ティナのお陰で薪を集めが三回の往復で完了してしまった。
身体強化魔法のお陰でもあるんでしょうが、長年鍛えてきた技が木を伐るのも難なく倒せたし、均等に切ることも鮮やかだった。
運ぶのもわたしの倍は積み上げ、これまた難なく家まで運んでしまったのだ。
「ティナがいてくれて本当に助かるわ。いっぱい働いてくれたからいっぱいたべてね」
魔法も使うとお腹が空くようで、わたしの倍は食べている。リアルファンタジーは夢がないわよね。
「肉がなくてごめんね。籠が売れたら買うから」
市場で売ってこいと言われているけど、早くお風呂に入りたいから後回しにしちゃったのよね。泥煉瓦を乾かしている間に行くとしましょうかね。
「弓矢があるなら鳥を狩れるよ」
「え? ティナって狩りも出来るの?」
どこまで優秀じゃないのよ。パーフェクトヒューマンか?
「大物は無理だけど、鳥ならよく狩ってた」
鳥、か~。鳥肉ってどんな味したっけ? 前世で食べたかも記憶にないわ。
「弓か。じゃあ、作ってみるわ」
形はわかるし、矢も竹で作れる。風切り羽根はタワシのがある。試行錯誤を繰り返せば作れるでしょうよ。
「キャロルって器用だよね」
「それしか取り柄がないからね」
まあ、知識や技術がないから試行錯誤を繰り返していいものに近付ける。今のキャロルには根気が加わった。いいものを作るまでめげたりしないわ。
「弓にはどんな木がいいかわかる?」
「鳥射ち用の弓なら材質は特に問わない。下手に強力にすると吹き飛ばしちゃうから」
確かにティナの力で射てば熊でも殺せそうだ。それなら竹でいいかもしれないわね。
「じゃあ、ティナは泥集めしてくれる? わたしは弓矢を作るから」
「わかった。任せて。ボクも肉食べたいし」
狩りで暮らしてたようで、食事にはいつも肉が出てたそうだ。
と言うことで仕事を分担することにし、わたしは竹林に。ティナは泥あつめをした。
また市場に行けなくなったけど、薪代が抑えられ、収穫期もまだ先。そう慌てることはないと弓矢作りに集中した。
一メートルくらいの長さにして、竈で炙りながら曲げていき、馬小屋に落ちていた尻尾の毛で編んだ糸を張った。
ビローンビローンと糸を鳴らし、張りの具合を音で確かめた。
いい音になるまで糸の長さを調整。あ、尻尾の毛でギターとか作れるんじゃない? って、今は弓矢に集中しましょうっと。
矢は簡単だ。ナイフで削っていき、風切り羽を松脂でくっつけ、尻尾の毛で固定した。さすがに鉄の鏃は用意できないんで、ハンマーで石を砕き、石で研いで鋭利にした。
「……キャロルの集中力、どれだけよ……?」
石の鏃を五個作った頃、ティナが帰って来た。
「お疲れ様。早かったね」
「もう夕方だよ。泥集めも五往復したよ」
ティナの視線の先に泥の山が出来ていた。あれ? いつの間に夕方に? まだお昼前だと思ってたのに。
「どおりでお腹が空いていたわけだ」
何か鳴っているな~とはうっすら思ってたけど、腹の虫が鳴いていたのね。
「ティナ、弓矢の具合を確かめて。わたしは、お母ちゃんに何か食べるものもらってくるから」
蒸籠を作ったから蒸かし芋を作れるようになったので、オヤツ用として作ってあるのよ。
冷めた芋の皮を剥き、塩を掛けていただきます。うん、美味しい美味しい。
「ティナ、どう?」
「まあまあかな。でも、鳥なら問題ない」
まあまあか。まだまだ改良の余地はあるってことね。
「矢は五本しかないけど、大丈夫?」
「大丈夫。一発で仕留めるから」
わたし、失敗しないので、ってヤツかしら?
