さてなぜ「White Man」か?それはズバリ“ギターとドラムの音“。特にドラム・サウンドの響き方が素晴らしいからだ。デビュー以来使ってきたキットから”これでもか!”と欲しかったものを全部並べまくったような巨大なドラム・キットを導入。6”,8”,10”,12”,13”,14”,15”,16”,18”,20”とこの世に存在するすべてのサイズ、10個ものタムを独創的な配置で並べ、その周りにシンバルをぐるっと林のように樹立させたものなのだ。同じアルバム内の「You & I」「Long Away」の中間部ではこれを全部使ったフィル・インが聴ける。この時期のこのキットでないと絶対に出せないフィル・インが見事に曲の1部になっていると感じるが、もしロイ・トーマス・ベイカーがプロデューサだったらきっとボツにしているだろうと推測する。(笑)
 White Manの素晴らしさは音だけでなく、そのドラムのフレーズ、「これぞロジャー・テイラー!」のオンパレード。イントロのフレディのボーカルのバックではPaiste 22” China Typeのシンバル・ロールが空気感を与え、そこから短い静寂の後大きなタム2つの連打と深いスネアの音で「ドドタン!」。シンバルのクラッシュ・ミュートを拍の頭においてスタートした後の盛り上げ、「ドドドド!」の2つのタムの連打。ギター・ソロバックでのタムの連打から間髪入れずにシンバルのクラッシュ・ミュート、随所に入る大きなタムのフィル・イン。ラストではフレディのアウトロ・ボーカル後ろにChina Cymbalで空気感を与え、最後のとどめは大きなフロア・タムとバスドラムで入れる「ドロン!」というロジャー印! もう、すごいったらない。