目標が決まった。
カールに言われたから、フィリアに言われたから、それがきっかけなのは間違いない。
でも、自分の職能の事を考えれば、戦う職でもなければ、自らレベルを上げる事も出来ない。
誰かに助けて貰わなきゃ、ここまで来る事も出来なかった。
そこで考え方を変える事にした。
俺がクランマスターになって、誰かを助けるようなクランを作れば、それが巡り巡ってフィリアの為にも、カールの為にもなるんじゃないだろうかと思ったのだ。
孤児院の先輩達は、俺のおかげで狩りが安全且つ効率良くなったと言ってくれた。
以前カールに教えて貰ってから、周りのパーティーの戦い方を眺めた事がある。カールが言っていた通り、強者一人の為の戦い方をしていた。
それを自分なら変えられるかも知れない。だから…………大人になる十五歳を目途にクランを作る事を決意した。
それをカールと他の先輩達にも伝えると、みんなもとても喜んでくれた。
それからフィリアとカールに連れられ、服屋に連れて行かれた。
「って、何故服屋??」
「それは入ってからのお楽しみな」
「お、おう……」
三人で服屋に入った。
綺麗な洋服が沢山並んでいて、カウンターには服を縫っている女性がいた。
「いらっしゃい~、ん? フィリアちゃんじゃないか」
「メルおばさん、こんにちは」
「いらっしゃい~ほぉ…………どっちが彼氏だい?」
「ふふっ、赤い方です」
「あらあら、可愛らしいわね」
平然と答えるフィリアに顔が真っ赤になってしまった気がする。
隣にいたカールは「くっくっくっ」と笑いながら、肘で突いてきた。
「メルおばさん、今日はお願いがあって来たんですけど」
「あら、フィリアちゃんの為なら、おばさん、頑張るわよ!」
「えへへ、ありがとう! 実はですね、いつか『クラン』を作ろうと思ってまして、『クランの紋章』を作って貰いたいんです」
クランの紋章??
初めて聞く言葉に、頭の中に、はてなが溢れた。
「ソラ、クランにはそれぞれ紋章というか、証が存在してる。それを何らかの形で公示する事になるんだよ。例えば、今回みたいにいつか作ろうと思っている固定のパーティーは、事前に作っておく事によって、他のパーティーからの勧誘を全て断る意味を持つんだよ」
「へぇ……全く知らなかったよ」
「まあ、この町ではあまり見かけないからね。そもそもクランも一つしか存在しないし、そのクランも基本的にはこの町にいないしな」
「ああ、クラン『蒼い獅子』ね」
「そうそう」
蒼い獅子は紋章がとても格好いいクランというイメージしかない。この町にはあのクランの所有している土地が多く存在している。
例えば、うちが住んでいる家なんかもそのクランの所有している土地だ。結果的にその土地代金をかのクランに支払っている形になっているはずだ。
「それで、フィリアちゃん達はその紋章を私に作って欲しいという事ね?」
「はい! メルおばさんにお願いしたいとずっと思っていたんです!」
「ふふっ、分かったわ。どういう紋章でどういう大きさにするつもりだい?」
「取り敢えずは衣装に取り付けられるくらいの大きさがいいので、手のひらの大きさでお願いします」
「ふむふむ、では紋章はどんな感じがいいかい?」
フィリアが俺を見た。
「ソラ! 模様も私に任せて貰ってもいいかな?」
「うん、寧ろお願いするわ。俺は単純な模様しか浮かばないや」
満面の笑みを浮かべたフィリアはメルさんと打ち合わせを始めた。
カールもちょいちょい口を挟みながら三人が懸命に紋章を考えてくれた。
メルさんが要望に応えて紋章の下書きを進める。
既に考えて来たようで、フィリアが次から次へと意見を述べていた。
そして、数十分後、紋章の下書きが完成した。
中央に盾の模様があり、そこに剣が中央に縦向きに描かれ、弓が横向きに描かれており、槍と杖が斜めで交差している紋章だった。
「武器がいっぱい描いてある……?」
「うん! これはソラの力を象徴する為の紋章だよ!」
「俺の力を象徴?」
「うん! 多種多様な職能を与えられて、色んな戦い方が出来て、一人ではなく、みんなで一緒に戦っている事を示しているの」
「!?」
フィリアに言われ、紋章を再度まじまじと見る。
全ての武器が中央に重なっている。
きっと、お互いがお互いを支えているのを示しているのだろう。
「うん! この紋章、とても素敵だよ! メルさん! フィリア! カール! ありがとう!!」
「ふふっ、気に入ったようね。ではこれを手のひらの大きさで脱着出来るような紋章に仕上げるわよ」
「メルさん。よろしくお願いします!」
「ええ、任せておいて!」
メルさんに紋章の制作をお願いして、料金も事前に支払って服屋を後にした。
フィリアもとてもご機嫌でそのまま三人で食事をしつつ、未来のクランについて話し合った。
一週間ほどして、メルさんの所から紋章を受け取った。
俺達三人の肩に紋章を付ける。
魔法が掛かっていて、簡単に脱着出来て、激しく動いても取れる心配はないそうだ。
紋章を付けた俺達のハイタッチの音が、セグリス町に響き渡った。
