「では二つ目の異常性ね。多分これが一番大きいと思うんだけど、単純に『人数』なの」
「人数??」
ミリシャさんの口から出た言葉は意外だった。
「そう。ソラくんはダンジョンとか、狩場で他のパーティーの人数を数えた事はない?」
「ん~そう言われてみれば…………六人のパーティーが多いイメージですね」
「……どうして六人だと思う?」
「戦利品を分けるのに六人が丁度いいから……?」
「…………」
「ち、違うんですね……」
「……ええ。一番の理由は『パーティー』に認定される人数が最大六人なの。もし六人以上になった場合、女神様から『ペナルティー』が発生するの」
「ペナルティー?」
「ええ。全員、経験値が一切貯まらないペナルティーなのよ」
全員レベルが一切上がらなくなるという事か!
「ソラくんが言った戦利品は問題がないから、多くのパーティーはお互いに手を組んで二つのパーティーでフロアボスを倒して、戦利品を山分けするのが一般的なやり方ね」
二つのパーティーでフロアボスと戦う…………そう言えば、フォースレイスに挑んだ時、メリッサさんのパーティーとパスケルさんのパーティーの二つのパーティーで挑戦していた。
そういう意味があったんだね。
「俺達の場合は……十五人くらいでも問題ないんですよね……」
「やっぱり! 『転職士』の本領発揮はもしかしてこういう所なのかしら…………、もしくは、ソラくんの力か」
「俺の力……?」
「ええ、稀にいるのよ。特別な力を持って生まれる人がね」
「特別な力……」
「その様子ならレベル10についても知らなさそうね。実は職能って同じ職能でも唯一変わるモノがあるの。それが、レベル10……つまり最後のスキルなの。最後のスキルだけは、それぞれ得られるスキルが違うと言われているわ。そもそもレベル10に到達出来る人が少ないのだけれど、いない訳ではないの。同じ職能なのに違うスキルを得られる…………最後の最後の職能差というのが生まれるわ」
レベル10は一言で言えば、最高レベルの事だ。
レベル10に辿り着いた人は、それだけでも英雄と言われるくらいには名誉ある事だが、決して珍し過ぎる訳でもないと冒険者ギルドで教わった。
例えばセグリス冒険者ギルドのマスターであるガレインさんも、あの若さで既にレベル10だと聞いている。
より強い魔物を倒せれば倒せるほど、レベルは上がりやすくなる。
そういう強いパーティーで戦う事も大事な事だ。
「意外ですね。女神様は平等を愛す為、特別な職能は『勇者』と『聖女』だけだと聞いていたんですが……」
「そうね。でも残念な事に平等ではないのよ。レベル9までは平等だから多くの人に取っては平等ね。でもレベル10に到達した際に得られるスキルで、大きな差が生まれると言われているの。それに到達出来る人が少数だからあまり広まってない話だけどね」
ミリシャさんのおかげで意外な事を知った。
もし俺がレベル10になったらどうなるんだろうか……なんて期待をするが、俺はレベルを上げる方法がないので、レベル10は夢のまた夢だ。
「三つ目の異常性なんだけど……」
「あ、三つ目あったんですね」
「三つ目は、ラビちゃんの事ね」
「ラビ?」
「ぷー?」
意外な答えに、俺もラビも首を傾げる。
「先程休憩していた時に、ラビちゃんが使った魔法ね…………あれは恐らく『ウインドカッター』だと思うんだけど、スカイラビットの唯一の攻撃魔法のはずなのね」
「え? あれが『ウインドカッター』?」
魔法の事にカールが一番驚く。
「そう言えば、以前カールが使っていた風魔法に似てる…………似てる? 似てはないか」
「ああ、あれはどちらかと言えば、『ウインドカッター』の上位版の魔法の『ウインドストーム』に近かったはず」
「カールくんが言っていた通り、問題は中級召喚獣のスカイラビット…………えっと、言いにくいんだけど、中級召喚獣の中では最弱の召喚獣なのね?」
ミリシャさんの言葉に肩を落とすラビ。
ラビがフラフラ飛んできて俺の胸の中に入って来る。
頭をなでなでしてあげた。
「でもスカイラビットが弱いと言われるのは、あくまで攻撃魔法が貧しいからであって、汎用性の高い防御魔法に特化しているから、パーティーにはとても強い味方なの。でもソラくんのラビはそのスカイラビットの特性を遥かに超えている気がするわ」
それを聞いたラビは少し元気になった。
「そもそも『ウインドカッター』を二、三回くらいしか使えないと聞いていたけど、ラビちゃんが使うのは『ウインドストーム』に近い威力の『ウインドカッター』をあれだけ連発しても疲れてないのよね。その時点で普通のスカイラビットとは全然違うのよ。それはきっと『転職士』か力か、もしくはソラくんの特別な力のおかげかも知れないわ」
「…………あ! それなら『転職士』の力なのかも知れません」
「何か思い当たる節があるのかな?」
「ええ。『転職士』はメインクラスを変えられません。代わりにサブクラスを付けるようになると、そのクラスのステータスやスキルが使えるようになる、というのは説明しましたね? 実はその時の能力が全て二倍になるそうです」
「全ての能力が二倍…………中級召喚魔法も本来ではなく二倍強化された魔法でラビちゃんを召喚したから、ラビちゃんがこんなに強いかも知れないと」
「はい」
「ぷぅー!」
自信を取り戻したラビは元気に胸を張る。
フィリアのところに飛んでいくと、フィリアになでなでされてまたご満悦になっていた。
意外な『転職士』の力について知る事が出来た。
それを知っているかいないかで、選べる選択肢が限られるからね。
これからはその事も念頭に置いて、作戦を決めようと思う。
「人数??」
ミリシャさんの口から出た言葉は意外だった。
「そう。ソラくんはダンジョンとか、狩場で他のパーティーの人数を数えた事はない?」
「ん~そう言われてみれば…………六人のパーティーが多いイメージですね」
「……どうして六人だと思う?」
「戦利品を分けるのに六人が丁度いいから……?」
「…………」
「ち、違うんですね……」
「……ええ。一番の理由は『パーティー』に認定される人数が最大六人なの。もし六人以上になった場合、女神様から『ペナルティー』が発生するの」
「ペナルティー?」
「ええ。全員、経験値が一切貯まらないペナルティーなのよ」
全員レベルが一切上がらなくなるという事か!
