「生徒達の達の思い出作りのために貢献、立派でしたよ先生」

「全員が全員楽しんでいたわけじゃない。ああいうイベント行事を僕のように地獄だと感じる者もいる。実際に僕は学生時代、良い思い出とは感じなかったし感じたであろう良い思い出は全て記憶から葬り去られた」

「嫌な記憶ほど覚えていて、良い記憶は忘れるものですからね」

「そもそも学校行事なんてやる意味あるのか。特にこの学校で行う行事は生徒達の思い出作りのためというよりも、入学希望者を増やすためのアピールだろう」

「否定出来ません」

「よく保護者からクレームが来ないな。行事の開催も授業料に含まれてるというのに」

「それは先生がクレームを望んでいないからです」



 ――望みますか?



 目で問い掛けた。


「……まあ、日々強制的に勉強させているのだからたまには息抜きをさせてやるのもいいだろう」

「では、この時期の行事は何を開催するか選んでください」


 手書きのリストを手渡した。必要予算と現在の資金を比較し、学力系や体育会系等どの層にアピールするかを考え、なるべく多くの生徒達が好みそうなものを選ばなくてはならない。


「文化祭は今から準備しても大した規模にはならないから却下。これだとマイナスアピールにしかならない。修学旅行って……三年しか参加出来ないだろ」

「一、二年は林間学習にすれば良いのです」

「宿泊先もプランも直ぐには立てられない。却下!」