私は今、代広病院の前に居る。
約1年前に末期がんで余命3ヶ月を宣告された祖父が半年過ごした場所だ。
「もしかして与具さんの……孫?」
私に声をかけてきたボサボサ髪に無精ひげがよく似合う50代くらいのおじさん。
「私の事を知ってるんですか?」
「いや、知らない。ただ君の顔が与具さんにそっくりで、代広高校の制服を着ているから孫なんだろうと思っただけだ」
「正解です。
私は与具の孫です」
「……聞かないのか?
何故俺が与具さんの事を知っているんだって」
「聞かなくても分かりますから」
おじさんは祖父と同じ入院着を着ている。
「入院中に知り合ったんですよね」
「ああ。たまに話してた」
「私の事、何か話してましたか?」