少しだけカッコつけてからブルーシートをめくるとそこには随分昔に見たあの遺体と同じような姿だった。
生きていた人だとは思えないような状態になっていた。四肢はノコギリのようなもので切られて、上半身と下半身がばらばらにされ、両耳や鼻が切り離されて無理やり口の中に入れられて、目玉が片方飛び出ていて所々が焼け焦げていた。そして、とにかく悪臭がひどい。そのせいでハエが飛び回っていた。私はその姿を見て思わず吐き気がしてきて外に飛び出て少し遠くに離れ吐いた。
「だから……言ったじゃないですか…」
私の背中を齋藤が摩ってくれていた。
あの事件と同じだ。私たちが捕まえることが出来なかった。あの事件の犯人と……。
「……ありがとう。もう落ち着いた。さぁ現場に戻ろう」
少し水を飲んでから休んだら良くなったので仕事に戻る。
「え、大丈夫なんですか?」
「さっきも言ったが被害者遺族の為だ。まずは身元を調べなければならない」
現場に戻ったところで鑑識から、
「あの、死亡推定時刻はおそらく1週間程前だと思われます。そして遺体の手と足がこのようになってまして…」
そう言ってある写真を見せてきた。
「これは……」
遺体の近くにあった4本の木にそれぞれ足と手が太い釘のようなもので刺さっている写真だった。
「今回の事件特殊すぎますね」
鑑識の人は続けてそう言った。