生産職から始まる初めてのVRMMO

私がファイスに勝ってからしばらくして、状態異常攻撃を操るレイナには全状態異常軽減を持ってたから勝つことが出来たし、ジュっくんはSTR型な上にユニークシリーズが無いから難なく勝つことが出来た。

ただ問題はアヤカ。

一言で言うとこの戦いが最後を除けば一番苦労した戦いになったの。

なんでかって?私に勝つためにアヤカが神具を手に入れてた事を黙ってたからなんだよね…

後から聞いた話によるとなんでも災禍の覇龍ってボスを倒したらしくって『空統ベル覇龍』の神具シリーズを手に入れてたらしいの。

これも後から聞いた話なんだけど、私あんまりランキングとか気にして無かったから知らなかったんだけど、アヤカ実はランキング2位だったらしい…

そんなわけで何にも知らない私はここから天才プロゲーマーの本気を身をもって体験することとなった。

例の如く待機エリアから闘技場に向かうと目の前にはアヤカの姿があった。

「あちゃー、ついにフウと戦うことになっちゃったかー」

「私も来ちゃったーって感じだよ?それよりアヤカその防具どうしたの?」

アヤカが身に纏ってたのは、全体的に白寄りの水色の竜鎧。

「あー、これね〜!このイベントで使うのが初めてだからみんな知らないんだったね!」

アヤカがそう言うと鎧が急に色々纏い始めたの!

青白くバチバチと光る二本の角、小さい竜巻みたいなのを纏った大きな爪、翼膜水みたい変わって骨格には氷を纏った横に広がる翼、触れた地面がマグマに変わる程熱を持った細長い尻尾。

ただ唯一変わらなかったアヤカの両腰にある長剣も気になるけど…

「こんなことが出来ちゃうフウと一緒の神具『空統ベル覇龍』のシリーズだよ〜!」

稲妻、風、雲、雨、雪、雹、気温とか色々天気を全て自在に操れる災禍をも生み出す起源とも言える能力なんだよねー…

私…こんなのと戦わなきゃいけないの!?

そんな話をしてたら始まりの鐘が鳴り、レベル差130以上を生み出す巫女天使の神具と、あらゆる災禍を操る覇龍の神具、ついに今戦いの幕が切って落とされちゃったの!

「それじゃあうちから行くよっ!」

アヤカがそう言った瞬間、空を真っ黒な雲、中で轟く稲妻、寒くて凍えそうな気温、雪と雹も同時に降って来るしどうなってんの!?

「次はこれだよ!」

アヤカが剣を抜いた瞬間、来ると思った私は鎌を構えたんだけどなんでか左手に持ってた剣を地面に突き刺し始めたの。

なんかやばいと思ってアヤカを止めようと突撃した時にはもう遅かったの。

地面が地震みたいに揺れ始めて、それを回避するかのように私が足に付いてる跳躍と、翼についてる飛翔のスキルを使って空を飛んだ時、私の視界に目を疑う光景が広がった。

闘技場全体が赤く染まり始めたと思った次の瞬間、山でもないのに地面からマグマが吹き出してきたの…まあ、噴火だよね、うん。

寒いのに暑いっていうよくわからない気温で空には黒雲と絶え間なく落ちる稲妻、地面にはたまにマグマが噴き出す火口で覆われてて…これどこの地獄だろう…私飛べなかったら死んでたよ?

「どう?これだけじゃないけどすごいでしょ!うちまだこの装備で本気で戦ったことないから、フウとの戦いが楽しみでしょうがなかったんだよね〜!それに、フウだってまだ本気で戦ったこと無いでしょ?」

「………どういう事?」

「うちの勘だけどまだフウ、スキル使った事ないでしょ?翼生えてるからなんとなくはわかってたけど飛べるのだって知らなかったわけだしね〜」

バレてる…

私がこの装備になってから特殊能力の『生産の境地』とHPとMPの自動回復効果の話をして戦ったりはしたけど、『重力操作』『空間操作』『魔力放出』『跳躍』『飛翔』のスキルに関してはライムとの練習以外では今まで一回も使った事なかったんだよね。


『生産の境地』は根本的なステータスを底上げするスキル。

『HP継続回復』『MP継続回復』は文字通りだよね。

『重力操作』は文字通りなんだけど、一定空間、もしくは対象の重力を操作したり、武器を軽くしたり重くしたり、後は私の重さも変えられるの!

まあまだ小だから振り幅は小さいんだけどね…

『空間操作』は空間を歪ませて姿を見えなくさせてみたり、転移をすることもできるようになるみたい。

『魔力放出』は『魔力操作』今まで自分とか自分の持ってる武器に纏わせたり自分から魔力を切り離せなかったのが、鎌に魔力を乗せてかまいたちみたいに遠距離に飛ばせるようになる能力みたい。

『跳躍』はジャンプする力を強化してくれたりするみたい。

『飛翔』は文字通り飛べるようになる。

これが一番嬉しいよねー!

自由に空を駆け回れるって凄くない!?

まあ翼あって今まで楽しかったのに救われたなんて思ったのは今が初めてなんだけどね…

ここから私とアヤカの熾烈な空中戦が始まったの。

今私の目の前にいるのは圧倒的な力を持って、天候とか天災を操るまさしく覇龍そのもののアヤカ。

まず私が対抗するために使ったのは魔力操作で全身に魔力を纏って身体強化みたいにする。

次に私自身と鎌の重力を軽減、空間操作で空中を蹴れるようにしたらアヤカに向かって全力で跳躍。

最後にアヤカの目の前まで来たら空間操作でアヤカの後ろに転移して鎌を振り下ろす。

振り下ろした瞬間に鎌の重力を増大させて一気にしとめにかかったの。

流石のアヤカも警戒してたとはいえ、この攻撃は防ぎ用もなく直撃。

「なかなかやるね〜!そんなことまでできるようになっちゃったんだー…今ので体力半分以上持ってかれちゃったし本当にラスボスって感じだねー。まあ、このままやられっぱなしはなんだし、次はこっちから行くよっ!!」

その瞬間、アヤカの二つの剣から放たれた二つの異なる光。

なんとか空間転移で避けようとしたけどそれも叶わず直撃とまではいかないけど被弾しちゃったの。


「今のなに!?私よけられなかったんだけど…」

「んー、フウだから教えるけど…片方は超圧縮した高濃度なプラズマと水素と酸素の爆発だよ!」

「水素と酸素って理科の実験とかでやるやつ?」

「そうそう!それを超圧縮して高濃度にしたあと爆発の方向性をいじっただけだよー」

「なにそれ怖いんだけど…でも、負けないよ!」

「うちこそっ!」

そこからは無言の攻め合いが始まっちゃって…

かれこれ体感では1時間以上経ったんじゃないかって思って確認するとまだ3分しかたってなかったの。

「はぁはぁ…な、なかなかやるね、うちはフウが強くなってくれて嬉しいよ…」

「私こそ、今までサポート側だったからこうやってアヤカと戦えるの凄く楽しい!」

私がHP残り半分くらい、アヤカはもう残り少ないと思う。

「私今すっごく楽しい!だからこうやってアヤカともっと戦ってたいけど…」

「うん、そろそろ時間だね〜。みんな待ってるだろうし、決着つけよっか!」

アヤカは自分の周りに、火、マグマ、水、氷、風、プラズマ、圧縮空気、雷、の玉みたいなのを作って二つの剣を構えて高速で私の方に向かってきた。

私は、鎌術の5連斬を使って最初と同じように空間を跳躍で飛んでアヤカの方に向かった。

飛ばされた斬撃を空間転移でアヤカの上左右前後に転移させて私はアヤカの下に転移。

その瞬間、ごーんという音がして決着がついたの。

「はーあぁ。負けちゃったかー。うちら最後だから転移後すぐに次の試合だと思うからアドバイスしておくけど、今のフウの攻撃のレパートリーだとあの子には勝てないかもしれないから気をつけなねー!」

ってアヤカが消えながら去って行っちゃったの。

同時に私も消えて、そのまま次の試合に行く事になった。

また一撃で終わっちゃって、控室にいるとアヤカが戻ってきたからさっきの言葉の意味を聞いてみたの。

「ねー、さっきのあれってどういう事?」

「ん?あー、じゃああんまり話すとネタバレになっちゃうから少しだけね。うちが全然歯が立たなかったランキング1位の子の事だよ。戦闘経験少ないから仕方ないのかもしれないけど、フウはまだ先読みしたり駆け引きみたいな頭脳戦があんまり得意じゃないっぽいから、その子と当たったら今の攻撃パターンの数で教科書通りみたいに戦ってたら負けちゃうかもしれないよーって事!」

「そんなに強いんだ!」

「そりゃランキング1位だからね〜!2位のうちですらHP半分削れなかったんだからね〜」

私は驚きよりも楽しみと思っていた自分に後悔する事になる。

その試合はラスボス戦というかのように最終戦で顔合わせする事になった。

この戦いが過去最悪の敵であんなに苦戦するとも知らずに私は凄いワクワクしながら闘技場の通路を歩いて広場に向かった。
光差し込む通路を抜けて、円形に整地された闘技場に入った私。

ここで最後の戦いが始まるんだよね!

楽しみでしょうがないよ〜。

そんな事思ってたら、前から出てきたのは私と同じくらいの身長なのに出るとこ出てる…ごほんっ!

光を浴びて煌く透き通った白銀の髪を腰下まで降ろして、純白のローブに水色の飾りや刺繍が入った姿の女の子だったの。

いけないいけない、ちゃんと挨拶しないとだよね。

「あ、初めまして。フウです!よろしくお願いします!」

「ん。ファセリア。負けない」

お互い自己紹介が終わったと同時に、試合開始の鐘が鳴ったの。

その瞬間、だったの。

「…ニブルヘイム」

ファセリアが何かぼそっと言ったなって思った瞬間、空気が極限まで冷やされて、なんか結晶降ってきたし、闘技場全体は凍って一瞬にして白銀の世界に変わっちゃったの。

これがアヤカから聞いてた凍結っていう状態異常なのかな?

まあ私の場合状態異常軽減付いてるから動けなくはならなかったんだろうけど、寒いとかそんなレベルを通り越してもう瞬間冷凍されてるみたいに全身痛いしじわじわHP減ってくし…

まあでもHP自動回復も付いてるからほんとに少しずつしか減ってかないんだけどね。

「これ。平気なんだ。びっくり」

「は、ははは…」

こんなのどうやって勝つの!?

アヤカも今まで通りじゃ勝てないってこういう事!?

なんて呑気に私が考えてたら。

「…ヘル・バレー」

その瞬間地面が割れて巨大な谷が出来て、そのまま私も落下。

やばっ、どうにかしなきゃ!

バレーって事は谷だよね、って事は飛翔で浮けば完璧!

体制も立て直せて、これから登るぞって時に息つく暇もなく立て続けに攻撃をしてきたの。

「…アバランシェ。…コラプス・クリフ」

「きゃーーー!」

もー!次から次へとなんなのもう!

雪崩のおまけに崖壊すってやめて欲しいよね。

やばいなー、HP半分くらいまで一気に削られた…

これは確かにステータスとスキルでゴリ押ししても勝てないよねー。

飛翔は空飛ぶでしょ?跳躍は蹴って加速するでしょ?重力操作と空間操作を組み合わせてどうにかするしか無いよね…

とりあえずアヤカに使ったやつ一通り使うしか無いか!

