前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

「では質問させていただきます陛下。あなたは転生者、もしくは転移者の称号を持っているもしくは前世の記憶を持っていらっしゃいますか?」

「「「えっ?」」」
 グランがそう質問すると三人は驚いた表情をした。

「少し前にシャミア様やサリーネ様から聞いたのですが初めてスマホを見たときに使用方法を教えていないのに使うことができたと聞きました。さらに米や味噌、醤油が好物だそうですね」

「……」

「心配しなくても僕らも()()なので状態開示(ステータスオープン)

名前:グラン・レア・ベルセリア
年齢:11歳
レベル:153
~称号~
ベルセリア家長男、転生者、秀才者、神々より愛されし者、神々の意思を伝える者、神の依代、時空を司りし者、精霊より愛されし者、武具を司りし者、SSランク冒険者

~基礎ステータス~
体力(HP):85090
魔力(MP):198390
攻撃(STR):103982
防御(VIT):98273
速さ(AGI):89728
器用(DEX):87978
知力(INT):100000
物理耐性:100
魔法耐性:100
状態異常耐性:100

技能(スキル)
創造魔法(固有(ユニーク)
武具神(固有(ユニーク)
時空魔法(固有(ユニーク)
無属性魔法(EX(特殊)
全属性魔法(EX(特殊)
物理耐性(神級(ゴット)
魔法耐性(神級(ゴット)
状態異常耐性(神級(ゴット)

「なっ!?」
 グランが状態開示(ステータスオープン)をすると王がとても驚いていた。

「どうですか?もし間違いであったら死罪でもなんでも構いません」

「っちょっとグラン!」

「……そうじゃわしも日本からこっちの世界に来たのじゃ。ナミア嬢とエリザベート嬢も転生者なのだろう?ただ其方たち
とは少し違うがの。状態開示(ステータスオープン)

名前:アーサー・フォン・ダイナース
年齢:53歳
レベル:256
~称号~
ダイナース国王、転移者、神々より愛されし者、国を治めし者、人々を導く者

~基礎ステータス~
体力(HP):4375
魔力(MP):5863
攻撃(STR):2354
防御(VIT):3847
速さ(AGI):2768
器用(DEX):5634
知力(INT):269857
物理耐性:45
魔法耐性:53
状態異常耐性:24

技能(スキル)
先導者(固有(ユニーク)
読心(固有(ユニーク)
威圧(EX(特殊)

「なるほど転移者だったんですね」

「そうじゃこっちに来る前は日本で大学生だったんじゃ。其方たちがいつから転生してきたかわからんがもうスマホもあったしだいぶ発展していた頃じゃったな」

「じゃあ転移や転生に時間軸は関係ないと見て良さそうですね」

「ちなみに陛下はどこに住んでたんですか?」

「この三人でいる時は陛下はやめてくれないかの?わしは日本で旭川康太という名前じゃったんじゃ。まあこっちに来てから旭川から最初の二文字をとってアーサーとしたがの」

「わかりました。じゃあ康太さんと呼ばせていただきます」
 その後アーサーは懐かしかったのか少しの間グランたちと日本でのことを話していた。
「ありがとうございました。お陰でずっと疑問だったことが解消することができました」
グランによるアーサーへの質問が終わりまたみんなで話を再開した。

「じゃあ後程スマホの使い方について説明させていただきます」

「よろしくなグランよ」
グランとアーサーは同じ日本から来たという事でかなり仲良くなっていた。
グランとアーサーが住んでいた地域が近くにあったみたいで近所の話や共通の趣味の話などで盛り上がりもはや王と家臣と言う立場ではなかった。
しかしアーサーはそっちの方がいいとのことだったので二人のときは身分関係なく友人でいることになった。
「じゃあ堅苦しい話はここまでにして少し待っておれ。宴会にしよう!わしはもっとグランと話をしたいぞ」
アーサーはまだまだ話足りないのだろうか、話になかった宴会をしようと言い出した。
「いいわねあなた!私もグランさんのお話を聞いてみたいわ~」

