今日の午後の授業も相変わらず眠かった。

 けれど今日は自分にしては珍しく、すぐには降参しないで睡魔と戦った。ただ、どうにかこうにか打ち勝ったとは言え、それはそれで眠気が残るから後味は正直良くない。一度しっかり意識を無くしてしまったほうが、起きた後それなりにすっきりするような気がする。

 なんて持論をぼんやりした頭で繰り広げながら、帰り支度を始める。

 長い1日からの解放、さらには長い1週間からの解放でもある今日は金曜日。

 とは言っても、週末の過ごし方もいつも同じようなものだ。部活の休日練習に顔を出すか、家でだらだら過ごすか。悪くはないけど、かと言って特別何か楽しみがあるわけでもない。可もなく不可もなく、平々凡々。

 まあ、何でも普通が1番だ。そこそこでいい。

 と思っていたのに、リュックのチャックを開けたところで、その半分寝ぼけたような平和的な気持ちが若干乱れた。

 目に飛び込んできたのは、前払い済みの貸し出し用ノートだった。

 今日の時間割に古文は無かったけれど、貸すことを約束させられた以上、よっぽど嫌でもない限りそれは守るのが道理だ。

 土日を挟む前に渡しておこうと思って今日持って来たのを、今の今まですっかり忘れていた。