「ふぅ…。だいぶ進みましたわね…」
「なかなか突き当たりまでいかないねー」
あの部屋の奥は進んですぐ突き当たってちゃんとした宝箱を見つけたんだけどね、それから正規ルートに戻ってしばらく進んだんだけど今度は全然突き当たりまでいかないんだよねー。
結果なんか鉱石採集と蝙蝠と鼠しか倒してないんだよねー。
「あーーーもうっ!蝙蝠も鼠も見飽きましたわ!」
「あーははは…。まあ確かにね」
アルビノウルフまた出てこないかなー。
なんて思ってたら何がゴツい岩乗っけた亀が出てきたの。
「まあ!ロックタートルですわ!この亀さんは稀に大きくて綺麗な石を出すんですのよ!」
「石?それって採掘出来る石とはまた違うの?」
「ええ、もちろんですわ。まあ落ちるアイテムはロックタートルの背甲石という名前の通りアイテムというものですわね」
「本当に名前通りだね…」
「ですが、性能は最前線に通用するものらしいですわ。まあ超レアドロップらしいので期待はできませんね。それにわたくしたちが探索していた感じこの亀さんも滅多にお目にかかれなさそうですし、市場価格は相当なものになりそうですわね」
そんなにすごいの出るんだ。
ってロックタートルが戦闘体制に入った。
「来るよ!」
「わかっていますわ!」
戦闘体制に入ったロックタートルは大きく口を開けて十個以上ある尖った岩の塊を作ってこっちに向かってきたの。
それを私たち四人は回避した後に、アリシアが力の舞っていうミカ全体にSTRバフをかける技を使った後に、エルが神鳥の加護で全ダメージアップのバフをかけてくれたの。
そこから私とライムが前衛に出たんだけど、ロックタートルがすぐに次の岩魔法を発動させ私とライムに向かって打ってきちゃって…。
でもその予備動作に気づいてたアリシアが回避の舞でサポートしてくれて、私とライムが避けた所にエルがアイスニードルで岩魔法を相殺してくれて。
そのまま私とライムがまっすぐ向かって両サイドから攻撃したんだけど、すぐに甲羅の中に入って防御体制で防がれちゃったの。
「ライム!このまま攻撃続けるよ!」
「はーい!」
「エルちゃんわたくしたちは二人を援護いたしますわよ!」
「お姉ちゃんわかった!」
「フローズンフィールドー!」
エルが相手を速度低下と物理防御低下の魔法を使ってくれたの。
「速度の舞!わたくしも前に出ますわ!」
って言いながらアリシアも前線に向かって駆けてきたの。
そこからは三人で前線で戦うことになったんだけど、あまりにも物理攻撃が効きにくいロックタートルに魔法を使うことにした。
なんで今まで使わなかったかって?もちろんMPを温存してたから。
この攻略がどこまで続くかわからないし、物理だけでできれば回復にMPを回せるから。
「しょうがないライム!エル!魔法使うよ!」
「わかったのー!」
「ママりょーかい!」
「わたくしも行きますわ!」
そこからライムの光剣、エルのアイススピアにウォーターランス、アリシアが扇に風を纏わせてロックタートルに一斉攻撃。
あー、私やることないや…。
あ、もしかしてこれ…これ私の弱点…?
いや、今はそれよりロックタートルを…ってもう倒し終わっちゃってるや。
「フ、フウ様!フウ様!こちらにいらしてくださいまし!」
「急うにどうしたの?」
「ロロロ、ロックタートルの背甲石ですわ!ま、まさか本当に落ちるなんて…」
あー、それ多分ライムの称号のせいだろうね…。
まあめんどくさい事になったらやだから黙ってよ…。
「よかったじゃん。よかったらそれもらってよ。モンスターハウスのお礼とお詫びってことで。ね?」
「いけませんわ!そんなの釣り合いが取れません!」
「いいのいいの。はい、この話はもうここでおしまい!早く次にいこっ」
「お、お待ちくださいまし!…」
………
いやー、鉱石大量大量!
さすが鉱山だけあって量がすごいよ!
ただレアな石とか実装されてたりするのかな?
それとも宝石類がそれにあたるのかな?