戦いながら考えるしか無いよね!

「これも平気。びっくり。あなた面白い」

「あんまり嬉しく無いけど、ありがとう!」

お礼を言いながら空間魔法と釜の斬撃を兼ね合わせて死角から不意打ちさせる技を命中させたんだけど…

今のでHP半分減っちゃうの!?

「不覚。あなたも。回避だけ。違うのね。あの子の。言う通りだわ」

「あの子ってアヤカの事?」

「そう。あの子も楽しかった。けど。あなたの方が。面白いわ」

「アヤカそんなこと言ってたんだ…」

「そろそろ。もう決着。つけるわ」

そう言って、多重詠唱って言うんだっけ?なんか物凄い数詠唱始めたの。

氷で出来た塊に弓に槍に剣に…ざっと百は超えてそうなんだけど…

「いくよ。トラッキング・ダンス」

ファセリアがそう呟いた瞬間全部が私目掛けて一直線に飛んできたの。

逃げても逃げても追いかけ回してくる百を超える氷。

こんなの無理だって〜…

ん?一直線に飛んでくるんだよね?

障害物あったらどうなるんだろ?

試しにやってみよっと!

鎌を地面に向かって本気でえーい!

私が鎌を当てた所を中心に円形状に大地が割れてそのままの勢いで破れたい地面の破片が宙を舞ったの。

そのまますかさず重力魔法で操れば…

出来た!名付けて即席ロックブラスト!

これを私の前に集めて巨大な岩を作ってっと。

岩ができた瞬間私は目を疑う光景を目の当たりにしちゃったの。

貫通してきちゃったよ!?

まあでもこれでわかったね。避けてくるんじゃなくって一直線に追尾してくるってこと!

って事はつまり…

そのまま私は再び破壊された地面の破片を縫うように転移を繰り返してファセリアの背後に気付かれない様に転移することに成功したの。

本当は一回で転移できればいいんだけど、まだまだレベルが上がってないからね…

よし!

ファセリアの近くまで転移できたし、次はファセリアの周りをランダムに全方位転移を素早く繰り返したら…

できた!これで私向かって飛んでくる氷の武器がファセリアの周り全方位埋め尽くしたね!

「これは。少し。想定外かも」

これでどうだ!って思ったんだけど…

私の逃げ道まで無くなっちゃったよ!

確か四面楚歌って言うんだったよね…

これもうギリギリのタイミングで転移するしかないね…

来る!3、2、1…えいっ!

そのまま全部ファセリアに直撃したんだけどまだ少しHPバーが残ってたの。

これはまずいって思って跳躍使って一気に距離を縮めよう。

それから転移ですぐさまファセリアの後ろに移動して…

最後にファセリアの首元に鎌を当てたの。

「はぁ、はぁ…これで、私の勝ちだね…」

「そう。ふふふ、もっと遊びましょ?」

今まで表情を変えなかったファセリアが急に楽しそうに笑い始めたと思ったら急に魔法が発動したの。

「これ。使うの初めて」

「な、なにこれ…」

なにがやばいって動きが遅くなってるんだけどたぶんそんな簡単な話じゃない!

「説明。欲しい?これ。エネルギー凍結結界。ヘル・コキュートス」

やばいやばい、なんかHPもじわじわ減ってるしこれは早く決着つけなくっちゃ!

「これで。今度こそ」

まずいってまた多重詠唱始めちゃったよ、転移で後ろに…

えっ…?転移できない!?

これもこの結界のせいなの?

これはもう打つ手なしかな…

「さようなら。トラッキング・ダンス」

流石に諦めちゃって、思わず目を閉じちゃったの。

なにも考えられなくなってたんだけど、なんかおかしいと思って目を開けたら目の前にはライムとライムから伸びた手の先に、私とライムを庇ったであろうバキバキに崩れ落ちた卵の殻の破片が残ってたの。

「え…?ライム!?なんでここにライムがいるの!?っていうかなんで卵持って…それってあの時の神鳥の卵じゃないの!?」

「フウ、だいじょうぶだよー?うえにいるよー!」

ライムがそう言ってすぐ私は上を見たの。

そこにはその卵から出てきたのかと疑うような大きな影があったの。

私が気づいたのに気づくとその大きな影は急降下してきたの。

降りてきた影はたちまち姿を変えちゃって人型みたいになってたの!

「ままーーー!!!」

「ま、まま!?っていうかもう人型になれるの!?」

急降下して私に抱きついてきた少女は体格は小学生高学年くらいかな?

白から青へとグラデーションされたサラサラの長い髪を靡かせて、サファイアみたいに真っ青で綺麗な瞳を輝かせながら私に話しかけてきたの。

《『神鳥の卵』よりエンシェント・エルニクスが生誕した為、従魔契約が成立しました》

「ねぇ!ままー!名前は?私の名前!」

「え!?えっとー…」

今思い出したけど、私戦ってる途中なんだよね…

えーーっとー…

エンシェント・エルニクスだよねー。

うーん…エルク?エルス?違うなー。

いっその事エルとか?

なんかライムの時も名前から取ってたけど大丈夫だよね?

「じゃあエルでどう?」

「うん!エル、エル…私はエルだよー!」

喜んでもらえたみたいでよかった!

って、服服!!

とりあえず初期装備だけど裸よりは全然マシだよ!

「エルとりあえずこれ着れる?」

「わかったー!えへへ、ままの匂いがするー」

私の初期装備に顔を埋めた後安心した表情で私ににっこり笑ったの。

「か、かわいい…」

思わず声に出ちゃった…って!

「悠長に名前決めてる場合じゃなかったよ!?」

ってあれ?まだ一瞬すぎて周りの煙晴れてなかった…

「エル、この煙吹き飛ばせる?」

「できるよー!えーーーいっ!」


………


「はぁ、はぁ、はぁ…」

あれで…倒れて…もう…MPが…

「なっ影!?」

消えた?なんだったの。今の。

まだ。生きてるの?あ、煙が…


………


「なんで。子供が二人…?」

(もう。HPも。MPも。ほとんど。ないのに…あんなの。勝てない、よ。)

「あ、二人戻しておくの忘れてた…」

「二人ともごめんね。私今あそこにいる子と戦ってるから一回戻っててもらってもいい?」

「わかったのー!」

「えぇー。せっかくままと会えたのにー…」

「フウの言うこと聞かないとダメなのー」

「はーい…」

「ごめんね。また後でいっぱいお話ししようね!」

(消えた。人じゃない。従魔なの?)

「ごめん。お待たせ!」

「構わない。あの子達。従魔なの?」

「そうだよ。それより、試合再開しよっか!」

「その必要は。ないわ。MPの尽きた魔法使い。なにも出来ないから。時間もないわ。早く。トドメを」

「う、うん。わかった」

「次は。本気のあなたと。戦ってみたいわ」

「ん?私本気で戦ったよ?」

「違う。従魔師は。従魔も参加できるのよ」

え?今なんて言った?従魔も参加できるの!?

聞いてないよ〜…

あ、でもよく考えればそうしなきゃ従魔師のスキル以外で戦闘できない人が参加出来ないもんね。

「そうだったんだ…」

「うん。それより。時間ない」

「あ、ごめん!それじゃあ楽しかったよ!」

「私もよ…」

そう言って消滅エフェクトと共に消えたファセリアを追いかけるように私も控え室に転移したの。

そういえば後で知ったんだけど、あのヘル・コキュートスって技、ファセリアのHPが10%を切ると発動するスキルらしいの。

なんでも、
 自身に全ステータス30%アップ
 相手に全ステータスが30秒で10%減少
があってバフ、デバフ関係は、あらゆるエネルギーが凍って
 相手に光が届きにくくなる関係で自身に認識阻害効果
 相手に対して移動阻害
 絶対零度が発生して毎秒1%のHP減少効果
なんかががあるらしいよ。

しかもレベルがあってまだまだ強くなるんだとか…

どう考えてもおかしいでしょ…

そんなこんなで控え室に戻った私たちだったんだけど、待ってたのは本戦じゃなくてエンディングムービーだったの!

『えー、おほんっ。盛り上がってる所申し訳ない。本来ここから本戦だーっ!っとなる所だったんですが。あれ、結果出ている試合を再戦する意味が無いなと気づきました為、私どもでまとめさせていただいた見所映像総集編とエンディングムービーをもって終了とさせていただきたい次第です』

「ま、まあそうだよな…」

「あんなの厄災みたいなものよね…」

「ああ、また死神と戦うのはちょっとな…」

なんていう声が聞こえたけど死神なんていたかなーとしか思ってなかったの。

この時の声がまさかあんな結末にするなんて思ってもいなかったよ…

それからまとめ映像が流れた後、エンディングムービーでランキングと報酬が発表されたの。

結果だけ言うと、1位が私、2位がファセリア、3位がアヤカ、4位がレイナ、ファイスが13位でジュっくんが21位って結果になったよ。

『それではみなさんお待ちかね!報酬タイムだーーー!』

流石に今までで一番大きい歓声だね!

もういっそうるさいよ…

『下から順番に発表していきまーす!!!』

  順位 100位〜76位
  報酬 称号『ファイタークラス』
     闘技コイン『1枚』 ゴールド『1万G』

  順位 75位〜51位
  報酬 称号『グラディエータークラス』
     闘技コイン『3枚』 ゴールド『3万G』

  順位 50位〜26位
  報酬 称号『レンジャークラス』
     闘技コイン『5枚』 ゴールド『5万G』

  順位 25位〜11位
  報酬 称号『チャレンジャークラス』
     闘技コイン『10枚』 ゴールド『10万G』

  順位 10位〜4位
  報酬 称号『マスタークラス』
     闘技コイン『30枚』 ゴールド『30万G』

  順位 3位
  報酬 個人称号 『   』 称号『闘技ノ龍王』
     闘技コイン『50枚』 ゴールド『50万G』

  順位 2位
  報酬 個人称号 『   』 称号『闘技ノ霊王』
     闘技コイン『100枚』 ゴールド『100万G』

  順位 1位
  報酬 個人称号 『   』 称号『闘技ノ神王』
     闘技コイン『500枚』 ゴールド『500万G』

『そして更になんと!1位の方には限定称号に付随した限定装備が贈られます!それではまずは限定称号の発表から参りましょー!まずは第3位のアヤカさん。空を支配して天候を操り天災を生むその姿を讃え『空の支配者』を進呈します!続きまして第2位のファセリアさん!ニブルヘイムや氷の武器の操作など氷に特化した戦いが素晴らしかったですね!極め付けは最後のヘル・コキュートス。あれはやばいですね、文字の如くまさしく地獄そのもの!そんな姿を讃え『氷獄の大魔女』を進呈します!最後は、第1位のフウさん。まあ、みなさんご存知の通り化け物でしたね。純粋な力もなのですが、可愛らしい装備からは想像もつかない攻撃とそれを補う数々のスキル!装備から取って巫女や天使なんかの名前を組み込もうかとも思ったのですが、プレイヤーの方々から厄災という言葉や死神という言葉が数多く聞こえてきたので『厄災の死神』を進呈させていただくこととなりました!』

「なんでそうなっちゃうの!?」
私がログインしてすぐに、ピコンッて通知の音がしたから確認してみたの。

で、そこに書いてあった内容なんだけど、要約すると…

運営からの調整メールとそのお詫び
ランキング選の報酬

の二つだったの。

それで、調整の方は両方とも私だけに送られてる通知みたいなんだよねー。

闘技場の報酬はランキングで違うからわかるんだけど、なんで修正の通知が私だけに?

