「もしかして、色んな人を見てたら、便乗したくなった?」

「半分そうだけど、半分違うかな」

「何だよ、その半分って」


理解しようとしても無理そうだな。

呆れている僕に気付いているのかいないのか、ルカはカバンをゴソゴソとやって何かを取り出した。


「はい、悠真君に。ハッピーバレンタイン」

「……は?」


ルカが可愛くラッピングされた物を僕に差し出してそう言った。

ハッピーバレンタイン?


「あ、ああ、なるほど……」


こんな小道具まで用意して、このシチュエーションを経験したかったっていう事?

突拍子もない事をするなんて、やっぱり残された時間が短いのではないかと心配してしまう。

そもそも、転校してきたばかりで、いくら一番最初に友達になったからという理由だけでこんなバレンタインに贈り物をするか?


「えっと、ありがとう……」

「どういたしまして」


とりあえずお礼は言ったものの、中身は空っぽなんだろうな。

これでチョコレートが入っていたら、やられた感満載だけど。

首を傾げながらカバンの中にしまおうとしたら、ルカに制止された。