わかんないから今度あやかに聞いてみよかな。
「あ、そうだ。アリシア、私が採掘してる間に護衛してもらってるし、なんか欲しい鉱石とか宝石あったりする?」
「いえ、特別そう言ったものはありませんわね」
「そっかーなんかお礼できたらって思ったんだけど…」
「ライムちゃんとエルちゃんがいれば十分な気もしますけど…そういう事でしたら今回いただいたロックタートルの背甲石で何か武器を作っていただきたいですわ」
「そんな事でいいなら全然作るよー!」
「ありがとうございます!今の武器がかなり前に買ったものでそろそろ新調しようかと考えていましたの!」
「まあ確かに生産とかしないなら鉱石とか持ってても意味ないしね」
そんな会話をしながら採掘してたらこの採掘ポイントも終わっちゃってまた奥に進むことにしたの。
その後も目新しいものは何もなく平和な行動探索が続いたの
「またロックタートルでも出てきたら楽しいんだけどなー」
「かなりのレアモンスターの様ですし、一回会えただけでも奇跡なのかもしれませんわね」
「だねー。あ、そういえば時間大丈夫?なんか私に付き合ってもらっちゃってるみたいになってるけど」
「全く問題ありませんわ。それに、お供していただいてるのはわたくしの方ですし」
「それならよかった。じゃあここの別れ道のマッピングも終わったし、次の道に行こっか」
それから私たちは程なくして巨大な扉の前に辿り着いた。
あー、これはなんか嫌な予感がするよ…。
「フウ様、間違いありません。これは…」
「う、うん。十中八九ボス部屋だろうね…ど、どうする?」
「ど、どうする?」
「見つけてしまった以上行くしかありませんわね。初回討伐報酬をみすみす他の方に渡す訳にはいきませんもの」
「だね!じゃあまず準備と大まかな立ち回り決めとく?」
「ですわね」
そこから私たちは話し合いを始めたの。
まず、持ち物の確認。
これはHPとMPの回復アイテムの所持数確認とアリシアが少し心許なかったから少しお裾分け。
次はポジション決め。
まず基本的には私がメインアタッカー兼おまけ程度のバッファー。
次にライムがタンク兼おまけ程度のヒーラー。
エルは万能型だからサブアタッカー兼バッファー兼ヒーラー兼おまけ程度にデバッファー。
アリシアがサブアタッカー兼バッファー。
「何と言いますか…ライムちゃんとエルちゃんはやれる事が多いんですのね?」
「まあライムはレアエネミーらしいし、エルに至っては神鳥だからね」
「そうでしたわね。そうなると立ち回りを絞るか万能型にするか悩みますわね…」
「まあ、エルならその場その場で臨機応変に立ち回れると思うよ?母親の経験?みたいなの引き継いでるらしいし」
「なるほど、それでしたら万能型で立ち回っていただきましょう。ライムちゃんの回復はどの程度なんですの?」
「エルよりは少ないかな?なんかイメージパラディンみたいな感じ?」
「わかりやすいですわね」
それからは前に戦ったロックタートルの物理が効きにくい相手だった場合の話になったの。
私があんまり役に立てないからタンク…というよりは攻撃させないように頑張りつつ、付与術で軽いバッファー。
ライムは後方からのサブアタッカーで光剣に集中してもらって数の暴力で押し切る。
エルはさっきと一緒で万能型だけど魔法攻撃を多めに立ち回る感じに。
アリシアは前衛でメインアタッカーに。
「この様な感じでしょうか?」
「そうだね。私があんまり役に立てないのが少しもどかしいけど…」
「タンク役も重要な役割ですわよ。そもそも生産職で従魔術師のフウ様が戦いの役割に入っているというだけで前提条件がおかしいんですのよ?」
「あはは…」
「フウはすごいの!」
「うん。ままはすごいんだよ!」
「ありがと」
こうやって言ってもらえるのは嬉しいね。
物理防御対策どうにかしないとなー。大鎌術でなんか魔法攻撃覚えられたらいいのになー。
ロックタートルは少ないダメージ与えていたけど、完全に無効化されちゃったらどうにもならないもんね。
ボス終わったらなんか考えないとなー。
「そうですわ。ライムちゃんとエルちゃんの魔法攻撃性のはどのくらいなんですの?」
「んー。ライムの方が上かなー。エルの魔法攻撃も十分ありがたいけどやっぱりサポート性能によってる気がする」
「そうしましたら、やはりわたくしがメインになりそうですわね。わたくしに務まるでしょうか…」
「大丈夫だよ。アリシア強いし、私より全然知識とかも豊富だもん!」
「そう言って頂けると嬉しいです」
「じゃあ、そろそろ行こっか!」
「「はーい」」
「ええ、準備は完璧でしてよ!」
そこから私とアメリアですっごい重い扉を開けてボス部屋の中に入ったの。
中は真っ暗で何も見えないし、なんかカサカサ音してるし…まさかGとかじゃ…
「フウ様も灯りを!」
そうだ考えてる場合じゃなかった!
