「な……なにぃ……!? 芋畑に、芋じゃないものが埋まっている!!」
俺は衝撃を受けた。
隣で、クロロックがパカッと口を開けた。
ニヤリと笑う、みたいなニュアンスかな?
「芋をですね。連続で育て続けると、大変なことになります」
「大変なこと!?」
「土の中の栄養素が偏るので、育ちが悪くなり、作物への病気も発生するのです」
「ほうほう。ほう……?」
何言ってるんだこいつ?
「クロロック、あまり難しいことを言うとショートが混乱しますよ。つまりですね、土は、同じ作物を連続して育てられるようにはできていないんです。なので、交代交代で別の作物を育てて、土を休ませるんですね」
「なるほどー!!」
さすがはブレイン、付き合いが長いだけあって分かりやすい。
「それで、何を育ててるんだ、これ?」
「フックとミーが持ってきた綿花です」
「おおーっ! ついに!!」
これが育って綿が取れるようになれば、布を自給自足できるようになる。
これは凄いぞ!
「これを二毛作と呼ぶのです……!!」
「二毛作!? つ、強そう」
クロロックの言葉に、震える俺。
そして一つ賢くなった。
さあ、本格的にスローライフの再開だ。
戦争なんてアホらしいものに関わってしまった。
何か進展があったらあっちから言ってくるだろ。
「ホロロッホー!」
「うおー! ついに、ついにトリマルが大人に!!」
立派なホロロッホー鳥となったトリマルが、トテトテと辺りを走り回っている。
奥さんたちも元気そのもの。
トリマルに続いて、ぱたぱた走る。
そして。
「ホロー!」
ホロロッホー鳥となったトリマルの口から、見事な魔力光線が放たれる。
それが木々を薙ぎ払い、ふっ飛ばした。
「これは、開拓がバリバリ進むぞ。トリマル!」
「ホロ!」
「お前のビームは、ホロロッ砲と名付ける!」
「ホロロー!」
俺とトリマル、最強コンビの誕生だ!
トリマルが幹をビームで破砕する!
「ホロー!」
俺が切り株を引っこ抜いてバックドロップで投げ捨てる!
「ツアーッ!!」
次々に森が開拓されていく!
まあ、ありていに言って自然破壊だな!
だが!
人間は!
自然では生きていけないのだ!!
なので俺は自然を破壊するぞ!!
穴だらけになった地面を埋め戻すのは後だ。
今は農地を広げる。
ただ、ひたすらに広げる……!
「いやあ、凄いなあショートさん……。あの鳥ともコンビネーションが凄い……」
「そりゃあ、ショートは勇者だし、トリマルはその勇者が卵を孵す魔法を使って孵した特別なホロロッホー鳥だからなあ。ありゃあちょっと凄いぜ」
「そうなんだなあ……。なんか、新しくやって来た人も凄く仕事ができるし、ショートさんの周りには凄い人たちが集まってくるよな」
「そりゃそうだ。魔王を倒して世界を救った男だぞ? ついで、俺の自慢の娘の、自慢の婿だ。凄いに決まってる。ほれほれフック! 手が止まってるぞ! お前ら夫婦の家を建ててるんだからな!」
「そうだった! うっす、俺、頑張るぜえ!」
おっ、背後では槌音も高らかに、家ができあがっていく。
いろいろな作業を並行でやっていたせいで、なかなか家を作る方は手つかずのままだったんだよな。
だが、ブレインが増えて畑作が楽になり、トリマルが成長して俺とともに開拓を担当できるようになったことで、ブルストの手がようやく空いた。
今こそ、建築シーズン!
ちなみにブレインだが、ブルストと一緒に大部屋で寝起きしている。
最近、本が読みたい読みたいと言い始めているので、どこかで本を入手してきてやらなければな……。
それに、ブレインも家があった方がいいんじゃないのか?
