前回のあらすじ
悪魔の所業。



 私が目を覚ました時、というか目を覚まさせられた時、全ては終わった後でした。

 漁師のおじさんは「おれぁ何も見てねえ」を繰り返すばかりですし、ウルウは説明が面倒くさいのか「君が勝ったよ」しか教えてくれないし、なんだか消化不良です。
 一応とどめを刺してから気絶したのは確からしいのですが、ほとんど相打ちだったような気もします。

 船から降りて自分の足で歩こうとすると、膝ががくがくと大笑いで、あちこちしびれるし痛いしで、かなりの怪我を負っていることにようやく気付きました。戦闘後の高揚でいまのいままで麻痺していたみたいですけれど、さすがに無理して動くにも限界があるみたいです。

「ちょ、っと、待ってくださいね。すぐ、すぐ行きますから」

 ぎぎぎぎぎ、ときしむ音さえ立てそうな体を何とか動かそうとすると、ウルウにがっしりと顎を抑えられました。そして口の中に何やら硬くて細いものを突きこまれ、ドロッとした液体を流し込まれ、苦いそれを思わず飲み下してしまいます。
 この私が口に入れるもので何かを不味いって思うの相当珍しいですから、これは相当な不味さです。

「ん、ぐっ、ふぅっ、けほ、えほ、な、なんですこれ?」
「疲れた。眠い。お腹減った」

 それは説明ではないです。
 物凄く面倒くさそうに私の背中をせっつくウルウに、まあ気を失って迷惑かけましたしと歩き出そうとすると、何と身体が軽いじゃありませんか。

 ぎょっとして見下ろしていれば、皮膚の裂けたところも治っていますし、気だるさやしびれた感じもありません。鎧の焼け焦げなんかはそのままですけれど……。

 ちらっとウルウの方を見れば、そこには見たことのある瓶をしまっている姿が。

「今の、もしかして、あの野盗たちに使ってた……」
「そう」

 そう、じゃありません。
 あんな貴重そうな霊薬を一体何本持っているのでしょうウルウは。

 いえ、深く考えるのはやめましょう。怖いですし。それにウルウが私のために使ってくれたということを喜びましょう。それが例えお腹減って疲れて眠いので早く宿に戻りたいがためだとしても。

 私は急かされるままに《踊る宝石箱亭》に戻り、暇そうに包丁を研いでいるユヴェーロさんのもとへと向かいました。
 時刻はちょうど昼頃。ご飯時です。

「おや、お帰り。収穫はどうだい?」
「大物でしたよー」

 私がお願いするまでもなく、ウルウが《自在蔵(ポスタープロ)》からぬるりと(ヌシ)を引きずり出すと、昼食を摂りに来ていた冒険屋たちから、そのとてつもない巨体と、そしてそれを収めるとてつもない収容力の《自在蔵(ポスタープロ)》とに驚嘆の声が上がりました。
 私としてはちょっと自慢気な気持ちではありますけれど、視線を集めたウルウはとてつもなく面倒くさそうです。

 ユヴェーロ氏も驚きの顔で、床に転がされた(ヌシ)を検めます。

「こいつはまたとんでもない大物だ! いやぁ、これは間違いなく乙種だね」
「でしょう!」
「でも傷口が荒いし、全身が大分焼け焦げてるから、素材の価格はちょっと落ちるな」
「あう」
「あと大きすぎると大味になって美味しくない」
「ぐへぇ」

 あれだけ頑張ったのにそれはあんまりでした。
 がっかりしていると、ウルウが一歩前に出ました。

「私のも買い取って欲しいんですが」
「そう言えばウルウもあの後獲ってたんですってね」
「ほほう。いいとも。状態が良ければ買い取るよ」
「状態が良い奴は全部買い取ってくれます?」
霹靂猫魚(トンドルシルウロ)は素材もとれるし飯にもなるしね、相場で買い取るよ」
「言質は取った」
「へ?」