「わかった!」
二人でライトを使い周囲を照らすと目の前に現れたのは上半身半裸の女性で下半身巨大蜘蛛の所謂アラクネだった。
「アラクネは素早い上に炎以外の魔法が効きにくいんですの!わたくしたちに炎攻撃はありませんし物理で押し切るしかありませんわ」
「わかった。最初に話した方だね」
「わかったのー!」
「はーい!」
まず私が付与術でバフ、エルの神鳥の加護でバフ神鳥の威圧でデバフ、アリシアが力の舞と回避の舞、速度の舞と防御の舞それぞれでバフ。
ライムが中央から、左右からは私とエルがアラクネに向かって突撃。
エルは後方からウォーターランスとアイススピアでアラクネの行動を阻害して、ライムの光剣がアラクネの退路を断ってそのままライムが先制攻撃を仕掛けて、反撃してきたアラクネの攻撃を防いでくれたの。
その勢いに乗ったままアリシアが扇でアラクネの片側の足を物理でそのまま攻撃したら、アラクネが体勢を崩したからそこを狙って私が跳躍と飛翔で真上に飛んで重力操作を駆使した渾身の一発を当てる。
そんな感じでこっち側の連携が見事にはまってアラクネの糸を使った攻撃に拘束、爪と牙の攻撃なんかも凌いで普通に勝っちゃった。
「あら、もう終わりかしら」
「お疲れさまー。まあ一階層のボスがオークだったしこんなものじゃない?」
「フウお疲れー。楽しかったねー!」
「ままお疲れさま!」
「ええ。現段階での話ですが、このゲームは階層守護者…ボスよりも探索やフィールドボスの攻略、ユニーククエストなどに重きを置いているのかもしれませんわね。まあこの先改装守護者が強くなって攻略難易度が上がる可能性は大いにありますが」
「なるほどねー勉強になるよ!あ、このあとはどうする?三階層まだ実装されてないから進めないけど」
「わたくしドロップアイテムの確認をしましたら落ちますわ」
「あ、そうだね。私確認忘れてた…。えっと…?」
私が手に入った種類はアラクネの外殻、アラクネの毛、アラクネの爪、アラクネの背甲、アラクネの鋏角、アラクネの生糸、アラクネーの高級機織り機、最後に階層初クリアボーナスの鍵。
あれ?
「アリシアどうだった?」
「ええ、外殻、毛、爪、背甲、鋏角、眼、あとは初クリアボーナスの鍵が落ちましたわ」
「全部アラクネって前についてる?」
「…?ええ」
「なんかさアラクネじゃなくってアラクネーの高級機織り機ってのが落ちたんだけど何かわかる?」
「ああ、それでしたらアラクネって元々神話では人の姿でしたのよ。当時は機織りの技術が凄かったそうでそのせいで他の神々と色々あって蜘蛛の姿になったとされているんですの。その神話に基づいて当時の名前の機織り機がドロップしたのではないかと思います」
「よく知ってるね。なんか可哀想だけど、悩みが解決できたから良かったよ。ありがと」
「いえ、礼には及びませんわ」
その後、私がアリシアの使わない素材を買い取った後そのまま別れの挨拶をしてアリシアがログアウトしたの。
私もポータルを使って街に戻ってからその日はログアウトした。
………
ちなみにこれは後日譚なんだけど、私たちが攻略してしばらくしてから私の所に機織り機の買取希望が殺到したの。
しかも、種類が高級だけじゃなかったみたいでその下に上級、中級、下級、ボロボロっていう階級があったみたい。
私は高級を持ってるからコレクションがわりに各一個ずつ買取だけして、他はギルメンに希望者がいれば買取って感じにしたの。
しばらくそんなことが続いたんだけど、ある日最高級機織り機の買取希望があってそれを買い取った時に節目としてギルドとして買取をしない旨を公表してようやく機織り機騒動が落ち着いたの。
二階層のボスを倒し終わってから数日経って、今日はようやくタワーイベントが始まる日。
今回は時間になるとポータルが現れるシステムなんだって。
アヤカが言ってたんだけど前回のサバイバルとか今回のタワーイベントみたいな定期開催出来そうなイベントはアップデート無しでできるように調整をしたみたい。
よく分かんないけどすごいのかな?