まあ読めばわかるよね!



いつもご利用いただきありがとうございます。
この度、先日のランキング戦におかれまして発覚いたしました不具合について説明させていただきます。

現在、プレイヤーネーム『フウ』様が所持されている
スキル『生産の境地』についてですが、
専用武器である鎌との親和性が高かったようで
本来二つ所持できないスキルが重複してしまう
不具合を確認いたしました。

フウ様の努力によって得られたスキルではありますが
ゲームバランスの崩壊を招いてしまうと共に
今後のフウ様がゲーム攻略をより楽しんでいただく為
修正させていただく事になりました。

今回の不具合の補填についてですが、
天巫女の神鎌に付与されている『生産の境地』を天巫女の小太刀との連携能力としまして『生産の神業(生産時低確率で特殊能力を付与)』へと修正させていただきました。
また、初代ランキング戦王者限定装備の能力を出来うる限りで上方修正させていただきましたのでご確認いただきたく思います。
こちらはおまけなのですが、フウ様の所持されております特別訓練場に闘技場で開放されたコンテンツと同様のものを設置させていただきました。
詳細につきましてはランキング戦の報酬通知を見ていただければと思います。

これからもアイディアル・オンラインをよろしくお願いいたします。



ま、まあそうなるよね。

レベル130も盛れちゃったらバランス崩壊もいいところだよね…

まあそれは置いといて、次は本命の報酬だね!



この度、第一回ランキング戦第一位を獲得されました事、心よりお祝い申し上げます。

つきましては、下記報酬を贈呈させていただきます。

個人称号『厄災の死神』
 能力『称号セット時、全ステータス20%』

称号『闘技ノ神王』
 能力『称号フレームが金の王冠に変更可能』

闘技コイン『500枚』

ゴールド『500万G』

限定装備『厄災の死神シリーズ』
●死神の鎌
 評価 : 10
 能力 : 魂を刈り取る一撃『低確率で即死攻撃』
 特殊能力 : 厄災『全身装備時+ソロプレイ時+イベント、闘技場使用不可』『全ステータス+50%、物理・魔法攻撃20%軽減、全状態異常無効』

●死神の骸面
評価 : 10
能力 : 死神の恐怖『確率で相手に恐怖、威圧の状態異常を付与する』
特殊能力 : 厄災『全身装備時+ソロプレイ時+イベント、闘技場使用不可』『全ステータス+50%、物理・魔法攻撃20%軽減、全状態異常無効』

●死神のローブ
評価 : 10
能力 : 存在の消失『無音、無臭になり存在をも消す』
特殊能力 : 厄災『全身装備時+ソロプレイ時+イベント、闘技場使用不可』『全ステータス+50%、物理・魔法攻撃20%軽減、全状態異常無効』

●死神の浮遊靴
評価 : 10
能力 : 死せし者の宿命『浮遊状態となる』
特殊能力 : 厄災『全身装備時+ソロプレイ時+イベント、闘技場使用不可』『全ステータス+50%、物理・魔法攻撃20%軽減、全状態異常無効』



うん。凄いね…

使える状況の制限があるとはいえなかなか強いんじゃないかな?

まあ、現状だと天巫女シリーズの方が強そうだから試運転したら倉庫行きかなー。

大器晩成型って感じかな?

ピコンッ

あ、アヤカからメールだ。

《今から大物ゲスト連れてフウの家行くね!》

来るのは全然いいけど大物ゲストって!?

それからしばらくしてアヤカが来たの。

「やっほー。来ちゃった!」

「おはよう。それより大物ゲストって誰なの?」

「ん、おはよう」

「ファセリアさん!?」

「そ!付き添ってほしいって言われて連れて来ちゃった」

そんなてへっって顔されても…

「それでファセリアさんはどんな用事?」

「ん、フウに用事があって。ふたつ」

な、なんだろう…

「ギルドに、その。入れてほしい。一つ目」

「私の?大丈夫だけど、ギルド入ってなかったんだ」

「ん、私に勝った人に、入れてもらうつもりだった」

「なるほどね。そういう事なら全然大歓迎だよ!それで二つ目は?」

「ん、本気のあなたと戦いたい」

「あの時も言ってたもんね!いいけどその前にエルの服作っていい?」

「大丈夫」

「フウ、エルって?」

「あ、もしかしてあの時も土煙で見えてなかったのかな?神鳥の卵がファセリアと戦ってる時に羽化したの!」

「なるほどねー」

「ライムー、エルー!」

「フウー!」

「ままー!」

私が呼び出したらすぐに出て来て抱きついてくるライムとエルがすっごくかわいい!

「改めて紹介するね。エンシェント・エルニクスのエルです!エル、自己紹介できる?」

「うん!えーっと、エ、エルです!…」

「アヤカだよー!よろしくねー」

「ファセリア。よろしく」

「じゃあエルのお母さんからの遺言もあるし、装備作っちゃおっか!」

まずは素材の確認!

零天鳥の素材みたい。

嘴とか羽毛、皮とか骨なんかがあるみたい。

お肉もあるみたいだけど、これはエル的にはどうなんだろう…?

あとは…

零天タル神鳥ノ冠毛と零天タル神鳥ノ天翼。

貴重品に分類されてて使えないみたいだけど明らかにやばいやつだよね…

まあ現状どうにもできなし、いっか!

「これから作り始めるけど、アヤカとファセリアの二人はどうする?」

「うちはレベル上げに行くかなー!フウに負けちゃったし…」

「邪魔じゃなければ残る。見てみたい」

「わかった。ライムとエルは下で遊んでおいでー!」

「「はーい」」

じゃあ始めますか!

どうしよう?

ひとまず羽毛の一部を錬金術を使いつつ魔力を編み込みながらで糸に変換して。

残りの羽毛は後で使いたい事があるんだよね!

腕当てには皮と嘴使おうかな!

服はドレス風のローブにしてー。

あとは皮で靴、羽毛でアクセサリー作ってー、骨は溶かした後インゴットにしてライムの鎧でも作ろうかな。

あ、インゴット化してから錬金で糸にしてエルのローブに刺繍みたいに模様刻もうかな!

最初は一番時間かかりそうな骨のインゴット化からだね!

それじゃあ実験開始!

まず骨を炉に入れて、どれくらい熱したらいいか試してみよう。

骨自体は白いからとりあえず鉄と同じ容量で赤色になった時ともう少し高温のオレンジ色になった時で試してみよう。

……うーん。

どっちも失敗だなー。

ハンマーで叩いた瞬間粉砕したよね…

こりゃ本腰入れてもっと熱々にしないとダメかもね!!

それから色が白くなるまでやって試してもだったから、さらに高温を試す以外ないよね。

まあ、白より先色が変化するかはわからないし、逆に熱で崩れちゃう可能性もあるしね。

なんて思った側から粉砕したよね…

どうしよう…?

うーん、急激に温度上げてみる?

でもなー、ダメな気がするんだよねー。

それかあえて冷やしてみる?

ボスが使ってたの氷系だったしね!

確かエルが使えたはずだから地下の特別訓練場に行こうかな。

そこから私は二人が遊んでる地下7階の特別訓練場に向かったの。

中に入ったらライムとエルが遊んでるかと思ったんだけど、まじめに二人で戦闘訓練みたいな事しててびっくりしたよ…

まあ、あの二人はあれで遊んでるつもりかもしれないんだけどね。

「エルー!ちょっとお手伝いお願いしてもいいー?」

「ままー!いいよー」

「フウー、終わったのー?」

「ううん、上手くいかなかったからちょっとエルにお手伝い頼みに来たの」

それで私たちは鍛冶場に戻って作業に取り掛かったの。

「じゃあエルこれを冷やしてもらってもいい?」

「はーい!」

そう言ってエルは骨に向かって氷系統のブレスを吐くと、周りにダイヤモンドダストみたいにキラキラしてて、でもすごく眩しく輝き始めたの。

しばらくしたら輝きも収まってきて、ようやく中がどうなってるか見える様になってきたんだけど、ついにインゴット化に成功したの!

「エル、大成功だよー!」

「ほんと?ママの役に立った?」

「もちろんだよ!このまま全部お願いしちゃってもいい?」

「はーい」

そんな感じでみんなにっ見守られながらエルは予定してた分の骨を全部インゴット化してくれたの。

「さて、じゃあここからは私の仕事だね!二人はどうする?また下で遊んでる?」

「ライムは見てるー!」

「エルも見てたーい!」

「わかった、じゃあ始めるね!」

「ようやく鍛冶、始まるのね」

さて、インゴット化したら扱いは金属だし加熱して大丈夫だよね?

とりあえずエルの近接護衛用に包丁でも作っとこうかな!

零天鳥の骨インゴットっていうまんまな名前のインゴットを炉の中に入れて、温度が上がるのを待つ。

途中から鉄とかとは違って青白い光に変わったからここで試しに出して打ってみることにしたの。

これが大正解!硬すぎず柔らかすぎずですごく打ちやすいの!

ここからは流作業で熱しては打って伸ばして折り曲げては叩いて、熱してはの繰り返し。

妥協しないで一から金属を育てるように強く優しく素早く丁寧に。

ここから本当は焼刃土っていうのを塗って土置きっていう作業をしてから焼き入れをするらしいんだけど、今回はゲームだから省略して焼入れしちゃおう!

いつか一から本格的に作ってみたいなー!またアヤカに怒られる様なものができなければいいんだけどね…

さて、焼き入れも終わったしあとは研ぐだけだね!

これもゲームじゃなかったら相当大変なんだろうけど砥石を使ってしばらく研いだら刃がついて完成しちゃう。

てか、研いでて思ったけど、光に当たると青白く光ってすごい綺麗な包丁が出来ちゃった!

「ふぅー。こんなものかな」

「ママすごーい!」

「これは、美しいわ」

「ふふーん!フウはすごいんだよー!」

最後にあらかじめ量産してあった柄をつけたら完成だね!

それじゃあお待ちかねの!

「鑑定!」
それじゃあお待ちかねの!

「鑑定!」


●零天鳥の包丁
 等級:R
評価 : 10
能力 : ATK+90 INT+10 DEX+30
氷属性(小)
 特殊能力:冷凍切断『切り口を凍結させる』


う、うわー…

包丁なのにATKが90もあるよ?

しかもなんか特殊能力までついてるし…

これがあればドリップとか血とか気にしなくて楽だね!

…とはならないよ!?

サブウェポンみたいに武器として使ったら恐ろしい能力じゃん…

まあ出来ちゃったものはしょうがないし、次行こ次!

それで私は包丁のことを忘れて、まずは錬金でインゴットを糸に変換してー。

あとは包丁の時と同じ要領でインゴットを鍛えて皮と一緒にライムのライトアーマーと三人お揃いの指輪も彫金で作っちゃった。

で、能力がこちら!


