保健室で、氷をもらい冷やしていると福永先生が
「七香!大丈夫か・・・!」
といって、登場した。
急いできてくれたようで、いつもの髪型が崩れていた。
私は、
「すねを蹴られただけなので全然大丈夫です。」
と言って答えた。
すると、
「そうか・・・。
本当に良かった。
今日は大変だったから今日の話は明日しよう。
ちなみに、緑たちは今、生徒指導室にいる。
だからもう何かしたりしてこないから、昼休みが終わったら安心して五、六時間目を受けなさい。」
と言ってくれた。
様子からして、先生は私たちのことを信じてくれたみたいだ。
私は色々な感謝の気持ちを込めて
「ありがとうございます・・・!」
といった。
広瀬君も、
「本当に色々とありがとうございました。」
といって先生に頭を下げていた。
先生は、
「いやいや・・・。
本当に今まで悪かったな。
明日の放課後、いつも話している会議室Aでまた話そう。
それじゃな。」
いうと出て行ってしまった。
そのあと、私は教室に戻るため蹴られたところに湿布を貼ってもらい、広瀬君とそのまま教室に向かった。
そのまま何事もなく、嵐の一日を終えた。
夕方から寝るまで、先生から明日何を言われるのだろうと気になったが、”まだ信じられない”と言われる心配がほぼないので、大丈夫だろうと思い安心して眠りについた。
そして、朝、目が覚め学校に行くと教室の前に緑ちゃんたちがいた。
私は何かされるのではないかと身構える。
するとそのまま緑ちゃんたちが近づいてきた。
「な・・・なに?」
すると、
「緑ちゃんたち、優笑に何か用でもあんの?」
と、少し切れ気味の広瀬君が急に後ろから来た。
私は広瀬君に驚きながらも、緑ちゃんたちのほうに集中する。
・・・と、
「優笑、いままでごめん、」
「俺たちも・・・ほんとに悪かった。」
「ごめんね、」
などと次々に謝ってきた。
思ってもなかったことが目の前で始まり、驚きのあまりフリーズしてしまった。
だけど、私はすぐに自我を取り戻し
「ど、どうしたの急に?」
と怖くなって聞いた。
そうしたら、
「えっと・・・」
と気まずそうにすると
「うちらさ、昨日先生に生徒指導室に行って、生徒指導の先生と色々話したんだ。
優笑、少し傷つくかもしれないけど、私たちの気持ちとかこれからのこととか言ってもいい?」
と聞いてきた。
私は、”ここだと人がいるからちょっとやだな・・・”と思いつつ広瀬君とどうするか考えていると、
「緑ちゃんたち、申し訳ないんだけど、廊下だと人が多いしもう少しで授業とかなんとか色々あるからさ、昼休みに昨日の空き教室みたいなところに行ってしっかり話さない?」
と広瀬君が提案してくれた。
私の心の中の気持ちが広瀬君には見えているんじゃないかと思うほど私の心配していたことをカバーするように言ってくれて本当に驚いた。
私がそう考えていると、緑ちゃんたちは
「うん。そうしたほうがいいかもね。
じゃ、昼休み、昨日の空き教室で待ち合わせね。」
といって自分の教室へと戻ってしまった。
取り残された私たちは
「・・・・・・びっくりしたね、」
と思わず言ってしまった。
でも、本当に驚いた。
昨日から今日にかけて何があったのだろう。
だけど、こんなに変われるんだなと思い私も・・・私も家族のこともこんな風に解決できればいいなとひそかに思った。
そして、昼休み。
私は広瀬君とともにあの空き教室に向かった。
まだ、緑ちゃんたちは来ていなくてがらんとしていた。
そして待っていると緑ちゃんたちが「遅れてごめん、」といって入ってきた。
「大丈夫だよ!対して待ってないし。」
私はそう答え、本題に入っていった。
「それで、緑ちゃんたちが話したいこと、話していいよ。
私のことは気にしないで全部話してほしい。」
「わかった。
全部話す。
あのね―――――私たち、優笑が『昨日ね、こんなことがあってね、それでね・・・』みたいに話してくるのがすごく嫌で、優笑ちゃんのこと自身は嫌いなわけじゃなかったんだけど、かげでちょっと嫌味みたいなのを言っちゃってたんだ。