早く学校終わってくれないかなー。イベントやりたいな…。
………
よし、ご飯も作ったし、洗濯物も掃除も洗い物も終わったし…。
準備万端!
じゃあログインしようかな。
………
ひとまず一階層にワープして噴水前に行こっかな。
まずは二階層の中央広場に向かおっと。
そうだ、ライムとエル先に呼んどこうかな。
「二人ともおいでー」
「「はーい!」」
「ままー!」
「フウー!」
返事をしながら召喚された二人は私を呼びながらぎゅってしてきたの。
あー、二人とも可愛いなー。
これだけのためにログインしたりする人もいそうだね。
「二人とも行こっか」
「フウどこ行くのー?」
「タワーイベントっていうのがやってるみたいでやりに行くんだよ」
「ままとお出かけするー!」
「「「それじゃあしゅっぱーつ!」」」
って言ってもポータルでワープしたらすぐなんだけどね…。
よし、ポータル着いたし、ワープ先を一階層に選択して…。
「ワープ一階層」
光に包まれながら景色が消えて、光が消えながら一階層の景色が見えてきて…。
ってうわっ!
何じゃこりゃ…。
人だらけじゃん…。
何でだろ?今回ソロだし、そんな集まる必要ないと思うんだけどな?
まあいいや、早いとこイベントポータルの中入っちゃお。
そしたら人混みとか関係ないもんね。
すいません、すいません。って言いながら人混みをかき分けてようやくイベントポータルに辿り着けたよ。
「二人ともそれじゃあ行こっか」
「出発なのー!」
「れっつごー!」
………
よし、無事に入れたね。
タワーの一階層は森かー。
あ、そういえば人が集まってるのってイベントで手に入った素材の売買に、ポーション類の売買、情報の売買をやってるみたいだね。
人混みかき分けてる時に声が聞こえてきたよ…。
生産職とかは特にかきいれどきなのは分かるけど、何も広場の前であんなに集まらなくても…。
まあ中央広場は集まりやすいししょうがないか。
それより今は探索だよね。
フィールドボスを倒したら次に行けるんだっけ。
どういう進み方しようかなー。
ボス探すの最優先にしてクリア目指すか、まったり探索しながらボス見つけたら倒すか…。
死んじゃったり退出したら最初っからやり直しっていうのがなー。
んー、そうなるとせっかくならゆっくり探索したい…。
もしボスの位置が変わらないなら逆にボスの場所全部マッピングしてからまったり探索していくとかありかもなー。
うん、それがいいかな。
せっかく二十階層もあるんだしどうせなら全部見たいもんね。
各階層等は報酬もあるみたいだしそうしよ。
うーん…どっちに進もう?
小型のフィールドって事だったけどどのくらいの広さで端はどうなってるんだろう?
めちゃくちゃ気になる!
探索しつくせたらいいんだけどなー。
一階層は森だから視界悪いし方向感覚分からなくなるから何か目印つけておかないと。
あ、飛翔飛翔で飛んじゃう?
いや、最終手段として取っておこう。
楽しめなさそう…。
そうと決まればあとは目印を何にするかだよね?
いっその事、木切り倒しながら進むとか?
素材も手に入るし、視界少しは開けるし、振り返ればまっすぐ進めるし。
少し探索スピード遅くなるけどそれ以外にデメリットないし、この方法で行こう!
まずは正面から切り倒していこうかな!
「ライム、エル。私、木を切りながら進むからモンスターは任せてもいい?」
「いいよー」
「うん!ままのこと守ってあげる!」
「ありがと!」
じゃあ伐採開始だね!
木工職人の能力があると伐採のスキル使うと武器一太刀で丸太化できるから楽でいいよね!
まずは一本め!
「伐採」
お、これ前に手に入ったマナウッド(小)だ。
うーん。木の葉っぱ見た感じ何種類かあるかな?
流石にマナウッドだけだとなー。
折角なら丸太(中)も欲しい。
よーし!一気に進めて突き当たりまで行ってみよう!