「じゃあ、明日は狩りをお願い。わたしは泥をこねて煉瓦を作るから」
「また集中しすぎないでね」
「わかったわ」
なんて返事もどこへやら。またお昼を忘れて煉瓦を作ってしまいました。
「……キャロルを一人にするとダメね……」
返す言葉もない。わたし、集中すると我を忘れるタイプみたいね……。
「あはは。で、狩りはどうだった?」
と、首を切り落とした鳥(ガチョウ? カモ? なに?)が三匹、背負い籠に入っていた。
「凄いね! どこで狩ったの?」
この近くに川なんてあったっけ? 池ならあったけど。
「薪を集めに行った山に沼があったからそこで狩ってきた」
沼? そんなのがあったの? 全然わからなかったわ。
「ティナは捌けるの?」
「いつもやってた。すぐに捌く」
井戸に向かい羽をむしると、パッパッパと捌いていった。職人かな?
「あ、骨は捨てないで。それで出汁を取るから」
鶏ガラで出汁が取れたら料理にコクが出せるはずだわ。まあ、コクがどんなものか知らないけどさ。
「お母ちゃんに調理してもらいましょうか」
唐揚げを食べてみたいけど、唐揚げの作り方なんてうっすらとしか記憶にない。てか、唐揚げ粉ってどう作るの? 小麦粉じゃダメなのかな?
料理に覚醒したお母ちゃんは、マー油を発展させたロー油(ローザの名前から取ったそうよ)にしばらく浸けて油たっぷりのフライパンでじっくり焼いてくれた。なんでも野生の鳥は熱しないとお腹を壊すんだってさ。寄生虫でもいるのかな?
……わたしのお腹よ、丈夫になーれ……。
お腹に強くなる呪文をかけた。あ、皆にも呪文をかけておこう。
お父ちゃんが畑から帰ってきたら夕食だ。
「鳥、美味しい!」
こんな味していたのか! 感動なんですけど!
「ティナ、ありがとうね! とっても美味しいよ!」
「ほんとだよ。ティナのお陰で肉が食えるんだからね」
「ああ。いい子がうちに来てくれたもんだ。いっぱい食えよ」
お母ちゃんもお父ちゃんも大満足。ティナの両親や婆様には申し訳ないけど、うちに来てくれて本当にありがとう!
照れながらも満更じゃないティナ。ほら、たくさん食べなさいよ。
身体強化魔法のお陰でもあるんでしょうが、長年鍛えてきた技が木を伐るのも難なく倒せたし、均等に切ることも鮮やかだった。
運ぶのもわたしの倍は積み上げ、これまた難なく家まで運んでしまったのだ。
「ティナがいてくれて本当に助かるわ。いっぱい働いてくれたからいっぱいたべてね」
魔法も使うとお腹が空くようで、わたしの倍は食べている。リアルファンタジーは夢がないわよね。
「肉がなくてごめんね。籠が売れたら買うから」
市場で売ってこいと言われているけど、早くお風呂に入りたいから後回しにしちゃったのよね。泥煉瓦を乾かしている間に行くとしましょうかね。
「弓矢があるなら鳥を狩れるよ」
「え? ティナって狩りも出来るの?」
どこまで優秀じゃないのよ。パーフェクトヒューマンか?
