『それでね。ソフィー。
ソフィーには、できるだけ早く北の辺境地に来て欲しいんだけど、大丈夫かな?
もしかして行きたくなかったりする?』

『行きたくないは、ないです。むしろ、新天地に興味があります。それに私も、行くなら早く行きたいです。』

『そうなんだ…。あー、良かった。「行きたくない。」って言われたら、どうしようかと思ってた。』

『そんなこと言わないです。ランディ様の側に居たいからどこでもついて行きます。』

『はあ。嬉しいことを言うんだね。堪らない。』

さっきよりギュッと抱き締められました。

『向こうに行くにあたって、何か心配なこととか、気になることとか、あったらなんでも言って。』

『家に、お手伝いのメグって女の子がいるんですけど…、14才の子で。2年前から、家で一緒に働いていたんだけど…。

お父様が随分前に亡くなられてて、お母様と2人で暮らして居たんだけど、家に来た頃は、お母様も病気で…。働かないといけないけど、学校も、初等部までで、父親もいないから、働き口が中々見つからず、父が、家の使用人に凄く安く雇ったんです。

王様が厳しく裁くと仰ってたから、子爵家はお取り潰しになる可能性もあるでしょう?

家で働いている他の方は、再就職できると思うんですけど、メグは難しいし、色々理由をつけられて給料を安くされたり、仕事を沢山、課せられたりしそうで…心配で…。』

『そういうことなら、そのメグって子が望むなら、辺境地に連れて行ったらいい。

仕事ならいくらでもあるし、給料は、してくれた仕事に見合う額を払うし、勉強したければ、学校に通ってもいい。学校に通いながら、住み込みで働いている子はいるからね。』

『それって仕事の能力が上がっていくと、給料も上がって生活を楽にしていけるってことよね。』

『あー、そうだよ。』

『もしメグのお母さんも一緒に行きたいっていったら、一緒に連れて来ていい?』

『勿論。こちらで仕事をしたいなら、探してみるよ。あては色々あるからね。』

『辺境地の様子とか仕事の種類とかわからない私が話すより、私も聞きたいし、メグやお母さんに会って説明して貰うことはお願いできない?ランディ様。』

『あーそうだね。その方が色々纏めて話せるからいいだろうね。
それじゃあ、会う予定を決めないとね。』

『それから、メグに会いに行った時にでも、荷物を取りに行きたいのだけどいい?』

『辺境地までは、馬車だと時間がかかるから、飛竜で行くつもりなんだ。いつもそうしているし…。
沢山、荷物を運べないし、身一つできてもらえばいいと思っているから、どうしても手放せないような大事な物だけ持っておいで。』

『恥ずかしい話しだけど、元々、荷物はあまり持ってないの…。
ポーションを作る器具とか、自分で作ってきた調味料や保存食とか持って行きたいの。』

『沢山あるなら、馬車で運ぶよ。馬車だと10日〜2週間かかるから、傷みやすいものは無理だけどね。』

『馬車で運ぶ程の量は無いから大丈夫。』