…伐採!
…伐採!
…伐採!
………
ふぅー…。結構進んだかな?
振り返ると結構進んでるなー。
ポータルが光の柱になってくれてるのは結構ありがたいね。
私が伐採してる間に、ライムとエルがフォレストウルフ、スライム、ラッシュボア、ウィンドチキン、フラワーマッシュルームなんかのモンスターを片っ端から狩り尽くしてくれたの。
私の伐採した木が倒れる時に大きい音が出るからモンスターが寄ってきちゃうんだよね…。
二人がいてくれて助かったよ。
私一人だったら伐採しちゃ戦ってマッピングしての繰り返しになるからだいぶ効率悪くなっちゃうだろうしね…。
とりあえず突き当たりまで進んじゃお!
………
あ、なんか見えてきた。
赤い壁?
あ、これが突き当たりになるのか。
よし、ここまで木が約百本くらいかな。
そしたらここからは実験だね。
「ライム、エル助かったよ!」
「「楽しかったー!」」
「そうだね。一回ここ出よっか」
「「はーい」」
よし、外に出られたし。
もう一回入ってみよっかな。
じゃあポータルに入ろうかな!
………
よし。
あ、やっぱりそうだ!
木がない!!
これは一応アヤカに報告しとこうかな。
あれ、ログインしてない。
まあいいやチャットだけ送っておこうかな。
ネタバレ嫌だったら困るし、とりあえずわかったことがあるって事だけにしとこ。
よし、そしたら今度は右側に向かって真っ直ぐ進んで行こう。
伐採直進レッツゴー!
………
うーん。前方面に進んだ時と木もモンスターも変わり映えしないなー。
まあいいや、次は今の突き当たりから一回前の突き当たりまで外周回ってみよっかなー。
………
うん。
平常運転…。
ただ正方形って感じじゃなくってどちらかと言うと円形って感じなんだ。
んー、そうすると…。
ここの木は均等に並んでるわけじゃないけど、ざっと半径木百本とすると全部で三万本前後木がある事になるのか…。
流石に全部狩尽くすのは難しいかなー。
どうしよう?
マッピングするだけなら全部からなくてもいいよね。
十本間隔だと三百本近くで比較的簡単だけど、ちょっと間隔広い気がするし、折角これだけ沢山木が取り放題なんだし、五本間隔でもいいかもね。
よし、もう一回出てとりあえず十字と縁の外周埋め尽くそう。
………
終わった!
…けど進展はなかった…。
じゃあここからはしらみ潰しに木を五本間隔の格子状に伐採するぞー!
………
…なんて気合い入れたけど、左上から始めて時計回りに格子状にして来て、もう左下…。
ここにボス居るはずなんだけど一向に出てこない…。
………
なんて言いながら伐採してたら終わっちゃった…。
ボス居ないってどう言う事だろう?
強いて言うなら十字に分けた各面の中心付近になんかよく分からない祠跡があった事くらいかな。
まあ九分九厘あれがギミックとかで何かしないとボス出て来ない感じだよねー。
とりあえず祠に入って様子を確認してみようかな。
後は何処の祠から行こう?
どうせなら今いる左下からでいいか。
でもその前に…。
格子完成させておこう。
なんか中途半端なの気になるし。
………
終わったー!
よし、じゃあ早速祠に入ろうかな。
まあ祠って言っても八畳くらいの大きさしかないからちょっとしたギミックがあるだけだと思うけどね。
ん?鳥の石像?
目と額に青い宝石ついてる。
これどうするんだろ?
壊すはずはないと思うんだけど…。
まあ仮にそうだとしたら最終手段だよね。
とりあえず動くか試してみようかな。
…うん。回転だけできる感じだね。
ってことは全部同じ石像だとして考えられるのは全部外向き、全部中央、時計回り、反時計回りくらいか。
ここだけ見てもどうしようもないし他のところも見て回ろう。
………
ふぅ…。
やっと四つ全部回り終わったよ…。
それで全部回ってみてわかったことは…。
左下の石像は額に一つと目が二つ。
左上の石像は隻眼で、石板に『正しき手順で道開き場所に向けろ』って書いてあった。
右上の石像は四つ目。
右下の石像は目が二つ。
って感じだった。正しき手順っていうのは多分石像の宝石の数だよね?
道開き場所って何処だろ?
ポータルかな?
