「こんにちは」
俺とフィリアは冒険者ギルドにやってきた。
そもそも付き合うって何をしていいかも分からないし、無理に何かをするくらいなら、これからの未来の為に動いた方が良いという話になった。
だから、冒険者ギルドに『クラン』について詳しく聞く為、やって来た。
肩にかかるくらいのストレートの青い髪と、爽やかな笑顔が綺麗な受付嬢のミリシャさんが出迎えてくれた。
「こんにちは、ソラくんとフィリアちゃん。二人だけで来るなんて珍しいわね?」
「はい、今日はちょっと聞きたい事があって来たんですけど」
「うん? いつもボアの肉を差し入れてくれるソラくんの為なら、お姉ちゃん何でも教えてあげるから何でも聞いて!」
ミリシャさんが胸を叩いて、どーんと来い! と話した。
豊満な胸が揺れるのが見える。
「ふぅ~ん、ソラは大きい人が好きなのね」
「えっ? ち、違うよ!」
「…………」
「す、すいませんでした……」
「よろしい」
既にフィリアには頭が上がらない状態である……。
「ふふっ、二人とも、相変わらずの仲だね~、お姉ちゃんにも素敵な人が現れないかしら」
「え! ミリシャさんなら直ぐに素敵な人が現れますよ!」
「あら、ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」
「お世辞じゃないです! きっと近々現れますよ!」
「ふふっ、楽しみにしてるね! それで、聞きたい事は何かしら?」
未だフィリアがジト目で見つめているけど、何とか知らんぷりで話しを進める。
「実はですね。クランについて詳しく知りたくて」
「へぇー! ソラくん、クランに興味があるのね?」
「まだ決めた訳ではないんですけど、知っておくべきかなと思いまして」
「うんうん。偉い偉い! その若さで『クラン』に興味があるなんて、とても良い事よ! 最近の若い者は挑戦するって事をしないからね~」
そうなのか?
確かに、いつも良くして貰っていたパーティーの人達からも、似たような事を言われた事があった。
「では、まず『クラン』というのはね、同じ志を持つ集団の事を言うの。実際は集団とはちょっと違うけど…………クランは冒険者ギルドが強く勧めていて、言わばパーティーの強化版と思ってくれたらいいと思うわ。冒険者ギルドで正式なクランとして登録すれば、色んな特典があるわよ。ただ、誰でも登録出来る訳ではないから、それはまた後で説明するね」
それからミリシャさんは『クラン』について丁寧に説明してくれた。
まとめると。
①一つの集団として登録するように見えて、クランマスターの一人を中心に登録をし、全ての権限はクランマスターに与えられる。(クランマスターの一人だけのクランも存在するらしい)
②クラン登録の承認は、各冒険者ギルドのギルドマスターの推奨が必要だ。
③クランマスターの許可さえあれば、クランの構成員は何人でも良いが、クランの構成員が不正や違反などをした場合、クランのランクが下がったり、重い罰則もあり、最終的にクランの剥奪もありえる。
④クランにはクラン専属の依頼が来る場合があり、高ランクになればより依頼される。(内容によっては拒否も可能で、拒否した場合のデメリットはない)
⑤クランはランク別に各地のサービスを受ける事が出来る。代表的なモノは、どこの町でも土地が購入出来て、拠点を設ける事が出来る。(本来、土地の所有は貴族と商人ギルドの上位の人しか出来ない)
⑥クランごとにランクが存在していて、最上位Sランクから上位Aランク、通常Bランクがある。
以上だ。
とても不思議なのだけれど、元は幾つかのパーティーをまとめるために出来たモノらしいが、今ではパーティーというよりは、クランマスター……つまり強者の為のモノとなっているそうだ。
カールが色んなパーティーで見て来たという強者一人が引っ張るようなパーティーが、そのままクランに昇格する流れだ。
そうなると、クランマスターの完全な独裁が始まるそうだ。
それもそうよね……自分の力だけでのし上がった人が、わざわざ他の人に恵んであげたりはしないからね。
