

不安になりながらも部屋に入った。



中に入ると左の側面に小窓があり、正面に小さなテーブルとその右手に恐らくベットと思われる藁などが敷き詰められたスペースがある。

「ここが私の部屋か・・・」
「ぐすん、、、」

ふと頭を過ぎったいつもの部屋のいつものテーブルで絵本を書いていた私。
それが今となっては、なんなのかもよく分からない鳥の世界で同じような光景を目の当たりにして思い出してしまった。

「私のいつものお部屋・・・宮龍くん。。。」
「・・・あっ」

トボトボ部屋にはいると机の上に手紙があった。

「ハヴァ先生からだ」

『コトリちゃんへ
案内されてみてどうでしたか?
いきなりのことばかりで、不安だろうけど私は味方だからね。
先ほども伝えましたが、この世界はあなたにとって大切なことに繋がるからね。
そして、いつかこの世界の答えがわかる時がくるかもしれないし、目の前にある卵への気持ちがその答えが分かった時にあなたにとって大切なものになります。
だから、どうか渡した卵とふろしきを大切にしてほしいです。

ハヴァより。

PS、この手紙を読んだらまたさっきの広場に来てください。』

「・・・ハヴァ先生」

チラッ.....

手紙を片手に、首に掛けたふろしきの中の卵を見た。

「ハヴァ先生・・・よく分からないことばかりだけど、この卵は守りたいなって思ったの」
「だから、大切にする!」

そう強く言葉に出し、ハヴァ先生が言ったように広場に向かった。


・・・


広場に着くともうすでに他の鳥たちが集まっていた。

キョロキョロ・・・
「私達の家に入る子ってどの子なんだろう・・・?」

興味もあって名前も分からないけど、ゾロゾロ集まってくる鳥を見ていると。

「はーいみなさん〜」
「案内は終わりましたね〜お疲れさまでしたー」

「あっハヴァ先生だ」

「それでは今日最後のお話を始めますー」
「と、その前に皆さんに紹介したい先生がいますー」

ゾロゾロ....
ハヴァ先生の横に4匹の鳥が並んだ。

「私の横から白鳥のシグナス先生、・・・・・」
「これからこの先生達があなた達の卵やふろしきなどについて詳しく説明します」
「また、これから皆さんを4つのグループに分けて、それぞれ専任の先生となります」

「…専属の先生ってことかな?」
小さく呟いた。

「もうお気づきの子もいるかもしれませんが、皆さんのお家にもあったようにこれから一緒に生活をしていく同志になります」
「名前を呼ばれた子はその場に立つように!」
「それではまずは・・・あなたから」

あっわたしだ。
ハヴァ先生と目があった。

「コトリちゃん」
「ミネリアちゃん」
「キッカちゃん」
「ターニャちゃん」

ダッ!

「今呼ばれた子は、前に出てシグナス先生の前に集まってください」
「これから少し移動してさらにお話がありますのでー」

「はい!」
あ、あれ...私だけ答えちゃった。

そう言いながらも、横に立ち上がった鳥をチラ見しながら歩きはじめた。
スタスタスタ

「はい、皆さん」
「私がシグナスと言いまして、みんなの専属先生になります」
「よろしくね!それじゃあ少し移動しますよ」

「はい!よろしくお願いします」
それぞれが答えるとさらに移動した。

「ではここで」
「みんなはゆっくり座って聞いてください」

みんな緊張をしているようキョロキョロと様子を見ながら何も答えずにその場に座った。

「あとで、みんなの自己紹介もあるから緊張しないでね」

「・・・」
「はい!」
と、また私だけ返事をした。

「コトリちゃんは元気ね」
「それでは早速話を進めますね」

「ハヴァ先生からも説明がありましたが、皆さんにお渡しした卵とふろしきについてです」
「この卵をどうするかはあなた次第です」
「ですが、私からも大切にしてほしいと思っています」
「またいつもそれぞれで作られた特別な"ふろしき"に卵を包み、どんな時も自分の体に接している状況を基本として考えてください」
「そして、その卵を触れて感じてみてください」

「・・・」

「そうすることで、この卵をどうしていきたいかあなた自身の答えが段々と見えてきますし、段々と変化が出てくるはずです」
「ですが、何度も言いますがその卵をどうするかはあなた達次第です」
「これがあなた達に伝えたったことです」
「なにか聞きたいことはありますか?」

「・・・」
ハヴァ先生の時もそうだけど、卵を大切にしてほしいとだけ言われるが、肝心なところは隠されている気がする・・・
そんな思いは皆んな感じているようで、キョロキョロ顔を見合わせた。

