両街にて『シュルト』の活動の日から数日。
グレイストール領の件も調べが終わり、ハレイン様の信用も取れたので、ルナちゃんとシヤさんも王都に帰って来て貰った。
シヤさんの活躍でハレイン様がゼラリオン王国と戦争を仕掛けるのが、半年後という事まで調べが付いた。
既にビズリオ様にもその事は伝えており、ゼラリオン王国はグレイストール領を主軸にした連合軍との戦争が刻々と間近と迫っている。
俺達は期限まで出来る限りレベルを上げたいので、惜しみなく休みもコボルトの森で俺のレベルを上げる為に日々勤しんだ。
弐式や参式も、出来る限りボア肉の狩りが終わったら、レベルを上げる事に勤しんでくれている。
『銀朱の蒼穹』が今まで以上に力を上げて、俺の為に頑張ってくれている。
それも…………いずれ来るであろう、戦いの日の為に。
数日後。
今日も連日訪れているコボルトの森にやって来た。
朝入り口でみんなで集まって、朝礼のような何かを行って、みんな散って狩りをするのが毎日の日課になっている。
しかし、今日は散る前にいつも上空で見守ってくれているルーが俺の前まで降りて来た。
ミャァァァ
少し元気のない鳴き声で、何かを訴えて来た。
ラビが直ぐにルーに近づき、よしよしをしてあげたので、俺も一緒に頭を撫でてあげる。
気持ちよさそうな声を出してくれるけど、どこか寂しそう?
「ソラ、どうしたの?」
「ん~、ルーから少し寂しそうな感情が伝わって来てさ」
「ルーちゃんから? どうしたんだろう?」
フィリアも心配そうに見つめ、散る前という事もあり、みんな心配そうにルーを見つめる。
その時、ラビが空中で何かを訴えて来た。
「えっと? 両手で……それはパンチかい?」
「ぷぅ!」
ラビは左右に移動しながら、パンチを繰り出している。
一体何が言いたいのか、さっぱり分からない。
ただ、召喚獣の感情が伝わってくるので、今のラビの感情は、戦いに奮え立つ感情が伝わって来る。
「何かと戦いたい?」
「ぷうぷう!」
顔を横に振ったラビは、今度はパンチを繰り出したら、両手を合わせて「ぷうぷう」と声を出して、「ぷぅー!」と万歳をする。
うん。
全然伝わってこない。
可愛いけど、さっぱり分からないや……。
「えっと、ラビ? ごめんね、全然分からないや……」
すると今度は、ラビがルーの所に行き、両手をぐるぐる回して、そのまま俺に飛んできてぶつかる。
ぶつかったラビは今度は万歳をする。
「ん? ルーが何かしてくれるの?」
「ぷう! ぷう!」
それだよそれ! と言わんばかりに、必死に首を上下に動かすラビ。
ルーもどこか嬉しそうな声をあげる。
「ソラくん」
「ミリシャさん? どうしました?」
「ルーちゃんはもしかしたら、みんなに魔法を掛けてあげたいんじゃないかな?」
すると、ラビが全力で頭を上下にして、嬉しそうにぷうぷうと声をあげる。
「魔法を掛けてくれる? 気付かなくてごめんな、ルー。えっと、もし俺達に何かしてくれるなら、俺としてはとても嬉しいかな? 俺達の為になるなら、ルーが好きなようにしてくれていいよ?」
ミャアアアアア!