「えっと……」

「あら~自己紹介がまだだったわね。知ってるとは思うけど私はヒメナ・フォン・ダイナースよ~よろしくね~」
ヒメナはそういった。
グランはなんとなくのんびりした人だと感じた。

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「グランの徐爵を祝って乾杯!」

「「「「「「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」」」」」」

アーサーの乾杯の音頭で始まった宴会は大変賑わった。
並べられた料理と飲み物は王城と言うこともあってどれもとても美味しいものであった。
しかし祝いの場とお酒が入り、それはもう荒れに荒れた。
アーサーが転移者と言いかけてグランたちまでばれそうになったり、
カノンやティナたち女性陣が間違えてお酒を飲んでグランに迫ってきたり……まあ色々だ。
大人たちや間違えてお酒を飲んだ女性陣が寝てしまい、特別に泊まらせてもらえることになった。
そんな宴会も終わりグランは一人城を抜け出して森で夜風に当たっていた。

「今日は色々あったな……これからもっと忙しくなりそうだ」
急に男爵になり王が自分と同じ日本から来たと言うことがわかったからかグランはかなり疲れが出ていた。

「康太さんは僕を男爵にしてなにがしたいんだろう?まあなるようになるだろう」
グランはこれからのことについて考えながら夜の散歩へと繰り出すのであった。
グランが男爵に叙爵された翌日、グランとナミアとエリザベートは教会にいた。

「今日が休みで本当によかったね!」

「全くだよ……みんな酔って寝ちゃったから結局一泊しちゃったし」

「あはは……ご、ごめんね?」

「まさか私も間違って飲むとは……本当にごめんなさいね」

「まあ反省してるならいいかな。今日は神様たちにこの前のことについて聞こうと思ったけどまさか神様たちに会えないなんてね」

グランたちは日本に行ったことやアーサーが転移者だったこと、その他に近況報告などをしようと思い教会へとやってきた。
しかし普段はすぐに白い世界に誘われるのにその日はしばらくたっても白い世界に行くことはなかった。
不思議に思ったグランは通信魔法を発動させて神様に確認を取ろうとした。
しかしそれすらも通じなかったので取り敢えずまた今度と言うことになったのだった。
そんなこんなで時間が余ったので少し遊んでから帰ることになった。

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「ちょっと私気になる店を見つけたんだよね」

「どんなお店かしら?」

「そろそろお昼だからご飯もののお店!前回は露天で各々好きなものを買って食べたけどお店に入ってもいいんじゃないかなって」

「なるほどね確かにあまり外で店にはいってご飯を食べることがこっちにきてからなかったからね」

「じゃあ次はそこに行きましょう!」
ナミアに連れられて着いた店は一軒のイタリア料理の店だった。

「何で異世界(こっち)にイタリア料理があるんだよ!?」

「何でも康太さんがイタリア料理好きで国一番の料理人にこのお店を作らせたみたいだよ!お米とか味噌とかも好きだから和食のお店も作ったみたい」
ちなみにどっちも王都で今ものすごく流行っているみたいだ。
さすがは文化の進んだ地球の料理だ。

「権力使ってやることじゃないわね」

「それな。ってもあるんだからありがたく使わせていただこう」
グランたちは期待を胸に店に入った。


店にはいるとまさにイタリアのような世界観が広がっていた。

「店の雰囲気がかなり本格的だからだいぶ期待できそうだね」

「私ファミレスでしか食べたことないから本格的なイタリアン楽しみ♪」

「私はイタリアだったからよく食べてたわ」
エリザベートは転校先がイタリアだったため普段からよく食べていたらしい。
しかしナミアやグランは特にイタリア料理を食べる機会がなくファミレスなどでしか食べたことがないためとても楽しみにしていた。
ウェイターに案内され席に着きメニューを開くと多くの料理が乗っていた。

「ピザとかパスタだけだと思ってたけど結構種類あるね!」

「リゾットやパニーニ、カプレーゼもあるぞ」

「すごいわね!かなり品揃えあるじゃない」

「ランチセットもあるみたいだよ」

「絶対に康太さんの入れ知恵ね」
ランチセットは好きなパスタやピザなどのメイン一品を頼むとスープとデザートが着いてくるというものだった。
三人はランチセットを頼むことにした。