それでも、中にはメンバー全員を大切にするクランもいれば、全員が決めるルールにして定期的にクランマスターを変更するクランまで存在しているみたい。
様々な形のクランがいるけど、大体はクランマスターが強者であり、それに従う者の構図が殆どだそうだ。
「ミリシャさん」
「うん?」
「もし、僕がクランを設立したいと思ったら、何をしたらいいですか?」
「ん~………………ソラくんには申し訳ないけど、もし君達がクランを設立したいと思うなら、フィリアちゃんをマスターにした方がいいと思うよ?」
「え? 私?」
「ええ、フィリアちゃんなら既に『剣聖』として、うちの冒険者ギルド内でも有名だもの。この町で『クラン』が生まれるとしたら……現状、フィリアちゃんしかいないと思うわ」
「…………それって、今までビッグボアを狩って来たのが、私だからですか?」
「ええ。ソラくんがリーダーなのは知っているけど、それも『剣聖』であるフィリアちゃんがいるからこそ――――」
「分かりました。でも、それでは駄目なんです。私ではなく、ソラがマスターでクランを設立するとしたら、どうしたらいいですか?」
少し怒っているフィリアが、ぐっと我慢して聞いた。
「ん~、そうだね。ソラくんにも活躍して貰わないといけないのよね。例えば一人でビッグボアくらいは簡単に倒せるくらいね」
「…………」
ミリシャさんの言い分はとても分かる。
今までのクランマスターは強い人がなっているケースが殆どだ。いや、全部だと言ってもいい。
俺の力は大した事がないので、仕方ないよね。
「もしソラの力だけで、私がいないパーティーでなら、どのクラスの魔物を狩ってくれば認められるでしょう?」
「う~ん、そうね。ここら辺だったら麓の山からBランクの魔物を討伐して来たら、皆にも認められるようになるかも知れないわね」
「Bランク魔物……」
魔物はその強さによって、Sランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクと分けられている。
ビッグボアですらDランク魔物である。Dランクですら狩るのが難しい世の中で、その二つも上った事は、それがどれだけ強い魔物なのかを想像できた。
フィリアは何かを思ったかのように頷いていたが、彼女の表情からただならぬ決意が見えた。
俺とフィリアは冒険者ギルドにやってきた。
そもそも付き合うって何をしていいかも分からないし、無理に何かをするくらいなら、これからの未来の為に動いた方が良いという話になった。
だから、冒険者ギルドに『クラン』について詳しく聞く為、やって来た。
肩にかかるくらいのストレートの青い髪と、爽やかな笑顔が綺麗な受付嬢のミリシャさんが出迎えてくれた。
「こんにちは、ソラくんとフィリアちゃん。二人だけで来るなんて珍しいわね?」
「はい、今日はちょっと聞きたい事があって来たんですけど」
「うん? いつもボアの肉を差し入れてくれるソラくんの為なら、お姉ちゃん何でも教えてあげるから何でも聞いて!」
ミリシャさんが胸を叩いて、どーんと来い! と話した。
豊満な胸が揺れるのが見える。
「ふぅ~ん、ソラは大きい人が好きなのね」
「えっ? ち、違うよ!」
「…………」
「す、すいませんでした……」
「よろしい」
既にフィリアには頭が上がらない状態である……。
「ふふっ、二人とも、相変わらずの仲だね~、お姉ちゃんにも素敵な人が現れないかしら」
「え! ミリシャさんなら直ぐに素敵な人が現れますよ!」
「あら、ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」
「お世辞じゃないです! きっと近々現れますよ!」
「ふふっ、楽しみにしてるね! それで、聞きたい事は何かしら?」
未だフィリアがジト目で見つめているけど、何とか知らんぷりで話しを進める。
「実はですね。クランについて詳しく知りたくて」
「へぇー! ソラくん、クランに興味があるのね?」
「まだ決めた訳ではないんですけど、知っておくべきかなと思いまして」
「うんうん。偉い偉い! その若さで『クラン』に興味があるなんて、とても良い事よ! 最近の若い者は挑戦するって事をしないからね~」
そうなのか?