だから・・・本当にいつの間にか小学校の時傷つけちゃってごめん。
今回の変な噂を流したのは、私たちのグループから優笑が離れて、なんか嫌だったし、なんかそうやって嫌だな、嫌だなって思ってたらだんだん優笑が成績が良くて先生に信頼されてて・・・みたいなところがなんかムカついてきちゃって。
今思えば、本当に勝手だったし、『は?』って思うほどおかしいことをしてたし、私のほうがバカだったなって思った。
だけど、そういう”私は間違ったことをしちゃった”っていうのはうすうす気づいてた。
でも、それを先生にばれたら・・・とかって思ったら、なんかどうしてもばれないようにしないとって思って自分でもびっくりするくらいひどいこと言って、口止めしようとしちゃった。
本当にごめん・・・。
っていう事に先生と話しててようやく気付いたの。
だから、しっかり謝らないとって思って、言ったんだ。
許す、許さないの問題じゃないのは分かってるんだけど・・・許してもらえる、かな、」
そういってきた。
許してもらえるかな・・・か。
私は確かにものすごく傷ついた。
それは、そういうことを言った緑ちゃんたちが悪いかもしれない。
でも、私も緑ちゃんたちが”嫌だな”と感じるようなことをいってしまったのも問題だ。
だから、緑ちゃんたちだけが悪いわけではない。
そう感じた。
しかも、しっかり謝ってくれたし、こうやって反省して私以外の人が同じ目に合うようなことは今回こうやって
”こういうことはしてはいけない。
私達は間違ったことをした。”
みたいに考えてくれたから、きっと起きないと思う。
だから・・・私は許すべきだと思う。
私がたとえどれだけ許したくないと思っても、相手の反省してくれたという気持ちを尊重してあげるためにも許さないといけないと思う。
それに・・・私はもっといろんなこと仲良くしていきたい。
本当に、今回の緑ちゃんたちのように変わっていきたい。
だからそのためにも・・・
「うん。許すよ。」
そう言った。
すると緑ちゃんたちは許してもらえないと思っていたのか、
「え・・・。」
といって固まってしまった。
すると、緑ちゃんが
「私達、こんなに悪いことしたのに・・・取り返しのない、謝っても簡単には許されないようなことをしたのに・・・?」
といった。
だから私はさっき自分の中で考えていたことを正直に話した。
「うん・・・。たしかに私はすごく傷ついた。
でも、私も緑ちゃんをそういう風にさせてしまうようなことをした。
だから緑ちゃんたちが一方的に悪いわけじゃない。
それに、せっかく謝ってくれたのにその気持ちを尊重しないで、
『私は許さない。』っていったらそれこそなんかおかしいなって思うから。
あと・・・これは単なる私の気持ちなんだけど、私またみんなと仲良くなりたいし、あの小学校の時のことがトラウマで人とうまくかかわれてなかったから、今回こうやって緑ちゃんたちのことが解決できたから、私もそのトラウマをずっと抱えてないで変わっていって、どんどんいろんな人と仲良くなっていかないといけないって思うんだ。
だから、そのためにも私は許すよ。
私は、もうこんなことを緑ちゃんたちが私以外の人にもやらないって信じてるし!」
すると、緑ちゃんが抱き着いてきた。
「優笑、本当にごめん。
許してくれてありがとう。
また前みたいに仲良くなれるように一からまた頑張るから、その時はまた仲良くしてくれたらうれしい。」
「うん。私のほうこそ、今度はみんなにいやだって思われるようなことはしないようにする。
それでも、やっちゃってたら直接教えてほしい。
そうしたほうがこんなことにならないと思うから!」
「そうだね。
たしかに、私たちが『こういうのは嫌だな』ってしっかり言ってたらまた違ったかもしれないもんね。」
「うん。」
そうして、無事に問題が解決した。