 ウルウがにっこりと笑います。
 その営業用の爽やかさがかえって私にその先を予想させました。

()()()()
「……なんだって?」
「傷なし。生け捕り。サイズは肥えた成魚ばかりで三十八匹。願いましては?」

 ウルウがあくどい笑顔で《自在蔵(ポスタープロ)》から手妻のように次々に取り出しましたるは、まるで川からそのまま飛び出たような傷もない霹靂猫魚(トンドルシルウロ)たち。
 一抱えもあるようなそれが十を超えたあたりで、さしものユヴェーロさんも顔を引きつらせて止めました。

「待て待て待て」
「言質は取った。状態が良い奴は全部買い取ってくれるんだそうで」
「い、言った……言ったが……」
「証人もいますね。おたくの常連が」

 面白がった冒険屋たちがそうだそうだと声を上げます。

「ええい、わかったわかったわーかりましたよ!」
「『報酬は出来高制。討伐数で基本給。調理できないほどだったら廃棄だけど、傷が少なけりゃ卸した数だけ加算。まあまず無理だけど生きて捕まえられたら特別報酬』。だったかな」
「特別報酬もね! 忘れてくれりゃいいのに!」
「『お料理代は』?」
「ご馳走するよ!」

 ウルウは満足げににっこり微笑んで、それから疲れたようにため息一つ、またいつもの三白眼で私をちろりと見ました。

「満足かい?」
「うぇ!? え、ええ、もちろん大満足です!」
「よかった」

 頑張ったねと私の頭を撫でて、ウルウは再度ユヴェーロさんに向き直りました。

「さて、残りはどこへ?」
「氷室にしまおう。さばくにも時間がかかるし、仕込みもいる。料理は夜でいいかな?」
「リリオ」
「え、はい、大丈夫です!」
「じゃあ、お昼に軽く何か作ってください。この子も私もくたびれた」
「夜が入るように軽めにしとくよ」
「お願いします」

 麺麭(パーノ)乾酪(フロマージョ)の簡素な昼食を済ませると、ウルウは「疲れたから寝る」と言いおいて部屋まで戻ってしまいました。でも多分あれって、今のを見た冒険屋から絡まれるのが面倒くさいから引きこもったっていうのが正しいですよね、きっと。

 さて、ではそんな面倒くさい状況に取り残された私としましては。

「ユヴェーロさん! 仕込み手伝いますよー!」
「おお、助かるよ!」

 お手伝いの名目で厨房に逃げ込むのでした。



 さて、夕刻の鐘が鳴って、そろそろ晩御飯時です。

 大量の霹靂猫魚(トンドルシルウロ)を腐る前に売りさばくため、今晩は急遽大安売りとして昼から宣伝していました。
 おかげさまで普段来ないようなお客さんまで詰めかけて、酒場は満席、追加の卓まで借りてきて、店の外にまで席を広げる始末です。

 なお、安売りと言っても、実は普段が技術料と希少価値でふんだくってるんだけどねとは内緒のお話。

 私は流れで、ウルウは結局罪悪感やらなんやらで、給仕として働くことにしました。お給金は出ませんけれど、営業が終わった後には一番いい霹靂猫魚(トンドルシルウロ)を使った、特別料理をふるまってくれるとのことです。

 ウルウは、「それって当初の契約通りなだけでは」とずっとぼやいていましたけれど、給仕用にと貸し出してくれた衣装が可愛いので私としては満足です。旅をしているとなかなかかわいい衣装って持てませんしね。

 それにウルウはこういう機会でもないときっとこういう格好してくれません。ものすごく恥ずかしそうに「犯罪だろこれ」とぼやいています。確かに犯罪者が出かねませんね。

 私たちはひっきりなしに訪れるお客さんたちの注文を取り、揚げ霹靂猫魚(トンドルシルウロ)とお酒を渡して回り、代金を隠し一杯に受け取っては戻って、そしてまた新たな揚げ霹靂猫魚(トンドルシルウロ)とお酒を受け取って、と店内を駆け巡りました。

