「学校、今日もいきたくないな……」
手首にバーコードの様な無数の切り傷とその他の青あざを眺めてため息が出た。
 
 ぼーっと、壁に掛かっている時計に目をやると、
 時刻はお昼の1時。親が心配するから、遅刻でも行かなきゃ。そう思って支度を始めた。
 
「行きたくないなら行かなきゃ良いのに。」
 もう声の主は誰だか分かる。
 「どうしてここにいるの?昨日の話聞いてた?」
 もう関わり合いたくなかった。死を連想させる神
のくせに殺してくれない役立たずな死神だ。
 
 「わ、その傷どうしたの?痛そうだね。」
 相変わらず人の話は聞かないのね。
 「こっちのバーコードは自傷、青あざはいじめ。」
 死神はそれを見て暫く苦い顔をしていたが、言いにくそうに口を開いた。
 
「あの日の事故は茜のせいじゃないよ。雨が降ってたから、視界が悪かったんだよ。だから、自分を責めないで。」  
 
 私は驚きを隠せなかった。
 
 「なぜ、死神があの事故のことを知っているの?」
 この死神については知らないことばかりだ。死神って存在自体謎だけど、あの事故のことをなぜ知っているのか不思議でならなかった。
 
 そんなこんなで支度が出来たので学校へ向かう。
 足取りは重く、ゆっくりだが、ゴールにはいつかたどり着く。それが良くも悪くも。
 
 第1関門は下駄箱、今日はなんだろう。
 下駄箱を開けた途端、大量の画鋲が落ちてきた。
 「ふっ、まさに針のむしろ。」
 いくつかの画鋲が手に当たって引っ掻き傷ができた。
 
 大量の画鋲をゴミ箱に捨てた後、第2関門が待っている。廊下と階段。
 ここは1番といっていいほど危険。
 階段は手すりがないと上がれない。今日は椅子が落ちてきた。避けきれずに足に引っかかって、階段から落ちた。まだ上のほうまで上がってなくて良かった。
 「まだ生きてんの?瞬くんはアンタのせいで死んだのに。」
 
 捨て台詞のようなものをあびせられた。
 私だって、知りたい。どうして、私は死ねないのか。なんで、瞬が死ななきゃ行けなかったのか。