「「「乾杯ー!!」」」
セグリスのとある酒場に大きな声が響いた。
今日は、俺達が初めて『レッサーナイトメア』を倒した記念すべき日だ。
現在は、酒場で俺達パーティーにフィリアと、その他大勢の人達に囲まれている。
しかも今日の酒場は貸し切りだそうだ。
冒険者ギルドのミリシャさん達も駆け付けてくれて、とても大勢の人達からお祝いされた。
何故こういう事になったかと言うと…………。
◇
レッサーナイトメアを倒した直後、俺達は感極まって泣き出す先輩までいたほどだった。
俺もカールもハイタッチすら忘れ、寧ろ、抱き合っていた。
自分達が倒したという実感が嬉しくて、先輩達もこんなに強い魔物に勝てると思わず、感極まっていた。
その時だった。
俺達の前で拍手をしてくれる人が現れた。
ゴツい顔と身体をしている彼は、以前レッサーナイトメア戦を初めて見た時に戦っていた沼地の古参パーティーの強い人だった。
「お前ら、めちゃくちゃ強いな! 俺は沼地で長年レッサーナイトメア狩って来た古参の一人、ワイルダという。お前らのリーダーは――――そこの赤いのだな?」
「え? は、はい」
ワイルダさんは近づいて直ぐに、問答無用に俺を掴み、空に飛ばした。
と、飛んだ!?
と思ったら、そのまま肩車にされた。
「えええええ!? 俺、肩車なんて初めてだよ!?」
「がはははっ! 異質なパーティーがここまで強いのは、リーダーであるこの子の力に違いないだろう! さあ、新たな英雄よ! 名乗るがいい!」
「え、えっと……」
少し戸惑っていたら、カールが親指を立てた。
「はいっ! 俺の名は『ソラ』! いずれ最強のクランのマスターになるのが夢です!」
「がはははっ! お前ならきっとなれるさ! さあ、今日はとても素晴らしいモノを見せてくれたお礼に酒場を貸し切ってやろう! 野郎ども! 一緒に祝いてぇ奴は全員付いてこい!!」
「「「「おおおお!!!」」」」
こうして、俺達はワイルダさんに誘われて祝って貰う事になった。
帰りに、討伐完了報告の為、冒険者ギルドに寄って、ミリシャさんにも報告。
ミリシャさんも泣くほど喜んでくれた。
一緒に来たカールから誘われて、ミリシャさんと数人の受付嬢も一緒に酒場に来てくれたのだ。
◇
「それにしても驚いたな! まさか、ソラくんの彼女さんがあの有名な『双剣の剣聖』様だとはよー」
「あ、あはは……俺には勿体なさすぎる彼女です…………」
「今んとこはなー、がはははっ! まぁ、そのうち『剣聖』なんか目じゃなくなるだろうよ」
どこか遠くを見るワイルダさん。
「それはそうと、お前らの戦いを見て、今まで俺達が如何に考えなしだったのか気づかせてくれたよ。だから、ありがとうよ。ソラ」
「俺は元々弱いから……周りの助けがなくちゃ狩りも出来ませんからね……だから、仲間には出来る限り安全に戦って欲しくて、色んな事を考えるようにしてみたんです。それがハマってくれて本当に良かった」
「ああ! それで、パーティーメンバーだけでなく、周りの連中にも大きな影響を与えた。それは紛れもないお前の力さ。ほら見ろよ。いつもだと暗い顔をしているパーティーの奴らも、あんなに希望に溢れた顔をしている。中にはただの『剣士』だから『戦士』だから『狩人』だから、諦めた連中ばかりなのに、それをパーティーの力で解決出来る事を証明してくれたのは、俺から見たら偉業にも等しいさ」
「あはは……そんなにですか?」
嬉しい半分、恥ずかしい半分な気持ちになっていると、
「うちのソラは最強だもん!」
「うわっ!?」
いきなり後ろから抱き着いてきたフィリアが、恥ずかしげもなく話した。
「がはははっ! 若いのが眩しいのぉ! こりゃ飲まずにはいられないな!」
ワイルダさんが飲み明かしている仲間の所に戻って行った。
その入れ違いに、今度はミリシャさんがやって来た。
「ソラくん。おめでとう!」
「ミリシャさん! ありがとうございます!」
「まさか、こんなにも早くレッサーナイトメアを倒してくるなんてね……Cランク魔物の中でも最強クラスの魔物なのに」
「パーティーメンバーに恵まれていますから」
「ふふっ、そういう事にしておくよ。まさか、ワイルダさんにも認めて貰えるなんて、凄いわよ?」
「凄く嬉しかったです!」
「私も嬉しい!」
まだ後ろから抱き着いているフィリアが手を上げる。
えっと…………あれが当たっているからそろそろ離して欲しいんだけど、男としては、この至福な時間をもっと堪能したいという気持ちと、周りから微笑ましい視線で見られている恥じらいと、カールがニヤニヤしている事もあり、いろいろ複雑な気持ちだ。
どんどん盛り上がる宴会は、俺を褒める人が多くいてくれて、ちょっぴり恥ずかしい思いだったけど、それを上回る嬉しさがあった。
『転職士』を開花してから、こうなるとは一度も思った事がなかった。
これも全てフィリアとカールのおかげだ。
今一度、素晴らしい友人を持った事がとても誇らしい。
「それはそうと、フィリア? 頭撫でるの、そろそろ止めない?」
「えー! ちょっとくらいいいじゃん!」
「ちょっとじゃないよ! もう何十分も撫でられているよ!」
「むぅ……」
膨らんだフィリアがアムダ姉さんの所に行った。
それから暫く続いた宴会も子供達の時間は終わりだと言われ、俺とフィリアは帰って行った。
カールは…………。
頑張れ!
