着いたのはちょっと大きめの駅だった。繫華街があって栄えている。休日に友達とたまに遊びに来るところだ。
 楽しいお店がたくさんある。カラオケもゲーセンも、カフェや流行りのタピオカのお店だって。でも今日は目的地があるのだ。
 浅葱はさっさと歩いてそれらのお店を通過して一軒のビルを目指した。そこはビルが丸々一軒、浅葱の好きなもので埋まっているお店。
 そのお店が見えてきた。浅葱は既にふふっと微笑んでしまう。来るのは久しぶりだった。前に来たのは夏休みの終わり頃だったかもしれない。
 お店の前にはワゴンが出ていた。特売品や見切り品が入っている。こういうものにいいものが混ざっていたりするのだ。
 今日は掘り出し物があるかな。
 思って、お店の前に着いた浅葱はワゴンの中を見はじめた。
 アウトレットの色鉛筆のセット。
 百枚単位で詰められたケント紙や画用紙。
 そういうものが綺麗に並んで入っている。
 あ、この筆、安い。そういえば新しい製品が出たんだっけ。型落ちってやつかな。
 前に先輩が使ってて良さそうだったから買ってみようかなぁ。50%オフだしいい機会かも。
 いくつかの商品を取っては確認しながら心の中で呟く。
 浅葱がお店の外から既に楽しみはじめてしまった、そこは。
 『地球堂』と大きな看板が出ている画材専門店だった。