「ってことがあって、私は人を信用するのが難しくなって、私から人が離れていくのが怖くなったの」
夏美は私を束縛してしまう理由を悲しそうに、吹っ切れたように話した。
「ごめんね、辛いこと思い出させて」
正直驚いた。
驚いたけど、やっぱり夏美は凄いと思った。
強いと思った。
「いやいいよ、人に話せて少し楽になったし」
夏美はスッキリしたような笑顔で言った。
「それから、私は変わろうって決めたの。強くなろうって。でも、なにも変わってない。次は私が梅雨を苦しめている。ホントごめんね。」
夏美は私の目を真っ直ぐ見て言った。
でも私は‘いいよ’なんて言えなかった。
何故か言うべきではないと思ってしまった。
それは、私が夏美に元々怒ってなかったからか、夏美の気迫に負けてしまったからか、分からないけど。
「親には?いじめのこと言ってないの?」
話を変えたくて、聞きたい事を聞いた。
「言ってない、誰にも。
弱いくせに強がりだからね。
それに心配させたくなっかったし。
言ったらどう思われるだろう?とか。
否定されたらどうしようとか思っちゃって。」
「そっか」
私はそれ以外の返し方を知らなくて、つくづく自分は無力だと実感した。
「・・・」
「・・・」
静かな沈黙を打ち消すように夏美は言った。
「話変わるんだけど、
日本じゃ、いじめられてるほうがカウンセリングをされたり、
学校に行けなくなったり、いじめられている側の方が損が多いと思うの」
「そうだね」
「でもさ、おかしくない?
悪いのはいじめている側で、いじめられている側なんて被害者じゃん。」
「確かにね」
いじめについてきちんと考えた事なんて無いから、言葉の意味は理解し難いけど、私にも分かった。
「いじめられた側の人は、いじめを受けて、苦しくなるの。
でもいじめている側は、きっと誰かをいじめてしまうほどの何かがあったんじゃないかなって私は思う。
もっと加害者のことも考えて、なんでなのかを考えなきゃ、きっと世の中変わんないよ。
そんな世の中になったら、もっと生きやすいのに」
夏美は遠くを見て、静かに語った。
私は、改めて夏美は凄いなと思った。
ちゃんと自分の気持ちを考えて、人に伝えることができて。
夏美は私より確実に過酷な人生を生きてきたのだろう。
だからこんなふうに色々な事を知っている。
だからこそ、苦しいのだろう。
私も夏美の苦しさを分かり合えるほど、たくさんの経験しようと思う。
私も言わなきゃ、夏美に。
言わないといけない。
「私もごめん。
私ね、嘘を吐きなの。
息をするように嘘を吐いてしまう。
だめだなって思ってるんだけど、上手くいかなくて、、。
本当にごめんね」
夏美は悲しそうだった。
「いつから、なの?」
「分かんない、気づいたら」
「そっか、」
夏美は辛そうに言った。
私はまた、夏美を苦しめてしまった。
こんな話し聞きたくないだろう。
「もう、帰ろっか遅くなったし」
夏美は名残惜しそうに頷いた。
時計は6時を差し掛かっていて、最終下校時間は過ぎていた。
夏美は私を束縛してしまう理由を悲しそうに、吹っ切れたように話した。
「ごめんね、辛いこと思い出させて」
正直驚いた。
驚いたけど、やっぱり夏美は凄いと思った。
強いと思った。
「いやいいよ、人に話せて少し楽になったし」
夏美はスッキリしたような笑顔で言った。
「それから、私は変わろうって決めたの。強くなろうって。でも、なにも変わってない。次は私が梅雨を苦しめている。ホントごめんね。」
夏美は私の目を真っ直ぐ見て言った。
でも私は‘いいよ’なんて言えなかった。
何故か言うべきではないと思ってしまった。
それは、私が夏美に元々怒ってなかったからか、夏美の気迫に負けてしまったからか、分からないけど。
「親には?いじめのこと言ってないの?」
話を変えたくて、聞きたい事を聞いた。
「言ってない、誰にも。
弱いくせに強がりだからね。
それに心配させたくなっかったし。
言ったらどう思われるだろう?とか。
否定されたらどうしようとか思っちゃって。」
「そっか」
私はそれ以外の返し方を知らなくて、つくづく自分は無力だと実感した。
「・・・」
「・・・」
静かな沈黙を打ち消すように夏美は言った。
「話変わるんだけど、
日本じゃ、いじめられてるほうがカウンセリングをされたり、
学校に行けなくなったり、いじめられている側の方が損が多いと思うの」
「そうだね」
「でもさ、おかしくない?
悪いのはいじめている側で、いじめられている側なんて被害者じゃん。」
「確かにね」
いじめについてきちんと考えた事なんて無いから、言葉の意味は理解し難いけど、私にも分かった。
「いじめられた側の人は、いじめを受けて、苦しくなるの。
でもいじめている側は、きっと誰かをいじめてしまうほどの何かがあったんじゃないかなって私は思う。
もっと加害者のことも考えて、なんでなのかを考えなきゃ、きっと世の中変わんないよ。
そんな世の中になったら、もっと生きやすいのに」
夏美は遠くを見て、静かに語った。
私は、改めて夏美は凄いなと思った。
ちゃんと自分の気持ちを考えて、人に伝えることができて。
夏美は私より確実に過酷な人生を生きてきたのだろう。
だからこんなふうに色々な事を知っている。
だからこそ、苦しいのだろう。
私も夏美の苦しさを分かり合えるほど、たくさんの経験しようと思う。
私も言わなきゃ、夏美に。
言わないといけない。
「私もごめん。
私ね、嘘を吐きなの。
息をするように嘘を吐いてしまう。
だめだなって思ってるんだけど、上手くいかなくて、、。
本当にごめんね」
夏美は悲しそうだった。
「いつから、なの?」
「分かんない、気づいたら」
「そっか、」
夏美は辛そうに言った。
私はまた、夏美を苦しめてしまった。
こんな話し聞きたくないだろう。
「もう、帰ろっか遅くなったし」
夏美は名残惜しそうに頷いた。
時計は6時を差し掛かっていて、最終下校時間は過ぎていた。