パパと恋人のはざまでー義理の姪が誘惑している?

もうそろそろかなと思っていたら「生理終わった」と嬉しそうに部屋に入ってきて、布団に潜り込んできた。久恵ちゃんのいい匂いは久しぶりだ。

「久恵ちゃんは生理の時には、布団に入ってこなかったけどどうして? 少し寂しかったけど」

「ごめんね。生理の匂いが気になるから」

「そうじゃないかと思っていた。生理の匂い、分かるよ。昔、一緒に研究していた女性のにおいで気が付いた」

「あまりいい匂いではないと思うけど、どう?」

「男にとっては良いにおいではないと思う。いつもの久恵ちゃんの匂いとは全然違う。やっぱり、嗅ぎたくないにおいかな」

「自分でもそう思うから、生理の時は遠慮していたの」

「生理中は、妊娠しないけど、やはり、血とかにおいでする気がしないし、できないかな。妊娠しない時には、接触を避けるための自然の摂理なのかもしれないね」

「狭い部屋の方が落ち着くね」

そう言って、身体を寄せてくるので抱き締めるともう我慢ができないし、我慢する必要もない。すぐに愛し合う。

久恵ちゃんの「痛い痛い」が始まったので頃合いを見計らって、また「おしまい」ということにした。可哀そうで続ける気にならないし、無理はしない。

「ごめんなさい」と謝る久恵ちゃんの耳元でそっと囁いてやる。

「昔、同期の友人が得意げに結婚した時のことを話していたけど、初めてなので痛がって、まともにできるようになるまで1週間かかったと言っていたよ」

「ええ、1週間もかかるの? でもまた明日頑張る。初めての夜にしてくれたように、後ろから抱いて寝て下さい」

「ああ、そうしてあげる」

「あの最初の夜に、後ろから抱いて寝てくれたけど、温かくて、包まれているようで、安心して眠れたから」

「お互いに前向きに抱き合って寝ようとすると、身体を真っ直ぐにしないと、密着できない」

「確かにそうね」

「どうしても前向きにしようとすると久恵ちゃんが足を曲げて丸くならないと抱え込んで抱き締められないだろう」

「それでも、しっかり抱かれているという感じがしないと思う。それに前向きだと、顔も近づくので、眠りにくいかもしれない」

「その時は顔を胸にうずめるしかないと思うけどね」

「ちょっと息苦しいかも」

「人間は母胎の中で丸まって育ってきたから、眠る時は大体、丸まって眠る。後ろから抱いて眠ると、自然な形で二人が密着できる。抱いている方は、身体全体で包み込めるので、しっかりと密着して抱くことができるし、身体の中、腕の中にあるという満足感がある」

「だから抱かれている方は包まれて守られているようで安心して眠られるのね。でも後ろ髪が顔に当たらない?」

「髪の匂いもいいけどね。それに冬は湯たんぽみたいに温かいと思う」

「やっぱり、後ろから抱いて寝てもらうのが一番いい」

「でも、これにも欠点がある」

「なに?」

「寝顔を見られない」

「私、時々よだれを垂らして寝ているみたいで、そんな寝顔みられたくない」

「久恵ちゃんの寝顔はとても可愛い。新幹線で僕の肩にもたれて眠っていたとき、それをずっと見ていた。この腕の中に抱き締めて寝てそれをみてみたい。そんな衝動に駆られた」

「それなら遠慮なく見て下さい」

「そのうち見せてもらう。楽しみにしている。おやすみ」

「おやすみなさい」

それはすぐに実現した。夜中に久恵ちゃんが寝返りを打ったので目が覚めた。僕の方に向きを変えていた。薄明りの中で寝顔が見えた。あのときの安らかな寝顔だった。今僕の腕の中で安らかに眠っている。いつまでもじっと見ていた。

「おはよう」

久恵ちゃんに起こされた。あの時と同じだった。
久恵ちゃんは少しずつだけど愛し合うことに慣れてきている。ただ、まだ痛みがあるようで、頃合いを見計らって「おしまい」ということにしている。

慣れてきたこともあり、そのあと話をするようになっている。これがピロートーク? 面白いことを言ってきた。

「パパ、お願いがあるの。パパの上で寝ていい?」

「上で?」

「お腹の上で」

「いいけど、どうして」

「私、小さい時に公園の芝生で父親が上向きに寝て、赤ちゃんをお腹の上で寝かせているのをみたことがあるの。私、父親がいなかったから、とてもうらやましく思ってみていたの。一度でいいからお腹の上で寝かせて」

「何度でもいいけど。久恵ちゃんは小柄で軽いから大丈夫だと思う」

「嬉しい。お願いします」

「じゃあ、パジャマを着てから上に載って、僕が膝を立てて脚を少し広げるから、久恵ちゃんはうつ伏せて、脚を開いて、膝の外側へ、両手は両脇へ、そうすると、落ちにくいと思うけど」

言うとおりに素直に従ってくれる。

「うん、安定して落ちにくい。顔は横向きね。パパの温もりを感じて、気持ちいい。重くない?」

「大丈夫そう。上から布団をかけるよ。おやすみ」

布団をかけると結構な重量になる。薄い布団に変えるべきだった。久恵ちゃんの腰骨と胸のふくらみを身体に感じる。あそこもなんか当たっている感じがする。そういえばこの感触、どこかであった。

あの花見の時のおんぶした感覚だ。あのときは背中に膨らみが二つ当たっていて、ずっとその感覚が背中に残っていた。今は胸にその感覚を感じている。

やってみると父親が赤ちゃんをお腹の上に載せる気持ちがよく分かる。ひよこひょこ動きまわる感じがたまらなく可愛いんだと思う。

急に重さを感じるようになった。寝息が聞こえるので、もう眠ったのかな? 顔を覗くと、口からよだれが! 可愛い! 抱いて寝ながら寝顔を見てみたいと思っていたけど、こんなに寝顔が近くで見られるなんて!

