他方で。

「みな穂先輩がデビューしたけぇ、うちら誰も出んかったらホンマ谷間の世代じゃけ」

 優子が地元の広島で持っているレギュラーのラジオ番組で語ったのは、まぎれもない重圧であった。

 リスナーからは「そんなことないよ」「次は優ちゃんの番だから頑張って」などと励まされたので泣かずに済んだが、

(ほじゃけど、余計それが重たいんよ…)

 帰りの飛行機のトイレで、声を殺して泣いたこともあった。