私は緑ちゃんと抱き着きながら広瀬君のほうを見ると、目が合った。
すると、『グット!』の形をした手を私のほうに向けて笑ってくれた。
そのあとはみんなで仲良く各教室に戻った。
あの嘘の噂については緑ちゃんたち自身がどうにかして解決してくれるらしい。
本当に、解決できたことにほっとして私は教室に入った。
そして、放課後。
先生と待ち合わせをしている会議室Aに広瀬君と向かった。
「ガラガラガラッ・・・」
ドアを開くと先生がもういて、「どうぞ座りなさい」と手招きしてくれた。
「ありがとうございます。」
そう答え、座るとさっそく話が始まった。
すると、
「優笑、本当に今回はすまなかった。
許してくれ。
先生は、まさか本当に緑が嘘の話をしていたとは思わなくて、信じることができなかったんだ。
だから、優笑のことを信じていないわけじゃないんだ。
本当にすまん。」
と急に先生がそんなことを言った。
さっきも一瞬思ったけど、やっぱり謝られると困るし、なんかあまりいい気がしない。
だって、私はただただこのすれ違いというか、勘違いをなくしたいというだけだった。
だから、”こんな風に謝らるのはな、”と思う。
でも、緑ちゃんたちの時も同じだけど、謝ってもらって”許す”ということ以外をするのはおかしいと思う。
そう思い、私は先生にこういった。
「いえ・・・、
今日の昼休みに緑ちゃんたちと話して、私も悪かったなと思うところがあったりしたので、お互い悪かったし・・・。
あと、先生のおかげでまた緑ちゃんたちと仲良くなれたので、本当にありがとうございます。
だから、先生もう大丈夫なので気にしないでください!」
そう言っておきながら私もいまいち、この答え方で合っているのかわからない。
だけど、
「本当か、それならよかった。
でも、本当にごめんな。」
と返してくれたので良かった。
「はい。
本当に今回はお世話になりました。」
そういって、このあと色々話すと、先生は「それじゃな!」といってここから出て行ってしまった。
これで、まず一つの壁を乗り越えられた。
なんか、本当に嬉しかった。
だって今まで全然うまくいかなかったことが、ついにうまくいったから。
それに変わることができて、一歩踏み出して新しい未来に進めたと思えたから。
今まで・・・今まで頑張ってきたからここまでこれたんだって感じて急に涙が出てきた。
まだ少し残っていた怖さが一気に壊れたように、ふっと心が軽くなった。
空君が
「大丈夫・・・?」
と聞いてきてくれる。
「うん。
なんかすごく重かった心が一気に軽くなって・・・楽になったら涙出てきちゃった。
本当にいままでたくさん助けてくれてありがとう、空君!
あの日、話しかけてくれなかったらこんなことにならなかったかもだし、いままで心が折れかけたときもずっと支えてくれて助けてくれたからこんなに私が変われたと思うんだ。
だから、本当にありがとう!」
そう自然と言葉があふれてきた。
空君も笑って、
「そっか・・・!
優笑がそんな風に思ってくれてたって思うと嬉しかった!
それに優笑、今俺のこと普通に”空君”って言ってくれた!
だから、本当にありがとう!
あと俺もこのおかげで、お母さんのように辛い気持ちになってる人を助けられるんだって思えた。
俺の壁を一緒に乗り越えてくれてありがとう。」
と言ってくれた。
「うん。
お互い成長できたんだね。
私も嬉しい!
これからもよろしく。」
「おう!
それじゃあさ、なんかこれからお疲れ様会みたいなのしない?
一歩を踏み出せた記念というか・・・」
「あ!いいねそれ!
私もやりたい!
でも、その前に私もう一つ家族とのすれ違いで起きているであろう壁を乗り越えてからでもいい?
今なら頑張ってまた乗り越えられると思うんだ!
だから、お疲れ様会の時間が遅くなっちゃうと思うんだけど・・・」
「うん。俺、待ってるよ!
しっかり解決させてきな!
優笑なら絶対にしっかり乗り越えられるから!
頑張れよ!」
「空君、ありがとう!
