これは例えばメチャクチャに潰されて死んでも生き返るという意味であり、改めてこの世界のゲーム的な設定に驚かされた。一体どうなるのだろうか……?

        ◇

 商材がこれだけ揃えばあとは売るだけである。武器商人として、俺は毎日淡々と武器を研いで整備して売るということを繰り返した。
 営業はしなくても『すごい武器だ』といううわさが口コミで広がり、購入希望者リストがいっぱいになるほどで、まさに順風満帆である。
 二ヶ月もしたら、売った武器はもう100本を超え、経験値は毎日ぐんぐん増えるようになった。レベルアップの音が毎日のように頭の中に響き、一度も戦ったことがないのにレベルは80を超えてきた。これはもはやAランクのベテラン冒険者クラス、まさにチートである。
 こんなレベル、本当に意味があるのか不思議になり、試しに剣を振り回してみた。すると、重くてデカい剣をクルクルと器用に扱えるようになっていることに気が付いた。武器の扱い方が体にしみこんでいるようなのだ。これ、ダンジョンでも無双できるのではないだろうか? いつか行ってみたいなと思った。

 それから魔法石の効果もいろいろと研究し、水、風、火、雷の属性耐性の他に、幸運、自動回復を付与する方法を見つけた。
 俺は売る武器には全てこれらの特殊効果をてんこ盛りにして詰め込んだ。手間暇もコストも増えるが、経験値を分けてもらう以上、手抜きはしないと決めているのだ。










1-10. 世界最大の責任

 自分のステータスを眺めてみると、MPや魔力、知力の値は一般的な冒険者の魔術師をもう超えていた。しかし、俺は魔法の使い方を知らない。これはちょっともったいないのではないだろうか?

 俺はこっそり孤児院の裏庭で魔法が出るか試してみた。

 心を落ち着け、目の前の木をにらみ、手のひらを前に突き出して叫んだ。
「ファイヤーボール! ……。」
 しかし、何も起こらない。
「あれ? どうやるんだろう?」
 俺はいろいろと試行錯誤を繰り返す。
「ファイヤーボール! ……、ダメか……」

 すると、後ろからいきなり声をかけられる。
「な~に、やってんの?」
「うわぁ!」
 驚き慌てる俺。
「なんでいつもそう驚くのよ!」
 ドロシーが綺麗な銀髪を揺らしながら、プリプリしながら立っていた。
「後ろからいきなり声かけないでよ~」