●零天鳥のマジッククラウン(軽)
 等級:R
評価:10
能力:INT+5 DEX+5 MATK+5% DEF+3% MDEF+3%
    氷属性魔法強化+5% 氷攻撃耐性+5%
 特殊能力:零天鳥の祝福『全部位装備時 獲得経験値+5%』

●零天鳥のマジックメイル上(軽)
 等級:R
 評価:10
 能力:MATK+15 DEF+5 MDEF+10 INT+2% DEX+1%
    氷属性魔法強化+5% 氷攻撃耐性+5%
 特殊能力:零天鳥の祝福『全部位装備時 獲得経験値+5%』

●零天鳥のマジックアーム(軽)
 等級:R
 評価:10
 能力:MATK+15 DEF+5 MDEF+10 INT+2% DEX+1%
    氷属性魔法強化+5% 氷攻撃耐性+5%
 特殊能力:零天鳥の祝福『全部位装備時 獲得経験値+5%』

●零天鳥のマジックメイル下(軽)
 等級:R
 評価:10
 能力:MATK+15 DEF+5 MDEF+10 INT+2% DEX+1%
    氷属性魔法強化+5% 氷攻撃耐性+5%
 特殊能力:零天鳥の祝福『全部位装備時 獲得経験値+5%』

●零天鳥のマジックグリーブ(軽)
 等級:R
 評価:10
 能力:MATK+15 DEF+5 MDEF+10 INT+2% DEX+1%
    氷属性魔法強化+5% 氷攻撃耐性+5%
 特殊能力:零天鳥の祝福『全部位装備時 獲得経験値+5%』

●零天鳥の細工指輪
 等級:R
 評価:10
 能力:MATK+5% MDEF+5% INT+2%
    魔法攻撃強化+5%
 特殊能力:零天の障壁『光の障壁を出し、低確率で状態異常を無効化する』


…んー…

なんというか…

ライム用に作ったつもりだったんだけど。

これは完全にエルの氷属性特化用かファセリア用だね…

ま、まあ…気を取り直して次は…

真っ白な羽根糸と白銀の骨のインゴットで光に照らされて白銀に輝く雪原をイメージしたワンピースと他の部位の防具もまとめて作っちゃおっかな!

まずは錬金のスキルで羽根糸と金属糸を使って布を作るところからだね。

と、いうわけで合成したんだけど…

これってゲームに私の心読まれてたりするのかな?


⚫︎零天鳥の雪原布
 評価:10
 特徴:光を吸収して輝く美しくとても頑丈な布


私の想像通りの物が出来ちゃったよ…

まあありがたいんだけどさ…

これのレースバージョンも作っちゃおう!


⚫︎零天鳥の雪原布(レース)
 評価:10
 特徴:光を吸収して輝く美しくとても頑丈なレース布


よし!パパッと作っちゃおうかな!

まずは裁断からだねー!

とりあえず二着分作ろうかなー

……

まずあらかじめ作ってあった型紙通りに裁断してー

……

それで、ここ縫い合わせてー

……

この辺からレースでフリル作って付けていこうかなー

……

下は二重にして外側は透ける感じのレース生地してもいいかも。

……

あ、ウエストに紐あってもいいかも!

……

ミスリル糸も使って刺繍を入れて、よりドレスっぽく仕上げようかな!

そういえば、さっきからなーんか忘れてる気がするんだよなー…

まあいっか!

今回のイメージは貴族が着ててもおかしくない感じのちょっと豪華な感じにしようと思ってるの。

ミスリルの刺繍はピッタリかもしれないね!

あとはどんな刺繍にするかだけど…

まず場所は首周りから正面縦一直線に降りてく感じにして、あとは袖周りにも入れようかな!

形はどうしよう?無難に薔薇とかにしておこうかな?

いや、せっかくだから一枚一枚羽根の刺繍を入れていこう!

そうと決まれば早速…

……

このまま頭、手、足、背中も作っちゃおう!

まず頭はベールをイメージして両サイドに付けられる髪留めみたいにしようかな。

留める部分は羽根糸と骨インゴットの金属糸、それからミスリルの金属糸を駆使してふわふわな触り心地をイメージして羽根の束にしようかな。

手はドレスの未飴と合わせて透けるレース生地に軽く刺繍入れるだけにしとこうかな!

足は皮とミスリルを使って戦闘に支障がないくらいの低めのヒールにしよう。

最後は背中だね!今回ドレスにリボンつけなかったのは背中にこれを付けたかったからなんだよね!

そう、純白の翼!

実用性はないだろうけど可愛いは大事だもんね!

あ、でもエルはもし合う装備だったら翼四枚になっちゃうか。大丈夫かな?

とりあえず作っておけばいいよね。

よし、防具は出来たし、最後は武器だね!

包丁の時と同じ容量でライムの剣作って、エルは魔法系だから杖とか?

まずはライム用の剣をパパッと終わらせちゃってー

……

完成!

次は杖だね。

まあ剣と同じ要領でしょ!

……

とりあえず原型は完成だね!

次は装飾つけていこうかな。

彫金使って杖の頭部分に翼を二枚羽ばたく感じで左右につけようかな!

頭の先端部分、なんかつけたいなー。

宝石系は今持ってないし、彫金でなんか作る?

本当は宝石系が良かったんだけどガラスじゃ杖部分と釣り合わないしなー。

まあしょうがないよね…

あんまり思いつかないからミスリルで王冠みたいなの作ってつけておこうかな。

……

よし、これでようやく全部完成かな?


●零天鳥の剣
 等級:R
 評価:10
 能力:STR+20 INT+20 ATK+%5 MATK+5%
    光属性攻撃強化+5% 氷属性攻撃強化+5% 物理攻撃強化+5%

●零天鳥の杖
 等級:R
 評価:10
 能力:INT+30 DEX+15 MATK+10%
    光属性攻撃強化+5% 氷属性攻撃強化+5% 魔法攻撃強化+5%

●零天鳥のツインベール
 等級:R
評価:10
能力:INT+8 DEX+5 MATK+5%
    光属性魔法強化+5% 氷属性魔法攻撃+5%
 特殊能力:零天鳥の加護『全部位装備時 魔法攻撃強化+10%』

●零天鳥のドレス
 等級:R
 評価:10
 能力:INT+8 DEX+5 MATK+5%
    光属性魔法強化+5% 氷属性魔法攻撃+5%
 特殊能力:零天鳥の加護『全部位装備時 魔法攻撃強化+10%』

●零天鳥のアームスリーブ
 等級:R
 評価:10
 能力:INT+8 DEX+5 MATK+5%
    光属性魔法強化+5% 氷属性魔法攻撃+5%
 特殊能力:零天鳥の加護『全部位装備時 魔法攻撃強化+10%』

●零天鳥のパンプス
 等級:R
 評価:10
 能力:INT+8 DEX+5 MATK+5%
    光属性魔法強化+5% 氷属性魔法攻撃+5%
 特殊能力:零天鳥の加護『全部位装備時 魔法攻撃強化+10%』

●零天鳥の翼
 等級:R
 評価:10
 能力:VIT+15 INT+15 DEF+5% MDEF+5%
    光属性攻撃耐性+5% 氷属性攻撃耐性+5%


うん、とりあえず剣と杖はいいとして防具だよね…

欲しかった光属性攻撃強化はついたけど氷属性攻撃強化も一緒だし攻撃強化系の能力に特化しすぎてる気がするなー…

氷属性攻撃強化もついてるからライム専用って感じでもないしなー。

まあ強い事には強いんだけどエル専用の攻撃特化型装備って感じがするなー

とりあえず二つ作っちゃったし、今のライムの装備よりかは強いしエルとお揃いで着てるところ見たいから装備はしてもらうけどね。

その代わりに翼がセット装備になってない代わりに防御特化って感じになってるね。

防御は翼とアクセサリーで補うしかないかな。

あ…

あああぁぁぁーーー!!!

なんか忘れてると思ったら、今日作った装備全部付与するの忘れてるじゃんっ!!!

やっっっちゃったぁ…

うわぁーもったいない…

今更後悔しても遅いけどやっちゃったなー。

この性能に付与させたらもっと強く…

ん?

んん???

今気づいたけどこの等級Rってなんだろう?

特に説明ないし現状わからないから今度アヤカにあったら聞いてみようかな。

「あなた、本当にすごい」

「うわっ」

びっくりしたー…

みんなが居るのすっかり忘れてた…

「ありがと。お待たせ」

「フウー、ライムの服出来たー?」

「ママ終わったのー?」

「うん、終わったよ。向こうで着替えておいでー」

「「はーい!」」

「エルちゃん行こー!」

「うん!」

かわいいなー。それにしても、二人とも仲良くなれたみたいで良かったよ。

「あ、そうそう。ファセリア、これ使ったりする?」

そう言って私は最初に作った防具の零天鳥の軽鎧シリーズを見せたの。

「…こんなに強い防具、初めて見た。いいの?」

「うん、本当はエルのために作ったんだけど、エルにはお母さんと同じように光と氷両方使って欲しいから」

「そう。それなら、使う」

そう言いながら装備を受け取ったファセリアはわかりやすく顔が微笑んでたの。

かわいいなー!

「そう、今日はもう一つお願い、あるの」

「ん?どうしたの?」

「あなたと戦いたいの。本気の」

「大会の時、別に手抜いてないよ?」

いやいや、あの戦いで手なんて抜けるわけないじゃん!

「うん。わかってる。違うの、従魔術師でしょう?仲間全員と、戦いたいの」

「あ、そういうことね。そういう事なら全然構わないよ!私もそうだけど、ライムとエルのいい戦闘訓練にもなるし!」

「ありがとう」

「じゃあ今から地下の訓練場行く?」

「うん」

そのまま私たちは地下訓練場まで行って対戦準備をしてたの。

「ねえ、ライムは人とも戦った事あるし戦闘経験もそれなりにあると思うけど、エルはまだ戦った事ないけど大丈夫?」

「ライムは大丈夫ー」

「ままのために頑張るよ!それにね…卵の中にいた時ね、お母さんがね。戦い方とかー、獲物の取り方とかー、お母さんが今まで経験してきた事とかー、いっぱいいーっぱいね、教えてくれたの!だから大丈夫だよ!」

え…?卵の中にいた時…?教えてくれた?スパルタ教育か何かかな…?

「そっか、エルもちゃんと産んでくれたお母さんの記憶あるんだね。良かった」

「うん!」

可愛いなー!頬を赤らめながらにっこり笑うエルほんと天使みたいっ!