セグリスのとある酒場に大きな声が響いた。
今日は、俺達が初めて『レッサーナイトメア』を倒した記念すべき日だ。
現在は、酒場で俺達パーティーにフィリアと、その他大勢の人達に囲まれている。
しかも今日の酒場は貸し切りだそうだ。
冒険者ギルドのミリシャさん達も駆け付けてくれて、とても大勢の人達からお祝いされた。
何故こういう事になったかと言うと…………。
◇
レッサーナイトメアを倒した直後、俺達は感極まって泣き出す先輩までいたほどだった。
俺もカールもハイタッチすら忘れ、寧ろ、抱き合っていた。
自分達が倒したという実感が嬉しくて、先輩達もこんなに強い魔物に勝てると思わず、感極まっていた。
その時だった。
俺達の前で拍手をしてくれる人が現れた。
ゴツい顔と身体をしている彼は、以前レッサーナイトメア戦を初めて見た時に戦っていた沼地の古参パーティーの強い人だった。
「お前ら、めちゃくちゃ強いな! 俺は沼地で長年レッサーナイトメア狩って来た古参の一人、ワイルダという。お前らのリーダーは――――そこの赤いのだな?」
「え? は、はい」
ワイルダさんは近づいて直ぐに、問答無用に俺を掴み、空に飛ばした。
と、飛んだ!?
と思ったら、そのまま肩車にされた。
「えええええ!? 俺、肩車なんて初めてだよ!?」
「がはははっ! 異質なパーティーがここまで強いのは、リーダーであるこの子の力に違いないだろう! さあ、新たな英雄よ! 名乗るがいい!」
「え、えっと……」
少し戸惑っていたら、カールが親指を立てた。
「はいっ! 俺の名は『ソラ』! いずれ最強のクランのマスターになるのが夢です!」
「がはははっ! お前ならきっとなれるさ! さあ、今日はとても素晴らしいモノを見せてくれたお礼に酒場を貸し切ってやろう! 野郎ども! 一緒に祝いてぇ奴は全員付いてこい!!」
「「「「おおおお!!!」」」」
こうして、俺達はワイルダさんに誘われて祝って貰う事になった。
帰りに、討伐完了報告の為、冒険者ギルドに寄って、ミリシャさんにも報告。
ミリシャさんも泣くほど喜んでくれた。
一緒に来たカールから誘われて、ミリシャさんと数人の受付嬢も一緒に酒場に来てくれたのだ。
◇
「それにしても驚いたな! まさか、ソラくんの彼女さんがあの有名な『双剣の剣聖』様だとはよー」
「あ、あはは……俺には勿体なさすぎる彼女です…………」
「今んとこはなー、がはははっ! まぁ、そのうち『剣聖』なんか目じゃなくなるだろうよ」
どこか遠くを見るワイルダさん。
「それはそうと、お前らの戦いを見て、今まで俺達が如何に考えなしだったのか気づかせてくれたよ。だから、ありがとうよ。ソラ」
「俺は元々弱いから……周りの助けがなくちゃ狩りも出来ませんからね……だから、仲間には出来る限り安全に戦って欲しくて、色んな事を考えるようにしてみたんです。それがハマってくれて本当に良かった」
「ああ! それで、パーティーメンバーだけでなく、周りの連中にも大きな影響を与えた。それは紛れもないお前の力さ。ほら見ろよ。いつもだと暗い顔をしているパーティーの奴らも、あんなに希望に溢れた顔をしている。中にはただの『剣士』だから『戦士』だから『狩人』だから、諦めた連中ばかりなのに、それをパーティーの力で解決出来る事を証明してくれたのは、俺から見たら偉業にも等しいさ」
「あはは……そんなにですか?」
嬉しい半分、恥ずかしい半分な気持ちになっていると、
「うちのソラは最強だもん!」
「うわっ!?」
いきなり後ろから抱き着いてきたフィリアが、恥ずかしげもなく話した。
「がはははっ! 若いのが眩しいのぉ! こりゃ飲まずにはいられないな!」
ワイルダさんが飲み明かしている仲間の所に戻って行った。
その入れ違いに、今度はミリシャさんがやって来た。
「ソラくん。おめでとう!」
「ミリシャさん! ありがとうございます!」
「まさか、こんなにも早くレッサーナイトメアを倒してくるなんてね……Cランク魔物の中でも最強クラスの魔物なのに」
「パーティーメンバーに恵まれていますから」
「ふふっ、そういう事にしておくよ。まさか、ワイルダさんにも認めて貰えるなんて、凄いわよ?」
「凄く嬉しかったです!」
「私も嬉しい!」
まだ後ろから抱き着いているフィリアが手を上げる。
えっと…………あれが当たっているからそろそろ離して欲しいんだけど、男としては、この至福な時間をもっと堪能したいという気持ちと、周りから微笑ましい視線で見られている恥じらいと、カールがニヤニヤしている事もあり、いろいろ複雑な気持ちだ。
どんどん盛り上がる宴会は、俺を褒める人が多くいてくれて、ちょっぴり恥ずかしい思いだったけど、それを上回る嬉しさがあった。
『転職士』を開花してから、こうなるとは一度も思った事がなかった。
これも全てフィリアとカールのおかげだ。
今一度、素晴らしい友人を持った事がとても誇らしい。
「それはそうと、フィリア? 頭撫でるの、そろそろ止めない?」
「えー! ちょっとくらいいいじゃん!」
「ちょっとじゃないよ! もう何十分も撫でられているよ!」
「むぅ……」
膨らんだフィリアがアムダ姉さんの所に行った。
それから暫く続いた宴会も子供達の時間は終わりだと言われ、俺とフィリアは帰って行った。
カールは…………。
頑張れ!