色々なことが起きて、ちょっと混乱してしまうけど……
でも、黎明の同盟の幹部は全滅した。
これで敵の力を大きく削ぐことができた。
本拠地に突入しているであろうエリンとクリフの援護をすることができた。
ただ、彼女達だけに任せておけない。
僕達もすぐに追いかけないと!
「とはいえ……」
「おとーさん! おかーさん!」
「オン!」
「やっば、なにこれ。魔法で爆撃されたみたいに酷いことになってるし」
アイシャ達のことを放っておけない。
ゼノアスがここにやってきたということは、敵はアイシャの場所を掴んでいるのだろう。
すぐ別の場所に移さないといけないけど、安全な場所はどこだろう?
どこなら絶対に安全といえるだろう?
考えても答えが見つからない。
僕達の傍にいることが一番安全なのでは? なんてことも考えてしまう。
「実際、それが一番ですね」
ソフィアはどこか諦めた様子で言う。
「幹部は倒しても、敵はまだまだ残っています。本拠地だけではなくて、王都全体に潜んでいるでしょう。安全な宿だと思いアイシャちゃん達を預けたら実は……なんていう展開もありますね」
「やば! そうなたったら美少女ぷりてぃ妖精リコリスちゃんのピンチじゃん! やめて、酷いことするつもりでしょう! あんなことやこんなことを!」
「オフッ」
「ぎゃー!?」
うるさい、という感じでスノウがアイシャをぱくりと咥えた。
なんか……この感じ、すごく久しぶりのように感じた。
笑うだけじゃなくて、なんだか心が温かくなって、活力が湧いてくる。
「でも、それはそれで大変じゃない? 本拠地に行けば、敵はアリのように湧いてくると思うし。三人を守るとなると、二人は護衛が欲しいけど、難しくない?」
レナがそんな疑問を投げかけてきた。
確かにその通りだ。
同行するとなると、アイシャ達の護衛に専念しないといけないけど……
それは一人だと難しい。
安全を確実に確保するため、二人は欲しい。
僕とソフィアとレナ。
人数は足りるけど、そうなるとアタッカーが一人だけに。
できることは限られてしまい、なんのために応援に行くのかわからなくなってしまう。
「……なら、俺が手伝おう」
「ゼノアス?」
どんな回復力をしているんだろう?
ゼノアスはもう普通に動くことができる様子だった。
「え、ゼノアスが手伝ってくれるの? ボクとしては、まあ、嬉しい話だけど……なんで?」
「敗者は勝者に従うものだ。それに……妹分の友を守るために戦うというのも悪くないだろう」
妹分っていうのはレナのことかな?
二人の関係が気になるけど、今は後回し。
「あなたが裏切らないという保証は?」
ソフィアが厳しい眼差しを向ける。
少し前まで、僕達は彼と殺し合いをしていた。
当たり前だけど、そんな相手をすぐに信じることはできない。
なにか裏があるのでは?
隙をついてアイシャとスノウをさらおうとしているのでは?
そう疑うのが自然だろう。
ただ、それはゼノアスも了承済らしく、とある首輪を差し出してきた。
「これを使え」
「これは……奴隷の首輪?」
「これで俺を縛れば逆らうことはできない。裏切ることもできない。安心できるだろう? 元々は巫女を連れて行くために使おうとしたものだが、役に立ちそうだ」
「どうして、そこまで……」
「誰かを守るために戦う。その力に興味を持っただけだ。だから、フェイト、ソフィア……お前達と一緒にいきたい。それと、レナが怪我をしてしまうのも避けたい」
「……わかりました。そこまで言うのなら」
ソフィアが納得して、奴隷の首輪に手を伸ばす。
でも、それよりも先に僕が首輪を手に取り……
「えいっ」
明後日の方向に投げ捨てた。
「ちょっ、フェイト!?」
「いいよ、あんなものは使わなくて」
「なにを……」
「あんな道具で縛っても、本当の信頼を得ることはできないよ」
力で言うことを聞かせる。
そんなことをしても得られるものはないと思う。
むしろ、失うものの方が多いはずだ。
「しかし、ゼノアスは黎明の同盟の幹部で……」
「でも、僕は彼を信じるよ」
「……」
「戦うだけじゃなくて、信じるところから始めていきたいんだ。そうしないと、なにも解決しないと思うから」
「まったく」
ソフィアが苦笑した。
話を聞いていたレナも苦笑する。
「フェイトらしいですね。本当は心配ですが、でも、フェイトがそう言うのなら私も信じることにします」
「ボクもそれでいいよ。愛する夫の言うことは、妻として受け止めないとね♪」
「だれが夫ですか!」
「フェイト♪」
「他に敵がいたみたいですね……ふふふ」
「なに、やる? やる?」
「ま、まって。いきなり味方で乱闘しようとしないで……」
「……ふっ」
ふと聞こえてきた小さな声。
それはゼノアスのもので……
「今、笑った?」
「さてな」
ゼノアスはごまかして。
それから、僕の前に騎士のように膝をついた。
「俺の剣にかけて誓おう。お前達を裏切ることはなく、俺は、俺の務めを全力で果たすことを」
「うん、よろしくね」
でも、黎明の同盟の幹部は全滅した。
これで敵の力を大きく削ぐことができた。
本拠地に突入しているであろうエリンとクリフの援護をすることができた。
ただ、彼女達だけに任せておけない。
僕達もすぐに追いかけないと!
