因みにこの丸太だが、グランレイクの周辺に生えている木をレイが伐採したものである。初めは何に使うのかと思っていたレイだが、目の前を滑っていく丸太を見て顔を青ざめた。

「ね、ねぇギズー。僕は走っていくから大丈夫だよ?」
「あ? 今にも倒れそうになるまで消耗したお前がそんな事出来る訳ねぇだろ? ほら、さっさと乗った!」
「いやいやいや、それでも僕は――」

 全てを言い切る前にギズーが無理やり丸太に座らせる、そして自分もレイの後ろに座るとガズルに合図を送った。

「いいぞ、やってくれ」
「ちょっと!? ギズー! 待って降ろし――」

 また全てを言い終える前にガズルが二人の乗る丸太を蹴り飛ばした。先ほどと同様に勢いよく氷の上を滑っていく。流石に二台もあの威力で蹴り飛ばしているとなると氷に僅かながらヒビが入り始める。きっと次の丸太でこの氷は割れるだろうとガズルは推測する。

「それで、私達はどうやって行くの?」

 最後にガズルと二人になったミトは腕を組んで疑問を口にした、これまでは丸太をガズルが蹴り飛ばして進んでいたのだが、二人が乗るとなるとどの様に進むのかと想像できないでいた。

「お前と二人ってのが気に入らねぇが、まぁ見てろ」

 最後の丸太を氷の上に置く、ミトが首を傾げながら丸太に座るとガズルがロープを投げてきた。

「それを丸太に結んでくれ、そしたら合図をくれれば良い」

 言われるがままにロープを丸太に括り付けてきつく結んだ。
 同時に結んだことをガズルに告げると歯を食いしばって丸太を見つめる。この時点でミトはまさかと思っていただろう、渡されたロープの先はガズルが握っている。いや、流石にそんな事はしないだろうと。

「行くぞぉ!」