もしポータルなら石像の宝石の数の順番にポータルに向けろってことだよね?
って事は退出出来ないから歩かないとだよね。
………
これで四つ目…!
祠の外に出て何か変わったか見てみよ。
祠の石像の向きと順番が正しいと祠からポータルに向かって青い光が出るんだよね。
今四つ終わったから多分ポータルの方で何か起きてるはず。
急ごう!
………
あれ?上に向いて光ってたのが北向きになってる。
つまりこっちにボスがいるって認識でいいんだよね?
とりあえず進めばわかるよね!
「ライム、エルまだ大丈夫そう?」
「全然大丈夫なのー!」
「ままともっと遊びたーい!」
「ライム、もっと強いのと戦いたいなー」
「エルもエルもー!」
「大丈夫これからボスの所に行くから」
「「やったー!」」
それから私たちは光の指し示す方向に歩いていったの。
そしたら最初に来た時は赤い結界みたいな壁で向こう側は森が続いてるのに際に進めない状態だったのに、人が三人並んで通れそうなくらいの両端赤い結界になってる一本道が出来てたの。
私たちはそのまま一本道を進んで行ったんだけど、突き当たりっぽい所まで来たら一本だけ他の気とは違う異様な雰囲気を放ってる木が生えてるの。
「あー多分あれがボスだね…」
なんか居たよね。
木の魔物。
「フウ、あの木がボスなの?」
「多分そうだと思うよ?」
「ままー。あれ、弱いよ?」
「…え?そうなの?」
「うん。あれお母さんが氷の槍一個でやっつけてたよ?」
「あ、あはは…」
「ライムもあれ森で見た事あるけど弱かったと思う」
まじかー…。
ってまあそうだよね。
普通に考えて全員参加できるイベントで初っ端から強いボスなんて普通出さないよねー…。
「ライム、エル。ごめん。強いモンスターは」もっと後になるかも…」
「「はーい…」」
「じゃあ早く強いモンスターと戦うためにも、早くこの木倒してどんどん進もっか!」
「「うん!」」
それから、木にターゲットされてボスの名前がトレントってわかってから、ボスを倒し終わるまでそう時間はかからなかったの。
結局その日は二階層、三階層って進んだんだけど、その二つは一階層と同じ森で、違うところと言えばボス出現前のギミックが違うのと、二階層のボスがサウンドバタフライっていう蝶で、三階層のボスがイーターフラワーっていう食虫植物みたいなのが出て来たくらい。
四階層は時間なかったからまた明日だね。
あれから後日、ようやく五階層まで辿り着いたんだけど…。
「ようやく景色変わったーー!」
って言っても、目の前にあるのただの大きな祠なんだけどね…。
ただ、その祠の周りをあの赤い結界が覆ってるから今回は中での攻略かな!
いやー、やっと森以外の攻略だからすっごい楽しみだよ。
それじゃあ早速行っちゃおうかな。
………
入ったらポータルだけって…本当に?
…嘘って言って欲しいんだけど…。
「はぁ…入るしかないかー…」
………
…また森…じゃない!
何処だろここ?
階層は移動してないみたいだから五階層に間違いはないっぽいけど、なんか地下迷路みたいな感じ?
っていうよりはダンジョンになるのかな?
これは攻略しがいがありそう!
早速出発しよっかな!
とりあえずボスまでは一人で探索しよ。
いいかげん死神装備試さないと…。
ライムとエルには悪いけど、強いかもしれないボスは残しといてあげるからそれで許して貰えるよね…?
まずは装備切り替えてっと。
よし、行こう!
そういえば迷路って確か必勝法あったよね?