でもだんだん重く感じるようになってきた。眠る前は足と腕で身体を支えてくれていたので重さをそれほど感じなかったが、眠ると全体重がかかってくるみたいだ。苦しい。少し横を向いてみよう。

うまくずり落ちてくれるといいなと思いながら身体を傾ける。久恵ちゃんはずり落ちるのを避けるように無意識にしがみついてくる。これがまたたまらなく可愛い。でも顔がゆがんでいる。斜めを保ったままこの感触を楽しむことにしよう。

でもいいかげん疲れてきた。人間というものはせっかくいいことがあってもすぐにそのことに慣れてしまうものだ。我慢できなくなって横向きになった。久恵ちゃんがずり落ちた。重さから解放されてほっとした。

でも相変わらず久恵ちゃんは僕にしがみついている。心地よい疲労の中で僕は眠りに落ちた。

夜中に何回かお腹の上に乗られたような気がした。そのたびに横になってずり落としていたような気がする。

「おはよう」

久恵ちゃんがお腹の上に乗ってきたので目が覚めた。

「重くなかった?」

「少しね」

「朝、目が覚めたら横で寝ていた」

「夜中に落ちたんだね。急に楽になったような気がした」

「夜中に崖から滑り落ちる夢をみたの、必死でしがみついていたけど、落ちてしまった夢。気がついたらパパの横に落ちていた。それでまた乗って寝た」

「満足した?」

「気が済んだけど、なぜか寝足りない気がする。熟睡できなかったみたい。だからこれは気が向いた時だけにする」

そうしてくれ、僕もぐっすり眠れないから!
久恵ちゃんとはまだ痛がるので長い時間愛し合うことができていない。僕は精神的にはすごく満足している。こんな時は今しかないと思っている。

久恵ちゃんはちょっと違うかもしれない。「今日はこれでおしまい」と言うと、ほっとするようだけど、なんとなく物足りなさを感じているのも分かる。

なじみになった娘が「本当に私のことを思ってくれているのかは、終わった後にどうしてくれるかで分かる」と言っていたのを思い出した。

気持ちだけでも満ち足りた感じでいてもらいたい。なんとか関心のありそうなことを探して話してみる。これがピロートーク?

「最初の夜の久恵ちゃんの眼差しが忘れられないんだ。久恵ちゃんが手を握り返してきて、明かりを消したとき、月明かりで一瞬見えた。もの悲しそうなうるんだ目が今でもはっきり目に焼き付いている。きっと一生忘れないと思う。あの目を見たとき、思い切り抱きしめたくなった。今でも思い出すと抱き締めたくなる」

「よく覚えていない。でも、あの時、嬉しくて、少し怖くて。明かりを消してもらったけど、パパの顔を見たかった」

「あんな目は、あの時の一回だけで、その前もそれからも見ていない。ほんの一瞬のことでも一生の記憶に残ることがあるんだね。だから今、この時この一瞬を大切にしたいと思っている」

「私も」

久恵ちゃんが抱き着いてきた。なんか、いい感じになってきた。久恵ちゃんの匂いがする。

「久恵ちゃんの匂い好きだよ。とっても良い匂い。甘酸っぱい匂いに包まれるようで」

「私もパパの匂い好きよ。パパの匂いはうまく言葉では言い表わせないけど、乾いた洗濯物の匂いを嗅ぐとよく分かる。その匂いを嗅ぐと何か落ち着くような。父親の匂いみたいなところがあるのかな」

「女の子の匂いは男をムラムラさせる働きがあるように思う。以前、久恵ちゃんが酔っ払って、それを介抱して、布団に寝かせたときだけど、布団にその匂いが充満していて、ムラムラして、襲い掛かりたい衝動に駆られた。それで慌てて部屋を出たことがある」

「襲い掛かってほしかったわ」

「残念だけど、理性が邪魔をした」

「これまで、ずっと、パパに無理やり奪われたいと思い、覚悟もしていたけれど、なぜ、そういう思いが募ったのかよく分からないの。本当は優しくしてほしかったはずなのに」

「それは、自分自身では超えられない何かがあって、自身の責任ではなく相手の責任にゆだねてしまうからかな。相手に打ち破ってもらいたい願望ではないのかな」

「私には、そんな深い思いなどはなかったと思うけど。女性には、無理やり奪われたいという、自然な欲求があるのかもしれない」

「男性なら誰でも女性を無理やりにと言う本能的な欲求があると思う。ただ、理性が抑えている」

「お願い! 襲い掛かって見て」

「ええ、いいけど」

「本気出して襲い掛かって、私も本気で抵抗する。でも叩いたりするのはなしよ」

「分かった。そっちも蹴ったりするのはなし。もちろん大声も。前の時みたいに、隣の人がガードマン呼ぶから」

「分かった。じゃあ、始めて」

プロレスのシングルマッチ無制限一本勝負が始まろうとしている。

ちょっと本気で久恵ちゃんに襲い掛かる。非力でたいしたことはないと思っていたけど、相当な抵抗で思ったよりも力が強い。脚をしっかり閉じて、身体を丸められると、何もできない。

「やめて」とか「だめ」とか「いや」と小声で言うから、なおさら興奮する。

ここは本能に任せるしかなかった。手足を絡めて、ようやく身体の下に組み敷くことができた。

「ワン、ツウ、スリー」

勝負あり!

「これでおしまい」

久恵ちゃんがようやく力を抜いた。疲れたー!

