二 過去

 どうしよう。もう嫌。なんでこんなことになるの。私はただ頑張ってるだけなのに。学校、行きたくない。もうあんな目で見られたくない。
 涙が止まらない。悲しい気持ちや悔しい気持ち、恥ずかしい気持ちがぐるぐるとごちゃ混ぜだ。頭では早く手を洗ったり給食セットを洗いに出したりしないといけないのは分かっている。でも、なかなか足が動かず、地べたに座り込んだまま。
 どうせ、このまま一階へ降りたら泣いてるのがお母さんにばれてしまうし、このままでいいか。
「笑美、どうしたの?」
 お母さんが大きな声で一階から呼んでいる。私がなかなか二階から降りてこないから心配になったのだろう。もう泣いたままでもいいか。お母さんならきっと分かってくれる。明日学校行きたくないって、部活でも教室でも一部の人にいいように使われてるって。
「今降りるー。」
 着ていたままだったブレザーを脱ぎ、ハンガーにかけてラックにかける。給食セットを持って階段を降り、洗い場に置き、手を洗う。涙がいつの間にか引いていた。それなら泣いていたのがばれないようにと、顔も洗っておく。
「お母さん、話があるんだけど、今いい?結構時間かかるかも。」
「どうしたの?もちろん大丈夫。」
 あのね、と、話し始める。