俺は遅ればせながらナコを追いかけた。
本当に無茶ばかりするお姫様だ。
別の世界から来たなら一人でどうしたらいいかわからないはずなのに、なぜか生き生きとしている。
しかも俺を“おし”だとか訳のわからないことを言ってことあるごとに好きだとかなんだとか。
見た目はシャルロットなのに、もう俺にはナコにしか見えなくなっている。
というより、今のナコは昔のシャルロットに戻ったみたいだ。
◇
「あなた、名前は?」
「……アズール」
「アズール?かっこいい名前だね!私はシャルロット。よろしくね」
子供の頃、魔女の息子だと噂が立ち友達がまったくできなかった。ずっと一人ぼっちでぼんやりしていた俺に、ある日突然声をかけてきたのは天真爛漫なシャルロットだった。
それから何度か見かける度に一緒に遊んで、俺たちはどんどん仲良くなっていった。
成長するにつれてだんだんと会う頻度は少なくなっていき、そして次にシャルロットの姿を見たときは以前とは別人のようだった。
俺を見ても以前のように手を振るわけでもなく満面の笑顔になるわけでもなく、社交辞令かのように柔らかく微笑む程度。いかにも王女様な雰囲気に急に近寄りがたくなったが、王女なのだからそんなものだろうと子供ながらに納得した。
その頃にはもうまわりから虐げられることもなくなっていたからだ。
──私はシャルロット。よろしくね。
鮮明に記憶に残っているあの笑顔。
だが、本当にそんなことを言っていただろうか?
おぼろ気な記憶は頭を混乱させる。
──私はナコ。よろしくね。
ふと浮かぶあのときの光景。
まさか、あのシャルロットはナコだったとでもいうのか?
本当に無茶ばかりするお姫様だ。
別の世界から来たなら一人でどうしたらいいかわからないはずなのに、なぜか生き生きとしている。
しかも俺を“おし”だとか訳のわからないことを言ってことあるごとに好きだとかなんだとか。
見た目はシャルロットなのに、もう俺にはナコにしか見えなくなっている。
というより、今のナコは昔のシャルロットに戻ったみたいだ。
◇
「あなた、名前は?」
「……アズール」
「アズール?かっこいい名前だね!私はシャルロット。よろしくね」
子供の頃、魔女の息子だと噂が立ち友達がまったくできなかった。ずっと一人ぼっちでぼんやりしていた俺に、ある日突然声をかけてきたのは天真爛漫なシャルロットだった。
それから何度か見かける度に一緒に遊んで、俺たちはどんどん仲良くなっていった。
成長するにつれてだんだんと会う頻度は少なくなっていき、そして次にシャルロットの姿を見たときは以前とは別人のようだった。
俺を見ても以前のように手を振るわけでもなく満面の笑顔になるわけでもなく、社交辞令かのように柔らかく微笑む程度。いかにも王女様な雰囲気に急に近寄りがたくなったが、王女なのだからそんなものだろうと子供ながらに納得した。
その頃にはもうまわりから虐げられることもなくなっていたからだ。
──私はシャルロット。よろしくね。
鮮明に記憶に残っているあの笑顔。
だが、本当にそんなことを言っていただろうか?
おぼろ気な記憶は頭を混乱させる。
──私はナコ。よろしくね。
ふと浮かぶあのときの光景。
まさか、あのシャルロットはナコだったとでもいうのか?