「すごく、興奮した。パパはすごく怖い顔していた。どこで抵抗止めようかなと思っていたけど最後まで抵抗してみた」

「久恵ちゃんの力が強いのに驚いた。こちらもすごく興奮した。抵抗されると難しいのが良く分かった。とにかく体力を消耗する。疲れた」

「私も疲れた。パパがいつも言っている心地よい疲労ね。とても楽しかった。おやすみ」

久恵ちゃんは満足したのか、疲れたのか、すぐに寝息を立てた。若い娘を相手にすると身が持たないのを実感した。もっと鍛えておくべきだった。

それより、とりとめのない話をもっと考えておいた方がよいと思った。後悔先に立たず。疲れた! おやすみ!
すぐ隣で久恵ちゃんがもぞもぞ動いているので目が覚めた。まだ、薄暗い。腕を伸ばして抱き寄せる。もう目を覚ましていた。

「パパのいびきすごい。時々夜中にそれで目が覚める。明け方もそうだった。でもパパのいびき好きよ。とても気持ちよさそうだし、仕事を頑張って、私を可愛がってくれて、疲れているんだなと思うと、嬉しくなって抱きつくの」

「ごめん、気が付かなかった。気を付けると言っても気の付けようがないけど」

「でもね、抱き付いたらいびきが止まるの」

「うるさい時はいつでもそうしてくれた方がいい」

「そのいびきが突然聞こえなくなる時があるの。驚いて、死んじゃったんじゃないかしらと、息をしているか確かめてしまうの。息をしているのが分かると安心する。だから、いびきは生きている証拠。聞いているうちに、また自然と眠ってしまうし、もう慣れた」

「久恵ちゃんもいびきをかくんだよ。そんなに大きな音ではないけど、いびきだと分かる。それが聞こえると、やっぱり仕事や家事で疲れてるんだなあと思う。すると、可愛くてしかたなくなって、抱き寄せる。すると大体治まる」

「二人とも同じことをしていたなんて、やっぱり気が合うんだ」

「でも二人ともいびきをかくのはやっぱり疲れているのだと思う」

「いびきのかきっこをしていればお互いに気にならないかも」

「久恵ちゃんの寝顔も好きだよ。夜中に目が覚めることがあるけれど、薄明りの中で寝顔を見ていると自然に時間が経って、また眠りに落ちてしまう」

「どんな顔して寝てる?」。

「いつもは、安心しきった穏やかな顔をしているけど、ときどき眉をひそめて、困ったような顔をする時があるけど、頬や髪をなでてやったりすると、穏やかな顔になる」

「撫でてくれているんだ」

「また、疲れているのか、チョットだらしなく、口を開けて寝ているときもある。そういうときは、大概、よだれをたらしている。それを口で吸いとる。これが甘くておいしい」

「ええ、おいしい? 変態じゃない?」

「そうかもしれない。近頃だんだんおかしくなってきている」

「そんな寝顔も見られているんだ。ちょっと恥ずかしいけど、いつも見守ってくれていていると思うと嬉しい」

「昨夜は、困ったような顔をしたので、いつものように髪をなでてやっていると、寝言をいった」

「何て言った」

「『もっとして』と言っていた。きっと途中で『おしまい』と止められた夢でも見ているのかと思った」

「はじめのころ、すごく痛かったので途中でやめてくれたけど、本当は最後までしてほしかったから、そうだと思う」

「そうだったの?」

「私ね、中学3年生のころだったと思うけど、ママの手頸に赤い痕があるのを見つけて、それどうしたのって聞いたの。そうしたら、ママは真っ赤になって恥ずかしそうに、買い物で重い荷物を手に掛けたから痕がついたみたいといって隠していた。高校生になってある時、パパの本棚に女の人が縛られている写真が載っている本を偶然に見つけたの。それでママはきっとパパに縛られていたんだと思った。それを思うと身体が熱くなった。だから今でも縄を見るとゾクッとするの。どうして愛し合っているのに、そんなことするのだろう」

「男と言うのは愛する女を自分のものにしたい、そして服従させたい、やりたいことをしたいと思っている。縛るというのは相手の自由を奪うことで、服従しかない状況におく。そして自分のものとして思い通りに、やりたいことをすることによって、その所有感、満足感に浸る。一方、女というのは、誰かに愛されたい、独占されたいという願望があるのではないのかな? だから服従を迫られると、それは独占されることになると思い、その満足感に浸れるのではないのかな?」