「・・・あの」

「はい、コトリちゃん」

勇気を出して口火を切った。

「この卵って・・・なんなんですか?」

「それは、ごめんね教えられません」
「でも、その答えは卵と接したことで見えてくると思います」
「だからその時まで・・・ね」

「・・・分かりました」
またはぐらかされた・・・モヤモヤする。

「あっあと、・・・卵はどんな時も接していないとダメですか?」

「なるべく一緒にいてあげてください」

「…わかりました」

「他にはありますか?」

たぶんもっとたくさん聞きたい事はある。
けど、今日起きたたくさんの出来事に頭が追いつかず皆んな固まってしまった。

「ま、またいつでも質問とか私に聞けますので何かあれば言ってくださいね」
「じゃあ、最後に皆さんの自己紹介です」

「じゃあ、元気なコトリちゃんから!」

「はい」

少し前に出て振り返った。

「コトリと言います!」
「取り柄は元気なところかなと思っています!」
「ほんと分からないことばかりで戸惑っていますが、理由は分からないけど、この私の卵は大切にしたいなって思っています!よろしくお願いします!」

ペコ

パチパチパチ

コトリの勢いで空気を緩やかにしたのか、自然と拍手が出た。

「コトリちゃんありがとうー!」

「それでは次の子〜」

・・・


不安なことばかりだけど、私を同じ状況の仲間が出来て少し安心した。
知らない場所で渡されたこの卵、そして初めての子と共同生活が始まる。


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タッタッタ…..

コトリが元の位置に戻った。

「じゃあキッカちゃんお願いね」

スゥ….

コトリの横にいた鳥が歩き出した。

タッタッ….
クルッ

「うちの名前はキッカ」
「料理が趣味なんだけど…ここでは必要無いみたいね、あはは」
「謎に満ちたこの世界を楽しもうと思います」
———
スズメ目アトリ科カワラヒワ属に分類される「マヒワ(真鶸、Carduelis spinus」
———

パチパチパチ

タッタッタ…..

「キッカちゃんよろしくね」

「よろしく~コトリちゃん」

たくさんの黄色い羽毛で体を纏い、ツインテールに見える癖っ毛が特徴。
喋る時に翼を動かすよく動かして喋っていた。
肝心の卵はリュックの様に背負う形で持っていた。


なんかキッカちゃんは話しやすて早く仲良くなれそうな気がしたな。


「じゃあ次は、ミネリアちゃん前に」

「はい」

キッカが元の位置に戻りミネリアが前に出てきた。

タッタッ…
クルッ

「わたくしの名前、ミネリア」
「読書が好き、だから必要な時以外は1人にして」
———
スズメ目ヒタキ科に分類される「ルリビタキ(瑠璃鶲、Tarsiger cyanurus)」
———

パチ・・・パチパチパチ

タッタッタ...

「ミネリアちゃんよろしくね」

「えぇ…」

青い羽毛で全身を纏い顔の横に2~3本、ヘヤピンを付けているように見える黒い羽毛が特徴。
自己紹介中はやや下を向いて喋っていた。
卵はトートバッグの様にふろしきを斜めがけにして持っていた。


ミネリアちゃんは物静かで話かけにくい感じだなぁ、、
でも読んでる本が気になるなぁ。


「じゃあ最後は、ターニャちゃんお願いね」

「はーい」

ミネリアが元の位置に戻りターニャが前に出てきた。

タッタッ….
クルッ


「あーしは、ターニャ」
「早く案内された、スポットに行きたいんだ」
「とっとと解散しようぜ〜」
———
スズメ目アトリ科カナリア属に分類される「赤カナリア(金糸雀、金絲雀、学名:Serinus canaria)」
———

パチパチ・・・パチ....

タッタッタ…..

「ターニャちゃんよろしくね」

「よろしくー、コトリっち」

全身が赤い羽毛で纏っており、頭頂部から後ろにかけて少し毛束がまとまり伸びているのが特徴。
蹴爪《けづめ》がネイルをしているかのように鮮やかだ。
肝心の卵は片手でふろしきを担いで持っている。


なんか今風のギャルのように明るい子だけどバッサリしていて少し怖い・・・
どうすれば仲良くなれるかなぁ。。


「はーい、皆さんありがとうね」
「これから一緒に生活し助け合っていく仲間だからよろしくね」

「はーい」
・・・あれ、、また私だけ。。

「じゃあ今日はこれまで!」
「案内されたお家に戻って休んでね」

タッタッタ...

そう言われ、それぞれがバラバラに歩いていなくなった。


・・・


色んな子がいたなぁ〜仲良くなれそうなのは・・・キッカちゃんかな??
他の子は、、でもまぁ、今日初めましてだししょうがないよね。

「・・・これから助け合っていく仲間かぁ〜」
「現実世界では友達って言う存在はいたけど、仲間って感じの人はいなかったし、、、」
「それにこんな世界で仲間って。。。これから何が起きるんだろう・・・でも...」

知らない世界でいきなり色々始まった。
不安はたくさんあるけど、仲間という存在がいることに少しだけ心強くなった。


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