「クロムウェル先生がどうかしたんですか?」
「えっと……この前、先生とクラウゼンさんが一緒にいるところを見て。それで、その……お二人は仲が良いんですか?」
「良いとは言えませんが、悪いとも言えないのではないかと」
「そうですか……」
とてもほっとした様子だった。
それを見て、ピーンとくる。
ははぁ。
これは、もしかするとあれかな?
ナナはユーリのことを……
「安心してください」
「ふぇ?」
「私とクロムウェル先生の間には、なにもありません。ただの生徒と教師です」
「そ、そそそ、それじゃあまるで私が……!」
「違うのですか?」
「……違わないです」
わりとあっさりと認めた。
ただ、ものすごく恥ずかしいらしく、耳まで真っ赤になっている。
うん、かわいい。
フィーの次の次くらいにかわいい。
でも、絶対王者はフィー。
それは未来永劫揺るがない。
「私に相談というのは、クロムウェル先生に関連したことですね?」
「は、はい……すごいですね。私はまだ、少ししか尋ねていないのに、こうも全てを言い当ててしまうなんて」
「アリー姉さまですから!」
隣のフィーが誇らしげにしていた。
妹に頼りにされて、誇らしく思われる姉。
うん、たまらない。
にやけてしまいそう。
「クラウゼンさまは、ただの、と言っていましたが、私はそうは見えず……ただ、そういう関係でないのなら、その、えっと……」
「はい、問題ありませんよ」
要するに、恋路を応援してほしい、ということだ。
ユーリはヒーロー。
可能なら、私と結ばれて、破滅を回避したいところだけど……
でも、それは打算による恋愛。
そんなものよりも、ナナが抱いている純粋な恋心の方が何倍も綺麗で愛しい。
彼女のために、今できることをがんばるとしよう。
「もちろん、応援させていただきます。どれだけ力になれるかわかりませんが、シュトライゼールさんの想いが届くことを祈ります」
「あ、ありがとうございます!」
「私もお手伝いしますね!」
フィーもやる気たっぷりだった。
年頃の女の子だから、こういう話は大好きなのだろう。
「あ……それと、私のことはどうかナナと呼んでください。クラスメイトですし」
「なら、私のこともアリーシャで」
「私は、シルフィーナでお願いします」
「はい。アリーシャさん、シルフィーナさん、よろしくお願いします」
こうして、私達三人によるユーリ攻略同盟が結成された。
――――――――――――
ナナとユーリを結ばせるため、やるべきことはなにか?
まずは、ユーリにナナのことを認知してもらうことだ。
ユーリは教育実習生で、特定のクラスを請け負っているわけではない。
故に、私達のクラスとの接点がなくて、ユーリはナナのことを知らない。
二人を恋人関係に発展させるためには、まずはナナを知ってもらうことから始めないと。
そのために私が考えた作戦は……
「あっ」
廊下を歩くナナ。
両手にたくさんのノートを抱えていたのだけど、バランスを崩して床にばらまいてしまう。
慌てて拾おうとして、
「大丈夫か?」
近くに居合わせたユーリが手伝う。
もちろん、これは偶然じゃない。
あらかじめユーリの行動パターンを調べて……
あえてナナがノートを集める役をして……
そして、今してみせたように、ユーリの前でノートを落とす。
そうすることで、自然に二人に接点が生まれ、知り合いになれるというわけだ。
「……アリー姉さま、すごい作戦です! これなら自然にお二人が知り合うことができます! すごいです!」
「ふふ、ありがとうございます」
表面上は優雅に微笑むのだけど、内心では、愛する妹に褒められて有頂天になっていた。
私、すごい。
妹にすごいって言われた。
ひゃっほー!
……なんて壊れてしまうくらい、喜んでいた。
それはともかく。
「それで、あの……」
「ああ、それなら……」
なんでもいいからユーリに質問をぶつけてみるといい。
そこから話を広げて、少しでも長く会話を続けること。
私が指示した通りにナナはがんばっているみたいだ。
うまくいっている。
この調子なら、作戦を第二弾階へ進めてよさそうだ。
「えっと……この前、先生とクラウゼンさんが一緒にいるところを見て。それで、その……お二人は仲が良いんですか?」
「良いとは言えませんが、悪いとも言えないのではないかと」
「そうですか……」
とてもほっとした様子だった。
それを見て、ピーンとくる。
ははぁ。
これは、もしかするとあれかな?