「私は、よく分からない」

「パパ、今度、縛ってみて」

「うん。無理やり奪ってみてと言われて試したとき、抵抗されてとても大変だった。はじめに縛っておくと随分楽だろうと思った」

早朝からこんなとりとめのない話が楽しくてしかたない。これもピロートークというのか? いや、起きがけトーク? いや、早朝トーク? ラジオのトーク番組みたいだ。

もうこんな時間になった。すぐに起きよう!
土曜の朝、久恵ちゃんがトイレを出たり入ったりしている。

「どうしたの? お腹の具合でも悪いの?」

「あのー、ここ5日ばかりウンチが出ていないんです」

「ええ、そりゃー大変だ。苦しくないの?」

「苦しいけど、出ないものは出ないの。私、緊張すると便秘になるんです。ここのところずっと夜、緊張していたので」

恥ずかしそうに僕に告白してくれた。

「なんで早く言わないの、便秘薬があったのに」

「恥ずかしかったから。でも下腹が痛い」

「そうだ、それなら浣腸したらいい。イチジク浣腸!」

早速、僕は駅前の薬局に走って買いに行って来た。また必要になるかもしれないと2箱買ってきた。帰ってきてもやっぱりまだ出ていなかった。

「買ってきたけど、使ったことある?」

「ないけど、使い方が書いてあるからやってみる」

久恵ちゃんがトイレで試みている。

「やっぱり出ない。下腹とお尻の穴が痛い」

もう、今にも泣き出しそうだ。

「浣腸の仕方が下手じゃない。やってみていい?」

「恥ずかしい」

「はい、お尻を出して」

久恵ちゃんはもじもじしていたが、覚悟を決めた様子で、トイレの前で四つん這いになって下着を下げてこちらにお尻を見せる。相当に恥ずかしがっている。顔が真っ赤だ。

AVにもこういう場面があった。実際にこんな場面に遭遇するとは思わなかった。それも久恵ちゃんの可愛いお尻だ。

お尻の穴は確か蕾のようなはずが、太い黒いウンチが顔をだしている。触ってみると固い。痛いはずだ。これは手で取り出さないとだめだ。

薄いビニールの使い捨て手袋をして取り除き始める。固いけど、ポロポロとれる。顔を出している部分が取り除かれると、蕾が戻った。可愛い! 

そこに指を突っ込み、さらに奥の固いウンチを取り出す。ウンチを取り除くと結構広い空間ができたみたい。中の粘膜が柔らかい。楽になったと言うので、ここまでとした。

恥ずかしがって、すぐに久恵ちゃんはトイレに隠れた。行き掛かりとはいえ、大変なことをしてしまった。でも助けたい一心でのことだから、許してくれるだろう。

水を流す音が何回も聞こえる。時間をおいて、ようやくトイレから出てきた。ほっとした顔をしている。

「出たー! 20㎝はあったわ、太いのが、パパに見てほしかったけど」

「結構です。はしたない。うら若き女性の言うことか!」

僕は最近変態気味だけどそこまでには至ってはいない。本当に興ざめで見たくなんかなかったんだ。

「恥ずかしくて、恥ずかしくて」

「臭い仲になってしまったね」

「望むところですから」

そのあと、久恵ちゃんは以前にも同じことがあったと話してくれた。兄と久恵ちゃんのママが結婚して、3人で一所に生活を始めてからしばらくして、今まで男の人と同居したことがなかったので、やはり過度の緊張で便秘になったという。

夜中にお腹が痛くて痛くて我慢できなくなって、両親に言ったところ、兄がとても心配して、すぐ119番に連絡して見てくれる病院を探して、車にのせて連れて行ってくれたという。

処置は今回と同じで看護婦さんが手で掻き出して浣腸してくれたそうだ。まんざら間違った処置ではなかったようだ。次はすぐに対処できる。

兄は「なぜ早く言わない。体の具合が悪かったら、遠慮しないですぐに言わないと。もう家族なんだから」と言ってくれて「大事にならなくてよかった、本当によかった」と喜んで、抱き締めてくれた。これまで父親に接したことがなかったので、とても頼もしくて、嬉しかったそうだ。

また、暇を見て勉強も助けてくれたので、とてもありがたかった。父親ってこういうものなんだと、父親ができて初めて嬉しいと思った。

それで、今まで「おじちゃん」と言っていたのを「パパ」と呼んでいいかと聞いたところ、照れくさそうに「パパか、いいよ」と、とても嬉しそうだった。それから、徐々にパパが好きになっていったという。

この話を聞くと、やはりどこかで僕と兄貴は繋がっている。このウンチ詰まり事件から、久恵ちゃんは夜、明かりを消してとは言わなくなった。

二人には人にはとても言えない秘密ができて、前よりもっと気持ちが通じ合うようになった気がする。夫婦ってこんなふうに少しずつ絆が深まって行くのだろうか?
伊豆下田でお互いの気持ちを確かめ合い結ばれてから、今日でほぼ2週間になる。間に生理があって、ようやく「痛い痛い」がなくなってきた。

久恵ちゃんがお風呂から上がって身繕いを終えたころを見計らって、ドアをノックする。

「今日はここに泊まってもいい?」

「嬉しい、ソファーに座って下さい」

ピンクの花柄のパジャマを着ている。化粧をしていない素顔がとても可愛い。ここのところ、日ごとに女っぽくなっている。隣に座った久恵ちゃんを抱き寄せる。

今日は決心をして久恵ちゃんの部屋を訪ねた。今までは痛がるので最後までできていなかった。無理すればできたが、大切にしたいという思いがそうさせた。

いつもよりもゆっくり久恵ちゃんを可愛がって、ようやく最後まで愛し合った。久恵ちゃんもそれが分かって「嬉しい」というのが聞こえた。

ちゃんと避妊はしている。今、久恵ちゃんが妊娠したら可哀そうだ。それよりも、もう少し二人だけの生活を楽しみたいと思っているからでもある。

久恵ちゃんはまだジッとして動かない。そっと布団をかけて、隣に横たわって、手を握った。「腰がだるい」そう言って眠ってしまった。

どのくらい時間が経過したか分からない。僕も眠っていたみたい。久恵ちゃんがトイレに立った。そして、戻ってくると、身体を滑り込ませてきて「うしろから抱いて寝て下さい」といって背をむけた。抱きながら、久恵ちゃんの耳元で話始めた。

「兄貴が死んだ時、大人になった久恵ちゃんを見て、とても愛おしく可愛いと思った。自分の手元に置いておきたいと思ったから、東京へ誘った。それからというもの、どれほど、自分のものにしてしまいたいと思ったことか。楽しい生活が続くほど、その思いが募った」

「私もパパのこと嫌いでなかったから、東京で面倒を見てくれると言ってくれたとき、とても嬉しかった。本当にあの時は一人ぼっちでとても寂しかった。これから、どう生きて行こうかと不安だった。それから学校まで行かせてくれるというので、どうお礼をしていいのかと思った。だから、愛人になってもいいと言ったのは、あれは本心から。パパのこと慰めて上げられれば、それがお礼になると思ったの。だから、始めから、いつパパが私の部屋に入ってきて私を求めても覚悟はできていたの」