カールに言われたから、フィリアに言われたから、それがきっかけなのは間違いない。
でも、自分の職能の事を考えれば、戦う職でもなければ、自らレベルを上げる事も出来ない。
誰かに助けて貰わなきゃ、ここまで来る事も出来なかった。
そこで考え方を変える事にした。
俺がクランマスターになって、誰かを助けるようなクランを作れば、それが巡り巡ってフィリアの為にも、カールの為にもなるんじゃないだろうかと思ったのだ。
孤児院の先輩達は、俺のおかげで狩りが安全且つ効率良くなったと言ってくれた。
以前カールに教えて貰ってから、周りのパーティーの戦い方を眺めた事がある。カールが言っていた通り、強者一人の為の戦い方をしていた。
それを自分なら変えられるかも知れない。だから…………大人になる十五歳を目途にクランを作る事を決意した。
それをカールと他の先輩達にも伝えると、みんなもとても喜んでくれた。
それからフィリアとカールに連れられ、服屋に連れて行かれた。
「って、何故服屋??」
「それは入ってからのお楽しみな」
「お、おう……」
三人で服屋に入った。
綺麗な洋服が沢山並んでいて、カウンターには服を縫っている女性がいた。
「いらっしゃい~、ん? フィリアちゃんじゃないか」
「メルおばさん、こんにちは」
「いらっしゃい~ほぉ…………どっちが彼氏だい?」
「ふふっ、赤い方です」
「あらあら、可愛らしいわね」
平然と答えるフィリアに顔が真っ赤になってしまった気がする。
隣にいたカールは「くっくっくっ」と笑いながら、肘で突いてきた。
「メルおばさん、今日はお願いがあって来たんですけど」
「あら、フィリアちゃんの為なら、おばさん、頑張るわよ!」
「えへへ、ありがとう! 実はですね、いつか『クラン』を作ろうと思ってまして、『クランの紋章』を作って貰いたいんです」
クランの紋章??
初めて聞く言葉に、頭の中に、はてなが溢れた。
「ソラ、クランにはそれぞれ紋章というか、証が存在してる。それを何らかの形で公示する事になるんだよ。例えば、今回みたいにいつか作ろうと思っている固定のパーティーは、事前に作っておく事によって、他のパーティーからの勧誘を全て断る意味を持つんだよ」
「へぇ……全く知らなかったよ」
「まあ、この町ではあまり見かけないからね。そもそもクランも一つしか存在しないし、そのクランも基本的にはこの町にいないしな」
「ああ、クラン『蒼い獅子』ね」
「そうそう」
蒼い獅子は紋章がとても格好いいクランというイメージしかない。この町にはあのクランの所有している土地が多く存在している。
例えば、うちが住んでいる家なんかもそのクランの所有している土地だ。結果的にその土地代金をかのクランに支払っている形になっているはずだ。
「それで、フィリアちゃん達はその紋章を私に作って欲しいという事ね?」
「はい! メルおばさんにお願いしたいとずっと思っていたんです!」
「ふふっ、分かったわ。どういう紋章でどういう大きさにするつもりだい?」
「取り敢えずは衣装に取り付けられるくらいの大きさがいいので、手のひらの大きさでお願いします」
「ふむふむ、では紋章はどんな感じがいいかい?」
フィリアが俺を見た。
「ソラ! 模様も私に任せて貰ってもいいかな?」
「うん、寧ろお願いするわ。俺は単純な模様しか浮かばないや」
満面の笑みを浮かべたフィリアはメルさんと打ち合わせを始めた。
カールもちょいちょい口を挟みながら三人が懸命に紋章を考えてくれた。
メルさんが要望に応えて紋章の下書きを進める。
既に考えて来たようで、フィリアが次から次へと意見を述べていた。
そして、数十分後、紋章の下書きが完成した。
中央に盾の模様があり、そこに剣が中央に縦向きに描かれ、弓が横向きに描かれており、槍と杖が斜めで交差している紋章だった。
「武器がいっぱい描いてある……?」
「うん! これはソラの力を象徴する為の紋章だよ!」
「俺の力を象徴?」
「うん! 多種多様な職能を与えられて、色んな戦い方が出来て、一人ではなく、みんなで一緒に戦っている事を示しているの」
「!?」
フィリアに言われ、紋章を再度まじまじと見る。
全ての武器が中央に重なっている。
きっと、お互いがお互いを支えているのを示しているのだろう。
「うん! この紋章、とても素敵だよ! メルさん! フィリア! カール! ありがとう!!」
「ふふっ、気に入ったようね。ではこれを手のひらの大きさで脱着出来るような紋章に仕上げるわよ」
「メルさん。よろしくお願いします!」
「ええ、任せておいて!」
メルさんに紋章の制作をお願いして、料金も事前に支払って服屋を後にした。
フィリアもとてもご機嫌でそのまま三人で食事をしつつ、未来のクランについて話し合った。
一週間ほどして、メルさんの所から紋章を受け取った。
俺達三人の肩に紋章を付ける。
魔法が掛かっていて、簡単に脱着出来て、激しく動いても取れる心配はないそうだ。
紋章を付けた俺達のハイタッチの音が、セグリス町に響き渡った。