私、絶対成功させる!」
そう言葉を交わし、家に帰る。
お母さんと碧唯はまだ帰っていなかった。
いつものことなのになぜか落ち着かなかった。
そして、日が落ちてきて空が濃いオレンジ色に染まったころ「ガチャッ」と玄関のドアが開く音がした。
お母さんと碧唯が返ってきたのだ。
「おかえりなさい!」
私は玄関まで行きお出迎えをした。
「優笑・・・?」
お母さんは目を丸めていて驚いていた。
そりゃそうだよね・・・私は今までお母さんたちのことをお出迎えしたことが一度もなかったから。
「話があるんだけど、いいかな?」
意を決して私は言った。
「七香!大丈夫か・・・!」
といって、登場した。
急いできてくれたようで、いつもの髪型が崩れていた。
私は、
「すねを蹴られただけなので全然大丈夫です。」
と言って答えた。
すると、
「そうか・・・。
本当に良かった。
今日は大変だったから今日の話は明日しよう。
ちなみに、緑たちは今、生徒指導室にいる。
だからもう何かしたりしてこないから、昼休みが終わったら安心して五、六時間目を受けなさい。」
と言ってくれた。
様子からして、先生は私たちのことを信じてくれたみたいだ。
私は色々な感謝の気持ちを込めて
「ありがとうございます・・・!」
といった。
広瀬君も、
「本当に色々とありがとうございました。」
といって先生に頭を下げていた。
先生は、
「いやいや・・・。
本当に今まで悪かったな。
明日の放課後、いつも話している会議室Aでまた話そう。
それじゃな。」
いうと出て行ってしまった。
そのあと、私は教室に戻るため蹴られたところに湿布を貼ってもらい、広瀬君とそのまま教室に向かった。
そのまま何事もなく、嵐の一日を終えた。
夕方から寝るまで、先生から明日何を言われるのだろうと気になったが、”まだ信じられない”と言われる心配がほぼないので、大丈夫だろうと思い安心して眠りについた。
そして、朝、目が覚め学校に行くと教室の前に緑ちゃんたちがいた。
私は何かされるのではないかと身構える。
するとそのまま緑ちゃんたちが近づいてきた。
「な・・・なに?」
すると、
「緑ちゃんたち、優笑に何か用でもあんの?」
と、少し切れ気味の広瀬君が急に後ろから来た。
私は広瀬君に驚きながらも、緑ちゃんたちのほうに集中する。
・・・と、
「優笑、いままでごめん、」
「俺たちも・・・ほんとに悪かった。」
「ごめんね、」
などと次々に謝ってきた。
思ってもなかったことが目の前で始まり、驚きのあまりフリーズしてしまった。
だけど、私はすぐに自我を取り戻し
「ど、どうしたの急に?」
と怖くなって聞いた。
そうしたら、
「えっと・・・」
と気まずそうにすると
「うちらさ、昨日先生に生徒指導室に行って、生徒指導の先生と色々話したんだ。
優笑、少し傷つくかもしれないけど、私たちの気持ちとかこれからのこととか言ってもいい?」
と聞いてきた。
私は、”ここだと人がいるからちょっとやだな・・・”と思いつつ広瀬君とどうするか考えていると、
「緑ちゃんたち、申し訳ないんだけど、廊下だと人が多いしもう少しで授業とかなんとか色々あるからさ、昼休みに昨日の空き教室みたいなところに行ってしっかり話さない?」
と広瀬君が提案してくれた。
私の心の中の気持ちが広瀬君には見えているんじゃないかと思うほど私の心配していたことをカバーするように言ってくれて本当に驚いた。
私がそう考えていると、緑ちゃんたちは
「うん。そうしたほうがいいかもね。
じゃ、昼休み、昨日の空き教室で待ち合わせね。」
といって自分の教室へと戻ってしまった。
取り残された私たちは
「・・・・・・びっくりしたね、」
と思わず言ってしまった。
でも、本当に驚いた。
昨日から今日にかけて何があったのだろう。
だけど、こんなに変われるんだなと思い私も・・・私も家族のこともこんな風に解決できればいいなとひそかに思った。
そして、昼休み。
私は広瀬君とともにあの空き教室に向かった。
まだ、緑ちゃんたちは来ていなくてがらんとしていた。
そして待っていると緑ちゃんたちが「遅れてごめん、」といって入ってきた。
「大丈夫だよ!対して待ってないし。」
私はそう答え、本題に入っていった。
「それで、緑ちゃんたちが話したいこと、話していいよ。
私のことは気にしないで全部話してほしい。」
「わかった。