「私はカルボナーラかな」

「私はマルゲリータにしようかしら」

「俺はトマトのリゾットにしよう」
三人は注文を済ませ料理が来るのを待っていた。

「スマホがもっと一般的だったら外でも普通に使えるのにね」

「もっと機能を追加しようか?例えば認識阻害とか」

「認識阻害って?」

「回りの人から存在を認知されなくなる魔法だよ。これをスマホの回りにだけ使えばスマホを使ってても回りの人はなにも感じなくなるよ」

「いいねそれ!今度追加して!」
そんな話をしていると料理が運ばれてきた。

「おお~!美味しそう♪」

「良い感じね!」

「じゃあ早速……」

「「「いただきます!」」」
グランはまずリゾットを一口食べた。

「こ、これは……!」
チーズの芳醇な香りが口一杯に広がり、ついでトマトの甘味がほんのり聞いてくる。
トマトはただ甘いだけじゃなく酸味もありチーズを引き立ててくれる。
グランは夢中になってリゾットを口に運んだ。
……まあ端的に言ってとても美味しかった。

二人も似たような感想を持ったらしく美味しそうに料理を食べていた。

「美味しかったね~♪」

「また行こうな」

「今度はみんなを連れてね」





 いろいろバタバタしていた休日も終わり、また一週間が始まった。
 グランはアーサーから男爵位を授かったが特に日常に変わりが出ることはなく、普段通り朝にカノンも含めみんなで鍛錬し、昼は学園で授業を受け、放課後は遊んだり鍛錬したりという日々が続いた。
 今日もそんな一日が過ぎようとしているころに変化があった。

「そこの君!もしかして新歓大会優勝のグラン君だよね!?君の剣筋は素晴らしかったよ。そんな君だからこそ剣術研究会に入らないかい?」

「なに!?グラン君がいるのか!?グラン君は魔法の天才だ!こっちの魔術研究会はどうだ?」

「グラン君?あなたの流れるような魔術に感動しました!……私と付き合って下さい!」

 そう新勧――新入生勧誘期間である。
 この前の新入生歓迎大会はここで先輩方が新入生にある程度目星をつけるためだ。
 結局は全員はいらないといけないのだが。
 さらにグラン、ティナ、ナミア、エリザベート、シャミア、サリーネ、フレッドリック、アレグサンダーは決勝トーナメント進出者たちである。
 普段から一緒にいたグランたちに加え、新人歓迎大会で仲良くなったアレグサンダーが一緒にいたら目立つこと間違い無いだろう。
 先輩たちが群がってくるのも当然といえた。
 しかしなぜこんなに先輩たちが一生懸命になるかというと、それは一年の終わりの表彰の時にある。
 学園ではまあまあの頻度で研究会や部活同士で争うイベントがある。
 それを制し、成績が良かった研究会や部活から順に次年度の部費が決まる。
 一番悪くても普通に活動する分はもらえるのだが、成績が良いと部費が上がり活動の幅が広がる。
 また部門ごとに賞金が出たり、卒業後の就職などで有利になったりといろいろ得点があるのだ。

「やっぱりグランは人気だね!どこに行っても活躍できるから引っ張りだこだ」

「グランはどこにするか決めた?私は剣術研究会かな?」

「私は召喚とかテイム専門の研究会があったからそこにしようかと思ってるわ」

「私たちは魔法研究会です!」

「魔法だけでもグランに追いつかなきゃね」

「俺も剣術にするかな」

「私は魔法だな。グラン君に負けた原因は剣術もだろうがもっと魔法が使えていたら勝っていたかもしれないからな」

「僕は……」
 グランはまだ決めていなかったためどうするか悩んでいたがある程度見て回った今やっと決まった様子だった。

「僕はどの研究会にも惹かれなかったんだけど結局はどれかに入らないといけないみたいだから自分で作ることにしたんだ」

「「「「「「「つ……作る~!?」」」」」」」





「えっ……研究会って作れるの?」

「もちろん!ただ4人集めないと作れないらしいんだけど今のところ僕一人だけだからみんなを誘おうと思ってたけどみんなもう決まってるのならどうしようかな」
 グランは納得のいく研究会が無く悩んでいたところ担任のステインがアドバイスしてくれたのだ。
 そこでグランはいろいろな人に声をかけてみた。
 しかしみんな自分が入りたいところが決まっていたためまだグラン一人の状態だったのだ。