大きく声を上げるルー。
とても嬉しい感情が伝わって来る。
そして、ルーから眩い光が灯る。
光は俺達だけでなく、肆式のみんなにも行き渡った。
「ん!? 身体が凄く軽い?」
「もしかして、能力上昇魔法かも知れないわ」
「能力上昇魔法!?」
「ええ。ソラくんも知っているように付与術師が味方に能力上昇魔法が使えるのは知っているわね?」
「はい。ですけど、俺が知っている能力上昇魔法が微々たるもので、こんなに身が軽くなったり、強くなった感覚さえ乏しかったんですけど……」
実は召喚士のレベルを上げる前に、真っ先にレベルを上げたのが、付与術師だった。
付与魔法が便利だと思っていたけど、いざレベル5くらいまで上げても大した能力上昇魔法は覚えられなかった。
レベル7になると、武器に属性を載せられる魔法を覚え始めるらしいけど、それまでに長かったので、先に召喚士を上げていたら、思いのほかラビが強くて、そのままレベル10まで上げてみようとの話になったのだ。
「ルーちゃんは魔法使いの中でも上位クラスの魔法を操るわ。もしかしたらこの能力上昇魔法もそうかも。それに、ソラくんの力が相まって、ものすごい効果を出しているのかも知れないわ」
ミャアアアアア~
ルーと嬉しそうに応えてくれる。
「ルー! ありがとうな! 少し大変かも知れないけど、これからもこの能力上昇魔法をみんなに掛けてあげて!」
ミャアアア!
嬉しそうなルーの隣に、ラビも飛んで行き、二人で大喜びだった。
「それにしても、どうしてわざわざ俺に聞いたんでしょう?」
「ソラくん…………召喚獣って、基本的には召喚士の命令しか聞かないわ。寧ろラビちゃんがあんなに知能を持っている事が不思議なくらいよ。ルーちゃんもラビちゃん以上に知能を持っているはずなの。だからずっともどかしく思っていたと思うよ」
「そっか…………ラビ! ルー! これから俺達のためになると判断したら、迷わずやってくれていいからね! それが俺達の力になるんだから!」
こうして、思わぬ収穫があり、この日からルーの能力上昇魔法で全体強化が出来た。
ものすごい効果があって、筋力や速度はもちろん、スキルを使用した時の精神力も全然減る気配がなかった。
名前は良く分からないので、取り敢えず『万能能力上昇魔法』と名付けた。
その日から、三か月。
遂にその日がやって来た。
- 職能『転職士』のレベルが8に上がりました。-
- 新たにスキル――――――――
グレイストール領の件も調べが終わり、ハレイン様の信用も取れたので、ルナちゃんとシヤさんも王都に帰って来て貰った。
シヤさんの活躍でハレイン様がゼラリオン王国と戦争を仕掛けるのが、半年後という事まで調べが付いた。
既にビズリオ様にもその事は伝えており、ゼラリオン王国はグレイストール領を主軸にした連合軍との戦争が刻々と間近と迫っている。
俺達は期限まで出来る限りレベルを上げたいので、惜しみなく休みもコボルトの森で俺のレベルを上げる為に日々勤しんだ。
弐式や参式も、出来る限りボア肉の狩りが終わったら、レベルを上げる事に勤しんでくれている。
『銀朱の蒼穹』が今まで以上に力を上げて、俺の為に頑張ってくれている。
それも…………いずれ来るであろう、戦いの日の為に。
数日後。
今日も連日訪れているコボルトの森にやって来た。
朝入り口でみんなで集まって、朝礼のような何かを行って、みんな散って狩りをするのが毎日の日課になっている。
しかし、今日は散る前にいつも上空で見守ってくれているルーが俺の前まで降りて来た。
ミャァァァ
少し元気のない鳴き声で、何かを訴えて来た。
ラビが直ぐにルーに近づき、よしよしをしてあげたので、俺も一緒に頭を撫でてあげる。
気持ちよさそうな声を出してくれるけど、どこか寂しそう?