確かに、いつも良くして貰っていたパーティーの人達からも、似たような事を言われた事があった。
「では、まず『クラン』というのはね、同じ志を持つ集団の事を言うの。実際は集団とはちょっと違うけど…………クランは冒険者ギルドが強く勧めていて、言わばパーティーの強化版と思ってくれたらいいと思うわ。冒険者ギルドで正式なクランとして登録すれば、色んな特典があるわよ。ただ、誰でも登録出来る訳ではないから、それはまた後で説明するね」
それからミリシャさんは『クラン』について丁寧に説明してくれた。
まとめると。
①一つの集団として登録するように見えて、クランマスターの一人を中心に登録をし、全ての権限はクランマスターに与えられる。(クランマスターの一人だけのクランも存在するらしい)
②クラン登録の承認は、各冒険者ギルドのギルドマスターの推奨が必要だ。
③クランマスターの許可さえあれば、クランの構成員は何人でも良いが、クランの構成員が不正や違反などをした場合、クランのランクが下がったり、重い罰則もあり、最終的にクランの剥奪もありえる。
④クランにはクラン専属の依頼が来る場合があり、高ランクになればより依頼される。(内容によっては拒否も可能で、拒否した場合のデメリットはない)
⑤クランはランク別に各地のサービスを受ける事が出来る。代表的なモノは、どこの町でも土地が購入出来て、拠点を設ける事が出来る。(本来、土地の所有は貴族と商人ギルドの上位の人しか出来ない)
⑥クランごとにランクが存在していて、最上位Sランクから上位Aランク、通常Bランクがある。
以上だ。
とても不思議なのだけれど、元は幾つかのパーティーをまとめるために出来たモノらしいが、今ではパーティーというよりは、クランマスター……つまり強者の為のモノとなっているそうだ。
カールが色んなパーティーで見て来たという強者一人が引っ張るようなパーティーが、そのままクランに昇格する流れだ。
そうなると、クランマスターの完全な独裁が始まるそうだ。
それもそうよね……自分の力だけでのし上がった人が、わざわざ他の人に恵んであげたりはしないからね。
それでも、中にはメンバー全員を大切にするクランもいれば、全員が決めるルールにして定期的にクランマスターを変更するクランまで存在しているみたい。
様々な形のクランがいるけど、大体はクランマスターが強者であり、それに従う者の構図が殆どだそうだ。
「ミリシャさん」
「うん?」
「もし、僕がクランを設立したいと思ったら、何をしたらいいですか?」
「ん~………………ソラくんには申し訳ないけど、もし君達がクランを設立したいと思うなら、フィリアちゃんをマスターにした方がいいと思うよ?」
「え? 私?」
「ええ、フィリアちゃんなら既に『剣聖』として、うちの冒険者ギルド内でも有名だもの。この町で『クラン』が生まれるとしたら……現状、フィリアちゃんしかいないと思うわ」
「…………それって、今までビッグボアを狩って来たのが、私だからですか?」
「ええ。ソラくんがリーダーなのは知っているけど、それも『剣聖』であるフィリアちゃんがいるからこそ――――」
「分かりました。でも、それでは駄目なんです。私ではなく、ソラがマスターでクランを設立するとしたら、どうしたらいいですか?」
少し怒っているフィリアが、ぐっと我慢して聞いた。
「ん~、そうだね。ソラくんにも活躍して貰わないといけないのよね。例えば一人でビッグボアくらいは簡単に倒せるくらいね」
「…………」
ミリシャさんの言い分はとても分かる。
今までのクランマスターは強い人がなっているケースが殆どだ。いや、全部だと言ってもいい。
俺の力は大した事がないので、仕方ないよね。
「もしソラの力だけで、私がいないパーティーでなら、どのクラスの魔物を狩ってくれば認められるでしょう?」
「う~ん、そうね。ここら辺だったら麓の山からBランクの魔物を討伐して来たら、皆にも認められるようになるかも知れないわね」
「Bランク魔物……」
魔物はその強さによって、Sランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクと分けられている。
ビッグボアですらDランク魔物である。Dランクですら狩るのが難しい世の中で、その二つも上った事は、それがどれだけ強い魔物なのかを想像できた。
フィリアは何かを思ったかのように頷いていたが、彼女の表情からただならぬ決意が見えた。