「……やっぱり私グランが作る研究会にしようかな?」
 
「本当!?ちなみに活動内容はいつもの朝練みたいに鍛錬したり、自分の技能と向き合ってもっと自分の能力を高めたりしようと思ってたんだ」
 グランが活動内容を言うと他の六人もティナと同じように一緒にやりたいと言い出した。

「でも本当にいいの?みんなやりたいことがあったみたいなのに」

「いいんだよ!友達が困っているのを助けないわけないだろ?」

「そうそうそれにグランのところだったらやりたかったことも全部できそうだし」

「それにこっちのほうが実力がつきそうだからな。グラン殿に勝つには近くにいたほうが良いに決まってるだろう」

「みんな……」

「そうと決まれば早速名前を考えなきゃね!」
 グランはみんなで研究会の名前を考え用紙を無事提出するのであった。

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~シャミア&サリーネside~
「まさかグランが研究会を立ち上げることになるとは……」

「でも一緒にいられるようになったんだからよかったんじゃないかしら」
 用紙を提出グランたちはその場で解散となった。
 みんなと別れた二人は寮に帰る途中に王城に呼ばれそのまま向かっていた。

「それにしても急に呼び出すなんて何かあったのかしら?」

「お父様のことですから何か用事があることは間違いないのですが……いつも急ですからね」
 王城に着き執務室へ向かうとアーサーとヒメナがすでにいた。

「お待たせしてしまいすみませんお父様、お母様」

「ごめんなさいね~急に呼び出して」

「実はわしもまだ何のことか聞いてないんじゃ」

「「?」」

「私から話があったのよ~。というか聞きたいこと?」

「それでどんな内容なのお母様」

「もしかしてあなたたち二人ともグラン君のことが好きなんじゃない?」

「「「!?」」」
 誰もが予想していなかった質問に全員がフリーズした。

「なんじゃとっ!?」

「え、えっ!?なななななななんで!?」

「どうしてわかったのですか!?」

「母はなんでもわかるものなのよ~。で認めるのね?」

「「あっ……」」
 その後二人が認めたことで再びフリーズしたアーサーを放置したヒメナに根ほり葉ほり事情を聴かれていくのであった。
~アーサーside~ 

 わしはアーサー。

 この国の国王じゃ。

 国王といってもよく想像されるようなただ椅子に座って命令を出している人ではない。

 我が国、というかこの世界のだいたいの国が王も普通に事務作業をしたり、会議に出席したりしているのじゃ。

 それをしないのは帝国と魔族国ぐらいかの。

 そんなわけで今日も今日とて働いているとわしの妻であるヒメナが訪ねてきた。



「珍しいのわざわざここに来るなんて」



「いきなりごめんなさいね~ちょっと家族みんなで話したいことがあって~」



「会議も用事も今日は特にないから全然大丈夫じゃ。ところで家族で話したいこととはどんなことなのか?」

 するとヒメナは珍しく歯切れの悪い態度を取ったんじゃ。



「あ~これに関しては二人のプライバシーのこともあるの~。違ってたら大変だし二人が来てから話すわね~」



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「私から話があったのよ~。というか聞きたいこと?」



「それでどんな内容なのお母様」



「もしかしてあなたたち二人ともグラン君のことが好きなんじゃない?」



「「「!?」」」

 二人が部屋についてヒメナが口に出した言葉はだれも予想できないものじゃった。

 二人がグランのことを好き?

 それはちょっとさすがのヒメナでも違うんじゃないかの……



「え、えっ!?なななななななんで!?」



「どうしてわかったのですか!?」

 本当のことだったわい。

 ヒメナはすごいの。

 ってこんな悠長なこと言ってる場合じゃないわい!

 二人がグランのことを好き!?

