「ここはホテル、俺は教師、お前は生徒、しかも制服姿。まずいと思わないか?」
「まずいですね」
普通に考えて、かなりマズイ。
「でも兄妹なら、大して問題なくないですか?」
「信じたのか?」
「いえ。もしも、私達が兄妹ならの話です」
「んー……問題はないが……でも、お前の方に変な噂が立つぞ。大人は事情を理解するが、子供は理解してもなお噂を流して面白がる」
「それは嫌ですね。絶対に嫌です」
「そこで提案だ。まだ全然食べていないが、今すぐここから退散するか……お前が下のショップで服を買って着替えてきて、八時から出てくるエビチリを食してから帰る……どちらがいい?」
前者は却下、あり得ない。
後者は微妙なところだ。着替えで私の食事時間が短くなってしまうのはいいにしても、エビチリだけを召し上がって帰るのはなんだか勿体ない。それに、その方法でも危険が回避されたわけではない。例え服装を変えたところで、生徒と教師が二人でホテルで食事をしているという事実は変わらない。この危険を回避するに至って、私の結論は……。
「服を買って着替えてきて、エビチリを食した後もゆっくり食事を楽しみたいです。主に個室で」
「なるほど、個室という手があったか。忘れていた」
服を着替えるのはただの保健。