「……あ、佐野先輩たち、大丈夫ですか!?」
船瀬くんは思い出したかのようにあたりを美馬渡すとこうで警察官に支えられている二人に駆け寄った。
「自分のことより彼女たちの無事を優先するとは……心配しなくても大丈夫そうだね。君は?」
「えっ……あ、はい。大丈夫です。助けていただきありがとうございました」
「皆さんに怪我がないのであればよかった。もしかして、北峰高校の生徒さん?」
「そうですけど……どうしてですか?」
「ベースケースを背負っている彼女が北峰の制服を着ているから。それにさっき絡んで来たのは南雲の生徒……昔から仲が悪いとはよく言うけど、関係のない人まで巻き込まないでほしいな」
彼は小さく溜息を吐いて言う。この近辺に詳しい人なのか、北峰と南雲にある因縁をよく分かっているらしい。
「とにかく君に怪我がなくてよかった」
爽やかな笑みを浮かべる彼に、私は今久しぶりにまともな人と話しているのだと、わずかながら衝撃を受けた。周りの人間の個性が濃いせいだろうが、彼の爽やかな笑みとで立ち振る舞いが、物語に出てくる王子様のようで、とても新鮮だった。
すると、佐野さんたちから話を聞いていた警察官がこちらにやってくるのが見えると、彼は私の手に防犯ブザーを握らせた。小学生の子が持っているような卵型で、下に付いているピンを抜くと先程の甲高いブザー音が鳴る仕掛けだ。
「ごめん、もう行かないといけないんだ。これ、よかったら持ってて」
「で、でも!」
「沢山持ってるから気にしないで。お守りにはなると思うよ。それじゃ!」
颯爽と場を立ち去るその姿は、本当に漫画に出てくるような良い人だった。
船瀬くんは思い出したかのようにあたりを美馬渡すとこうで警察官に支えられている二人に駆け寄った。
「自分のことより彼女たちの無事を優先するとは……心配しなくても大丈夫そうだね。君は?」
「えっ……あ、はい。大丈夫です。助けていただきありがとうございました」
「皆さんに怪我がないのであればよかった。もしかして、北峰高校の生徒さん?」
「そうですけど……どうしてですか?」
「ベースケースを背負っている彼女が北峰の制服を着ているから。それにさっき絡んで来たのは南雲の生徒……昔から仲が悪いとはよく言うけど、関係のない人まで巻き込まないでほしいな」
彼は小さく溜息を吐いて言う。この近辺に詳しい人なのか、北峰と南雲にある因縁をよく分かっているらしい。
「とにかく君に怪我がなくてよかった」
爽やかな笑みを浮かべる彼に、私は今久しぶりにまともな人と話しているのだと、わずかながら衝撃を受けた。周りの人間の個性が濃いせいだろうが、彼の爽やかな笑みとで立ち振る舞いが、物語に出てくる王子様のようで、とても新鮮だった。
すると、佐野さんたちから話を聞いていた警察官がこちらにやってくるのが見えると、彼は私の手に防犯ブザーを握らせた。小学生の子が持っているような卵型で、下に付いているピンを抜くと先程の甲高いブザー音が鳴る仕掛けだ。
「ごめん、もう行かないといけないんだ。これ、よかったら持ってて」
「で、でも!」
「沢山持ってるから気にしないで。お守りにはなると思うよ。それじゃ!」
颯爽と場を立ち去るその姿は、本当に漫画に出てくるような良い人だった。