「ままの事もお母さんの事も大好きっ!」

「あー!ずるーい!ライムもフウの事大好きだもん!」

そう言いながら抱き付いてくる二人を可愛さに悶えそうなのを必死に堪えながらぎゅっってし返したの。

「…はぁ…。尊いわ…」

ボソッとファセリアが呟いたその声は私たちに届くことはなかったよ。

「よし!じゃあそろそろ戦い始めようか!」

こうして私たちの熾烈な戦いの火蓋が切られたの!
転移装置に乗って地下の訓練場にきた私達はお互い初めて戦った時みたいにすごく緊張してたの。

お互い緊張しすぎて訓練場の戦闘を開始する位置に行くまで一言も喋らなかったくらいだもんね。

「じゃあ準備出来次第始めちゃおっか」

「わかった。いつでも、構わない」

「ライムとエルは準備大丈夫?」

「「うん!」」

「じゃあカウントダウン表示するねー」

私が訓練場のシステムを操作して5秒からカウントを始めたの。

5、4、3、2、1って進んでって0になったと同時に開始のブザーがなったの。

その瞬間私は空間操作を使ってファセリアの少し後ろに飛んで、重力操作でファセリアの行動を妨害したの。

ファセリアは妨害されながらもなんとかニブルヘイムを発動させて、辺り一面極寒地獄。

ライムは光剣を作り出して自分の剣と共に正面突破。

エルは背後に水魔法で分身を作り出して、分身の半分が羽根の槍を放ってる。

分身のもう半分は、魔力で光が屈折する雨を作り出してる。

それでエル自身は神鳥の威圧って言う固有能力のデバフをファセリアに、神鳥の加護っていう固有能力のバフを私とライムに掛けてくれたの。

それを見た私はタイミングを見計らってファセリアに向かって跳躍して鎌を構えたの。

鎌を構えたのを見計らって、エルが集光レーザーを空から放射。

次の魔法を使おうとしてたけど流石のファセリアも四面楚歌状態じゃどうにも出来なかったのか自分の周りに氷の結界を貼ったの。

でもその瞬間、屈折して四方八方から襲い掛かる集光レーザーで穴が開くとまではいかなかったけど、かなり脆い状態まで溶かされちゃったの。

そのままタイミングを見計らうかのようにエルの分身が放った羽根槍が結界にヒビを入れて、そのままライムの攻撃で結界が崩壊。

最後に私の重力操作で威力を増大させた鎌での攻撃がファセリアに直撃。

ファセリアの体力のほとんどは削れたけど倒しきれない…。

その瞬間、ファセリアが結界内で発動させていたトラッキング・ダンスが私達めがけて飛んできたの。

ライムは光剣で全部破壊してて、エルも集光レーザと羽根槍で難なく破壊。

それで私はというと、鎌で破壊できる数にも限界があって体力半分持っていかれちゃった。

この手数問題は私の今後の課題かなー。

そんな事を思ってたら…

「まま、大丈夫?」

そう言いながら私の体力が回復。

そんなやりとりをしてる間にもライムとエルの分身がファセリアが体制を立て直さないように牽制。

集光レーザーとかライムの剣がじわじわとファセリアの体力を削ってたの。

そのまま私達が二回目の総攻撃を仕掛けてそのまま決着。

「お疲れ様」

「お疲れ様ー!」

「手も、足も出なかったわ…。パーティーみたいな、ものね。個人で」

「だねー!さすがは私達の世界一可愛い魔王様だよー!」

「え!?アヤカ!?なんでここに居るの?」

「いやー、やっぱり戦いが気になっちゃってねー!見にきて正解だったよ」

「それより魔王様ってなに?」

「あーそれね。ネットの一部で話題になってるの」

(まー、話題にしたのうちなんだけどねー。死神とか厄災とかちょっと可愛くないし!)

「そ、そうなんだ…」

「いやー、それにしても本当にパーティー戦みたいだったね〜。もう現状最強なんじゃないの?」

「あはは、私だけだったら敵わないかもしれないけどね。またやろっ!楽しかったし」

「ん。戦いたい」

「フウはこの後どうするの?」

「んー、最近料理の開発してなかったから料理しようかなーって」

「ファセリアさんはどうする感じー?」

「ん、レベル上げ。足らない、まだまだ」

「そっかー。じゃあうちはライムちゃんとエルちゃんと遊びたいなー!二人が良ければだけど」

「二人ともどうする?」

「「「遊ぶー!」」

「じゃあアヤカ二人のことお願いしてもいい?」

「任せてっ!」

それからみんな出てって久々に一人だよ。

じゃあ早速料理しようかな。

何作ろう?

料理の開発自体は焔龍皇の時以来かな?

あれから固有クエストがあったりイベントがあったりで忙しかったしね。

新しい食材もあんまり手に入れてないしとりあえず持ち物確認してから作ろうかな。

んー、新しい食材といえばこの間の固有クエストの道中で手に入った鶏とか鹿くらいかなー。

あの時はボス攻略一直線で探索なんて全然やってこなかったもんなー。

また今度探索に行かなくっちゃ。

とりあえず水晶鹿っていう歯科を作って今ある食材で何品か作ろうかな。

どうしよ?

ロースは低音調理でロースト風にしてももは何がいいかなー。

ローストで時間かかるしアヒージョにでもしちゃおうかな!

そしたらまずは時間かかるものからやってこうかな。

まずは水晶鹿の骨を流水で掃除するんだけど…。

ゲームだから綺麗だねじゃあオーブンに入れてとりあえず焼こうかな。

次は水晶鹿ロースと一口大に切った水晶鹿のももを真空パック用の袋に入れてー。

そこにニンニクの付け根だけカットして包丁で軽く叩いた皮付きのニンニクとー。

フレッシュローズマリーを入れたらオリーブオイルも入れてー。

そしたら真空にしてこのまま2時間くらいマリネにします!

って言ってもゲームだからタイマーセットしたらその時間進んじゃうんだけどね…。

ここからはあローストに合わせるソース・ポワヴラードっていうのを作っていくよっ!

次は水晶鹿の筋をある程度細かく切ったら油を引いてフライパンで炒めるの。

火が通ったら一回取り出して粗みじん切りにしたエシャロット、人参、セロリを入れて炒めるの。

ここでさっきの鹿を焼いたフライパンを洗わないでそのまま入れてフライパンにこびりついてる焦げもしっかり落とさなきゃね。

これが旨味の素で大事なんだから!

香味野菜に火が通ったらローリエとホールの黒胡椒、セロリの葉、パセリの茎、タイムのブーケガルニと赤ワインビネガー、赤ワインと少量のマデイラワインを入れて水分が無くなるまで煮詰めるの。

そろそろロースを低温調理していくんだけど、これもタイマーでできちゃうから後回し。

ここであらかじめストックとして作ってあったフォン・ド・ヴォーっていう仔牛の出汁を入れてまた半分くらいになるまで煮詰めるよ。

ただ骨から出汁を出したいから5時間くらい煮込むことになるからタイマーで省略。

本当なら水を足しながら煮込まなきゃいけないんだけどね。

最後にシノワでしっかり漉したらソースの下準備完了!

あと今回は格式が高すぎないイメージしたいから、ちゃっちゃっとマッシュポテトを作っちゃって。

一旦脱線してもも肉をスキレットに入れてそこにマッシュルームとしめじ、マリネで入れてたニンニクの皮を剥いて半分に切って芽をとったらそのまま入れちゃおう!

芽を取るのは芽が焦げやすいから!

これはもも肉に火が通ったらパセリ散らして完成だね!

そしたら元の作業に戻って、ロースの表面をバターと少量のオリーブオイルを引いたフライパンで強火で焼き色だけつけるイメージでささっと焼いちゃう。

ソースは一回温めたらバターを入れて乳化させてとろみとコクを出して最後に引き立ての黒胡椒を入れて完成!

最後にロースを焼いてたフライパンの油の量を調整して、塩胡椒でクレソンをサッとソテーしちゃう。

じゃあ一番緊張するロースのカット行こうかな。

一応タイマーの詳細設定で芯温の設定もしたから大丈夫だと思うけどね。

…よし!綺麗なロゼ色になってる!

さすがゲーム…現実じゃ結構手間暇かかるからね。

最後に盛り付けしてアヒージョにはバゲットを添えたら完成だよ!


⚫︎フウ特製水晶鹿のロースト ソース・ポワヴラード
 評価10

⚫︎フウ特製水晶鹿とキノコのアヒージョ バゲットを添えて
 評価10


んー…これのレシピは手間が多いから保留かなー。

今回で一応5人前ずつは作ったからあと一回作れば開放されるんだけどね。

じゃあ今日は食べて終わろうかな。

アヤカにチャット送ってくるの待ってる間に4人前テーブルセットしちゃおう。

……

あ、来た。

「ずいぶん早かったね」

「とーぜん!フウの新作でしょ?」

「ライムおなかぺこぺこなの〜」

「エルもおなかすいたよー」

「まあね。じゃあ食べよっか! いただきます」

「「「いただきまーす!」」」
さて、今回は食材集め兼厄災の死神装備の試運転がてら1階層の探索にでもいこうかな。

ただ、従魔も連れて行けないから完全ソロプレイなんだよね。

ソロなんてライムと仲間になる前のちょこっとの期間ぶりだよ!

なんか初心に帰った感じだよねー。

それじゃあしゅっぱーつ!

って言ってもどこに行こうかな?

とりあえず行ったことない所とライムと会った場所の二か所に行ってみようかな。

………

んー、あれからしばらく探索してみたけど全然敵と会えないなー…

装備がいけないのかな?

エンカウントを下げる効果なんて付いてなかったと思うんだけど…

確率で発動する能力の死神の恐怖が私の幸運値のせいで発動してる…なんて事はないよね!

そもそもエンカウントしてない敵にも発動するかすらわからないしね。

まあ、見つかるまで探索するしか無いよね。

なんて思ってたら後ろからプレイヤーの声がしたの!

「こんにち…」

私が振り返って挨拶しようとしたのに。

「う、うわあああぁぁぁ!!!」

「きゃぁぁぁっ!!!し、死神!?」

「くそっ…なんでこんな所にっ…」

三人パーティーだったんだけど挨拶の途中で全員に阻まれちゃった。

弓使いの男の子は悲鳴上げながら腰抜かしちゃってるし、魔法使いの女の子は叫びながら頭を抱えて蹲ってるし、タンクの大男は諦めて地面に手をついちゃって…

なんか申し訳ないことしたかな…

「あ、あの…」

私ちゃんと説明しようとしたんだよ?でもまた阻まれちゃった。

「くそっ!ふざけやがって!せめて一矢報いてやるっ!」

弓使いの男の子が私に向かって矢を放ってきたの…

「あ、おい!バカ!!敵対しなければ襲ってこないかもし…」

タンクの大男が止めようとした時にはもう私に矢が当たっちゃって。

このゲーム特殊なルールがあってPvPの先頭に二種類あるの。

一つは一般的な決闘、お互いが承諾して始まるやつだね。

二つ目はプレイヤーキラーが出ないように、攻撃された初撃のダメージを無効化して攻撃された側が攻撃した側に一撃与えて終わりの『断罪』システム。

攻撃した側は所持金の半分を攻撃した相手に強制譲渡な上に『罪の欠片』っていう称号勝手にがついちゃうの。

これは獲得時から二十四時間のステータス半減っていうデバフが付与されて効果が終了した後にもストックとして残り続けるものなの。

サッカーよくわからないけど、イエローカードみたいなものかな?

それに攻撃した側は一撃与えられて倒されちゃうとデスペナルティのおまけもついてくるしね…。

今回の件が私の格好のせいだったとしても私が攻撃しないと終わらないわけで、それはつまり…。

「あー、なんかごめんなさい。私プレイヤーなんです」

私が謝ると攻撃前に冷静になってたタンクの大男が会話に応じてくれたの。

「この二人の父親でハイカラという。うちの子が本当に申し訳ございません。二人もちゃんと謝りなさい」

ハイカラさんが男の子と女の子の頭を掴んで下げながら自分んも頭を深々と下げた。

「「ごめんなさい…」」

このシステム謝罪を受け入れたらなしになるとかあればいいのにね。

「大丈夫ですけど、このシステム攻撃しないと終わらないので…こちらこすみません」

どうしよう?なんかすごく申し訳ないな…。

あ、そうだ!

