牛車を出て、私はびっくりした。
もう少しで迎賓宮に着く、という所で、酒呑童子と八咫烏さんが道をふさいでいる。
迎賓宮からも騒ぎを聞きつけた伊月さんの護衛隊が出てきた。
おろおろする東三条さんや武官たちの前に出て、伊月さんが抜刀した。
そのまま、刃を酒呑童子に向ける。
「伊月、待て、刀をしまえ。」
八咫烏さんが、伊月さんを手で制する。
「八咫烏、その者は昨夜、那美どのの寝所に入り込み、那美どのを攫おうとしたのだぞ! なぜ庇いだてする?」
「俺は那美に話があって来たのだ。お前に用はない。」
酒呑童子がふてぶてしい態度で伊月さんに言う。
「私はお前に用がある。昨夜の那美どのへの非礼な行為、とうてい許されぬ。男として片をつけたい。一対一、決闘を願い出る。」
私が慌てて止めようとするその前に、八咫烏さんが言った。
「伊月、落ち着け。都では私闘は禁じられている。それに、酒呑童子は那美と話がしたいだけだ。ひと時、時間をやれ。もう勝手に迎賓宮に忍び込んだり、那美が一人の時に近づかぬと、起請文を書かせた。」
八咫烏さんが鬼の花押つきの起請文を見せた。
「伊月さん、ひとまず私と話があるそうなので、話しをさせてください。」
私は、伊月さんの刀を持つ手をきゅっとにぎった。
伊月さんはため息をついて、刀を下した。
「今日は八咫烏と那美どのに免じて時をやる。話をするなら、ここでしろ。」
酒呑童子は素直にうなずいた。
「それで、話ってなんですか?」
私は酒呑童子をまっすぐに見た。
「俺の嫁になれ。」
「お断りします。」
「そ、即答すぎるだろ! しかも冷静か!もうちっと考えるか、びっくりするとか、何か、もっと反応しろ!」
あたふたとする酒呑童子に、伊月さんを始め、護衛隊の皆がしらけた目を向けている。
「俺が鬼だからか? 醜いからか?」
「いやいやいや、鬼とか醜いとか以前に、そもそもそんなプロポーズで女の人が落ちると思うのがおかしいでしょう?」
「ぷ、ぷろ? 何だ?」
「求婚という意味です。」
これには、八咫烏さんも、護衛隊の皆も、うんうん、とうなずいている。
「お前、その前に那美を口説いたのか?」
八咫烏さんが、酒呑童子に聞くと、「酒を一緒に飲もうと誘った」と、答える。
それを聞いて、八咫烏さんが、はぁぁぁと大きくため息をついた。
酒呑童子はまた私を見て、「俺の口説き方が悪かったのか?」と、聞いた。
「いや…口説かれてるって全然知りませんでした…。」
「か、金ならあるぞ。屋敷もでかい。いい暮らしをさせてやる。」
「いや、別にそういうの良いです。」
「じゃあ、断る理由は何だ? 俺のことがそんなに嫌な理由を教えろ。」
私は少し、苛立っていた。
せっかく牛車の中で伊月さんといい感じだったのに…。
しかも酒呑童子のせいで、昨夜も今も大騒ぎだし、護衛の人たちも休まらない。
それに、しっかり断ったのに、結構しつこい。
―― ああ、もう、いい加減にして!