人が増えるたびに、家が必要になるな。
この辺りは湿気が多くて、虫が多い。
野宿をするにはちょっと危ないんだよな。
温暖で、常夏みたいなところなのはいいところだが。
「みんなー! お昼ごはんだよー!!」
カトリナの声が響く。
男どもが一斉に集まってきた。
昼のメニューは、芋を蒸したやつに、昨日俺が倒した鹿で作ったシチューだ。
カトリナのレパートリーは基本的に、なんでもかんでも全部シチューになる。
鍋料理は食材を無駄にしないので、これはこれで有効なのだ。
そしてたまに飯の当番をするブルストだが、任せると飯が全部串焼きになる。
豪快な親子だ。
俺が飯の当番を引き受けると、豪快な丸焼きだな。
それ以外の料理はできない。
食材の内部に、極小のデッドエンド・インフェルノを打ち込み、内側からこんがりと焼くのだ。
同時発生させた超小型デッドエンド・インフェルノで周囲をカリッカリに焼くと、これがもう美味い。
味付けは塩とハーブだけというのが玉に瑕……。
「あたしとフックの里でさ、たまーにスパイスを売りに来る商人がいてさ」
目に見えて分かるくらいお腹が大きくなってきているミー。
彼女が、スパイスの話をしだした。
「スパイス……?」
「スパイスなあ」
「あれは直接肌にかけると粘膜に悪いです」
クロロックは何でも触ってみて確かめてるな?
どうやら、カトリナもブルストも、スパイスを知らんらしい。
スパイスを使った料理は、もっと乾燥した地域でよく遭遇した気がする。
「ショート、スパイスは普段、私たちが使っているハーブと同じものですよ」
ここでブレインが説明してくれて、俺もカトリナもブルストも、フックもミーもえーっとびっくりした。
どうやら、ハーブを焙煎したり、乾燥したりしたものがスパイスになるらしい。
この辺りでは、あまりにも新鮮なハーブが採れるので、そのまんま使ってしまっていた。
ほうほう、耳寄りな話を聞いた。
「じゃあ、このハーブ、売り物になるんじゃないか?」
俺は考えた。
来るか?
勇者村に、貨幣経済……!
俺は衝撃を受けた。
隣で、クロロックがパカッと口を開けた。
ニヤリと笑う、みたいなニュアンスかな?
「芋をですね。連続で育て続けると、大変なことになります」
「大変なこと!?」
「土の中の栄養素が偏るので、育ちが悪くなり、作物への病気も発生するのです」
「ほうほう。ほう……?」
何言ってるんだこいつ?
「クロロック、あまり難しいことを言うとショートが混乱しますよ。つまりですね、土は、同じ作物を連続して育てられるようにはできていないんです。なので、交代交代で別の作物を育てて、土を休ませるんですね」
「なるほどー!!」
さすがはブレイン、付き合いが長いだけあって分かりやすい。
「それで、何を育ててるんだ、これ?」
「フックとミーが持ってきた綿花です」
「おおーっ! ついに!!」
これが育って綿が取れるようになれば、布を自給自足できるようになる。
これは凄いぞ!
「これを二毛作と呼ぶのです……!!」
「二毛作!? つ、強そう」
クロロックの言葉に、震える俺。
そして一つ賢くなった。
さあ、本格的にスローライフの再開だ。
戦争なんてアホらしいものに関わってしまった。
何か進展があったらあっちから言ってくるだろ。
「ホロロッホー!」
「うおー! ついに、ついにトリマルが大人に!!」
立派なホロロッホー鳥となったトリマルが、トテトテと辺りを走り回っている。
奥さんたちも元気そのもの。
トリマルに続いて、ぱたぱた走る。
そして。
「ホロー!」
ホロロッホー鳥となったトリマルの口から、見事な魔力光線が放たれる。
それが木々を薙ぎ払い、ふっ飛ばした。
「これは、開拓がバリバリ進むぞ。トリマル!」
「ホロ!」
「お前のビームは、ホロロッ砲と名付ける!」
「ホロロー!」
俺とトリマル、最強コンビの誕生だ!
トリマルが幹をビームで破砕する!
