おもに学校側が、今城先生が受験生徒を選べる。
確実に合格出来る、学校なんて場に通うのはお飾りとも言える優秀な生徒を選び、お願いし、テストを受けてもらう。
この学校の生徒達は、今城先生の運営方針に関わるお願いを決して断らない。
そういう風に、今城先生によって作られている。
無意識に。
「あなたは……気付いているのですか……?」
――この現実が、どういうものなのか。
「ユウ?」
「……いえ」
今城先生は、削られる資金が少なめの理科にしようか社会にしようかで悩んでいるようだ。レベルの高い生徒達はどちらの方が得意なのか、得意な者が多いのか、情報が記された名簿と睨めっこをしている。
助けてあげないといけない。
「メイン科目もいいですが、目的は資金を潤わせることですよ。一番安く済ませられる副教科にしましょう」
私の役目は彼のガイド。彼だけのガイドだ。
本業をおろそかにはしてはいけない。
個人的な疑問を問いかけるのは、今である必要はない。
問いかけられることも、彼は望んでいない……気がした。