「そうしてしまいたいと思うことは、確かにあった。でもそうしたら、久恵ちゃんを傷つけてしまうことになると思っていた。歳も離れているし、それは絶対にできないし、してはいけないと」

「パパが私を大切に大切にしてくれるから、どんどんとっても好きになっていったの。お部屋に入ってきて、パパのものにしてほしかったけど、パパはそっけなくて寂しかった。でも、あのキスをしてもらった時に分かったの、パパの気持ち。本当は私がほしいんだと」

やっぱりね。やりすぎたと思ったけどけどそれがよかったみたい。

「あの時は確かにとても幸せな気分だった。あんなことを言ってくるとは思いもしなかった」

「あの時のパパ、キスがとても上手だった。それに、女性の扱いにとても慣れている感じがする。パパは確か恋愛がうまくいかずに結婚できなかったと言っていたけど、なぜ?」

鋭い! やはりそこへ来たか!

「僕が結婚できなくて、憂鬱な生活を送っている時に、面倒を見てやっている後輩がソープランドへ誘ってくれた。寂しさを紛らわすために、それから度々通った。そこで、女性の扱いを学んだ。でも刹那的な関係の虚しさが募ったので、いつの間にか行かなくなった」

久恵ちゃんと同居してばれそうになったから、やめたとはとても言えない。

「そうなんだ。でも、もう絶対に行かせない。私が満足させてあげる」

独占欲が強くてやはり怖い! もう絶対に行かないし、行ったら罰《バチ》が当たる。

「分かっている。約束する」

「気になっていることがあるけど、聞いていい?」

「いいよ、何でも聞いて」

「歳の差のことなんだけど。久恵ちゃんが22歳、僕が40歳で18歳も離れている。僕が60歳の時は、まだ42歳なんだよ。それでもいいのかい?」

「両親が死んだ時に思ったの。人間いつ死ぬか分からない。それなら今日を精一杯生きればいいと。精一杯生きた今日の連続が人生だと。先のことなんか分からないから、パパとの 一日一日を大切にしたいの。それにパパが調理師免許を取らせてくれたから、いつでも仕事は見つかると思うし、住むところもここにあるから、一人でもシングルマザーでもなんとかやっていく自信ができました。ママも一人で私を育ててくれたから、私にもきっとできるはずです」

「その覚悟を聞いて安心した。でも、僕は長生きして死ぬまで久恵ちゃんを守り抜くことを誓うよ」

「ありがとう。頼りにしてます」

「うちの母親が言っていたけど、死ぬ死ぬと言っている奴に限って死んだ者はいないそうだ。将来展望も大切だよ」

あれれ! 久恵ちゃんはもう眠っている。やっぱり疲れたのかな?

今が一番良い時で今を大切にしたいと、僕と同じことを考えている。二人の気持ちが通じ合っている。そんなことを考えていると眠ってしまった。
週末に二人で区役所へ婚姻届を提出しに行った。婚姻届けには証人が必要であったが、後輩の春野君とマンションの管理人さんにお願いした。

春野君は喜んで証人になってくれた。

「川田さんが最近気乗りしていない訳がようやく分かりました。そりゃ、そんな若い姪御さんと同居していたら、彼女が気になって僕と一緒に遊びになんか行っていられませんよね」

「それもそうなんだけど、感が鋭いというか、匂いに敏感というか、最後に一緒に行ったときは、カマをかけられてばれそうになった。だからこの前を最後にもうこの会は解散しないかと提案したんだ」

「実は僕も彼女にプロポーズをしたところなんです」

「結婚を考えている彼女がいると聞いていたけど、それはよかったね。もちろんOKはもらった?」

「ようやくもらいました」

「ようやく? 春野君はイケメンだし、仕事もできるし、人柄もいいし、超有名国立大学も出ているし、文句なしじゃないか。断る娘はいないと思うけどね」

「歳が離れているんです」

「いくつ?」

「12歳」

「僕が勝っている!」

「川田さんとは元々勝負していませんから。でも若い娘が良くて」

「そういえば、春野君は若い娘ばかり選んで指名していたね。それも可愛い娘ばかりだった」

「僕はロリコンなんです」

「ロリコン? 誰だって若い娘がいいに決まっているだろう。僕も若い義理の姪に引かれたから、そんなに気にすることではないと思うけどね」

「僕は小学生のころ活発な女の子が周りに大勢いて随分からかわれていました。だから同年代の女の子には引け目を感じて話すこともできなかったんです」

「大人になってもか?」

「中学、高校、大学と同じでした。どうも同年代の女子には引け目を感じてダメなんです。今も治りません」

「信じられない。会社ではしっかり議論したりしているようだけど」

「仕事と割り切っているからです。プライベートになると全くだめです」

「そうなんだ」

「ソープへ行くようになったのは本社へ異動になる少し前で20代の終わりごろからです。これじゃあいけないと勇気を出して行ってみました」

「それで」

「その時まで僕は経験がありませんでしたが、相手をしてくれた娘が随分若くて20歳くらいだったと思いますが、親切にしてくれて、おしゃべりもうまくできて、こんないいところがあったんだと、とても嬉しかったんです」

「よかったじゃないか」

「それで通うようになりました。徐々に女の子に対して自信がついてきました。でも同年代の女性はそれでもだめです」

「そういえば僕もロリコンかもしれない。同年代の女性にはちょっと嫌な思い出があってね。今の義理の姪とは初めは父親代わりのつもりで面倒をみていたけど、徐々に自分のものにしたいという気持ちが強くなった。歳が離れているから自分の思いどおりにできるという優越感というか、安心感があるのかもしれないね」

