「やだぁ〜、そんなに叫ばなくてもいいじゃな〜い!」


 と、笑いながら伯母が言う。


 「いやいや、伯母さん! ここで叫ばないで、いつ叫べって言うの⁉︎」


 慌てて千明が言い返した。


「千明、学園では『理事長』って呼んでね! あなたが私の姪だって、他の生徒に知られたら色々面倒だから」


 伯母が私を見つめてそう言うので、すぐに頷いた。


 「本当に素直でいい子ね! それで何の話だっけ?」


 「ご主人様と奴隷の話ですよ」


 石崎が淡々と答える。


 「あ〜、そうそう! 奴隷と言っても、パートナーみたいなものよ! 最高の友達……、もしかしたら恋人にだってなるかも知れないわよ〜」


 なにやら怪しげな笑みを浮かべる伯母を見て、今朝の母の顔を思い出した。


 そして千明は確信した。


 この姉妹──、絶対私を弄んでる! 


 「私、今は恋人なんていらないよ! ただ、穏やかな生活を過ごしたいだけ‼︎」


 必死に訴えるが、伯母は聞く耳を持たない。


 千明は、助けを求めるかのように石崎を見るが、石崎は申し訳なさそうな表情で、首を横に振るのであった。


 その反応を見た彼女は悟った──。伯母の意見には逆らえないのだと。