「とはいえ……」
「おとーさん! おかーさん!」
「オン!」
「やっば、なにこれ。魔法で爆撃されたみたいに酷いことになってるし」
アイシャ達のことを放っておけない。
ゼノアスがここにやってきたということは、敵はアイシャの場所を掴んでいるのだろう。
すぐ別の場所に移さないといけないけど、安全な場所はどこだろう?
どこなら絶対に安全といえるだろう?
考えても答えが見つからない。
僕達の傍にいることが一番安全なのでは? なんてことも考えてしまう。
「実際、それが一番ですね」
ソフィアはどこか諦めた様子で言う。
「幹部は倒しても、敵はまだまだ残っています。本拠地だけではなくて、王都全体に潜んでいるでしょう。安全な宿だと思いアイシャちゃん達を預けたら実は……なんていう展開もありますね」
「やば! そうなたったら美少女ぷりてぃ妖精リコリスちゃんのピンチじゃん! やめて、酷いことするつもりでしょう! あんなことやこんなことを!」
「オフッ」
「ぎゃー!?」
うるさい、という感じでスノウがアイシャをぱくりと咥えた。
なんか……この感じ、すごく久しぶりのように感じた。
笑うだけじゃなくて、なんだか心が温かくなって、活力が湧いてくる。
「でも、それはそれで大変じゃない? 本拠地に行けば、敵はアリのように湧いてくると思うし。三人を守るとなると、二人は護衛が欲しいけど、難しくない?」
レナがそんな疑問を投げかけてきた。
確かにその通りだ。
同行するとなると、アイシャ達の護衛に専念しないといけないけど……
それは一人だと難しい。
安全を確実に確保するため、二人は欲しい。
僕とソフィアとレナ。
人数は足りるけど、そうなるとアタッカーが一人だけに。
できることは限られてしまい、なんのために応援に行くのかわからなくなってしまう。
「……なら、俺が手伝おう」
「ゼノアス?」
どんな回復力をしているんだろう?
ゼノアスはもう普通に動くことができる様子だった。
「え、ゼノアスが手伝ってくれるの? ボクとしては、まあ、嬉しい話だけど……なんで?」
「敗者は勝者に従うものだ。それに……妹分の友を守るために戦うというのも悪くないだろう」
妹分っていうのはレナのことかな?
二人の関係が気になるけど、今は後回し。
「あなたが裏切らないという保証は?」
ソフィアが厳しい眼差しを向ける。
少し前まで、僕達は彼と殺し合いをしていた。
当たり前だけど、そんな相手をすぐに信じることはできない。
なにか裏があるのでは?
隙をついてアイシャとスノウをさらおうとしているのでは?
そう疑うのが自然だろう。
ただ、それはゼノアスも了承済らしく、とある首輪を差し出してきた。
「これを使え」
「これは……奴隷の首輪?」
「これで俺を縛れば逆らうことはできない。裏切ることもできない。安心できるだろう? 元々は巫女を連れて行くために使おうとしたものだが、役に立ちそうだ」
「どうして、そこまで……」
「誰かを守るために戦う。その力に興味を持っただけだ。だから、フェイト、ソフィア……お前達と一緒にいきたい。それと、レナが怪我をしてしまうのも避けたい」
「……わかりました。そこまで言うのなら」
ソフィアが納得して、奴隷の首輪に手を伸ばす。
でも、それよりも先に僕が首輪を手に取り……
「えいっ」
明後日の方向に投げ捨てた。
「ちょっ、フェイト!?」
「いいよ、あんなものは使わなくて」
「なにを……」
「あんな道具で縛っても、本当の信頼を得ることはできないよ」
力で言うことを聞かせる。
そんなことをしても得られるものはないと思う。
むしろ、失うものの方が多いはずだ。
「しかし、ゼノアスは黎明の同盟の幹部で……」
「でも、僕は彼を信じるよ」
「……」
「戦うだけじゃなくて、信じるところから始めていきたいんだ。そうしないと、なにも解決しないと思うから」
「まったく」
ソフィアが苦笑した。
話を聞いていたレナも苦笑する。
「フェイトらしいですね。本当は心配ですが、でも、フェイトがそう言うのなら私も信じることにします」
「ボクもそれでいいよ。愛する夫の言うことは、妻として受け止めないとね♪」
「だれが夫ですか!」
「フェイト♪」
「他に敵がいたみたいですね……ふふふ」
「なに、やる? やる?」
「ま、まって。いきなり味方で乱闘しようとしないで……」
「……ふっ」
ふと聞こえてきた小さな声。
それはゼノアスのもので……
「今、笑った?」
「さてな」
ゼノアスはごまかして。
それから、僕の前に騎士のように膝をついた。
「俺の剣にかけて誓おう。お前達を裏切ることはなく、俺は、俺の務めを全力で果たすことを」
「うん、よろしくね」