二〇一四年、八月一日、金曜日。 私は塾の自習室で勉強をしていた。 もう、時間も遅い。周りにいるのは三年生ばかりで、二年生は私だけだ。 「おい、そこ。間違っているぞ」 誰もしゃべらない自習室で、いきなり声をかけられた。