ナナはユーリのことを……
「安心してください」
「ふぇ?」
「私とクロムウェル先生の間には、なにもありません。ただの生徒と教師です」
「そ、そそそ、それじゃあまるで私が……!」
「違うのですか?」
「……違わないです」
わりとあっさりと認めた。
ただ、ものすごく恥ずかしいらしく、耳まで真っ赤になっている。
うん、かわいい。
フィーの次の次くらいにかわいい。
でも、絶対王者はフィー。
それは未来永劫揺るがない。
「私に相談というのは、クロムウェル先生に関連したことですね?」
「は、はい……すごいですね。私はまだ、少ししか尋ねていないのに、こうも全てを言い当ててしまうなんて」
「アリー姉さまですから!」
隣のフィーが誇らしげにしていた。
妹に頼りにされて、誇らしく思われる姉。
うん、たまらない。
にやけてしまいそう。
「クラウゼンさまは、ただの、と言っていましたが、私はそうは見えず……ただ、そういう関係でないのなら、その、えっと……」
「はい、問題ありませんよ」
要するに、恋路を応援してほしい、ということだ。
ユーリはヒーロー。
可能なら、私と結ばれて、破滅を回避したいところだけど……
でも、それは打算による恋愛。
そんなものよりも、ナナが抱いている純粋な恋心の方が何倍も綺麗で愛しい。
彼女のために、今できることをがんばるとしよう。
「もちろん、応援させていただきます。どれだけ力になれるかわかりませんが、シュトライゼールさんの想いが届くことを祈ります」
「あ、ありがとうございます!」
「私もお手伝いしますね!」
フィーもやる気たっぷりだった。
年頃の女の子だから、こういう話は大好きなのだろう。
「あ……それと、私のことはどうかナナと呼んでください。クラスメイトですし」
「なら、私のこともアリーシャで」
「私は、シルフィーナでお願いします」
「はい。アリーシャさん、シルフィーナさん、よろしくお願いします」
こうして、私達三人によるユーリ攻略同盟が結成された。
――――――――――――
ナナとユーリを結ばせるため、やるべきことはなにか?
まずは、ユーリにナナのことを認知してもらうことだ。
ユーリは教育実習生で、特定のクラスを請け負っているわけではない。
故に、私達のクラスとの接点がなくて、ユーリはナナのことを知らない。
二人を恋人関係に発展させるためには、まずはナナを知ってもらうことから始めないと。
そのために私が考えた作戦は……
「あっ」
廊下を歩くナナ。
両手にたくさんのノートを抱えていたのだけど、バランスを崩して床にばらまいてしまう。
慌てて拾おうとして、
「大丈夫か?」
近くに居合わせたユーリが手伝う。
もちろん、これは偶然じゃない。
あらかじめユーリの行動パターンを調べて……
あえてナナがノートを集める役をして……
そして、今してみせたように、ユーリの前でノートを落とす。
そうすることで、自然に二人に接点が生まれ、知り合いになれるというわけだ。
「……アリー姉さま、すごい作戦です! これなら自然にお二人が知り合うことができます! すごいです!」
「ふふ、ありがとうございます」
表面上は優雅に微笑むのだけど、内心では、愛する妹に褒められて有頂天になっていた。
私、すごい。
妹にすごいって言われた。
ひゃっほー!
……なんて壊れてしまうくらい、喜んでいた。
それはともかく。
「それで、あの……」
「ああ、それなら……」
なんでもいいからユーリに質問をぶつけてみるといい。
そこから話を広げて、少しでも長く会話を続けること。
私が指示した通りにナナはがんばっているみたいだ。
うまくいっている。
この調子なら、作戦を第二弾階へ進めてよさそうだ。