全部話す。
あのね―――――私たち、優笑が『昨日ね、こんなことがあってね、それでね・・・』みたいに話してくるのがすごく嫌で、優笑ちゃんのこと自身は嫌いなわけじゃなかったんだけど、かげでちょっと嫌味みたいなのを言っちゃってたんだ。
だから・・・本当にいつの間にか小学校の時傷つけちゃってごめん。
今回の変な噂を流したのは、私たちのグループから優笑が離れて、なんか嫌だったし、なんかそうやって嫌だな、嫌だなって思ってたらだんだん優笑が成績が良くて先生に信頼されてて・・・みたいなところがなんかムカついてきちゃって。
今思えば、本当に勝手だったし、『は?』って思うほどおかしいことをしてたし、私のほうがバカだったなって思った。
だけど、そういう”私は間違ったことをしちゃった”っていうのはうすうす気づいてた。
でも、それを先生にばれたら・・・とかって思ったら、なんかどうしてもばれないようにしないとって思って自分でもびっくりするくらいひどいこと言って、口止めしようとしちゃった。
本当にごめん・・・。
っていう事に先生と話しててようやく気付いたの。
だから、しっかり謝らないとって思って、言ったんだ。
許す、許さないの問題じゃないのは分かってるんだけど・・・許してもらえる、かな、」
そういってきた。
許してもらえるかな・・・か。
私は確かにものすごく傷ついた。
それは、そういうことを言った緑ちゃんたちが悪いかもしれない。
でも、私も緑ちゃんたちが”嫌だな”と感じるようなことをいってしまったのも問題だ。
だから、緑ちゃんたちだけが悪いわけではない。
そう感じた。
しかも、しっかり謝ってくれたし、こうやって反省して私以外の人が同じ目に合うようなことは今回こうやって
”こういうことはしてはいけない。
私達は間違ったことをした。”
みたいに考えてくれたから、きっと起きないと思う。
だから・・・私は許すべきだと思う。
私がたとえどれだけ許したくないと思っても、相手の反省してくれたという気持ちを尊重してあげるためにも許さないといけないと思う。
それに・・・私はもっといろんなこと仲良くしていきたい。
本当に、今回の緑ちゃんたちのように変わっていきたい。
だからそのためにも・・・
「うん。許すよ。」
そう言った。
すると緑ちゃんたちは許してもらえないと思っていたのか、
「え・・・。」
といって固まってしまった。
すると、緑ちゃんが
「私達、こんなに悪いことしたのに・・・取り返しのない、謝っても簡単には許されないようなことをしたのに・・・?」
といった。
だから私はさっき自分の中で考えていたことを正直に話した。
「うん・・・。たしかに私はすごく傷ついた。
でも、私も緑ちゃんをそういう風にさせてしまうようなことをした。
だから緑ちゃんたちが一方的に悪いわけじゃない。
それに、せっかく謝ってくれたのにその気持ちを尊重しないで、
『私は許さない。』っていったらそれこそなんかおかしいなって思うから。
あと・・・これは単なる私の気持ちなんだけど、私またみんなと仲良くなりたいし、あの小学校の時のことがトラウマで人とうまくかかわれてなかったから、今回こうやって緑ちゃんたちのことが解決できたから、私もそのトラウマをずっと抱えてないで変わっていって、どんどんいろんな人と仲良くなっていかないといけないって思うんだ。
だから、そのためにも私は許すよ。
私は、もうこんなことを緑ちゃんたちが私以外の人にもやらないって信じてるし!」
すると、緑ちゃんが抱き着いてきた。
「優笑、本当にごめん。
許してくれてありがとう。
また前みたいに仲良くなれるように一からまた頑張るから、その時はまた仲良くしてくれたらうれしい。」
「うん。私のほうこそ、今度はみんなにいやだって思われるようなことはしないようにする。
それでも、やっちゃってたら直接教えてほしい。
そうしたほうがこんなことにならないと思うから!」
「そうだね。
たしかに、私たちが『こういうのは嫌だな』ってしっかり言ってたらまた違ったかもしれないもんね。」
「うん。」
そうして、無事に問題が解決した。
私は緑ちゃんと抱き着きながら広瀬君のほうを見ると、目が合った。
すると、『グット!』の形をした手を私のほうに向けて笑ってくれた。
そのあとはみんなで仲良く各教室に戻った。
あの嘘の噂については緑ちゃんたち自身がどうにかして解決してくれるらしい。