「僕も歳が離れているとそういった安心感があるように思います」

「まあ、いいじゃないか。お互いにそれで良ければ」

「川田さんには僕と同じにおいというと失礼な言い方になりますが、同じ寂しさを感じましたので、お誘いしたのです」

「前にも言ったとおり、ありがたかった。僕も随分それで癒された」

「ところで、しばらくは休会ということにしませんか?」

「休会? それでもいいけど、再開はないと思うけどね」

「僕もですが、川田さんにはこれからも個人的に相談することがありそうなので、そうしておいてください」

◆ ◆ ◆
管理人さんも喜んで証人になってくれた。

管理人さんとは僕がマンションの役員をしているときに親しくなった。マンションの空きが出た駐車場の希望者への割り当て方法で、ずっと待っている人と新たに希望した人の扱いをどうするかでもめていた。単に抽選にするのは落選して待っている人に不公平だというのだ。また、申請順にすると新たな希望者はずっと待たなければならない。その解決方法を考えてあげて隋分感謝された。

駐車場に空きが出来ると希望者のくじ引きで決めるのだが、落選した人は次回ではくじを2票引けることにする。それでも落ちたら次々回は3票引けることにする。落選するごとに引ける票数が増えるので当選確率が上がる。新たに抽選に参加する人は1票しか引けない。でも落選すると次回は2票引ける。参加者に必要な票数を合計して1票に当選のマークを付けて引いていけばいい。

我ながら良いアイディアだと思った。それ以来、抽選でもめたことがなくなったという。

「お二人で挨拶に見えたあの時にこうなると思っていました」

「どうしてですか?」

「お嬢さんが川田さんを見る目ですぐに分かりました。歳が離れていましたが、あなたのことが大好きでお嫁さんになりたい、そういう目をしていました。そして妻ですと言ったでしょう。突然のことで驚きましたが、本心なんだと思いました」

「あんなことを言うとは思わなくて驚いてしまいました」

「でもあのときはそれを否定もされなかった」

「はい」

「あのとき川田さんもそう思っているなと感じました」

「そうかもしません。悪い気はしなかったですから。でも歳の差があり過ぎるのでそうはならないだろうと思っていました」

「私と家内とは15歳も歳が離れています。でもこの歳になると年齢差を感じることはありません。一緒に暮らしていると、歳の差が縮まっていくんですよ。そういうものです。健康に気を付けてお互いに長生きすればいいんです」

いい話を聞かせてもらった。「一緒に暮らしていると、歳の差が縮まる」か、そうかもしれない。僕も久恵ちゃんと一緒に生活して随分若返ったような気がする。

春野君にも教えてやろう。いや、やめておいた方がよいと思う。
ゴールデンウイークに入るとすぐに婚約指輪と結婚指輪を二人で買いに出かけた。でも久恵ちゃんは婚約指輪は買わなくてよいと言う。以前、誕生日に誕生石の高価な指輪を買ってもらったのでそれでよいと言って固辞した。

それにあの時は婚約指輪を買ってもらったと思うことにしていたと言った。だからずっと左の薬指にしているのだと言う。あの時は男除けとか言っていたけど、そうだったんだ。

僕もあのとき恋人と婚約指輪を買いに行ったような経験をさせてもらったと思ったからそれでもいい。

それから二人だけの結婚式を挙げて写真を撮った。二人には親戚もほとんどいないので元々列席者は限られていた。母は高齢でここまで来ることは難しい。二人だけの方がお互いに式に集中できて思い出に残ると相談して決めた。

今でも式の日の朝からのことをはっきりと覚えている。前の晩は二人とも感極まって長い時間何回も何回も愛し合った。久恵ちゃんはすっかり愛し合うことになれてきて、どちらかというと積極的になっている。

僕はすっかり疲れてしまって熟睡した。見覚ましをかけるのを忘れて、目が覚めたら8時を過ぎていた。予約の時間は10時だった。

横で久恵ちゃんは気持ちよさそうに眠っていた。すぐに起こして二人で身繕いをして朝食も取らずに出てきた。結婚指輪だけは忘れていないか何回も確認した。式場には10時前には到着することができた。

ウエディング衣装を着けた久恵ちゃんはとても綺麗で可愛かった。衣装合わせの時と比べて、やはり本番の着付けは違っていた。僕のタキシードも悪くない。久恵ちゃんがこちらの方が若く見えると言ってグレーのものを選んだ。

二人だけの式が進んでいく。誓いのことばを僕は「はい、誓います」と大きめの声で言った。次は新婦の番だ。元気な声を期待していたが声がしない。久恵ちゃんを見ると感極まって泣いていた。「誓うんだよね」と小さな声でいうと「もちろん誓います」というのが聞こえた。

それから指輪の交換をした。やはり僕も緊張していたんだと思う。手が震えて指輪がうまく薬指に嵌められない。あせるとなおさら手が震える。久恵ちゃんが見かねて右手で僕の手を支えてくれた。やっと嵌められた。

今度は久恵ちゃんの番だ。僕が緊張して震えるのを見ていたので、それがうつったみたいで手が震えている。今度は僕が手を支えてあげた。無事に指輪の交換が終わった。

次は誓いのキスだ。ベールをあげて久恵ちゃんにキスをする。このシーンどこかであった。

セクハラを受けてキスをねだられた時を思い出した。あの時、始めは軽く唇に触れた程度のキスだったが、求められて3回もしてしまった。それも3回目はディープキスだった。

今回も軽く唇に触れた程度のキスだった。もちろん、久恵ちゃんはもっと強くなんて言わなかった。目から一筋の涙が流れた。久恵ちゃんもあの時のことを思い出していたのかもしれない。シャッターの音が聞こえる。列席者がいないので写真を頼んでおいた。

