私、藤井夜華(ふじい よるか)。小学六年生。


 家族構成は、母の真昼(まひる)、妹の朝姫(あさき)。


 朝姫は小学三年生。休み時間はいつも私の教室に来て、


「ねーたん!ねーたん!あーしょーぼー‼︎」


 って言うからもう大変!


 朝姫ったら、元気いっぱい!


 そうそう。イチゴなんて、貰った(もしくは買った)その日になくなるんだよ!



 そして犯人はいつも朝姫。“イチゴアサキン”ってあだ名を勝手につけられたほど(母命名)。


 









 で、ここからは。


 ちょっと言いにくい事が二つ。


 一つ目は、朝姫はうまく喋れない呪いをかけられていると言う事。


 二つ目は……。


 どこから話そうかな?


 じゃ、“クロ”について話すか。


 朝姫が産まれた五月十八日。


 その日は、偶然“Blue moon(ブルームーン)”の日で、朝姫はその月が一番大きく青くなった時に産まれたの。


 そしたら、赤ちゃんの朝姫がいる部屋の窓から、突然真夜中の空のような真っ黒な服(軍服?)を着た人が現れた。


 スッ…。と窓枠に音を立てずに立って、私はこう聞いた。


「貴方は、誰なの?」


 母さんはトイレに行っていて、私が朝姫を見ていた。


 だから私が朝姫を守らなきゃいけなかったのに。


 

 なのになのになのになのになのにィ‼︎‼︎




 








 守れなかったから、朝姫は世界を巻き込めるほどの強い魔法を使えるようになってしまったんだ。

窓にたっていた“クロさん”は私の問いに対して、こう答えた。


「......本名は諸事情によって言えない。仮に“クロ”とでも呼べばいい」


“クロさん”は凛とした低い女性の声だった。ていうか、たぶん女性だ。


理由は、膝が見えるスカートをはいているし、髪の毛は腰につくほど長いし、そして何より胸がとてもおっきいからだ。



私は一番の疑問を投げた。


「ク、クロさん。あなたはどうしてここに?」


「アンタの妹の藤井朝姫に“魔法”をかけにきた」


「......は? 魔法、ですか......?」


「ああ。実は藤井朝姫は、blue moonの日に産まれただろう。その日に産まれた子供は十歳まで生きれない。だから私はそれを止めに来た」


え?


自分勝手すぎない?


いきなり入ってきて、お前の妹は十歳まで生きれないーとか言われて。


私は頭に血が上った。


「嘘付け!!!!! 変なこと言うな! 朝姫になんかしたら私が許さん!!!!」


そう吐き散らかすと、“クロ”の表情は一気に冷たくなった。


そして、突然「………へぇ?」と意味深に目を細めた。


でも、その目は朝姫を見ていた。


まさか、この人!!


「ふーん。そーなんだねぇ。別に君は妹がどーなっても、自分が守れるーって、思うんだね。分かった。取り敢えず君、目瞑って?」


「......」


本能的に目を瞑ってしまったが、あのとき瞑らなければーーーー!


そして、五秒後に「もういーよ」と言われて開ける。


特に変わったようすはーーーーーー、

















ない?


私が首をかしげていると、“クロ”は怖い瞳から凛とした瞳に変わっていた。


「うん。見た目には影響がない。でも、中身はちゃあんと違うよ。藤井朝姫は、魔法でものを浮かせたり、透明人間になったりできるようになった」


はあ。それだけか。


心配して損したぁ。






ってちがーーーーーーーーーう!!!


私の大事な妹が!朝姫が!!魔法を使って悪さしたらどうすんのよ?!


「悪さはしないよ?ただ、君の妹の魔法で、誰かが傷つく可能性もないとは言えないけど」


それだよーーーーー!!!!


………この人、どこかぬけてるなあ。


するとクロさんは私の方へ来て、もう一回「目、瞑って」と言ってきた。


「また朝姫になんかするの?」


「ううん。しない」


私はとりあえず目を瞑ると、ほっぺたと胸あたりにに柔らかい感触がした。


「?!?!?!?!?!」


もしや………。


ほっぺたに感じたのは唇で、自分の胸あたりで感じたのはクロさんのおっぱい……?!


「~~~~~~クロさんっっっっっ!!!」


私が怒ると(といっても、小さな声で)、クロさんはクスクスと笑って、


「ごめんね?」


と言ってきた。


………子供っぽいな、この人。何歳だ?

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