 グランがいいやつなことも知っておるしヒメナが何も反論をしていないところを見ると大丈夫ではあるんじゃろう。

 しかしいくら人柄がわかっているとはいえ結婚するのはまださすがに早いじゃろう!?



「しかし二人とも同じ人を好きになるとはね~しかもグラン君は婚約者がいるでしょう?」



「なので婚約者のティナさんに話をしたら私は別に構わないと言ってくれました」



「ただ王家となによりグランの許可がないとだめなのよね」



「ですって~あなた」

 えっ?ここでわしにふるの?



「そうじゃの……。わしとしては反対じゃ」



「「!?」」



「そ、それって……」



「うむ。結婚はまだ早いしの。それにわしが寂しい!」



「そんな……」



「しかし王としては賛成せざるをえまい。あれほどの強者を放っておくことはできぬからの」



「……お父様。もしグランと結婚させてくれないのだったら私は今この場でこの命を絶ちます。それぐらいに私たちは本気なのです!」



「……二人ともそれぐらいに本気という事か?」



「「はい!」」

 はぁ……誰に似たんじゃかのこの頑固さは。



「そこまで言うのならしょうがない。グランは悪い奴じゃないことはこの前の宴会の時に確認はしてるしの」



「ということは……」



「うむ許可しよう。二人とグランの結婚を」



「「やった!」」



「ただしグランがYESと言ったらじゃぞ?」



「「もちろんです!」」

 本当は寂しくなるから意地でも反対したかったんだけどの、あんなふうに思いを見せつけられたらだれも反対できまいて。

 これも娘を持つ者の宿命なのかもしれないの。

 

「あとはグランの爵位が上がるようにお手伝いして仲を深めていくだけですね!お姉様」



「ええ改めて頑張りましょう!」

 二人とも燃えておるの~

 まあグランとは婚約が決まったらちょっと話をする必要がありそうじゃがの。



 シャミアとサリーネが王城に向かっていた頃、グランは新たに立ち上げた研究会である「実戦力育成研究会」の用紙を無事提出し寮へと戻っていた。

「そういえば掛け持ちもOKにしたからもう一つぐらいは入るか作るかしてもいいんだよな」
 グランが立ち上げた研究会は今まででみんなでやってきた朝練、放課後練などを研究会の活動としてするためのものである。
 グランは言うなれば魔法剣士だ。
 そのため魔法も剣も両方極めたいと考えていた。
 普通の人なら両方は無理だと考えるだろうがグランには全属性魔法が使える技能と全ての武具を扱える技能を持っていた。
 これだけ聞くと訓練や鍛練の類いは必要ないかのように感じるがあくまでも基本的なことができると言うだけであって、魔法の発動のタイミングだったり剣の振り方やフェイントの効果的なやり方など学ぶことはたくさんある。
 そのため普通の人より時間が短縮はされているのだ。
 しかし大体の研究会が掛け持ちNGであったため広く深く鍛練できるように新しく作ることにしたのだ。

「でもいきなり二つの研究会大変だから取り敢えず慣れてきたらにしよう!いつでも作ることはできるからね」

 そんなことを考えながらグランは放課後の鍛練をするために寮の自室を出た。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 グランがいつもの場所に行くとそこにはティナとナミア、エリザベートの姿があった。

「三人とも!今から始めるの?」

「あっ!グラン!いいところに来てくれたね!」

「今鍛練が終わったところなの」

「ちょっと魔法理論でわからない部分があって……」

「じゃあ後で僕の部屋で教えるよ」

「ありがとう!また後で連絡するね~」
 グランはその後来たフレッドリックとアレグサンダーと一緒に鍛練をし、一緒に寮へと戻った。

「お待たせ~。じゃあ始めようか」

「今日授業でやった魔法陣展開時の工夫についてのところがわからないんだけど」

「あ~あそこな!工夫っても具体的にどうすればいいかわからないよな」

「そうなんだよ!ナミアとエリーにも聞いたんだけど二人もわからないって言うから」

「じゃあまずは魔法について確認しようか。魔法はまずどうやって発動するんだっけ?」

「えーっと確か魔力を対価に精霊の力を引き出す精霊魔法、技能として使える特殊魔法、そして呪文やイメージ、魔方陣で魔力を事象そのものに変換する変換魔法の三種類だよね」

