目の前の大きな赤黒いレイスから放たれる殺気がその強さを証明していた。
以前の俺なら立つのもやっとだったかも知れない。
これが…………Bランク魔物であり、Bランクの中でも上位クラスとなるBBランク……。
最初に、前衛三人のフィリア、アムダ姉さん、イロラ姉さんが向かう前に、後ろから爆発矢を一発撃ち込む。
手前のハイレイスのバリアに当たった爆発矢が爆発し、爆風により全てのハイレイスを吹き飛ばす。
「無理せず、フォースレイスに攻撃!」
フィリアを中心に、アムダ姉さんとイロラ姉さんの攻撃が始まる。
「カールは待機! 爆発矢は切らさないようにハイレイスを吹き飛ばして!」
「「「「はい!」」」」
「ラビ! 前衛の防衛をお願い!」
「ぷー!」
ラビもフィリアの元に飛んで行く。
フォースレイスから複数の広範囲魔法を放つ兆しが見えた。
「みんな! ラビの後ろに!」
フィリア達がラビの後ろに隠れて、放たれた魔法をラビのバリアで耐える。
「カール、魔法を頭に当てるタイミングを計って欲しい」
「分かった!」
数秒してフォースレイスの魔法が途切れる。
それに合わせて体内で数を数える。
その間にフィリア達の接近攻撃がフォースレイスに直撃するが、びくりともしない。
というか、大きいから後退りすらしない感じだ。
…………というより、よくよく見ると、フォースレイスって動いてない?
彼女達の攻撃が当たっていても、フォースレイスが微動だにしない所か、前進すらしてない?
そういえば、メリッサさん達が逃げる時も、フォースレイスは決して動いていなかった。
「まだ確証はありませんが、フォースレイスは動かないかも知れません! 全員、それを意識しておいてください!」
丁度、俺の言葉が終わる頃、心の中の数字が50になった時、フォースレイスからまたもや魔法陣が展開される。
「魔法がくる! ラビの後ろに!」
フィリア達は迷う事なく、ラビの後ろに逃げる。
その後、放たれた爆発矢が爆発する前にフォースレイスの魔法に巻き込まれて消えていった。
「まずい! ハイレイスの魔法もくる!」
一所懸命にフォースレイスの魔法を耐えているラビに、起きあがったハイレイス達の魔法が放たれる。
「ぷぅー!!」
ラビが懸命に耐えるが、明らかにフォースレイスの魔法でぎりぎりなのが見えている。
その時。
「ごめん! フィリアちゃん。動けなくなるから後はお願い! 奥義! 覇王轟々破!!」
アムダ姉さんの両手から凄まじい気功の光が溢れ出て、ラビの内側から凄まじい衝撃波が前方の魔法を全て吹き飛ばす。
魔法が消えた瞬間に、フィリアがアムダ姉さんとラビを抱き締め、後方に向かって走った。
「ソラ! 全力で行くぞ!」
「っ! 全力攻撃!!」
弓士隊のエクスプロードアローとカールの広範囲魔法がフォースレイスを襲う。
爆音と爆風が周囲を吹き荒れる。
フィリアを擁する前衛組が帰ってきた。
「…………フィリア」
「ん?」
「あと数秒でまた広範囲魔法が来ると思う。それを何とか耐えるから、その後来るハイレイス達をお願いしていい?」
「分かった!」
「カール! 広範囲氷魔法を手前に展開させて!」
「おう!」
カールが手前に氷魔法を展開させる。
「皆さん! エクスプロードアローを氷の前の地面に撃って、爆風で魔法を防ぎますよ!」
「「「「はい!」」」」
氷の壁が現れ、向こうから魔法陣が展開されたのが見える。
「今です!!」
爆破矢が放物線を描き、氷の壁を越えて地面に当たり、一気に爆風が荒れる。
そこにフォースレイスの広範囲魔法がぶつかり、凄まじい爆風を生む。
ベリンさんが「奥義! 城壁の盾!」と呟き、地面に大盾を叩きつけると、氷の壁の内側に大きな城壁の形をした魔法の壁が現れた。
爆風でフォースレイスの広範囲魔法が多少減らされるも、氷の壁に直撃、少しして、氷の壁をも貫く。
ドカーーン!
魔法を魔法の壁が防ぎ、ベリンさんが大声を出しながら耐える。
あと三秒。
二秒。
一秒。
「魔法が止む! 全力攻撃!」
俺の号令の後、フォースレイスの広範囲魔法が終わり、目の前に美しい魔力の残滓が広がり、向こうに、大きな赤黒いレイスの姿が視界に入る。
「ぷぅー!」
ラビの鳴き声が響き、赤い色の複数の矢がフォースレイスに向かって放たれる。
その合間に、時が止まったかのように、美しいフィリアの声が聞こえた。
「剣聖奥義、百花繚乱」
矢がハイレイスに当たる前に綺麗な花びらのような剣戟の流れと共に、ハイレイス達が全て消滅する。
消滅したハイレイスの間を潜り、赤い色の矢がフォースレイスに直撃した。
その後からも放たれる矢でフォースレイスが凄まじい爆炎に包まれる。
……。
……。
……。
爆炎が終わった後、そこにいたはずの赤黒いレイスの姿はなかった。
不思議と周囲にいたハイレイスの姿も全て消えていた。
「か、勝った!!!」
「「「「うおおおお!!!」」」」
その日、亡者の墓三層で『フォースレイス』に初めて挑戦したソラのパーティーが勝利した事が、瞬く間にセグリス町に広まった。
多くの冒険者がソラのパーティーの噂で持ち切りとなる。
沼地での活躍や、亡者の墓一層の多くのパーティーからの噂で、ますますソラのパーティーの噂は加速するのであった。
以前の俺なら立つのもやっとだったかも知れない。
これが…………Bランク魔物であり、Bランクの中でも上位クラスとなるBBランク……。
最初に、前衛三人のフィリア、アムダ姉さん、イロラ姉さんが向かう前に、後ろから爆発矢を一発撃ち込む。
手前のハイレイスのバリアに当たった爆発矢が爆発し、爆風により全てのハイレイスを吹き飛ばす。
「無理せず、フォースレイスに攻撃!」
フィリアを中心に、アムダ姉さんとイロラ姉さんの攻撃が始まる。
「カールは待機! 爆発矢は切らさないようにハイレイスを吹き飛ばして!」
「「「「はい!」」」」
「ラビ! 前衛の防衛をお願い!」
「ぷー!」
ラビもフィリアの元に飛んで行く。
フォースレイスから複数の広範囲魔法を放つ兆しが見えた。
「みんな! ラビの後ろに!」
フィリア達がラビの後ろに隠れて、放たれた魔法をラビのバリアで耐える。
「カール、魔法を頭に当てるタイミングを計って欲しい」
「分かった!」
数秒してフォースレイスの魔法が途切れる。
それに合わせて体内で数を数える。
その間にフィリア達の接近攻撃がフォースレイスに直撃するが、びくりともしない。
というか、大きいから後退りすらしない感じだ。
…………というより、よくよく見ると、フォースレイスって動いてない?