「私、フウって言うんですけど、この後今日のリアルで十八時頃もし予定が空いてましたらフウ・アトラテスト商会まで是非いらしてください。一階層のメイン広場に支店がありますので」

「か、かしこまりました。伺わせていただきます」

「それじゃあ失礼します」

私は申し訳なさいっぱいで三人に釜を振り下ろした…三人は一撃で街に飛ばされちゃった。

よし、気を取り直して探索続けよう!

………

それからしばらく探索を続けてたんだけど、全然敵と合わないの!

これもう能力発動しちゃってるんじゃないの?

そんな事考えながらもう諦めて帰ろうと思った時だったの。

「ぴゃあああぁぁぁ!!!」

私の後ろから悲鳴が聞こえてきて。思わずああ、またか。って思っちゃった。

「あの、すみません」

「きゃぁぁぁ!ししし、し、しし、死神さんが近づいてきますぅ〜!!!やめてください。やめてください。ごめんなさい。すみません。わわ、私を襲わないでくださいですぅ…」

そう言いながら木の後ろに隠れてこっそりこっちを覗ってる…。

「大丈夫ですよ。襲ったりしませんよ」

「はうぅ…。つよつよな敵さんかと思ってびっくりしちゃいましたよぅ…」

「初めまして。フウです」

「ひゃんっ」

…???

「木にスカートがっ…んーーえいっっ!」

ビリビリビリ。

あーあ…。

「あっ、スカートがぁ…。あ、ごめんなさいです。エルメリアでしゅっ…です」

「いえ、驚かせてすみません。それでは」

「は、はい!」

そのまま普通に別れて私はまた探索に戻った。

筈だったんだけど、数分後少し離れた距離から悲鳴が聞こえたから助けに行ったの。

まあ、エルメリアだよね。

「あっ、あんっ…い、やだ。やめ…」

…まあそう言う人もいるよね。

言いたいことを飲み込んだ私はそのまま鎌を一振り。五体のレッサーウルフを倒した。

「大丈夫…?」

「はうぅ…。助けていただいてありが…ぴぎゃぁぁぁーー!!!」

また?

「…あれれ、よくみたらさっきの死神さんのフウさんですぅ…よがっだ〜〜!」

忙しい人だな…。

「この辺の敵倒せないなら森より草原の方がいいと思うよ?」

「い、いえ…」

「ん?」

「それが、その…」

「うん」

「ま、迷子なんです…」

「あー、うん。そうなんだ」

ちなみにね?私が今いるの森って言っても整備された道のところでまっすぐ道なりに進めば草原に出るんだけどな…。

「この道を南にまっすぐいけば草原に戻れると思うから。それじゃあ…」

「あ゛あ゛ぁー!ちょ、ちょっとまって下さい!助けてほしいんですぅ…」

ローブにしがみついてきた…。

うーん、ちょっとめんどくさいなー…。

「お、お願いです!スキルの使い方教えて欲しいんです!」

…え?スキル?それがわからないのにここに居るのはまずいし、まあそれくらいなら…。

「わかった。じゃあ一旦草原行こっか」

「あ、ありがとうございますっ!」

それから私たちは草原に着いたんだけど。

「じゃあまずはちゃんと自己紹介しますねっ!エルメリア十三歳中学生ですっ!ジョ…ブ?って言うのはわかりません…」

「えっとエルメリア?こういうゲームで年齢とかはあんまり言わない方がいいと思うよ?」

「そうなんですか!?じゃあ、次から気をつけますぅ…」

「って言うかこのゲームジョブシステム無い代わりに特殊能力の中にジョブみたいなものがあるんだけど、教えるために何の特殊能力取ったか教えてもらってもいい?」

「はい!これです!」

ステータス画面を見せてもらったんだけど。


エルメリア Lv1 所持金 : 約5,000G

●ステータス ステータスポイント 100p (ロック中)
HP 100 MP 100

STR 0 VIT 0 INT 0
MND 0 DEX 0 AGI 0

⚫︎装備
・武器 :
・頭 :
・胴 :
・体 :
・手 :
・腰 :
・足 :
・背 :
・アクセサリー
① :
② :
③ :

⚫︎特殊能力
 

⚫︎能力


⚫︎称号
 純真無垢たる???の愛し子 ???の庇護



ん?

あ、あれ?

おかしいな…称号二つ以外何も見当たらないな…。

「ね、ねえ。始めた時何も取らなかったの…?」

「は、はいぃ…名前以外何もしないで始めちゃって…」

称号は…?

えっと『純真無垢たる???の愛し子』と『???の庇護』って言うんだ。???は何で見れないんだろう?

効果はっと…


⚫︎純真無垢たる???の愛し子
 何一つ持たぬ自然な状態の者に与えられる称号。
 ステータスポイント、経験値が入手出来なくなる。
 条件を満たすまでの間、能力や称号が入手出来なくなる。
 ???の後継者。??の力をその身に宿し、大自然の力を行使できるようになる。

⚫︎???の庇護
 PvPを除くその他の戦闘で死亡しなくなる。
 ??が助けてくれるようになる。


何これ!?

大自然の力とか死なないとか、何かが助けてくれるのは強そうなのにステータスポイントと経験値が手に入らないとかそんなことあるんだ…。

デメリットデカすぎじゃない!?

「なんかステータスすごいことになってるね…」

「え!?そうなんですか!?」

「いや、なんでエルメリアが驚くの…」

「ゲームとかやったことなくって…」

それで片付けていい問題かな…。

これはあれだ。

最近よく聞くポンってやつだ。

なんかちょっと可哀想だし装備作って上げようかな…。

「あのね、エルメリア?特殊能力一個も取ってないからスキルは使えないの。代わりに少しでも戦えるように装備作ってあげるから私のお店に行こっか」

「ふぇ?い、いいんですか!?ありがとうございましゅ…す」
そまま私は探索を切り上げてお店に戻ることになったの。

「こ、ここまでついてきちゃいましたけど…ほんとによかったんですか…?」

「ん?ああ。全然大丈夫だよ!私も不遇って言われてる能力で始めちゃったからねー」

「そ、そそ。そうなんですか!!?」

「う…うん」

びっくりしすぎたのかエルメリアの顔が私の顔とくっつきそうだよ…。

人ってびっくりするとここまで変わるんだね。

「は、はぅぅ…すすす、すみません!」

我に返ったんだ。

「気にしなくて大丈夫だよー」

そんな事しながら歩いてたら私のお店の一階層支店に着いちゃった。

そのまま私のお店に入ったんだけど…

「「「フウ様、お疲れ様です」」」

私一応ギルマスで店長じゃん?

だからまあ、みんなに挨拶されるでしょ?

「ひぇぇぇぇっっっ!!!」

まあそうなるよね…。

「なな、何ですかっこれ…フウさんってお貴族様か何かですか…」

「いやいや、そんなんじゃないよ。ただ私は成り行きでギルマスやってるだけだし。とりあえず奥に案内するね」

「は、はい…」

まあ萎縮しちゃうよね…なんかごめん…。

………


「それじゃあまずはどんな装備にするか相談しようか。どんな見た目が良いとか、こんな性能がいいみたいな希望ある?」

「えっと、ゲームやった事なくって…どんなのがいいとか全く分からないんです…」

「うーん、じゃあどんな武器使ってみたいとかあったりする?それに合わせて作るよ」

「わ、私不器用なので手に持って戦う物ではない方が…その、いい気がします…」

「手でもなない武器かー。なんかあったっけな?」

武器リスト見てみよっかな。

うーん。無いな。

私みたいな固有武器作る?

手にもたないものって何だろ?

本は多分手に持つし…

私が生産職の固有武器に考えてた物も全部手に持つからなー…。

ライムの光剣は魔法だしなー…。

手に持たない物…手に持たない物…。

うーん…。

オーブぐらいしか思いつかない…。

「現状基本武器に手に持たない武器がないから、自分で作るしかないんだけど。オーブとかどう?作れるか分からないし手に持たないかどうかも分からないけど…」

「ぜ、全然大丈夫です!」

「わかった」

さて、作るとは言ったものの…

オーブなんて作った事ないし、どう作ったらいいんだろう?

とりあえず手持ちに何かないか確認してみようかな?

うーん、オーブになりそうな素材…なりそうな素材…

分からない。

こんな時のアヤカじゃん!

今ログインしてるかな?

お、ちょうどしてる。

とりあえず邪魔しちゃ悪いからチャットだけ送っとこ。

あ、返信きた。

『今そっち行くー』

返信はやっ!てか来てくれるんだ。


………


それから少ししたてアヤカと合流したんだけど…

相変わらずフットワーク軽すぎなんだよなー。

「それで、どうかしたの?またなんかやらかしちゃった?」

「どうしてやらかした前提になるのよ!そうじゃなくってね、ちょっとオーダーメイド武器の相談に乗って欲しくて…」

「なるほどねー!いいよ。でも、フウの方から生産についての相談なんて珍しいね」

「うん。今回の案件はアヤカの方が詳しいかと思って」

「そういうことねー。それでどんな相談?」

「その前に紹介するね。こちらエルメリア。死神装備の試運転をしてた時に一階層の森で出会ったの。エルメリア、こちらはアヤカ。一緒にゲームを始めた友達でこのギルドのサブマスターだよ」

「初めましてー!ウチはアヤカだよ。よろしくねー」

「はうぅぅ…は、初めまして…です。エルメリアといいましゅっ…ぴゃっ。ふぇぇぇ…舌噛んじゃいましたぁ…あ、すす、すみませんっ!よろしくお願いします!」

「だ、大丈夫かな…?」

「はは、はいぃぃ!すみましぇん!人見知りで…」

「いいよいいよーゆっくり仲良くなろっ!とりあえずフレンドなっとく?」

「あ、ありがとうございます…」

「それでね、アヤカ。エルメリアのステータスを見てもらった上で相談に乗って欲しいんだけど。エルメリア、アヤカにステータス教えても大丈夫?」

「は、はい。お願いします。ア、アヤカさんこちらです…」


………

んーっと。ん………??????

あれ、ウチの目がおかしくなったのかな…?

ステータスにスキルに所持金がチュートリアル前の初期値…?

どういう事…?

やばい、ウチの頭が追い付かない…。

あれ、でも称号は持ってるんだ…。

これってまさか…?

いや、さすがはフウだね。普通じゃない初心者連れて来ちゃったよ。

これは何としてもギルド誘いたいっ!

