頭上から予想外の力を加えられたエルが、「のわっ!?」と体勢を崩してしまった脇から、ログが素早くコンバットナイフで化け物の腹を一瞬にして切り裂いた。
「名前まで呼ばれたんだ。このまま置いていける訳ねぇだろ」
ログは化け物達の様子を見据えたまま呟くと、ニヤリと笑みを浮かべた。慌てて戻って来たのか、その額には玉の汗が浮かび、手も若干湿っていた。
「お前は足手まといなんかじゃねぇよ。真っ直ぐ一生懸命で、俺には勿体ないぐらい優秀な戦士だ」
一度だけエルの髪を乱暴に撫で回すと、ログは、近くの化け物を数秒も掛からず始末した。エルは困惑したものの、走り出した彼に置いて行かれるまいと、僅かに遅れて駆け出した。
出来るだけ避けられる戦闘は避けながら、二人は、それぞれ化け物の襲撃に応戦しつつ塔まで全速力で進んだ。前方から襲いかかる化け物をログが片付け、後方やサイドから襲いかかるものをエルから切り払い、そうやって二人は駆け続けた。
塔まであと少しの距離まで来た時、悪寒を覚えて、エルとログは走りながら頭上へ目を向けた。
黒い鉄の茨群に君臨する女王が、こちらの存在に気付いて顔を向けていた。
エルと目が合った途端、エリスが眼を見開いた。エリスは、エルの傍にいるログに一切の関心を払わなかった。
「名前まで呼ばれたんだ。このまま置いていける訳ねぇだろ」
ログは化け物達の様子を見据えたまま呟くと、ニヤリと笑みを浮かべた。慌てて戻って来たのか、その額には玉の汗が浮かび、手も若干湿っていた。
「お前は足手まといなんかじゃねぇよ。真っ直ぐ一生懸命で、俺には勿体ないぐらい優秀な戦士だ」
一度だけエルの髪を乱暴に撫で回すと、ログは、近くの化け物を数秒も掛からず始末した。エルは困惑したものの、走り出した彼に置いて行かれるまいと、僅かに遅れて駆け出した。
出来るだけ避けられる戦闘は避けながら、二人は、それぞれ化け物の襲撃に応戦しつつ塔まで全速力で進んだ。前方から襲いかかる化け物をログが片付け、後方やサイドから襲いかかるものをエルから切り払い、そうやって二人は駆け続けた。
塔まであと少しの距離まで来た時、悪寒を覚えて、エルとログは走りながら頭上へ目を向けた。
黒い鉄の茨群に君臨する女王が、こちらの存在に気付いて顔を向けていた。
エルと目が合った途端、エリスが眼を見開いた。エリスは、エルの傍にいるログに一切の関心を払わなかった。