 そういえば意外だったのは、いえ、意外でもないんでしょうか、ウルウがお金の勘定ができなかったのは驚きました。
 一般によく使われる三角貨(トリアン)五角貨(クヴィナン)、商人などが使う額の大きな七角貨(セパン)九角貨(ナウアン)、それにとても大きな取引などで初めて使われる金貨、それらを教えるとウルウは興味深そうに硬貨を見比べました。

 この一番価値の大きい金貨を、まあ帝国のものではないようなんですけれど、しれっと渡してしまうあたりウルウの金銭感覚がおかしいということは前々から感じていましたが、そもそもお金の単位すらわかっていなかったというのは驚きです。

 そして教えれば一回で覚えて、すぐに()()で計算できるようになるのにはもっと驚きました。それなりに慣れた私でも指を使って計算するのに、ウルウは何も見ずに私よりはるかに早く計算してしまいます。

 一度商人らしいお客さんが、誤魔化しているんじゃないかと算盤(アバーコ)を持ち出しましたけれど、ウルウの方がより速く正確に計算するものですから、すっかり驚いていました。
 それで何組もの商人が面白がって算盤(アバーコ)で、または暗算で勝負を挑み、それを酔客がまた面白がってどちらが勝つか賭け出すという騒ぎにもなりましたが、なんとウルウが全勝してしまいました。

 こんなに騒ぎになってしまってお店は大丈夫なんだろうかと不安になりましたけれど、よく見たら胴元はユヴェーロさんでした。ここで一儲けして赤字分を取り戻すとおっしゃっていました。

 まったく!

 私はもちろんウルウに賭けましたけどね!

 そのようにして騒がしい夜は過ぎ、ようやく全てのお客さんが帰った後、私たちはくたくたの(てい)でそれぞれ椅子に座りこんでいました。
 長く、苦しい戦いでした……。
 もしかしたら(ヌシ)との闘いより疲れたかもしれません。

「明日はお休みにしちゃうから、片づけは明日にして、まかないにしよう」

 ユヴェーロさんが疲れのにじんだ、しかしたっぷり儲けた商人の顔でそういうので、私も、そしてウルウも顔を上げました。

「まあまかないといっても、お客にも出してない飛び切りの品だ。楽しみにしていいよ」

 私たちが現金にもきびきびと調理場の見える席に着くと、ユヴェーロさんはにんまり笑いながら、たっぷりの揚げ油を沸かした鍋に、衣をつけた切り身を泳がせ始めました。

 正直なところ、その時の私は「なあんだ」と思ってしまいました。
 というのも、この一晩でもう一生分の揚げ霹靂猫魚(トンドルシルウロ)は見たものと感じるほどで、食べる前から飽きてしまうくらいだったのです。

 しかしここで目を見張ったのがウルウでした。

「これは……」
「わかるかい?」

 ユヴェーロ氏は黄金色にからりと揚がった切り身を竹笊の上に上げると、上にぱらりと軽く塩を振って、すぐに私たちに寄越してきました。

「まずは塩だけでやってごらん」

 ウルウが遠慮なく口にするので、私も負けじと手を付け、そして実に、実に驚きました。

 大きく頬張ると、さくりとあまりにも軽やかな歯ごたえとともに衣が崩れ、火傷する程に熱い白身がほろほろと崩れてきます。この白身というのが全く驚くほど味わい深く、淡白ではあるのですが、ほんのわずかにかけられた塩が、その旨味を十全に引き出してくるのです。
 またその身の汁気たっぷりなことに驚かされました。揚げ過ぎた揚げ物というものは大抵ぱさぱさしているものですし、かといって揚げ方が弱ければ生のままです。これは、その生から火が通るギリギリのところを見極めて、いえ、余熱ですっと火が通るところを見計らって油から取り上げられているのでした。

 揚げたての揚げ物というものがここまで美味であるということを私は初めて知りました。
 それも、目の前で上げて、一分と経たないうちにすぐに食べてしまえる、この調理場が覗ける席でしか食べられないまさしく特別料理です。

