『銀朱の蒼穹』と『爆炎の鍛冶屋』が専属契約を結んだ。
意外にも鍛冶屋の給料は思っていたより高い訳ではなくて驚いた。
ミリシャさん曰く、土地を持った者が最も稼げるらしくて、毎月入ってくる土地代でいまだに多く余っているほどだ。
レボルシオン領の警備隊、孤児院の経営などを営んでいても全然減らない。
「寧ろ、増えてない?」
目の前の明細を記入した紙を見ながら口に出してしまった。
「ふふっ、ソラくん。そもそも孤児院経営は『弐式』で補っているし、警備隊の分は『参式』が補っているのよ?」
「ええええ!? じゃあ、全然使ってないじゃないですか!」
「そうよ? 始めた頃こそは、少し減っていたけど、今じゃ全然減らないというか、寧ろ収入が増えて、なぜか税収も増えたわよ? 税をこれ以上安くすると周りの領に迷惑がかかるからそれもあまりおすすめ出来ないわね」
「…………ミリシャさん。この貯まっていくお金ってどうしたらいいんですかね……」
「ん~、ソラくんが贅沢する?」
「嫌です!」
「じゃあ、ソラくんが沢山奥さんを作る?」
「もっと嫌です! それやったらフィリアに殺されるかも知れませんよ!?」
「あら、フィリアちゃんが良いって言えばいいんだ?」
「ち、違います! 俺はフィリアだけ――――」
ニヤニヤしているミリシャさんを見て、またやられたって気づいた。
「冗談はこの辺にして……ん~お金をもっと使う方法か~、あ! 一つだけあるかも」
「本当ですか?」
「ええ、とても簡単で、しかも大量の金を使って、でもゆくゆく自分の為にもなる事かな!」
「おお! さすがミリシャさんです! ぜひ教えてください!」
「ふふっ、それはね」
ミリシャさんが得意げに人差し指を立てた。
「土地を買う事ね!」
「…………土地?」
「ええ。例えば、隣領地のセグリス町の土地を大量に購入するとかね」
「あ! 確かに、あそこなら買える土地も多いですね」
「ええ。セグリス町がある領は『自由領』と言って、貴族様の土地ではなく、自由に売買出来るのよ。今は殆どがクラン『蒼い獅子』の持ち物だけど、言えば売ってくれると思うわ。レボルシオン領ほどの住民もいないから採算を取るよりは、まとまった額で売った方が賢い選択だからね」
「なるほど……ありがとうございます! その線で考えてみます!」
まさか、余ったお金で土地を購入するなんて考えた事もなかった。
しかも、この土地の権利を『土地所有権』というもので、人が決めるのではなく、なんと女神様の恩恵の下に発生する。
例えば、レボルシオン領の土地全ては、俺が『土地所有権』を持っている。
それはステータスにも表示され、正当な権利で、その権利を使えば、土地の効能を消す事ができる。
例えば、脆くなる土地にすれば、そこに建っている家が崩れる事になるだろう。
農地なら作物を全く育てさせなくさせる事も出来る。
そのように、土地の権利というのは、神から認められた権利である。
その権利の売買が成立すれば権利が移動する。全ては女神様の恩恵で自動的に行われるので、こちらが特別な何かを準備する必要もない。
あともう一つ方法としては、略奪する方法がある。
例えば、戦争などで土地の権利者がその土地から逃げたとする。
すると権利者が土地から逃げたという判定になる。
そのまま二百四十時間、つまり丸十日が経過した場合、その土地を攻め入った者に所有権が移る。
それと、逃げずに土地から離れている場合は、その土地で一年間生活を送った者に所有権が移るが、賃貸契約で報酬を払っている場合は、所有権が移らないのだ。
所有している土地で知らぬ人が住み着いた場合も、毎月その知らせが所有者に知らされる恩恵もある。
これも全て女神様の恩恵で判断されるので、土地を巡って詐欺まがいことや、土地を知らぬ間に奪う事も不可能である。
俺は早速冒険者ギルドを通じて『蒼い獅子』に連絡を取った。
セグリス町を中心として、周りの町の土地を売って欲しいと申し込んだのだ。
まだ全部買い取る事が出来ないけど、これから定期的に買い込む事にしたいからだ。
冒険者ギルドから連絡を取ってくれるそうなので、その返答には少し時間が掛かりそうだ。
『銀朱の蒼穹』の『鍛冶組』となってくれたガイアさんは、レボル街の鍛冶屋で俺達のクランの専属で武器と防具を打ってくれるようになった。
ガイアさんが連れて来た若い人達は、どうやら弟子らしく、全員で六名いてみんな鍛冶屋の中でも中々の腕を持っていた。
ガイアさん自身は『銀朱の蒼穹』のメインメンバー用の装備作りに集中するそうだ。
俺は以前選んだ翡翠色の小剣をそのまま貰う事にした。
風属性の魔法を放てるらしく、剣単体でも非常に強い性能を誇っていて、鋼鉄くらいの鎧なら簡単に斬れるくらいの切れ味だった。肉みたいに斬れた鋼鉄の鎧を見て、ガイアさんを味方に入れ込めたのが心の底から良かったと思えた。
満場一致でフィリアの双剣を先に作って貰う事にしたので、フィリアと一緒にソワソワしながら待つ事にした。