宣誓をしてから、結婚証明書にサインをした。この時はもう二人とも落ち着ていて、しっかりサインをすることができた。

式を無事終えた。婚姻届はすでに出してあったが、本当に夫婦になったんだなと思った。「私たち、本当に夫婦になったんですね」と久恵ちゃんもしみじみ言った。

それから、二人の結婚写真を撮影した。久恵ちゃんはカメラマンに「新郎が若々しくみえるように撮って下さい」と確認していた。やっぱり歳の差を気にしているんだと思った。もっと若々しくしなくはいけないと誓った日でもあった。

結婚式の模様の写真と結婚写真をアルバムに作ってもらったものを母親に送った。すぐに喜んで電話をかけてきてくれた。

「こうなってほしいと思っていたが願いがかなった。崇夫と潤子さんもきっと喜んでくれている。早く孫の顔を見せてほしい。それまでは長生きしたい」と言っていた。

そのアルバムをこっそり吉村さんにも手紙を添えて送っておいた。アルバムを見て、久恵ちゃんに吉村さんから手紙が届いた。最初は読みたくないと言っていたけど、会わないのだから、読んであげたらというと部屋で一人で読んでいた。

泣き声が聞こえた。吉村さんの誠実な気持ちが伝わったのだと思う。あとから、どうだったと聞くと「会ってみようかな」とぽつりと言った。

◆ ◆ ◆
披露宴は会費制で、久恵ちゃんの調理師専門学校の同期の勤めるレストランでそれぞれの親しい友人を招いて行った。

春野君は僕たちに紹介したいと歳の離れた婚約者を連れてきた。とても若くて可愛い娘で春野君の趣味だとすぐに分かった。春野君は一生懸命に彼女の世話をしていたが、お似合いの二人だった。

久恵ちゃんに感想を聞くと「パパの親友だけのことはある。パパと性格が似ている」と言っていた。

あのベッドを一緒に買いに行ってくれたという調理師学校の同期生でパティシエの米田さんも来てくれていた。同期では川田さんが一番早く結婚したと羨ましがっていた。

先輩の山田さんも来てくれていた。あの事件でホテルを辞めた後も個人的な付き合いは今も続いていて、既婚者なので何かと相談にのってもらっているらしい。

久恵ちゃんはとても幸せそうでそばで見ていて嬉しかった。僕は会社の同期の連中にうらやましがられたり、からかわれたりだったけど、幸せでいっぱいだった。
新婚旅行は連休明けに思い出の伊豆下田の高級なホテルに2泊3日で行った。

久恵ちゃんにせっかくだからハワイにでも行こうかと提案したけど、思い出の下田へもう一度行きたいというのでそうした。僕もあの時の思いをもう一度記憶に刻み込んでおきたかったので賛成した。

部屋は3階のオーシャンビューで晴れた5月の海は遠くまで見えた。部屋には温泉かけ流しの大きなお風呂がついている。お風呂からも海が見える。

ここへチェックインするとすぐに二人で水族館へ行ってきた。一人で見ていたというアシカショーも見てきた。二人で見た方がやっぱり楽しいと言っていた。確かに楽しいことは二人だと何倍も楽しく思える。ここでは久しぶりにゆっくりとした時間が流れている。

ホテルに戻って、せっかくだから温泉につかろうと部屋についている大きなお風呂に入ることにした。久恵ちゃんとはこれまで一緒にお風呂に入ったことがなかった。

僕はすぐにでも一緒に入りたかった。でもあの日からすぐに生理になったり、うまくできない日が続いたりで、久恵ちゃんがナーバスになっていたし、へんなところで急にはにかんだりもしていた。それに仕事で疲れているだろうから、好きなお風呂ぐらいゆっくり一人で入りたいのだろうと思っていた。

「大きなお風呂だから、一緒に入らないか? 僕が洗ってあげる」

「はい」というのに少し間があった。

「先に入っていてください」

「じゃあ」と言って僕が先に入った。温泉はやっぱいい。疲れがとれる気がする。昼間からのお風呂は気持ちがいい。

久恵ちゃんがなかなか入ってこない。どうしたんだろうと思っていたら、恥かしそうに入ってきた。いつもとは違って見える可愛い裸身だ。

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないか」

「そんなにじっと見ないで下さい。恥ずかしいです」

「もっと恥ずかしいことをいっぱいしているのに」

「それとはまた違います」

そう言って、僕が浸かっているそばに入ってきて浸かった。そうなの? 

「久恵ちゃんの裸を初めて見た時のことを思い出した。驚いてバスタブから抱き上げて部屋まで運んだけど、あの裸身がいつまでも目に焼き付いて離れなかった」

「あの時、動転して見るゆとりなんかなかったと言っていたけど、やっぱりしっかり見ていたのね。今思い出しても恥ずかしい」

「今となっては楽しい思い出だ。あの時よりずっと色っぽくなったね」

「ここのところ優しく可愛がってもらっているからだと思います」

「じゃあ、洗ってあげようか?」

久恵ちゃんを座らせてタオルに石鹸を付け背中から洗ってやる。背中、首元、わきの下、腕、脇腹、お尻と洗ってゆく。

「くすぐったいけど、とっても気持ちいい」

「そう、洗ってもらうと、気持ちがいいんだ。分かった? 立って、向きを変えて」

「恥ずかしい」

「じゃあ、目をつむっていて」

久恵ちゃんは素直に目をつむった。胸、小ぶりな可愛いお乳、お腹、大事なところ、脚と洗っていく。

「そういえば、久恵ちゃんが指を怪我した時、よく目をつむらせられたね」

「パパのことだから、こちらを向いているときはしっかりつむっていたけど、後ろに回ったときはしっかり見ていたんでしょ」

「そのとおり、しっかり目の保養をさせてもらった。お尻が可愛かった」

「パパは段々変態になってきたみたい」

「久恵ちゃんが思わせぶりな態度をとるからだ」

「まあ、作戦どおりだったけど」

「そうなの?」

「今度は私が洗ってあげる。座って、背中から洗うから」

「こうしてパパの背中を洗ってみたかった」

「そうなの? 早く言ってよ」

「ママが崇夫パパと時々一緒にお風呂に入っていたの。週末にパパがいつものように先に入って、そのあとママがすぐに入って、パパを洗ってあげて、パパが上がった後に、私が入るとママが私も洗ってくれた」