「ソラ、どうしたの?」
「ん~、ルーから少し寂しそうな感情が伝わって来てさ」
「ルーちゃんから? どうしたんだろう?」
フィリアも心配そうに見つめ、散る前という事もあり、みんな心配そうにルーを見つめる。
その時、ラビが空中で何かを訴えて来た。
「えっと? 両手で……それはパンチかい?」
「ぷぅ!」
ラビは左右に移動しながら、パンチを繰り出している。
一体何が言いたいのか、さっぱり分からない。
ただ、召喚獣の感情が伝わってくるので、今のラビの感情は、戦いに奮え立つ感情が伝わって来る。
「何かと戦いたい?」
「ぷうぷう!」
顔を横に振ったラビは、今度はパンチを繰り出したら、両手を合わせて「ぷうぷう」と声を出して、「ぷぅー!」と万歳をする。
うん。
全然伝わってこない。
可愛いけど、さっぱり分からないや……。
「えっと、ラビ? ごめんね、全然分からないや……」
すると今度は、ラビがルーの所に行き、両手をぐるぐる回して、そのまま俺に飛んできてぶつかる。
ぶつかったラビは今度は万歳をする。
「ん? ルーが何かしてくれるの?」
「ぷう! ぷう!」
それだよそれ! と言わんばかりに、必死に首を上下に動かすラビ。
ルーもどこか嬉しそうな声をあげる。
「ソラくん」
「ミリシャさん? どうしました?」
「ルーちゃんはもしかしたら、みんなに魔法を掛けてあげたいんじゃないかな?」
すると、ラビが全力で頭を上下にして、嬉しそうにぷうぷうと声をあげる。
「魔法を掛けてくれる? 気付かなくてごめんな、ルー。えっと、もし俺達に何かしてくれるなら、俺としてはとても嬉しいかな? 俺達の為になるなら、ルーが好きなようにしてくれていいよ?」
ミャアアアアア!
大きく声を上げるルー。
とても嬉しい感情が伝わって来る。
そして、ルーから眩い光が灯る。
光は俺達だけでなく、肆式のみんなにも行き渡った。
「ん!? 身体が凄く軽い?」
「もしかして、能力上昇魔法かも知れないわ」
「能力上昇魔法!?」
「ええ。ソラくんも知っているように付与術師が味方に能力上昇魔法が使えるのは知っているわね?」
「はい。ですけど、俺が知っている能力上昇魔法が微々たるもので、こんなに身が軽くなったり、強くなった感覚さえ乏しかったんですけど……」
実は召喚士のレベルを上げる前に、真っ先にレベルを上げたのが、付与術師だった。
付与魔法が便利だと思っていたけど、いざレベル5くらいまで上げても大した能力上昇魔法は覚えられなかった。
レベル7になると、武器に属性を載せられる魔法を覚え始めるらしいけど、それまでに長かったので、先に召喚士を上げていたら、思いのほかラビが強くて、そのままレベル10まで上げてみようとの話になったのだ。
「ルーちゃんは魔法使いの中でも上位クラスの魔法を操るわ。もしかしたらこの能力上昇魔法もそうかも。それに、ソラくんの力が相まって、ものすごい効果を出しているのかも知れないわ」
ミャアアアアア~
ルーと嬉しそうに応えてくれる。
「ルー! ありがとうな! 少し大変かも知れないけど、これからもこの能力上昇魔法をみんなに掛けてあげて!」
ミャアアア!
嬉しそうなルーの隣に、ラビも飛んで行き、二人で大喜びだった。
「それにしても、どうしてわざわざ俺に聞いたんでしょう?」
「ソラくん…………召喚獣って、基本的には召喚士の命令しか聞かないわ。寧ろラビちゃんがあんなに知能を持っている事が不思議なくらいよ。ルーちゃんもラビちゃん以上に知能を持っているはずなの。だからずっともどかしく思っていたと思うよ」
「そっか…………ラビ! ルー! これから俺達のためになると判断したら、迷わずやってくれていいからね! それが俺達の力になるんだから!」
こうして、思わぬ収穫があり、この日からルーの能力上昇魔法で全体強化が出来た。
ものすごい効果があって、筋力や速度はもちろん、スキルを使用した時の精神力も全然減る気配がなかった。
名前は良く分からないので、取り敢えず『万能能力上昇魔法』と名付けた。
その日から、三か月。
遂にその日がやって来た。
- 職能『転職士』のレベルが8に上がりました。-
- 新たにスキル――――――――