「そうそうそれで今回は変換魔法についての話なんだ。精霊魔法も方法はあるんだけどそれは今日の授業では扱ってないからまた今度ね」

「でも変換魔法を使う機会ってあまりないぜ?」

「だからこそ難しく感じたんだと思うよ。普段は特殊魔法しか使わないからね。それで変換魔法についてだ」
 変換魔法はティナも行ったとおり呪文を唱えたり、魔法の様子をイメージしたり魔方陣を展開したりして発動する。 
 発動のコツとしては魔力をその事象のものに変質させること。
 例にあげるとグランが初めて魔法書を読んだときに唱えた灯火(ファイヤ)は呪文を使った変換魔法だ。
 つまり呪文やイメージの内容によっては魔法の内容も変わってくる。

「工夫はその時にどういうイメージをしたかとか、呪文の内容を変えたとか魔方陣を書き換えたとかのことを言っているのだと思うよ」
 グランは課題の意図は変換魔法を身近に感じてもらうためと、変換魔法を覚えているかの確認だと感じるよと付け加えた。

「あれ?でも確か変換魔法って適正じゃないと使えないんじゃなかったかしら?」

「適正がない人は魔力はあっても全部の魔法が使えないからその人たちは魔法学をとってないと思うよ」 
 なるほどねと皆が納得したところで話の続きを始める。
 そのあとも夜遅くまで魔法談義が続けられた。
 
 
~???side~

「今年度の新歓の様子はどう?」



「今のところは順調です。やはりみんなグラン・レア・ベルセリアを筆頭とした決勝進出組がとても人気ですね」



「私たちが動き出せるのは新歓がある程度落ち着いてからになるからそれまでに選定を進めなければいけませんね。何か考えでも?会長」



「ええ。そろそろグラン君勧誘に乗り出しましょうか!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おはよ~!」



「おはようティナ今日も元気だね」



「私は毎日明るく楽しくがモットーだからね!それに好きな人に毎日会えるんだから♪」



「っ!そ、そっか……」

 グランは今日も今日とて学園に登校するとティナたち女性陣が既に登校していた。

 フレッドリックたちがまだ来ていなかったのでグランはティナたちと過ごすことにした。



「グランの照れた顔激レアね」



「しっかり目に焼き付けとかないとですね!お姉様」



「バッチリカメラに収めたよ!」



「「「「ナミアナイス!」」」」

 そんなこんなで今日も一日が過ぎようとしていた。

 昼休みグランたち男性陣が昼食を食べに食堂へと向かった。

 女性陣はどうやら今日は別の場所で食べるらしい。



「君がグラン君かい?」



「ええっとそうですけどあなたは?」



「すまない自己紹介が遅れたな。私はこの学園の生徒会会長のクリスタベルベッカ・レア・ガーシルダーだ。」



「私は副会長のアントネット・レア・ブルトンですわ」



「拙者会計のジョセフ・レア・ムズロである」



「グラン君。生徒会の役員にならないか?」



「生徒会の役員?」

 どうやらクリスタベルベッカによると生徒会の役員は会長の独断で決めることができるらしい。

 会長自体は生徒全員参加の投票で決めるが役員は投票がいらないみたいだ。

 皆が困惑してるなかクリスタベルベッカはそう説明した。



「それで入ってくれるか?」



「少し考える時間をもらえますか?」



「もちろんだ!こちらが突然押し掛けたんだからな。良い返事を期待してるよ!」



 グランたちは生徒会のメンバーが去り気を取り直して食堂へと向かった。



「それでグランはどうするつもりなんだ?」



「生徒会のこと?アレグサンダーはどう思う?」



「難しいところだな。私としては入った方がいいとは思うが」



「確か卒業後色々有利になるんだったか?」



「就職にしても騎士や冒険者になるにしても有利になること間違いないみたいだ」



「でもその分負担がね~」



「「ああ……」」

 その後昼食を食べながらどうしたものかと悩む三人だった。