本当に、解決できたことにほっとして私は教室に入った。
そして、放課後。
先生と待ち合わせをしている会議室Aに広瀬君と向かった。
「ガラガラガラッ・・・」
ドアを開くと先生がもういて、「どうぞ座りなさい」と手招きしてくれた。
「ありがとうございます。」
そう答え、座るとさっそく話が始まった。
すると、
「優笑、本当に今回はすまなかった。
許してくれ。
先生は、まさか本当に緑が嘘の話をしていたとは思わなくて、信じることができなかったんだ。
だから、優笑のことを信じていないわけじゃないんだ。
本当にすまん。」
と急に先生がそんなことを言った。
さっきも一瞬思ったけど、やっぱり謝られると困るし、なんかあまりいい気がしない。
だって、私はただただこのすれ違いというか、勘違いをなくしたいというだけだった。
だから、”こんな風に謝らるのはな、”と思う。
でも、緑ちゃんたちの時も同じだけど、謝ってもらって”許す”ということ以外をするのはおかしいと思う。
そう思い、私は先生にこういった。
「いえ・・・、
今日の昼休みに緑ちゃんたちと話して、私も悪かったなと思うところがあったりしたので、お互い悪かったし・・・。
あと、先生のおかげでまた緑ちゃんたちと仲良くなれたので、本当にありがとうございます。
だから、先生もう大丈夫なので気にしないでください!」
そう言っておきながら私もいまいち、この答え方で合っているのかわからない。
だけど、
「本当か、それならよかった。
でも、本当にごめんな。」
と返してくれたので良かった。
「はい。
本当に今回はお世話になりました。」
そういって、このあと色々話すと、先生は「それじゃな!」といってここから出て行ってしまった。
これで、まず一つの壁を乗り越えられた。
なんか、本当に嬉しかった。
だって今まで全然うまくいかなかったことが、ついにうまくいったから。
それに変わることができて、一歩踏み出して新しい未来に進めたと思えたから。
今まで・・・今まで頑張ってきたからここまでこれたんだって感じて急に涙が出てきた。
まだ少し残っていた怖さが一気に壊れたように、ふっと心が軽くなった。
空君が
「大丈夫・・・?」
と聞いてきてくれる。
「うん。
なんかすごく重かった心が一気に軽くなって・・・楽になったら涙出てきちゃった。
本当にいままでたくさん助けてくれてありがとう、空君!
あの日、話しかけてくれなかったらこんなことにならなかったかもだし、いままで心が折れかけたときもずっと支えてくれて助けてくれたからこんなに私が変われたと思うんだ。
だから、本当にありがとう!」
そう自然と言葉があふれてきた。
空君も笑って、
「そっか・・・!
優笑がそんな風に思ってくれてたって思うと嬉しかった!
それに優笑、今俺のこと普通に”空君”って言ってくれた!
だから、本当にありがとう!
あと俺もこのおかげで、お母さんのように辛い気持ちになってる人を助けられるんだって思えた。
俺の壁を一緒に乗り越えてくれてありがとう。」
と言ってくれた。
「うん。
お互い成長できたんだね。
私も嬉しい!
これからもよろしく。」
「おう!
それじゃあさ、なんかこれからお疲れ様会みたいなのしない?
一歩を踏み出せた記念というか・・・」
「あ!いいねそれ!
私もやりたい!
でも、その前に私もう一つ家族とのすれ違いで起きているであろう壁を乗り越えてからでもいい?
今なら頑張ってまた乗り越えられると思うんだ!
だから、お疲れ様会の時間が遅くなっちゃうと思うんだけど・・・」
「うん。俺、待ってるよ!
しっかり解決させてきな!
優笑なら絶対にしっかり乗り越えられるから!
頑張れよ!」
「空君、ありがとう!
私、絶対成功させる!」
そう言葉を交わし、家に帰る。
お母さんと碧唯はまだ帰っていなかった。
いつものことなのになぜか落ち着かなかった。
そして、日が落ちてきて空が濃いオレンジ色に染まったころ「ガチャッ」と玄関のドアが開く音がした。
お母さんと碧唯が返ってきたのだ。
「おかえりなさい!」
私は玄関まで行きお出迎えをした。
「優笑・・・?」
お母さんは目を丸めていて驚いていた。
そりゃそうだよね・・・私は今までお母さんたちのことをお出迎えしたことが一度もなかったから。
「話があるんだけど、いいかな?」
意を決して私は言った。