………


「アヤカどう?」

「いやーこれはなかなかだね…」

「それで手に持たない武器を作って欲しいって依頼なんだけど、オーブ以外思いつかなくって…」

「なるほどねー。それならオーブは手に持つタイプになる可能性が高いから別のにした方がいいかなー。武器リストにない武器作ってもし対象者の固有武器になっちゃったらもう他の固有武器は出来なくなっちゃうから確実な物の方がいいから」

「そうなの!?私だけだったら危なかったじゃん…」

「だからアクセサリー型の武器とかにしてみたらどうかな?」

「どういう事?」

「武器の形に囚われないで指輪とかブレスレットを杖みたいな感じの媒体として使う感じ!まああとはガントレットとかになっちゃうけど固有武器にはならないからやめた方がいいと思う」

「なるほど、ありがと!助かった」

「いえいえー。それじゃあ頑張ってねー!」

颯爽と去って行っちゃった。

イケメンじゃん。

アクセサリー型の武器かー。

「エルメリア、どう?アクセサリー型の武器なら完成できれば確実に持たなくてよくなるけど」

「は、はい。す、すごくいいです!」

さっきと食いつきが違うからこっちで正解かもね。

じゃあ作っていくけどアクセサリーを武器として作るからちょっと難しいのかな?

まあなるようになるよね!

まずは素材だけど…

ひとまず金属部分はミスリル使うとして、装飾の部分の宝石持ってないからまた彫金で作ろう。

そういえばミスリルって魔力伝導率が凄くいいらしいけど、熱加工じゃなくて魔力加工で作ったらどうなるんだろう?

ちょっと試してみようかな!

これは錬金と彫金になるのかな?鍛治ではない気がするけど…。

まあやればどっちかわかるよね!

っていうか全部使ってみよ。

先入観は良くないもんねー。

よし!まずはミスリルを鍛治でインゴットから板に、板から棒にする作業かな!

………

うん。順調だね。

次は鍛治で出来た棒を三つ編み風の編み込みと接着を錬金でやろう。

それから飾りと触媒を兼ねて水晶と一緒に入れちゃおう。

水晶はダイヤモンドカット風にしよう。

………

いい感じに出来た!

そしたら最後は彫金だね。どんな模様にしようかな?

大自然の力を行使できるって書いてあったしそれに関係するやつがいいかな?

純真無垢って花言葉なんかあった気がするけど何だったっけな?

うーん…。

「ね、ねえエルメリア?純真無垢が花言葉の花ってなんかあった気がするんだけど、何か知ってたりする?」

「は、はい!純真はミミナグサという花の名前です!無垢は白百合です!ミミナグサは最近では外来種に場所を奪われつつあって絶滅危惧種に指定されるほどでは無いですが都会などではなかなかお目に掛かれなくって小さい五枚の花びらがすごくかわいい花で私の誕生花でもあるのでなんか親近感湧いちゃってそれに白百合はじゅ………はっ…はわわわわわわわ…す、すすすすみません…わ、私なんだか熱くなっちゃって。そ、その…」

すっごい流暢でめちゃくちゃ早口で話すね…。

「だ、大丈夫だよ…。それより花好きなんだね」

「は、はい!私のお母様がフラワーコーディネーターなので、その影響で…」

「なるほどね。それでどっちの花がいいとかある?」

「あ、えっと…出来ればその、両方がいいんですけど。出来たりしますか?」

「わかった。じゃあミミナグサの見た目分からないから一旦調べるから落ちるね。少し待っててー」

「は、はい」

………

「お待たせー」

「早かったですね」

「まあ調べただけだからね」

それじゃあ彫金始めようかな!

ミミナグサの方が小さいからメインはそっちにしてまばらに白百合を彫る感じにしようかな。

付与は物防、魔防にあとは付くか分からないけどHP自動回復効果も付けられたら付けたいなー。

………

よし!完成かな!

●無垢なる依代
評価 : 10
能力 : +5,000
??の依代『宿る??によって効果が異なり、特殊能力が追加される事もある』
付与 : 物理防御(小) 魔法防御(小) HP自動回復(微)



《特殊武器 ブレスレットがプレイヤー名 エルメリアの固有武器になりました》

よし、固有武器にもなったしいい感じのが出来たかな!

HP自動回復効果の微って多分小よりしたって事だよね…?

ま、まあ付いただけまだいいか。

「エルメリア、出来たよ」

「ほわあぁぁ!!す、凄いです!凄すぎます!ありがとうございます。デザインもとっても可愛いです」

「気に入ってくれたなら良かった。防具もパパッと作っちゃうね」

「そ、そんな。悪いですよ」

「いいのいいの。私が好きでやってるんだから」

「な、何から何までその。ありがとうございます!」

それから私はミスリル糸とシルクを使ってワンピースを、白兎皮を使ってサンダルを作ってあげた。


●シルクミスリルのフリルワンピース
評価 : 10
能力 : HP+500 MP+1,000
魔法防御(中)
付与 : 物理防御(小) 魔法防御(小) MP自動回復(微)

●白兎皮のサンダル
評価 : 10
能力 : AGI+10
ジャンプ力強化(微)
付与 : 物理防御(小) 魔法防御(小)


こんな感じになったよ。

私の大事な素材を除いちゃうとあんまり白系の素材って無いんだよね。

今度素材集めの旅にでも出ようかなー。

「はい。これで来たやつ」

「助かります。本当にありがとうございます!」

うん。その満面の笑みが見れたなら作った甲斐もあったね!

それからその日は解散になったんだけど、後日アヤカから連絡があってエルメリアがギルドに入ったって聞いたの。

もうびっくりだよ!
エルメリアがギルドに入って数日後改めて死神装備で探索して色んなものを撮りに行こうとしたんだけど、珍しくガゼルさんから連絡が入って役所に行くことになっちゃったの。

………

役所に着いて受付にいたお姉さんにお願いしてガゼルさんに取り次いでもらう様にお願いしたら所長室に案内されたの。

ドアをノックして挨拶をして入ったら笑顔でこっちに手を振るガゼルさんと同じく立って会釈する知らない女性がいたの。

「おう、フウ。すまんな急に呼び出したりして」

「いえいえ、いつもお世話になってますから。それで話っていうのは?」

「まずは紹介させてくれ。こいつは…」

ガゼルさんがこいつって言った瞬間に隣に座ってた女性が鋭い目つきでガゼルさんを睨んだの。

こわ…。

それに気づいたガゼルさんが咳払いをしてからまた話し始めたの。

「こちら、俺のリアルでかみさんのライラって言うんだが何でもフウと話がしたいらしくてな、橋渡しをさせてもらった」

「初めまして、フウちゃん。ライラって言います。よろしくね」

「よ、よろしくお願いします」

うわ、すっごい色っぽい…キャラメイクかもだけど艶々の茶色いストレートロングとか、服からはみ出そうな大きな谷間とか…何より泣き黒子がより色っぽさを出してる気がする。

すっごい綺麗な人…。

いけないいけない。

「そ、それで話っていうのは?」

「うん。フウちゃんお店で色んな物出してるでしょ?分業してみるつもりはないかなと思ってね」

「分業ですか?また急にどうして?」

「フウちゃんのお店っていつも一号店も二号店も大行列で混むのに一時間くらいで完売しちゃうでしょ?」

「まあそれはありますけどお陰様で私が探索や攻略に出られるっていうのもありますし…」

「ええ、そこはフウちゃんのスタイルだし大事にしてもらいたいの。ただね需要に対して供給が追いついてなさ過ぎるのも勿体無いと思ってね」

「確かに、せっかく買いに来てもらってるのに買えないまま帰してしまうのは前から申し訳ないとは思ってましたけど」

「そこでね!」

うわっ!びっくりした…ライラさん急に前のめりになるじゃん。

「そこで今度実装予定の生産職救済措置のプレイヤー及び、NPCの弟子認定制度を使ってフウちゃんが獲得してる生産能力それぞれに弟子を設けて武器鍛治店舗、防具鍛治店舗、裁縫防具店舗、裁縫おしゃれ装備店舗のメンズとレディース、木工具店舗、彫金アクセサリー店舗、錬金店舗、薬剤店舗、素材販売店舗、それから料理店に関しては和洋中それぞれ食べ歩き専用、ファーストフード形式、各専門店、居酒屋、それから価格別に〜一千円、〜二千円、〜三千円、〜五千円、〜一万円、高級店として三万円〜五万円、超高級店として十万円〜のお店にそれぞれ分業して今までフウちゃんが販売をしてたギルドホームをフルオーダーメイド専門店にしたらどうかなと思って!」

お、おう…そこまで細かく分けるんだ…。

まあ確かにこのゲーム自由度は高いからそういうことも全然出来そうだし、楽しみが増えるって意味では面白いのかもしれないなー。

そうなると、料理以外にも初心者向け、中級者向け、上級者向けとかに分けたらお客さん買いやすくなったりするのかな?

そうなると店舗数どうなるんだろ…えーっと、それぞれさ三店舗ずつに加えて各価格帯の料理店となると…。

料理以外で二十四店舗、それに和洋中の各形式各価格帯ってなると…とんでもない数になるよ…?」

「ど、どうかな?」

「はい、すごく面白いと思います。ただそこまでの店舗数になると…」

「ええ。だからね!空き店舗を買い占めてバラバラにしてもいいんだけどね。一階層の一番目立つ中央広場の正面の数十店舗を買い占めて超大型ショッピングモールの建設なんてどうかしら!っていう提案をしに来たのよ!」

「うちのかみさんがなんかすまんな」

「いえ、とても面白い提案だと思います!ただ、私経営とかなんてした事ないのでショッピングモール経営となると…」

「その辺は安心していいわ!っこれでも現実では経営者だもの!」

ええ!?そんな凄い人だったんだ…それだったらこのチャンスに乗るしかないかな…!

「そういう事でしたらぜひやってみたいと思います!」

「快諾してくれて良かったわ。ただ、すぐにって訳にはいかないの。なにせ超大型ショッピングモールとなるといくらゲームとはいえ初期費用がとんでもないことになるのよね。もちろん私が提案したのだから私もガゼルも資金調達には協力させて」

「ちなみにどのくらいかかる予定なんですか?」

「あー、えーっとね…言いにくいのだけど、総額五億Gくらいかかりそうなのよね…」

五億!?そんなにかかるの!?いや、現実じゃもっとかかるだろうし、そう考えたらお買い得…なのかな?

というか今の私の所持金っていくらあるんだろう?

えっと…。

あー、なるほどね…。

「えっと、そのですね。五億G今即金で用意できます…」

「「えぇ!!!?」」

ま、まあそういう反応になるよね…。

「そ、それならすぐに取りかかりましょ。そうだフウちゃん私をギルドに入れてもらえないかしら?秘書みたいな立ち位置でフウちゃんの経営をサポートさせて欲しいの」

「いいんですか?」

「かまわない。というか私がさせて欲しいのよ。だって、すごく楽しそうじゃない?」

「はい!そういうことでしたらぜひよろしくお願いします!」

「これで契約成立ね!こちらこそよろしくお願いね!それからこれから私は部下になるのだから敬語は禁止よ」

「うん。わかったよ」

「フウちゃん、今後の打ち合わせのためにフレンド申請してもいいかな?」

「もちろんです!」

「よし、そっちの話は終わったな。そしたら次はこっちの話だな」

え、まだあるの…探索行きたかったんだけど…。

「すまんな、こっちの話はすぐに終わる。嬢ちゃんすまんが頻繁いじゃなくて構わないからオークションに品物を下ろしてもらえないか?」

「いいですけど、またどうして?」

「何、単純だ。オークションを盛り上げたいんだ!」

「なるほど。そういうことならいいですよ」

「すまんな。最近は素材に関していえばあんまり流れてこなくてな。武具に関してもドロップ品はいいんだが生産品はあんまり流れてこなくてな…」

あ、素材は私が買取してるからか…。

なんかごめんなさい。

「そういうわけで卸せそうな品物があったらまた連絡して欲しい」

「あ、そういう事なら今何個か渡しておきますね」

「助かる」

………

やっと終わったーっ!

