「見て!朝のイケメン、来てる!」

「相良さん、花嫁だって。」

「マジ?いいなあ~」

そんな声がヒソヒソ聞こえる。だが、ほとんどに悪意がないのがわかる。

元々陽キャ気質の亜里香は、簡単には嫌われないのだ。

「噂の的だねえー」

「ただの噂のままだといいけど…」

簡単に嫌われないとは言え、全員が全員亜里香と仲がいい訳ではない。

よく思わない人だっているだろう。

「迎えに来た。」

「あの…今からどこへ?」

「俺の家に決まっているだろう。あやかしは心配性だ。基本的に、花嫁は自分の屋敷に住まわせる。」

自分の家を屋敷というところ、さすがは金持ちである。

だが、同時に、傲慢そうだとも、亜里香は思った。

「じゃあ、行こうか。」

そう言って、雄輝は亜里香をお姫様抱っこした。

「いやいやいや。恥ずかしいし、歩けないわけないんで、下ろしてくださいません?」

「いやだ。それに、敬語はいらない。同い年だろう。」

「じゃあ、…下ろせ?」

亜里香はとんでもなく鋭い眼で雄輝をにらんだ。

「w…わかった。」

そう言って雄輝は亜里香を下した。

「さっすが亜里香。眼力ヤバすぎ。」

「気のせい、気のせい。」

「ははは。じゃね、亜里香。」

「ばいばい、バースデーガール!」

「みんなバイバーイ」

亜里香は雄輝に手を引かれ、教室を後にした。