「大物は無理だけど、鳥ならよく狩ってた」
鳥、か~。鳥肉ってどんな味したっけ? 前世で食べたかも記憶にないわ。
「弓か。じゃあ、作ってみるわ」
形はわかるし、矢も竹で作れる。風切り羽根はタワシのがある。試行錯誤を繰り返せば作れるでしょうよ。
「キャロルって器用だよね」
「それしか取り柄がないからね」
まあ、知識や技術がないから試行錯誤を繰り返していいものに近付ける。今のキャロルには根気が加わった。いいものを作るまでめげたりしないわ。
「弓にはどんな木がいいかわかる?」
「鳥射ち用の弓なら材質は特に問わない。下手に強力にすると吹き飛ばしちゃうから」
確かにティナの力で射てば熊でも殺せそうだ。それなら竹でいいかもしれないわね。
「じゃあ、ティナは泥集めしてくれる? わたしは弓矢を作るから」
「わかった。任せて。ボクも肉食べたいし」
狩りで暮らしてたようで、食事にはいつも肉が出てたそうだ。
と言うことで仕事を分担することにし、わたしは竹林に。ティナは泥あつめをした。
また市場に行けなくなったけど、薪代が抑えられ、収穫期もまだ先。そう慌てることはないと弓矢作りに集中した。
一メートルくらいの長さにして、竈で炙りながら曲げていき、馬小屋に落ちていた尻尾の毛で編んだ糸を張った。
ビローンビローンと糸を鳴らし、張りの具合を音で確かめた。
いい音になるまで糸の長さを調整。あ、尻尾の毛でギターとか作れるんじゃない? って、今は弓矢に集中しましょうっと。
矢は簡単だ。ナイフで削っていき、風切り羽を松脂でくっつけ、尻尾の毛で固定した。さすがに鉄の鏃は用意できないんで、ハンマーで石を砕き、石で研いで鋭利にした。
「……キャロルの集中力、どれだけよ……?」
石の鏃を五個作った頃、ティナが帰って来た。
「お疲れ様。早かったね」
「もう夕方だよ。泥集めも五往復したよ」
ティナの視線の先に泥の山が出来ていた。あれ? いつの間に夕方に? まだお昼前だと思ってたのに。
「どおりでお腹が空いていたわけだ」
何か鳴っているな~とはうっすら思ってたけど、腹の虫が鳴いていたのね。
「ティナ、弓矢の具合を確かめて。わたしは、お母ちゃんに何か食べるものもらってくるから」
蒸籠を作ったから蒸かし芋を作れるようになったので、オヤツ用として作ってあるのよ。
冷めた芋の皮を剥き、塩を掛けていただきます。うん、美味しい美味しい。
「ティナ、どう?」
「まあまあかな。でも、鳥なら問題ない」
まあまあか。まだまだ改良の余地はあるってことね。
「矢は五本しかないけど、大丈夫?」
「大丈夫。一発で仕留めるから」
わたし、失敗しないので、ってヤツかしら?
「じゃあ、明日は狩りをお願い。わたしは泥をこねて煉瓦を作るから」
「また集中しすぎないでね」
「わかったわ」
なんて返事もどこへやら。またお昼を忘れて煉瓦を作ってしまいました。
「……キャロルを一人にするとダメね……」
返す言葉もない。わたし、集中すると我を忘れるタイプみたいね……。
「あはは。で、狩りはどうだった?」
と、首を切り落とした鳥(ガチョウ? カモ? なに?)が三匹、背負い籠に入っていた。
「凄いね! どこで狩ったの?」
この近くに川なんてあったっけ? 池ならあったけど。
「薪を集めに行った山に沼があったからそこで狩ってきた」
沼? そんなのがあったの? 全然わからなかったわ。
「ティナは捌けるの?」
「いつもやってた。すぐに捌く」
井戸に向かい羽をむしると、パッパッパと捌いていった。職人かな?
「あ、骨は捨てないで。それで出汁を取るから」
鶏ガラで出汁が取れたら料理にコクが出せるはずだわ。まあ、コクがどんなものか知らないけどさ。
「お母ちゃんに調理してもらいましょうか」
唐揚げを食べてみたいけど、唐揚げの作り方なんてうっすらとしか記憶にない。てか、唐揚げ粉ってどう作るの? 小麦粉じゃダメなのかな?
料理に覚醒したお母ちゃんは、マー油を発展させたロー油(ローザの名前から取ったそうよ)にしばらく浸けて油たっぷりのフライパンでじっくり焼いてくれた。なんでも野生の鳥は熱しないとお腹を壊すんだってさ。寄生虫でもいるのかな?
……わたしのお腹よ、丈夫になーれ……。
お腹に強くなる呪文をかけた。あ、皆にも呪文をかけておこう。
お父ちゃんが畑から帰ってきたら夕食だ。
「鳥、美味しい!」
こんな味していたのか! 感動なんですけど!
「ティナ、ありがとうね! とっても美味しいよ!」
「ほんとだよ。ティナのお陰で肉が食えるんだからね」
「ああ。いい子がうちに来てくれたもんだ。いっぱい食えよ」
お母ちゃんもお父ちゃんも大満足。ティナの両親や婆様には申し訳ないけど、うちに来てくれて本当にありがとう!
照れながらも満更じゃないティナ。ほら、たくさん食べなさいよ。