それから結局ライラさんと後日にするなら今日しちゃったほうが楽だよねって話になって気楽な気持ちで打ち合わせを始めたんだけど…。

現実時間でで十時間を超えたの…。

結局その日は探索する元気がなくなってログアウトしたの。
んーーーっはあぁー…。

さて、と。

今日はオーダーメイド依頼も無い、備蓄も十分。

せっかく久々の余暇だし、ようやく行きたかった探索に行けるよ…。

それじゃあ早速ログインしよっかな。

………

まずどこから行こうかなー。

この間一階層に行って初心者の人達びっくりさせちゃったし今回は死神装備で二階層に行こうかな。

まだ二階層の方が私のこと知ってる人多いだろうし、迷惑かける事も少ない…はず。

それじゃあ早速出発しよー!

………

二階層のテーマは水と鉱山だったと思うけど、なんか白い素材見つかるかな?

水って言っても湖とか海とかがある訳じゃなくて川があるだけだからなー。

白…白…白…。

モンスターは大前提として…。

あっ!これ薬草だ。

このキノコ美味しいやつ。

それにしても二階層の探索久々だなー。

なんだかんだ探索するのエルのお母さんと戦った時以来になっちゃうのか。

山だから山肌にはあんまり目ぼしいものは無いね。

鉱山っていうくらいだし折角だから洞窟でも探して入ってみようかな。

前回は山頂に行ったもんね。

………

やっと見つけたよ…。

っていうかまさか一時間以上かかるなんて思ってなかった。

まあ見つかったなら結果よしって事で探索レッツゴー!

うーん、暗いな…鉱山って言ってるけど街がそういう発展してる訳でもないし行動ができてる訳でもないから未開って事なんだよね。

折角ならファンタジーでよくいるドワーフとか居たら鍛治技術の勉強とかできて面白そうだったのになー。

とりあえずこの暗いのをどうにかしなきゃね。

生活魔法のライトを使って先に進も。

………

鉱石いっぱい出るのは嬉しいんだけどなー。

現状で採集可能な鉱石が銅鉱石、鉄鉱石、ダマスカス鉱石、マラカイト鉱石、銅魔鉱石、鉄魔鉱石、銀鉱石、銀魔鉱石この八種類しか出ないんだよなー。

この間新しく手に入れたミスリル鉱石とダマスカス魔鉱石はイベント内限定で次のアップデートで追加される鉱石の一部分を先行入手可能ってだけだったし。

イベント終了後になぜか知らないけど私の所にミスリル鉱石とダマスカス魔鉱石の買取依頼が殺到したのはもう懐かしいよね。

まあそのおかげもあって私のミスリル鉱石の在庫とダマスカス魔鉱石の在庫が潤ったんだけどねー。

とはいえ無駄遣いは出来ないから欲しいけど出ないって状態だから使い所は間違えないようにしないと。

あ、忘れる前に今回の探索の採集リストの整理でもしとこうかな!

まずは今後大量に必要になってくる陶器用の土と食器用の木材。

これはまあさっき洞窟の入り口探してる間に手に入ったからオッケー。

次は高級店向けの銀食器。

これはこの後探すとして、次は調理器具用のダマスカス鋼石と鉄魔鉱石。

これもまあここで採掘してれば獲れるでしょ。

お、採掘ポイント発見!

カンッ!

問題は白系素材だよねー。

カンッ!

エルメリアがギルドに入ったからもう少しちゃんと装備揃えてあげたいんだよね。

カンッ!

レベルも上がらないしステータスポイントも振り分けられないってどんな縛りプレイだーって感じだよね。

カンッ!

「…のー」

カンッ!

白系の素材で統一したいから探してるけど候補的にはやっぱり毛皮になったりするのかな?

カンッ!

「あのー」

カンッ!

一応ミスリルが白銀色って感じだけどそれだけだとなんか違う気がするし…土とか木は論外だし、あとは虫の糸とか骨のインゴット化とかになっちゃうかなー。

カンッ!

都合よく出てきたりしな…。

「あ、あの!!!」

うわっ、びっっくりしたー…。

「は、はい」

「マスターどれだけ集中されていたんですの…?」

マスター?私のギルメンって事?

「わたくしですわ。お忘れですか?ほらアヤカ様のお友達でエスタルフィア辺境伯家現当主アリシーゼ・マルクグラーフ・フォン・エスタルフィアですわ!」

あ、あー。

居たな、厨二病というか少女漫画が好きすぎて貴族女性に憧れてるとか何とか言ってた子だ。

「あ、えっと。それで、アリシーゼ・マルクグラーフ・フォン・エスタルフィア?何か用があったんじゃないの?」

「んもー!アヤカ様のお友達ですからアリシアでいいと言ったのをもうお忘れですの!?」

「ごめんごめん」

お嬢様ロールプレイも随分徹底してるんだね…。

「まあいいですわ。それで用があったという訳ではありませんの。フウ様がいらっしゃったものでしたからでご挨拶を。と思いまして。それに折角ですからご一緒できればと思った次第ですのよ」

………

まさか普段全くお目にかかれないフウ様とこのような場所でお目にかかれるなんて思っていませんでしたわ!

これはまさしくチャンス到来ですの!

次にアップデートされると噂されている私服システム実装直後にドレスを仕立てる為素材集めに来たのが良かったんですのね!

ここでフウ様と仲良くなって兼ねてより思い描いていた、実装されて一番に特注ドレスを作って頂くという私の夢を叶えさせてもらいますの!

………

「ま、まあ一緒に来るのはいいけど…。私ずっと鉱石掘ってるかもよ?」

「構いませんわ」

っていうか貴族女性と死神って絵面酷くない…?大丈夫かな…?

あ、でもパーティー組むなら死神装備使えないや。

また検証が後回しになっちゃっうけどまあいっか。

「ちょっと待ってね今装備変えるから」

「わかった。じゃあパーティー申請しておくね」

「承認いたしましたわ。短い間ですがよろしくお願いいたしますわ」

「こちらこそよろしくね」

「よし。ここの採掘ポイントも取り切ったし奥に進もうか」

「マッピングはわたくしが致しますわ」

………

それからしばらくして宝箱のある部屋に出たんだけど…。

「あ、宝箱だ!」

「お、お待ち下さい!フウ様!」

「え?」

ガチャッ。

止められた時にはもう遅くって開けちゃったの。

そしたら急に入ってきた入り口が壁になって反対側に通路ができたと思ったら、そこから大量のモンスターが出てきたの…。

あー。

これはやっちゃったやつだ…。

「アリシアごめん…」

「構いませんわ。それより今はこちらのモンスターの方々をどうにかしないといけませんわよ!」

「そうだね」

で、二人でライトを強くして出てきたモンスターの確認をしたんだけど…。

「これは、ケイブバットにビッグラット、アルビノウルフですわね…アルビノウルフは嗅覚がとても強く光を感知しないので洞窟モンスターの閃光戦法は通用致しませんわよ!警戒なさってくださいまし!」

「あー、警戒してる所申し訳ないんだけど、多分大丈夫だと思うよ」

「それはどういう…」

「ライム!エル!おいでー」

「「はーーーい」」

「フウおはよー」

「ママおはよー!」

「二人ともおはよう、いきなりでごめんだけど力貸してくれる?」

「「いいよー!」」

「こ、これが噂に聞くライムちゃんとエルちゃんなのですね。とっても目の保養になりますわー!って、はっ!いけませんわわたくしもっ戦闘準備致しませんと」

なんか最初に言ってたような気がするけど戦闘準備って言いながら構えたのは両手に持った扇だったの。

扇って戦えるの…?

「行きますわよ!力の舞」

そう言って踊り始めたアリシアは一人で演舞するかのように扇での鋭い斬撃と足技による牽制がすごい噛み合っててすごい綺麗。

っていうか多分そう見えるように立ち回ってるんだよね。

流石というべきなのかな…ロールプレイが板についてるなー。

「私たちも負けないようにいくよ!」

「「はーい!」」

私たちが動き出してからはあっけないものだった。

私は鎌で、ライムは剣と光剣で、エルは神鳥の威圧と神鳥の加護を使った後にウォーターランス、アイスニードル、集光レーザーでの遠距離支援。

そこから私は飛翔と跳躍で一瞬で移動してアルビノウルフ二匹の首をまとめて一狩り。

ライムは光剣で退路断つアシストを私が狙った二匹も含めて三匹にした後、アルビノウルフの残った一匹の首を一狩り。

エルのウォーターランスとアイスニードルはケイブバットに、集光レーザーはビックラットを一掃。

「あ、あはは…。噂には聞いておりましたが、実際に見るとこれまた壮観ですわね。連携もとても美しかったですわ」

「ありがと。まあ、自分のミスくらいは自分でカバーしないとね」

「いえ、わたくし一人で来ていたら危なかったかもしれないので助かりましたわ。素材はフウ様に差し上げますわ」

「え、でも…」

「いいんですのよ。そ、その代わりと言っては何ですが…」

「ん?」

「次のアップデートで街中限定の私服コーデというものが実装される予定らしいのですが…。その…アップデートしたらすぐにわたくしにオーダーメイドドレスを仕立てて欲しいんですの!」

それってこの間ライラが言ってたオシャレ装備のことかな?

「そんなことでいいなら」

「そんなことだなんてとんでもありませんわ!」

「え、えっと…?」

「フウ様はもっとご自分の影響力をご自覚くださいまし!」

あーそういうこと…。

まあ影響力があるとは思ってるけど実装前のしかも能力に関係ないオシャレ装備に私の影響力が関係するとは思えないんだけど、まあアリシアの言い分だと関係してくるんだろうな…。

「わかったよ」



ピコンッ

ん?メール?


イベントのお知らせ


『第二回イベント 7日間限定タワーイベント』

●開催日時
現実時間 10月12日 12:00〜10月19日 12:00

●イベント内容
現実時間で一週間の間、第一層中央広場噴水前にてイベントポータルが開放されます。
今回のイベントはソロ限定で系二十階層を予定しております。
 またモンスターの強さやドロップアイテムは攻略者のレベルやステータスに依存します。
このステージでしか手に入らないアイテムを多数用意しておりますので皆様のご参加お待ちしております。

●詳細内容
現実時間12時より第1階層の街中央広場噴水前にイベントポータル開放

イベント専用世界に転移

各階層小型のフィールドが存在し、ボスエリアにてボスを討伐後次の階層へ行くことができます。
 尚、今回のイベントは一度外に出ると最初からやり直しになる仕様になっています。

終了1日前になりましたらメールでお知らせいたします。


尚、今回のイベントでアップデートなどはございません。



「あら、イベントの通知ですわね」

「みたいだね。タワーイベントかー。攻略するのは大変そうだね」

「そうですわね。一度出たらやり直しというのが大変さを増していますわね」

「だね。万全に準備してどこまでいけるかだね」

「ええ。ですが今はこの洞窟を攻略してしまいましょう」

「そうだね」