私は酒呑童子の前に仁王立ちになった。
「酒呑童子は女が自分の思い通りにならないと無理矢理さらって酒の相手をさせると言いましたね。」
「そうだ。」
「そして自分が醜いから女にモテないと思い込んでいます。」
「そうだ。」
「だから女は無理矢理さらわなければ仕方ないと思ってるんですか。」
「そうだ。」
「それは間違いです。酒呑童子が女にモテない理由は生まれ持った見た目じゃありません。」
「だが、見た瞬間に誰もが泣き叫び、話もできんぞ。」
「そりゃ、そんな金棒持ってるからでしょうがぁ!」
「か、金棒のせいか?」
「そんな物騒な物もって歩いているガタイのいい人がいたら、どんなイケメンでも警戒するでしょ!」
「イケメン?」
「見目麗しい男という意味です。」
「そ、そうなのか…。」
「まず、その、俺は強いぞっていうアピール…主張するような身なりをやめて下さい。ガラ悪すぎです!それだけでいきなり泣かれる確率は1割減ります。」
「お、おう。でも、1割か...」
「自分では醜い醜いって言ってるけど、顔はそんな言うほど醜くないですよ。ただ、もっと身綺麗にすればいいんです。」
「何?」
「髪も整えず、ボサボサですし、だいたい、上半身裸で腰巻一つとか、ワイルドすぎて、それも怖がられる理由の一つです。しかも、その虎柄の腰巻はダサすぎて本当にありえないから。大阪のおばちゃんじゃないんだし!」
「わいるど? おおさか? よく分からんが、虎柄かっこいいと思ってた。」
「きちんと着物を着て、身なりを整えて、筋肉をみせるならチラ見せくらいがいいです。そうすれば、いきなり泣かれる確率があと2割くらい減ると思います。」
「お、おう。そ、そうなのか?」
酒呑童子は八咫烏さんの方を向いて、意見を仰ぐように見た。
「正論だ。」
八咫烏さんが私の言葉にお墨付きを与えた。
「とにかく、酒呑童子の一番の問題は、生まれつきの見た目のせいと決めつけ、自分の身辺を整える努力をしないことです。
努力をしないで、酒ばかり飲んで、女の人の気持ちを考えず、安易に人をさらうから、余計に悪い噂が立ってこわがられるんです。身なりを整え、少しずつでも、周りの人に優しくしてください。そうしたら、怖がられることも少なくなります。」
「分かった。俺が酒をやめて、努力して、身ぎれいになって、人さらいをやめたら那美は俺の嫁に来るのか。」
「来ません。」
「ま、また即答か! なぜだ?」
「私には心に決めた人がいます。それに、酒呑童子は私の事を好きだと勘違いしてるだけだと思うからです。」
「勘違い? どういうことだ。」
「私が酒呑童子を恐れずに普通に話すからそれが珍しいだけで、私の事を本当に好きじゃないと思うんです。もし私より若くてかわいいピチピチの女の子が、怖がらずに寄ってきて、酒呑童子さま素敵♡とか言ったら、絶対そっちになびきます。」
「う...。」
「とにかく、私には好きな人がいて、その人以外は眼中にありません。分かったら、もう私につきまとうのはやめて下さい。」
私は、踵を返して、伊月さんの方に向かって歩き始めた。
「ま、待て、那美。もう一つだけ。」
「何ですか?」
「た、確かに若い女がそんな風に寄ってきたら拒む自信はないが、今この時点で那美に心底惚れているのは事実だ。それは否定するな…。」
酒呑童子はそういうと、涙をにじませた。
「そ、そんな泣かなくても…」
酒呑童子は、こらえられなくなったのか、うめき声を上げて本格的に泣き始めた。
「じゃ、じゃあ、お気持ちだけ受け取ります。でも、本当にもう、付きまとわないで下さい。」
「那美、待ってくれ…。」
その瞬間、酒呑童子は私の手を取ろうとしたが、伊月さんが私を引き寄せ、背中に隠した。
「酒呑童子、しつこいぞ。お前も男ならメソメソ泣くな。」