「そうなんだ」

「私も一緒に入りたいと言ったら、二人からだめと言われた」

「もう中学生になっていたんだろう。それじゃ、兄貴が遠慮するよ」

「私はパパが好きだったから,全然平気だけど」

「だからなおさらママが気にしたんだ、きっと」

「そうなの、お風呂が狭いからかなと思ったけど」

「洗ってもらうと気持ちがいい。久恵ちゃんは洗うの上手だね。最高」

「パパ、若いころソープランドに行っていたと言ってたけど、こうして洗ってもらったの?」

「ああ」

「私とどちらが上手?」

「そりゃあ、久恵ちゃんに決まっている」

「本当?」

「本当に本当!」

「最近は行っていないでしょうね」

「行っていない。誓って」

「絶対にだめ、とはいってもでき心で行かないとも限らないから、これからは週末に一緒に入って洗ってあげます」

「ぜひお願いします」

どうした風の吹き回しか、週末の楽しみができた。こちらから提案しようと思っていたけど、同じことを考えていた。

「じゃあ、上がろうか?」

「私はもう少し入っています。ここのお風呂は最高、温泉だし海も見えるし」

僕は先に上がって浴衣を着た。久恵ちゃんはまだ入っていると言う。お風呂が好きな彼女らしい。昼間から眠って溺れることもないだろう。安心して待っていられる。

ソファーに座って缶ビールを飲む。冷たくて旨い! これで久恵ちゃんの膝枕でもあればもっと最高!

そこへ浴衣姿の久恵ちゃんが上がってきた。やっぱり浴衣がよく似合う。この前よりもずっと色っぽく見える。冷蔵庫からジュースのボトルを取り出して僕の隣に座った。

僕の顔を見てニコっとしたと思ったら、僕の膝を枕に寝転んだ。

「これを一度したいと思っていたの、丁度いい感じ」

「それは僕の方の楽しみなのに」

「しばらくいいでしょう、お願い」

しばらく横になって静かにしていたが、起き上がった。

「パパの膝枕、硬くて、首が痛くなった」

「昔から膝枕は柔らかい女性の膝と相場が決まっている。男の膝枕なんて聞いたことがない」

「やっぱり、そうか。でもしてみたかったの」

「久恵ちゃんは典型的なファザコンだね。すぐにそういうことをしたがる。お腹の上で寝てみたいと言ったりして」

「私は母子家庭で育って、本当の父親の顔も知らなかったし、幼いころの父親の思い出もありません」

「だから、兄貴を好きになってくれたんだね。それから僕も」

「崇夫パパは本当に私の父親になってくれた。大人になる7年位の大事な時期に父親になって私を守ってくれた。学校で同級生にからかわれたと言うと、すぐに学校へ文句を言いに行ってくれた。今でも感謝しています。また、血がつながっていなかったので、男性としても見ることができたように思います。だからパパのように歳が離れていると守られていると思えて安心できるの」

「僕はロリコンかもしれない。若い時に女性と意思疎通がうまくできなくて、同年代の女性とは距離を置くようになった。そのうち誘われてソープランドなどへ通ううちに、年齢の離れた女性としか付き合えなくなったみたい。歳が離れているとゆとりがあるというか、安心だからかもしれない」

「パパは十分に同年代の女性ともうまくやっていけると思うわ」

「今は、いろいろ社会的な経験も積んでいるから、なんとかなると思うけど。でも、恋愛は別だと思う。うまくできる自信がなかった」

「自信もってもらっても困る。もう私がいるんだから」

「ごめん。浮気しようなんて少しも思っていないから」

「男は恋愛を振り返る時はいつもほろ苦い青春時代を思い出して反省する。だから、幾つになっても対象は青春時代の年齢の娘になってしまうのかもしれないね」

「男の人ってもともとロリコンなのかな?」

「もう一つ、男は女性を自分の好みにしたいとの思いが強いのではないかな。若い娘ならそれができる。パパも久恵ちゃんを好みの女性に仕立てたい」

「もう相当に仕立てられていると思います。言うことは何でもよく聞いているつもりですから」

「男って言うとおり本来ロリコンなのかもしれない。大体、昔から愛人は若い娘に決まっている。体力に自信があれば、やはり若い娘がいい」

「パパ、身体を鍛えてね。頼りにしてますから」

「僕たちは『ロリコン』と『ファザコン』できっと最高のめぐり合わせに違いない。めでたし。めでたし」


こうして、会社への届では「姪」、マンションの管理人さんには「妻」、家の中では父親代わりの「パパ」のはざまで同居生活することは終了した。会社には「妻」とした。会社の周りの人たちからはしばらくは若い奥さんをもらったやっかみもあるのかさんざんからかわれた。

ただし、家では「パパ」のままとなった。入籍後、しばらくは「康輔さん」とか「あなた」とか呼んでみていたけど「やっぱパパが言いやすい、結婚しても父親代わりには変わりないでしょ」と呼び方が「パパ」に戻った。

もし、子供が生まれたら、本当の「パパ」になるので、これからずっと「パパ」でいい。おしまい。

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