「さ、お次はこいつにつけて食べてごらん」

 さっと揚げられた揚げ猫魚(シルウロ)と一緒に、今度は小鉢に何か褐色の澄んだ液体が渡されました。
 これもまたウルウが手慣れた様子でさっとつけて食べるので、私も半ばほどまで浸して食べてみました。

 汁気のせいでしょうか、先程のさくりと崩れるような感じではなく、じゃくりと少し重たい歯応えで、しかしそれがまた歯に嬉しい感触でした。

魚醤(フィシャ・サウツォ)猫魚(シルウオ)の出汁で割ったものさ」

 またこの不思議な液体の味が繊細で、不思議な香りがするのですが、魚のうまみがたっぷりと凝縮されており、塩だけを振って食べた時よりも強い塩気が、あっさりとした白身をうまく持ち上げて、気づけばじゃくじゃくっと食べ進めてしまうのでした。

 ああ! 早く次を揚げて! そう願わずにはいられません。

「いい食べっぷりだ。じゃあこいつはどうかな」

 竹笊にざっと置かれたのは、今度は衣に緑色が散っていました。

紫蘇(ペリロ)の葉を刻んで衣に混ぜ込んだんだ」

 これには軽く塩を振って食べてみると、ふわりと爽やかな紫蘇(ペリロ)の香りが広がり、脂っこくなってきた口の中を爽やかにしてくれました。それでいて、たっぷり詰まった魚のうまみはまるで損なわれるということがなくて、むしろ、かえってそのさっぱりとした香りとともに口の中にあふれてくるようでさえあります。

 私が無意識に左手を卓の上に彷徨わせると、ユヴェーロさんがにやりと笑いました。

「わかってるとも。こいつだろう?」

 そいつです!

 ユヴェーロさんがにやっと笑って寄越してくれたのは、酒杯にたっぷり満たされた麦酒(エーロ)でした。
 ごくごくごくっ、と音を立てて飲み下すと、さっぱりとした苦味と複雑な香り、それにフルーティーな甘みとコクとが、のど越しもよく流れ込んできます。

 そしてそこに揚げたての猫魚(シルウロ)
 じゃくりじゃくりと頬張り、そしてまた麦酒(エーロ)!
 この単純で、しかしだからこそ飽きがこない黄金の連鎖たるや、もう無限に食べられると言っていい程です。
 小食のウルウもこの連鎖を楽しんでいるようで、ゆっくりではありますがその手は止まりません。

 そして程よく腹の膨れてきたころ合いで、まるで悪戯でもたくらむような楽しげな顔で、ユヴェーロさんは本当の特別料理を出してくれたのでした。

「さー、さすがにこいつは食べたことないんじゃないかな?」
「え!?」

 皿に美しく盛られて出されたのは、なんと薄くそぎ切りにされた生の猫魚(シルウロ)でした。うっすらと紅色を透かす透明感のある白い身は確かにとても美しいものですが、しかし、でも。

「な、生で食べるんですか?」
「サシミといってね、西の連中から聞いた食べ方なんだが、なかなかオツだよ」
「で、でもお腹壊しません?」
「普通は壊す」
「さ、さすがに怖いですよう」
「実はね、これは本当の本当にうちだけの秘密にしてあるんだけど、霹靂猫魚(トンドルシルウロ)ってのは体中に()()()()が走っているだろう。だから腹を壊す虫がつかないのさ。もちろん、生け捕りじゃないといけないけどね」

 なるほど、確かにあの強烈な()()()()は腹下しの虫など寄せ付けないことでしょう。
 しかし頭でわかっているのと実際に試すのとはわけが違います。

 私が少し怖気づいていると、ウルウは平然と皿に手をかけました。

「ユヴェーロさん、魚醤(フィシャ・サウツォ)とやらを少しもらえる?」
「お、ウルウ君はわかるかい」
「川魚は初めてです」

 先程の出汁で割ったものよりももっと濃くて、そして匂いの強い魚醤(フィシャ・サウツォ)を小皿に注いで渡されたウルウは、粋というんでしょうかねえ、一切れ猫魚(シルウロ)の身をとると、さっとつけて素早く口に運び、そして目を見開きました。