意外にも鍛冶屋の給料は思っていたより高い訳ではなくて驚いた。
ミリシャさん曰く、土地を持った者が最も稼げるらしくて、毎月入ってくる土地代でいまだに多く余っているほどだ。
レボルシオン領の警備隊、孤児院の経営などを営んでいても全然減らない。
「寧ろ、増えてない?」
目の前の明細を記入した紙を見ながら口に出してしまった。
「ふふっ、ソラくん。そもそも孤児院経営は『弐式』で補っているし、警備隊の分は『参式』が補っているのよ?」
「ええええ!? じゃあ、全然使ってないじゃないですか!」
「そうよ? 始めた頃こそは、少し減っていたけど、今じゃ全然減らないというか、寧ろ収入が増えて、なぜか税収も増えたわよ? 税をこれ以上安くすると周りの領に迷惑がかかるからそれもあまりおすすめ出来ないわね」
「…………ミリシャさん。この貯まっていくお金ってどうしたらいいんですかね……」
「ん~、ソラくんが贅沢する?」
「嫌です!」
「じゃあ、ソラくんが沢山奥さんを作る?」
「もっと嫌です! それやったらフィリアに殺されるかも知れませんよ!?」
「あら、フィリアちゃんが良いって言えばいいんだ?」
「ち、違います! 俺はフィリアだけ――――」
ニヤニヤしているミリシャさんを見て、またやられたって気づいた。
「冗談はこの辺にして……ん~お金をもっと使う方法か~、あ! 一つだけあるかも」
「本当ですか?」
「ええ、とても簡単で、しかも大量の金を使って、でもゆくゆく自分の為にもなる事かな!」
「おお! さすがミリシャさんです! ぜひ教えてください!」
「ふふっ、それはね」
ミリシャさんが得意げに人差し指を立てた。
「土地を買う事ね!」
「…………土地?」
「ええ。例えば、隣領地のセグリス町の土地を大量に購入するとかね」
「あ! 確かに、あそこなら買える土地も多いですね」
「ええ。セグリス町がある領は『自由領』と言って、貴族様の土地ではなく、自由に売買出来るのよ。今は殆どがクラン『蒼い獅子』の持ち物だけど、言えば売ってくれると思うわ。レボルシオン領ほどの住民もいないから採算を取るよりは、まとまった額で売った方が賢い選択だからね」
「なるほど……ありがとうございます! その線で考えてみます!」
まさか、余ったお金で土地を購入するなんて考えた事もなかった。
しかも、この土地の権利を『土地所有権』というもので、人が決めるのではなく、なんと女神様の恩恵の下に発生する。
例えば、レボルシオン領の土地全ては、俺が『土地所有権』を持っている。
それはステータスにも表示され、正当な権利で、その権利を使えば、土地の効能を消す事ができる。
例えば、脆くなる土地にすれば、そこに建っている家が崩れる事になるだろう。
農地なら作物を全く育てさせなくさせる事も出来る。
そのように、土地の権利というのは、神から認められた権利である。
その権利の売買が成立すれば権利が移動する。全ては女神様の恩恵で自動的に行われるので、こちらが特別な何かを準備する必要もない。
あともう一つ方法としては、略奪する方法がある。
例えば、戦争などで土地の権利者がその土地から逃げたとする。
すると権利者が土地から逃げたという判定になる。
そのまま二百四十時間、つまり丸十日が経過した場合、その土地を攻め入った者に所有権が移る。
それと、逃げずに土地から離れている場合は、その土地で一年間生活を送った者に所有権が移るが、賃貸契約で報酬を払っている場合は、所有権が移らないのだ。
所有している土地で知らぬ人が住み着いた場合も、毎月その知らせが所有者に知らされる恩恵もある。
これも全て女神様の恩恵で判断されるので、土地を巡って詐欺まがいことや、土地を知らぬ間に奪う事も不可能である。
俺は早速冒険者ギルドを通じて『蒼い獅子』に連絡を取った。
セグリス町を中心として、周りの町の土地を売って欲しいと申し込んだのだ。
まだ全部買い取る事が出来ないけど、これから定期的に買い込む事にしたいからだ。
冒険者ギルドから連絡を取ってくれるそうなので、その返答には少し時間が掛かりそうだ。
『銀朱の蒼穹』の『鍛冶組』となってくれたガイアさんは、レボル街の鍛冶屋で俺達のクランの専属で武器と防具を打ってくれるようになった。
ガイアさんが連れて来た若い人達は、どうやら弟子らしく、全員で六名いてみんな鍛冶屋の中でも中々の腕を持っていた。
ガイアさん自身は『銀朱の蒼穹』のメインメンバー用の装備作りに集中するそうだ。
俺は以前選んだ翡翠色の小剣をそのまま貰う事にした。
風属性の魔法を放てるらしく、剣単体でも非常に強い性能を誇っていて、鋼鉄くらいの鎧なら簡単に斬れるくらいの切れ味だった。肉みたいに斬れた鋼鉄の鎧を見て、ガイアさんを味方に入れ込めたのが心の底から良かったと思えた。
満場一致でフィリアの双剣を先に作って貰う事にしたので、フィリアと一緒にソワソワしながら待つ事にした。