「ソラくんが言った戦利品は問題がないから、多くのパーティーはお互いに手を組んで二つのパーティーでフロアボスを倒して、戦利品を山分けするのが一般的なやり方ね」
二つのパーティーでフロアボスと戦う…………そう言えば、フォースレイスに挑んだ時、メリッサさんのパーティーとパスケルさんのパーティーの二つのパーティーで挑戦していた。
そういう意味があったんだね。
「俺達の場合は……十五人くらいでも問題ないんですよね……」
「やっぱり! 『転職士』の本領発揮はもしかしてこういう所なのかしら…………、もしくは、ソラくんの力か」
「俺の力……?」
「ええ、稀にいるのよ。特別な力を持って生まれる人がね」
「特別な力……」
「その様子ならレベル10についても知らなさそうね。実は職能って同じ職能でも唯一変わるモノがあるの。それが、レベル10……つまり最後のスキルなの。最後のスキルだけは、それぞれ得られるスキルが違うと言われているわ。そもそもレベル10に到達出来る人が少ないのだけれど、いない訳ではないの。同じ職能なのに違うスキルを得られる…………最後の最後の職能差というのが生まれるわ」
レベル10は一言で言えば、最高レベルの事だ。
レベル10に辿り着いた人は、それだけでも英雄と言われるくらいには名誉ある事だが、決して珍し過ぎる訳でもないと冒険者ギルドで教わった。
例えばセグリス冒険者ギルドのマスターであるガレインさんも、あの若さで既にレベル10だと聞いている。
より強い魔物を倒せれば倒せるほど、レベルは上がりやすくなる。
そういう強いパーティーで戦う事も大事な事だ。
「意外ですね。女神様は平等を愛す為、特別な職能は『勇者』と『聖女』だけだと聞いていたんですが……」
「そうね。でも残念な事に平等ではないのよ。レベル9までは平等だから多くの人に取っては平等ね。でもレベル10に到達した際に得られるスキルで、大きな差が生まれると言われているの。それに到達出来る人が少数だからあまり広まってない話だけどね」
ミリシャさんのおかげで意外な事を知った。
もし俺がレベル10になったらどうなるんだろうか……なんて期待をするが、俺はレベルを上げる方法がないので、レベル10は夢のまた夢だ。
「三つ目の異常性なんだけど……」
「あ、三つ目あったんですね」
「三つ目は、ラビちゃんの事ね」
「ラビ?」
「ぷー?」
意外な答えに、俺もラビも首を傾げる。
「先程休憩していた時に、ラビちゃんが使った魔法ね…………あれは恐らく『ウインドカッター』だと思うんだけど、スカイラビットの唯一の攻撃魔法のはずなのね」
「え? あれが『ウインドカッター』?」
魔法の事にカールが一番驚く。
「そう言えば、以前カールが使っていた風魔法に似てる…………似てる? 似てはないか」
「ああ、あれはどちらかと言えば、『ウインドカッター』の上位版の魔法の『ウインドストーム』に近かったはず」
「カールくんが言っていた通り、問題は中級召喚獣のスカイラビット…………えっと、言いにくいんだけど、中級召喚獣の中では最弱の召喚獣なのね?」
ミリシャさんの言葉に肩を落とすラビ。
ラビがフラフラ飛んできて俺の胸の中に入って来る。
頭をなでなでしてあげた。
「でもスカイラビットが弱いと言われるのは、あくまで攻撃魔法が貧しいからであって、汎用性の高い防御魔法に特化しているから、パーティーにはとても強い味方なの。でもソラくんのラビはそのスカイラビットの特性を遥かに超えている気がするわ」
それを聞いたラビは少し元気になった。
「そもそも『ウインドカッター』を二、三回くらいしか使えないと聞いていたけど、ラビちゃんが使うのは『ウインドストーム』に近い威力の『ウインドカッター』をあれだけ連発しても疲れてないのよね。その時点で普通のスカイラビットとは全然違うのよ。それはきっと『転職士』か力か、もしくはソラくんの特別な力のおかげかも知れないわ」
「…………あ! それなら『転職士』の力なのかも知れません」
「何か思い当たる節があるのかな?」
「ええ。『転職士』はメインクラスを変えられません。代わりにサブクラスを付けるようになると、そのクラスのステータスやスキルが使えるようになる、というのは説明しましたね? 実はその時の能力が全て二倍になるそうです」
「全ての能力が二倍…………中級召喚魔法も本来ではなく二倍強化された魔法でラビちゃんを召喚したから、ラビちゃんがこんなに強いかも知れないと」
「はい」
「ぷぅー!」
自信を取り戻したラビは元気に胸を張る。
フィリアのところに飛んでいくと、フィリアになでなでされてまたご満悦になっていた。
意外な『転職士』の力について知る事が出来た。
それを知っているかいないかで、選べる選択肢が限られるからね。
これからはその事も念頭に置いて、作戦を決めようと思う。