伊月さんが諭すように言った。
八咫烏さんが見かねたように、酒呑童子の肩に腕を回した。
「酒呑童子、もう気が済んだだろ? 今夜は俺が付き合うから、飲むぞ。」
八咫烏さんは、私達に、騒がせてすまなかったなと言って、酒呑童子を連れたまま飛んで行った。
二人の姿が見えなくなると、護衛隊の人がわっと歓声を上げた。
「いやー鬼の頭領と悪名高い酒呑童子が泣いておりましたなー!」
「鬼も那美様には敵いませんでしたね。」
「しかしあの酒呑童子が切実に恋心を告白していましたな。」
「鬼といえども失恋の痛みには耐えれなかったようですな。」
と、わいわい言っている。
伊月さんは一人、複雑そうな顔をしていた。
私もちょっと複雑な気持ちだった。
酒呑童子はあの見た目のせいで今まで沢山の拒絶を味わったんだろう。
「那美様」
東三条さんとトヨさんが歩み寄って来た。
「とんだ者に好かれてしまいましたね。でも、酒呑童子があのように辛抱強く人と話ができるとは知りませんでした。那美様のお陰で新たな発見がありました。」
東三条さんが言う。
「あの、お騒がせしてすみませんでした。それから、今日はとても楽しかったです。本当にありがとうございます。」
「那美様も、共舘様も、今夜は鬼の襲来も御座いませんので、どうぞ、ごゆっくりお休みください。明日は帝への謁見ですので、またお忙しくなります。」
トヨさんが言った。
「お気遣い、ありがとうございます。」
伊月さんもお礼を言った。
私達は東三条さんとトヨさんに何度もお礼を言って迎賓宮に帰った。
迎賓宮ではお風呂の準備がしてあり、相変わらず、女官が手際よく寝る準備を手伝ってくれる。
手際が良すぎて、護衛の人たちと話したり、伊月さんと話したりする時間もなく、お風呂場から寝所へと連れて行かれる。
今夜は隣の部屋に伊月さんが泊まっているということもあり、私の寝所の扉を閉めていい、という事になったらしいことを女官が教えてくれた。
―― 良かった。伊月さんも今夜はお布団でしっかり寝れそうだな。
それにしても、酒呑童子にちょっときつく言い過ぎたかな。
あんなに泣いちゃうなんて思いもよらなかった。
これを機に人さらいをやめてくれたらいいんだけど。
私はそんなことを考えながら、眠りについた。
もう少しで迎賓宮に着く、という所で、酒呑童子と八咫烏さんが道をふさいでいる。
迎賓宮からも騒ぎを聞きつけた伊月さんの護衛隊が出てきた。
おろおろする東三条さんや武官たちの前に出て、伊月さんが抜刀した。
そのまま、刃を酒呑童子に向ける。
「伊月、待て、刀をしまえ。」
八咫烏さんが、伊月さんを手で制する。
「八咫烏、その者は昨夜、那美どのの寝所に入り込み、那美どのを攫おうとしたのだぞ! なぜ庇いだてする?」
「俺は那美に話があって来たのだ。お前に用はない。」
酒呑童子がふてぶてしい態度で伊月さんに言う。
「私はお前に用がある。昨夜の那美どのへの非礼な行為、とうてい許されぬ。男として片をつけたい。一対一、決闘を願い出る。」
私が慌てて止めようとするその前に、八咫烏さんが言った。
「伊月、落ち着け。都では私闘は禁じられている。それに、酒呑童子は那美と話がしたいだけだ。ひと時、時間をやれ。もう勝手に迎賓宮に忍び込んだり、那美が一人の時に近づかぬと、起請文を書かせた。」
八咫烏さんが鬼の花押つきの起請文を見せた。
「伊月さん、ひとまず私と話があるそうなので、話しをさせてください。」
私は、伊月さんの刀を持つ手をきゅっとにぎった。
伊月さんはため息をついて、刀を下した。
「今日は八咫烏と那美どのに免じて時をやる。話をするなら、ここでしろ。」
酒呑童子は素直にうなずいた。
「それで、話ってなんですか?」