彼女達の攻撃が当たっていても、フォースレイスが微動だにしない所か、前進すらしてない?
そういえば、メリッサさん達が逃げる時も、フォースレイスは決して動いていなかった。
「まだ確証はありませんが、フォースレイスは動かないかも知れません! 全員、それを意識しておいてください!」
丁度、俺の言葉が終わる頃、心の中の数字が50になった時、フォースレイスからまたもや魔法陣が展開される。
「魔法がくる! ラビの後ろに!」
フィリア達は迷う事なく、ラビの後ろに逃げる。
その後、放たれた爆発矢が爆発する前にフォースレイスの魔法に巻き込まれて消えていった。
「まずい! ハイレイスの魔法もくる!」
一所懸命にフォースレイスの魔法を耐えているラビに、起きあがったハイレイス達の魔法が放たれる。
「ぷぅー!!」
ラビが懸命に耐えるが、明らかにフォースレイスの魔法でぎりぎりなのが見えている。
その時。
「ごめん! フィリアちゃん。動けなくなるから後はお願い! 奥義! 覇王轟々破!!」
アムダ姉さんの両手から凄まじい気功の光が溢れ出て、ラビの内側から凄まじい衝撃波が前方の魔法を全て吹き飛ばす。
魔法が消えた瞬間に、フィリアがアムダ姉さんとラビを抱き締め、後方に向かって走った。
「ソラ! 全力で行くぞ!」
「っ! 全力攻撃!!」
弓士隊のエクスプロードアローとカールの広範囲魔法がフォースレイスを襲う。
爆音と爆風が周囲を吹き荒れる。
フィリアを擁する前衛組が帰ってきた。
「…………フィリア」
「ん?」
「あと数秒でまた広範囲魔法が来ると思う。それを何とか耐えるから、その後来るハイレイス達をお願いしていい?」
「分かった!」
「カール! 広範囲氷魔法を手前に展開させて!」
「おう!」
カールが手前に氷魔法を展開させる。
「皆さん! エクスプロードアローを氷の前の地面に撃って、爆風で魔法を防ぎますよ!」
「「「「はい!」」」」
氷の壁が現れ、向こうから魔法陣が展開されたのが見える。
「今です!!」
爆破矢が放物線を描き、氷の壁を越えて地面に当たり、一気に爆風が荒れる。
そこにフォースレイスの広範囲魔法がぶつかり、凄まじい爆風を生む。
ベリンさんが「奥義! 城壁の盾!」と呟き、地面に大盾を叩きつけると、氷の壁の内側に大きな城壁の形をした魔法の壁が現れた。
爆風でフォースレイスの広範囲魔法が多少減らされるも、氷の壁に直撃、少しして、氷の壁をも貫く。
ドカーーン!
魔法を魔法の壁が防ぎ、ベリンさんが大声を出しながら耐える。
あと三秒。
二秒。
一秒。
「魔法が止む! 全力攻撃!」
俺の号令の後、フォースレイスの広範囲魔法が終わり、目の前に美しい魔力の残滓が広がり、向こうに、大きな赤黒いレイスの姿が視界に入る。
「ぷぅー!」
ラビの鳴き声が響き、赤い色の複数の矢がフォースレイスに向かって放たれる。
その合間に、時が止まったかのように、美しいフィリアの声が聞こえた。
「剣聖奥義、百花繚乱」
矢がハイレイスに当たる前に綺麗な花びらのような剣戟の流れと共に、ハイレイス達が全て消滅する。
消滅したハイレイスの間を潜り、赤い色の矢がフォースレイスに直撃した。
その後からも放たれる矢でフォースレイスが凄まじい爆炎に包まれる。
……。
……。
……。
爆炎が終わった後、そこにいたはずの赤黒いレイスの姿はなかった。
不思議と周囲にいたハイレイスの姿も全て消えていた。
「か、勝った!!!」
「「「「うおおおお!!!」」」」
その日、亡者の墓三層で『フォースレイス』に初めて挑戦したソラのパーティーが勝利した事が、瞬く間にセグリス町に広まった。
多くの冒険者がソラのパーティーの噂で持ち切りとなる。
沼地での活躍や、亡者の墓一層の多くのパーティーからの噂で、ますますソラのパーティーの噂は加速するのであった。