「ほへははひへへは」
「へ?」
「リリオ君も食べればわかるよ」

 そう勧められれば逃げてもいられないと、私は意を決してウルウと同じように一切れ口にしてみました。
 すると何ということでしょう。火を通した時とはまるで違った甘い味わいが魚醤(フィシャ・サウツォ)の塩気によってちょうどよく引き立てられて口の中でとろけあばばばばばばばっ。

「ひゃ、ひゃんへふはほへ!?」
「死んですぐの霹靂猫魚(トンドルシルウロ)はまだ雷精が残っててね。生だとそいつが抜けきらずに、独特のしびれを喰らわすのさ」

 何というものを食べさせてくれるのでしょう!
 私はエールで口の中を洗い、そして気づけば文句を言う前にもう一口を頬張ってあばばばば。

「こいつは後を引くだろう!」

 確かに全くその通りです。口の中がしびれるこの、味というのでなし香りというのでなし、かといって食感というのでなし、第四の不思議な感覚が、味わいに不思議な立体感をもたらすのでした。

 ユヴェーロさんも揚げながら食べ、飲み、そして活きのいい身をさばき、その夜は三人で飲み明かしたのでした。





用語解説

・氷室
 ある程度大きな飲食店では、一部屋丸まるを氷精晶(グラシクリスタロ)で冷やした氷室を持っていることが多い。

乾酪(フロマージョ)
 動物の乳を原料として、発酵させたり柑橘類の果汁を加えて酸乳化した後に、加熱したり酵素を加えたりしてなんやかんやあって固めた乳製品。いわゆるチーズ。

・夕刻の鐘
 正午の鐘と同じように、夕方の六時ごろに鳴らされる鐘。基本的にどの業界も、長くてもこの時間で仕事は終わる。というのもこの後は暗くなる一方なので灯りがもったいないのだ。

・お金
 帝国の通貨は三角貨(トリアン)五角貨(クヴィナン)七角貨(セパン)九角貨(ナウアン)、そして金貨の五種類存在する。一〇〇三角貨(トリアン)で一五角貨(クヴィナン)。一〇五角貨(クヴィナン)で一七角貨(セパン)。四七角貨(セパン)で一九角貨(ナウアン)
 つまり一九角貨(ナウアン)=四七角貨(セパン)=四十五角貨(クヴィナン)=四千三角貨(トリアン)
 金貨は主に恩賞や贈答用で、その重量や芸術性で価値が決まる。
 どうせ大して出てこない設定なので覚えてもこれと言って得はない。

・指を使って計算
 頭が悪そうに聞こえるが、リリオが使っているのは商人の用いる運指。
ひとつは、親指に一、人差し指に二、中指に四、薬指に八、小指に十六という風に数字を割り振ることで、片手で三十一まで数えることのできるもの。両手を遣えば六十二まで数えられる。
 やってみるとわかるが、こんな指攣りそうなものを滑らかにできるだけの器用さは結構なものだ。実用性はともかくとして。
もう一つは、我々の世界ではインド式指算として知られるもので、両手を使って15×15まで計算できる。

算盤(アバーコ)
 いわゆる算盤。竹製や木製、護身用に総金属製などがある。一つの芯に十顆ずつの珠のものもあれば、天一顆地四顆のよく見られるもの、また硬貨の換算に便利なように珠の数を調整したものなど、様々なものが出回っているようだ。

魚醤(フィシャ・サウツォ)
 魚醤。魚を塩とともに漬け込み発酵させ、そこから染み出た液体を濾したもの。独特の香りまたは強い匂いを持つが、濃厚な魚のうまみが凝縮されている。塩分濃度は醤油より高い。

紫蘇(ペリロ)
 爽やかな香りのする野草で、緑色のものや、鮮やかな紫色のものなどがある。

麦酒(エーロ)
 上面発酵の麦酒。いわゆるエール。地方や蔵元によって味が異なる。