私は酒呑童子をまっすぐに見た。
「俺の嫁になれ。」
「お断りします。」
「そ、即答すぎるだろ! しかも冷静か!もうちっと考えるか、びっくりするとか、何か、もっと反応しろ!」
あたふたとする酒呑童子に、伊月さんを始め、護衛隊の皆がしらけた目を向けている。
「俺が鬼だからか? 醜いからか?」
「いやいやいや、鬼とか醜いとか以前に、そもそもそんなプロポーズで女の人が落ちると思うのがおかしいでしょう?」
「ぷ、ぷろ? 何だ?」
「求婚という意味です。」
これには、八咫烏さんも、護衛隊の皆も、うんうん、とうなずいている。
「お前、その前に那美を口説いたのか?」
八咫烏さんが、酒呑童子に聞くと、「酒を一緒に飲もうと誘った」と、答える。
それを聞いて、八咫烏さんが、はぁぁぁと大きくため息をついた。
酒呑童子はまた私を見て、「俺の口説き方が悪かったのか?」と、聞いた。
「いや…口説かれてるって全然知りませんでした…。」
「か、金ならあるぞ。屋敷もでかい。いい暮らしをさせてやる。」
「いや、別にそういうの良いです。」
「じゃあ、断る理由は何だ? 俺のことがそんなに嫌な理由を教えろ。」
私は少し、苛立っていた。
せっかく牛車の中で伊月さんといい感じだったのに…。
しかも酒呑童子のせいで、昨夜も今も大騒ぎだし、護衛の人たちも休まらない。
それに、しっかり断ったのに、結構しつこい。
―― ああ、もう、いい加減にして!
私は酒呑童子の前に仁王立ちになった。
「酒呑童子は女が自分の思い通りにならないと無理矢理さらって酒の相手をさせると言いましたね。」
「そうだ。」
「そして自分が醜いから女にモテないと思い込んでいます。」
「そうだ。」
「だから女は無理矢理さらわなければ仕方ないと思ってるんですか。」
「そうだ。」
「それは間違いです。酒呑童子が女にモテない理由は生まれ持った見た目じゃありません。」
「だが、見た瞬間に誰もが泣き叫び、話もできんぞ。」
「そりゃ、そんな金棒持ってるからでしょうがぁ!」
「か、金棒のせいか?」
「そんな物騒な物もって歩いているガタイのいい人がいたら、どんなイケメンでも警戒するでしょ!」
「イケメン?」
「見目麗しい男という意味です。」
「そ、そうなのか…。」
「まず、その、俺は強いぞっていうアピール…主張するような身なりをやめて下さい。ガラ悪すぎです!それだけでいきなり泣かれる確率は1割減ります。」
「お、おう。でも、1割か...」
「自分では醜い醜いって言ってるけど、顔はそんな言うほど醜くないですよ。ただ、もっと身綺麗にすればいいんです。」
「何?」
「髪も整えず、ボサボサですし、だいたい、上半身裸で腰巻一つとか、ワイルドすぎて、それも怖がられる理由の一つです。しかも、その虎柄の腰巻はダサすぎて本当にありえないから。大阪のおばちゃんじゃないんだし!」
「わいるど? おおさか? よく分からんが、虎柄かっこいいと思ってた。」
「きちんと着物を着て、身なりを整えて、筋肉をみせるならチラ見せくらいがいいです。そうすれば、いきなり泣かれる確率があと2割くらい減ると思います。」
「お、おう。そ、そうなのか?」
酒呑童子は八咫烏さんの方を向いて、意見を仰ぐように見た。
「正論だ。」
八咫烏さんが私の言葉にお墨付きを与えた。
「とにかく、酒呑童子の一番の問題は、生まれつきの見た目のせいと決めつけ、自分の身辺を整える努力をしないことです。
努力をしないで、酒ばかり飲んで、女の人の気持ちを考えず、安易に人をさらうから、余計に悪い噂が立ってこわがられるんです。身なりを整え、少しずつでも、周りの人に優しくしてください。そうしたら、怖がられることも少なくなります。」