なんだっけ…。
確か左か右に沿っていくやつだったって事だけは覚えてるんだけど…。
まあ、何もしないで進む訳じゃないからマッピングしながら行って行き詰まったらどっちかに沿って進めばいっかな。
なんて考え事をしながら歩いてたら早速敵が出てきたの。
出て来たんだけど…。
「これってスケルトンってやつ?」
なんかぼろぼろの剣だったり槍だったり、後方には弓を持ってるやつもいる。
合計で五体。
ただなんというか、その…。
今の私がスケルトンの上位の存在みたいな感じの見た目だからか目新しさもないし、拍子抜けというかなんというか…。
ただ連携とって来そうな陣形取ってるから油断は出来ないよね。
まずやりと小楯を持ったスケルトンが突進してきて、そこから私に追い打ちをかけるように後方の弓が弧を描くように私の頭上に飛んで来たの。
そこで私は後ろじゃなくて前に向かって矢を交わして、構えた鎌を振り払って腰上付近の背骨を一刀両断。
ただその後ろから槍のスケルトンに隠れるように進んできた剣を持ったスケルトンの剣に当たっちゃったんだけど、ほとんどダメージも喰らわないでそのまま鎌で反撃して討伐。
最後に残った弓のスケルトン二体と剣のスケルトン一体もそのまま簡単に倒すことができたの。
「まあまだ五階層だし強さもこんなもんなのかな?」
この頭骨とか肋骨とか使って面白いの作れそうだなー。
帰ってら作ってみよっと。
それじゃあ先に進みますか。
………
あれから出て来たのはスケルトンがメインでその他にもケイブスパイダーなんかも出て来たんだけど、何よりも厄介だったのがプチストーンゴーレム。
強さはさほどないんだけどなんていうかプチっていうだけあって手のひらサイズでちっちゃいうえに、多少スピードあるから攻撃当たらないのなんの…。
しかも大きさも小さいからそこらへんに転がってる岩とあんまり見分けがつかないから初撃避けにくいし。
まあ多少時間かかるだけで倒せるからいいんだけど、こういうのはアヤカとかライムの方が得意そう。
そんなことを思いながら探索してたんだけど、見つけちゃったよ階段。
階段あるって事は結構広いんだろうなー。
じゃあ一回戻ってマップ全部埋めちゃってから下に行こうかな。
………
あ、宝箱。
なんか全部がそうじゃないってわかってはいるけど、アリシアとの時の事思い出しちゃってちょっと開けるの躊躇うよね。
まあ開けるんだけど…。
なんて思いながら宝箱開けたら…。
ガブッ!
「えっ!?」
いった…くはないけど何これ!?
宝箱に噛まれたんだけど!?
これミミックってやつ?
なんか噛み付いたまま離してくれないし、よだれ垂れてて気持ち悪しし…。
そもそも手から離れないから私も鎌で攻撃出来ないんだけど…。
どうしよ…。
ダメージは三秒に一回くらいの感覚で五ダメージしか喰らわないからHP自動回復で実質ノーダメージみたいなものだけどお互い決め手に欠けて何も出来ないんだけど…。
「んもー!は、な、れ、てー!!!」
だめだ。振り払おうとしても全く離れる気配ないや。
…いいや。
このまま連れて行こう。
右手塞がってるけどまあ両利きだし大丈夫でしょ。
行っちゃえー!
………
それからかじかじされながら探索して何個か宝箱もあったけどさっきみたいにミミックには出くわす事もなく、手に入ったのはなんか今回のイベント限定のアイテムとか他は私には必要ないものが多かったの。
ま、まあまだ五階層だしね。
一番大きかったのは今回のイベント期間内にアイテムと交換できるチケットが二枚。
これ合計何枚あるのかわからないけど、森の中に見落としとかあったらどうしよう…。
せっかく手に入るなら全部欲しいもんね。
まあいいや、先に進もう。
次は階段の下だね。
右手のこいつはまあ、気にしないようにしよう。
………
あれ?地面少し濡れてる?
これがへんなことにならないといいけど…。
なんて思ってしばらく進んだんだけど、上とは違ってスケルトンは出て来るんだけど杖持ったマジックスケルトン。
こいつが厄介でファイアボール使って来るんだけどダメージじゃなくて避けると地面が蒸発して熱でダメージ喰らっちゃうの。
それが面倒で気にしないでファイアボールあたりに行ったらあんまり喰らわなかったの。
あれ?もしかして私ここではあんまり攻撃避けなくていい?
それに気付いちゃった私はそこからは完全にお散歩。
ケイブフロッグっていうヌメヌメしたカエルの粘液以外は全部避けないで探索したの。
ただしばらくして事件は起きたの。
ガブッ!
「……あ…」
…ど、どうしよ…。
両手に花ならぬ両手に箱だよ。
どうすんのこれ…。
ずっとかじかじされっぱなしで両手塞がってるし、このままじゃ武器も持てないよ…。
…あー、うーん…。
よし、このまま進もう。
モンスター出てきても」カエル以外は気にしない事にしよう。
カエルは今度唐揚げにしてやるんだから!