本当に、人間というのは無駄が多い。


「まだなにか?」


 こんな小さなやり取りで、一分、二分と消えていく。

 人生で大切な時間を消費する。

 無言という無駄な時間を彼はよく生み出す。

 そしてそれを、惜しもうとはしない。



「……一緒に食べよう」


 貴重な食料を、彼は惜しもうともしない。



「私にも『食事』という動作は必要ありません」

「知ってるよ」

「それなら蓄えておけばいいのです。お母様は毎日食料を出現してくれるわけではありません。冷蔵庫の中にある『そのまま食べられる食べ物』が無くなれば、先生は苦手な料理を自ら行う。大好きなゲームをする時間が減りますよ?」

「それも、知ってる」

「では何故?」


 食事も、入浴も、排泄も、睡眠も必要としない私に何故それを求めるのか。


 先生はまた、無言という時間を生み出した。

 私は、先生の回答を待った。


「……言わなくても分かるだろう? だって──」