「分かった。俺が酒をやめて、努力して、身ぎれいになって、人さらいをやめたら那美は俺の嫁に来るのか。」
「来ません。」
「ま、また即答か! なぜだ?」
「私には心に決めた人がいます。それに、酒呑童子は私の事を好きだと勘違いしてるだけだと思うからです。」
「勘違い? どういうことだ。」
「私が酒呑童子を恐れずに普通に話すからそれが珍しいだけで、私の事を本当に好きじゃないと思うんです。もし私より若くてかわいいピチピチの女の子が、怖がらずに寄ってきて、酒呑童子さま素敵♡とか言ったら、絶対そっちになびきます。」
「う...。」
「とにかく、私には好きな人がいて、その人以外は眼中にありません。分かったら、もう私につきまとうのはやめて下さい。」
私は、踵を返して、伊月さんの方に向かって歩き始めた。
「ま、待て、那美。もう一つだけ。」
「何ですか?」
「た、確かに若い女がそんな風に寄ってきたら拒む自信はないが、今この時点で那美に心底惚れているのは事実だ。それは否定するな…。」
酒呑童子はそういうと、涙をにじませた。
「そ、そんな泣かなくても…」
酒呑童子は、こらえられなくなったのか、うめき声を上げて本格的に泣き始めた。
「じゃ、じゃあ、お気持ちだけ受け取ります。でも、本当にもう、付きまとわないで下さい。」
「那美、待ってくれ…。」
その瞬間、酒呑童子は私の手を取ろうとしたが、伊月さんが私を引き寄せ、背中に隠した。
「酒呑童子、しつこいぞ。お前も男ならメソメソ泣くな。」
伊月さんが諭すように言った。
八咫烏さんが見かねたように、酒呑童子の肩に腕を回した。
「酒呑童子、もう気が済んだだろ? 今夜は俺が付き合うから、飲むぞ。」
八咫烏さんは、私達に、騒がせてすまなかったなと言って、酒呑童子を連れたまま飛んで行った。
二人の姿が見えなくなると、護衛隊の人がわっと歓声を上げた。
「いやー鬼の頭領と悪名高い酒呑童子が泣いておりましたなー!」
「鬼も那美様には敵いませんでしたね。」
「しかしあの酒呑童子が切実に恋心を告白していましたな。」
「鬼といえども失恋の痛みには耐えれなかったようですな。」
と、わいわい言っている。
伊月さんは一人、複雑そうな顔をしていた。
私もちょっと複雑な気持ちだった。
酒呑童子はあの見た目のせいで今まで沢山の拒絶を味わったんだろう。
「那美様」
東三条さんとトヨさんが歩み寄って来た。
「とんだ者に好かれてしまいましたね。でも、酒呑童子があのように辛抱強く人と話ができるとは知りませんでした。那美様のお陰で新たな発見がありました。」
東三条さんが言う。
「あの、お騒がせしてすみませんでした。それから、今日はとても楽しかったです。本当にありがとうございます。」
「那美様も、共舘様も、今夜は鬼の襲来も御座いませんので、どうぞ、ごゆっくりお休みください。明日は帝への謁見ですので、またお忙しくなります。」
トヨさんが言った。
「お気遣い、ありがとうございます。」
伊月さんもお礼を言った。
私達は東三条さんとトヨさんに何度もお礼を言って迎賓宮に帰った。
迎賓宮ではお風呂の準備がしてあり、相変わらず、女官が手際よく寝る準備を手伝ってくれる。
手際が良すぎて、護衛の人たちと話したり、伊月さんと話したりする時間もなく、お風呂場から寝所へと連れて行かれる。
今夜は隣の部屋に伊月さんが泊まっているということもあり、私の寝所の扉を閉めていい、という事になったらしいことを女官が教えてくれた。
―― 良かった。伊月さんも今夜はお布団でしっかり寝れそうだな。
それにしても、酒呑童子にちょっときつく言い過ぎたかな。
あんなに泣いちゃうなんて思いもよらなかった。
これを機に人さらいをやめてくれたらいいんだけど。
私はそんなことを考えながら、眠りについた。