「ホロー!」
俺が切り株を引っこ抜いてバックドロップで投げ捨てる!
「ツアーッ!!」
次々に森が開拓されていく!
まあ、ありていに言って自然破壊だな!
だが!
人間は!
自然では生きていけないのだ!!
なので俺は自然を破壊するぞ!!
穴だらけになった地面を埋め戻すのは後だ。
今は農地を広げる。
ただ、ひたすらに広げる……!
「いやあ、凄いなあショートさん……。あの鳥ともコンビネーションが凄い……」
「そりゃあ、ショートは勇者だし、トリマルはその勇者が卵を孵す魔法を使って孵した特別なホロロッホー鳥だからなあ。ありゃあちょっと凄いぜ」
「そうなんだなあ……。なんか、新しくやって来た人も凄く仕事ができるし、ショートさんの周りには凄い人たちが集まってくるよな」
「そりゃそうだ。魔王を倒して世界を救った男だぞ? ついで、俺の自慢の娘の、自慢の婿だ。凄いに決まってる。ほれほれフック! 手が止まってるぞ! お前ら夫婦の家を建ててるんだからな!」
「そうだった! うっす、俺、頑張るぜえ!」
おっ、背後では槌音も高らかに、家ができあがっていく。
いろいろな作業を並行でやっていたせいで、なかなか家を作る方は手つかずのままだったんだよな。
だが、ブレインが増えて畑作が楽になり、トリマルが成長して俺とともに開拓を担当できるようになったことで、ブルストの手がようやく空いた。
今こそ、建築シーズン!
ちなみにブレインだが、ブルストと一緒に大部屋で寝起きしている。
最近、本が読みたい読みたいと言い始めているので、どこかで本を入手してきてやらなければな……。
それに、ブレインも家があった方がいいんじゃないのか?
人が増えるたびに、家が必要になるな。
この辺りは湿気が多くて、虫が多い。
野宿をするにはちょっと危ないんだよな。
温暖で、常夏みたいなところなのはいいところだが。
「みんなー! お昼ごはんだよー!!」
カトリナの声が響く。
男どもが一斉に集まってきた。
昼のメニューは、芋を蒸したやつに、昨日俺が倒した鹿で作ったシチューだ。
カトリナのレパートリーは基本的に、なんでもかんでも全部シチューになる。
鍋料理は食材を無駄にしないので、これはこれで有効なのだ。
そしてたまに飯の当番をするブルストだが、任せると飯が全部串焼きになる。
豪快な親子だ。
俺が飯の当番を引き受けると、豪快な丸焼きだな。
それ以外の料理はできない。
食材の内部に、極小のデッドエンド・インフェルノを打ち込み、内側からこんがりと焼くのだ。
同時発生させた超小型デッドエンド・インフェルノで周囲をカリッカリに焼くと、これがもう美味い。
味付けは塩とハーブだけというのが玉に瑕……。
「あたしとフックの里でさ、たまーにスパイスを売りに来る商人がいてさ」
目に見えて分かるくらいお腹が大きくなってきているミー。
彼女が、スパイスの話をしだした。
「スパイス……?」
「スパイスなあ」
「あれは直接肌にかけると粘膜に悪いです」
クロロックは何でも触ってみて確かめてるな?
どうやら、カトリナもブルストも、スパイスを知らんらしい。
スパイスを使った料理は、もっと乾燥した地域でよく遭遇した気がする。
「ショート、スパイスは普段、私たちが使っているハーブと同じものですよ」
ここでブレインが説明してくれて、俺もカトリナもブルストも、フックもミーもえーっとびっくりした。
どうやら、ハーブを焙煎したり、乾燥したりしたものがスパイスになるらしい。
この辺りでは、あまりにも新鮮なハーブが採れるので、そのまんま使ってしまっていた。
ほうほう、耳寄りな話を聞いた。
「じゃあ、このハーブ、売り物になるんじゃないか?」
俺は考えた。
来るか?
勇者村に、貨幣経済……!